読書感想文 コンクール

10 回目の節目となる読書感想文コンクールに、
今回も数多くの優れた作品が寄せられました。
応募総数 76 点の中から、見事市長賞を受賞さ
れた 3 名の方々の作品を紹介します。
文
読書感想
ール
コンク賞
第 10 回
市長
紹介
受賞作品
「白い街あったかい雪」原発
事故から学ぶ
阿蘇小学校5年
大倉 靖萌
ぼ く は 最 初、
「白い街」と
いう題名の文字から、ファン
この本を読んでいくと、元
気だったころのアンドレイ君
はぼくとにているなと思いま
浴びてしまいました。しかも、
原発事故が起きた事をベラ
ルーシの人々はだれも知らな
イ君は、放射能におせんされ
た大気や雨にふれ、放射能を
た。
アンドレイ君は、今のぼく
と同じぐらいの年れいで病気
になりました。なぜでしょう
ちがうものでした。この本は
チェルノブイリ原発事故の放
した。どんなところがにてい
る か と い う と、 勉 強 が 大 好
き で、 外 で 遊 ぶ こ と も 大 好
かったのです。ぼくは原発事
故が起きた時、この事を一こ
し て い る か ら だ と 思 い ま す。
ぼくは今、ご飯が食べられる
ことが当たり前になっている
ので、食べ物に対して、ここ
射能によって病気になった男
の子、アンドレイ君の悲しい
実話だったのです。
き、というところです。アン
ドレイ君は病気になって、全
くも早く世界へ伝え、周りの
国の人たちに、外へ出てはい
か。アンドレイ君はベラルー
シ と い う 国 で 生 ま れ ま し た。
小さいころに、となりの国の
ア ン ド レ イ 君 が、 病 気 と
闘っているところでパイナッ
ての事ができなくなってしま
い、すごくつらかったと思い
けないと呼びかけるべきだっ
たと思います。もし、そうい
まで感謝することがありませ
んでした。これをきっかけに、
「食べる」ことについて考え、
プルのかんづめが登場します
が、ぼくはパイナップルのか
ます。それに、アンドレイ君
の治りょうはとても大変だっ
う対応をしていたら、原発事
故のえいきょうをおさえるこ
とができ、たくさんの子ども
チェルノブイリで原発事故が
ん づ め を 開 け た 時 に、
「おい
し そ う 」 と し か 思 い ま せ ん。
た と 思 い ま す。 ぼ く の 祖 父
も、同じような病気で亡くな
りました。だから、祖父が治
達を救うことができたかもし
れません。そして、アンドレ
食べられることのありがたさ
しかし、アンドレイ君のお母
さんは、パイナップルのかん
づめを開けたしゅん間に、パ
りょうしている様子を少しだ
け覚えています。治りょうを
イ君も、十四才という年れい
で亡くなることもなかったか
を感じながら食事したいと思
いました。
イナップルが育てられた所の
太陽を思い浮かべたり、人間
受けている間はずっと、何ヶ
月も病室から出られませんで
もしれません。
そう考えると、
原発事故を教えてくれなかっ
起こった事を知らずに、毎日
のようにお母さんと散歩して
いました。その中でアンドレ
のあたたかさや命の重み、人
と人とのきずなの大切さを感
した。食欲も体力もどんどん
無くなりとてもつらそうでし
タジーの本かなと思いまし
た。 し か し、 読 ん で み る と、
ぼくが想像したものとは全く
じ た り し て い ま す。 こ れ は、
食べられることにとても感謝
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第 10 回 読書感想文コンクール
です。ぼくもやよいさんのよ
うに、やさしい人でありたい
と思います。
かせるものばかりでした。
「武器より一冊の本をくださ
い」
です。警察もタリバンには逆
らえず頼れるものも何もな
い。このような生活を想像で
きますか?また、そのような
しでも反抗することができま
すか?少なくとも僕にはその
ような勇気はありません。し
かしマララさんはそのタリバ
●ブックデータ
皆さんは〝マララ・ユスフ
ザイ〟という人を知っていま
す か? 恐 ら く ニ ュ ー ス 等 で、
ンへと勇気を出して立ち向
たことが 残 念 で な り ま せ ん 。
このお 話 に は 、 日 本 か ら 来
た看護士 の や よ い さ ん が 登 場
します。 や よ い さ ん は 、 ア ン
もう一つ最後に、この本を
読んで気付いた事がありま
す。アンドレイ君のお母さん
は病気で息子を失ってしま
名前だけでも知っている人が
例えば、自分たちの作った決
まりを破ったり、それに背い
たりしたら、平気で人を殺し
たりするのです。その決まり
もとても不合理で「音楽関連
の店やしせつは三日以内に業
務を変更しろ」だとか「女子
は学校へ行ってはいけない」
など、そういったものばかり
マララさんが暮らしている
パ キ ス タ ン で は、 今 も な お、
内戦が続いています。その内
戦の一因でもあるタリバンと
呼ばれる人々の行動は僕に
と っ て「 怖 い 」 の 一 言 で す。
ません。わたしはあらゆる子
どもの教育を受ける権利を訴
えているのです。タリバンや
すべてのテロリスト、過激派
の子どもたちにも教育を受け
てほしいと思っています。」
「親愛なる兄弟姉妹の皆さ
ん、わたしたちはあらゆる子
ど も の 輝 け る 未 来 の た め に、
「親愛なる兄弟姉妹の皆さ
ん、 わ た し は 誰 も 敵 だ と は
思 っ て い ま せ ん。 ま し て や、
タリバンその他のテロ集団に
対する個人的な復讐心もあり
状況におかれてタリバンに少
ドレイ君 の た め に パ イ ナ ッ プ
ルを求め て 歩 き 回 り ま す 。 ベ
ラルーシ と い う 国 で は 、 寒 い
い、悲しくて仕方がないはず
多くいることでしょう。
阿蘇中学校3年
増山 純也
時はマイ ナ ス 二 十 度 に も な る
なのに、やよいさんや、治りょ
うしてくれた日本人ドクター
に対して感謝の気持ちを伝え
ス二十度 の 寒 さ を 体 験 し た こ
とがあり ま せ ん 。 そ ん な 寒 さ
の中でも感謝する事ができる
と分かりました。とてもすご
いと思いました。
《書籍名》
白い街あったかい雪
《著者》
鎌田 貫
く、次第に一番伝えたいこ
とへと感想が集約されてい
く点など、五年生として完
成度の高いものとなってい
ます。
●審査講評 内容をよく読み
とり、自分のことばできち
んと感想が述べられていま
す。 書 き 出 し も 素 晴 ら し
そうです 。 ぼ く が 住 ん で い る
阿蘇は、 寒 く て も マ イ ナ ス 五
~七度く ら い だ か ら 、 マ イ ナ
の中、出 か け て い く や よ い さ
んはアン ド レ イ 君 の こ と を 考
え、元気 を 出 し て も ら う た め
ぼくはこの本を読んで元気
であること、食べられること
かっていったのです。しかし
その結果、通学中銃で撃たれ
てしまいました。不幸中の幸
にパイナ ッ プ ル を 食 べ さ せ た
か っ た ん だ ろ う と 思 い ま す。
のありがたさや人の優しさや
きずなの大切さを感じまし
二〇一二年十月九日、十五
歳の少女、マララさんが通学
やよいさ ん は 、 や さ し さ に 満
ち あ ふ れ た 人 だ と 思 い ま す。
た。また、原子力発電所の事
故で放射能のひ害が出ている
ていました。ぼくはその行動
に胸を打たれました。悲しみ
このエピ ソ ー ド を 通 し て 、 日
本とベラ ル ー シ の よ う に 、 国
ことは日本は他人事ではあり
ません。なぜなら、福島で事
故が起きているからです。だ
い と で も い う の で し ょ う か、
左の側頭部を撃たれたのにも
が ち が っ て も 助 け 合 っ た り、
分かり合 お う と し た り 、 み ん
なで一つ に な っ た り で き る の
から、身近に起きた出来事と
して、頭に入れておきたいで
途中に銃撃にあいました。こ
の少女はただただ、勉強がし
だという こ と を 強 く 感 じ ま し
た。 だ か ら ぼ く は 思 い ま す 。
す。この本は、遠い国の遠い
話だと思ったけど学ぶことが
たいと願う人でした。
世 界 が も っ と 仲 良 く な れ ば、
病気にな っ て も 助 か る 人 が 増
たくさんありました。それは
全て、ぼくの身近な生活に生
関わらずマララさんは、目を
覚ましたのです。
えるんじ ゃ な い か と 。 世 界 が
そうなっ た ら と て も う れ し い
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は、本当にマララさんは、偉
大な方だと思います。
を解決していこうという考え
までもが伝わってきます。僕
と考えているからです。また、
武力には武力でという考えは
全くなく、教育によって武力
せ、世界を平和にしていこう
分の命を奪おうとした人々に
対する復讐心がなければ、そ
の人たちにまで教育を受けさ
は あ り ま せ ん か。」 こ れ ら は
マララさんが銃撃から復活し
て国連で演説した内容の一部
です。これを読んで僕は感銘
を受けました。なぜなら、自
いってもいいのではないで
しょうか。
かすぎると言っていいほどの
この日本ではもっとそういっ
た活動に国全体で取り組んで
う〝国〟全体に呼びかけてい
るのではないでしょうか。豊
うことで、大きな効果はあま
りないような気がします。マ
ラ ラ さ ん は「 先 進 国 」 と い
が、それは単に任意参加とい
ことはできているのでしょう
か。募金活動などそういった
ものは、ちらほら見られます
国に対し、開発途上地域の女
児の教育機会拡大を支援する
よ う 呼 び か け ま す。
」 今、 先
進国と呼ばれているこの日本
では、この呼びかけに応える
であるマララさんへの尊敬
の念や平和の中で十分な教
育が受けられることへの思
いなどが、文章の構成の上
にも有効に生かされていま
す。
感想の根拠ははっきりと示
されており、筆者と同年代
●審査講評 やや引用の部分
が長いきらいはありますが
●ブックデータ
さて、今、日本では子供た
ちは平和に生活をして、普通
にあたり前のこととして教育
この本を読んでいかに自分
が世界の現状を知らないの
か、知ろうとしていないのか
がひしひしと伝わってきまし
た。ただ、他にももっと現状
を知らずに、知ろうとせずに
あたり前のこととして普段の
生活を送っている人が大勢い
ると思います。同じ地球上の
人間ならばこの状態から目を
背けてはいけないと僕は思い
ます。
ヴィヴィアナ・マッツァ
《書籍名》
武器より一冊の本をくださ
い 少女マララ・ユスフザ
イの祈り
《著者》
旅を続け て ゆ き ま す 。 誰 も わ
たしたち を 止 め る こ と は で き
を受けています。しかし、こ
のマララさんが住む国のよう
な場所が数多く存在している
ことを忘れてはいけないと思
います。そして、今自分があ
たり前に教育を受けられてい
ることに感謝して日常生活を
送っていくべきだと思いま
す。
また、マララさんが演説し
た中には次のような一文もあ
り ま す。「 わ た し た ち は 先 進
学校と教 育 を 求 め ま す 。 わ た
したちは 平 和 と 教 育 を 目 指 す
ません。 わ た し た ち は 自 ら の
権利を求 め て 声 を 上 げ 、 そ の
声を通じ て 変 化 を も た ら し ま
す。わた し た ち は 言 葉 の 力 と
強さを信 じ て い ま す 。 わ た し
たちの言 葉 で 世 界 を 変 え る こ
とができ ま す 。 わ た し た ち は
ともに、 団 結 し て 教 育 を 求 め
ているか ら で す 。 そ の 目 的 を
達成する た め に 、 知 識 と い う
武器を装 備 し 、 連 帯 と 団 結 と
いう盾で 身 を 守 っ て ゆ こ う で
心に届くラヴレター
阿蘇中央高校2年
安方 菜々美
この『届かなかったラヴレ
ター 百四通の涙』という本
に興味を持ったきっかけと
は、題名にあるラヴレターと
いう言葉から中・高生の恋愛
に関する手紙が書いてある本
なのかなと想像したからで
す。少し胸がキュンとなるよ
うな本を読んで、せつない思
いを体験したかったのかもし
れません。
しかしいざ読み進めていく
と、いろんな世代の人が書い
たラブレターに出会うことに
なりました。子どもの事や夫
から妻、妻から夫への手紙な
ど私の思いを超えた様々な視
点のラブレターを読む事が出
来ました。
その中でも私に最も強い印
象を与えたのは子どもから産
み育ててくれた家族に宛てた
一通のラブレターでした。い
つもはなかなか言えない家族
に対する感謝の言葉「ありが
とう」という思いが大切につ
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第 10 回 読書感想文コンクール
持 ち に さ せ て く れ る の で す。
なかなか 家 族 に 対 し て 素 直 に
た。これ は 私 達 家 族 の も の で
はないけ れ ど 、 私 達 の 思 い を
代弁して く れ て い る よ う な 気
そ の よ う な 出 来 事 も あ り、
この本を 見 て 改 め て 家 族 の 大
切さとい う も の を 実 感 し ま し
りました 。
見ても深 く 悲 し み 、 母 が 泣 く
姿を見て 私 に は 後 悔 だ け が 残
んだ」と 一 番 言 っ て は い け な
い事を、 言 っ て し ま っ た 事 が
ありまし た 。 母 は 私 の 目 か ら
ある時 、 ち ょ っ と し た 事 で
母と喧嘩 に な っ て し ま い 、 そ
の時に「 自 分 は 愛 さ れ て な い
うちに涙 が 溢 れ て き て 止 め る
ことがで き な い ほ ど で し た 。
自身の経 験 を 思 い 出 し て い く
るかを感 じ る と と も に 、 怒 ら
れたこと、優しくされたこと、
助けてく れ た こ と な ど 、 自 分
づられて お り 、 読 ん で い る と
自分が生 き て き た 十 七 年 間 の
中で家族 が 自 分 を ど れ だ け 優
しく、そ し て 愛 し て く れ て い
れ、何度でも使われている言
葉ではありますが、そのたっ
生きている中で「ありがと
う」という言葉はいい古るさ
でいる私達に伝え、伝わる思
いもあるのだとこの本で知る
事が出来ました。
りです。ですが、その人に届
かなくてもこうして今、読ん
この本のラヴレターは全部
その主に届いていない物ばか
思いを呼び起こしてくれま
す。
た。 こ の 本 に は そ う い っ た、
誰かを大切に思う気持ちが沢
山溢れて、忘れてはならない
又、 亡 く な っ た 曾 祖 母 や、
遠くにいる兄達のことなどへ
の感謝の思いも再認識しまし
思うようになりました。この
本に出会えたおかげです。
間を大切にしていこうと強く
私自身このことがきっかけ
と な り、「 あ り が と う 」 と い
う言葉を忘れずに、家族、仲
は言えない「ありがとう」と
いう言葉を素直に伝えられる
きっかけになるのではないか
と思うのです。
命頑張って、夢を叶えて「あ
りがとう」と伝えたいです。
家 族 の 喜 ぶ 顔 を 見 る た め に、
感謝の気持ちを忘れず一生懸
高くて分厚い壁を乗り越えな
け れ ば な り ま せ ん。 で す が、
して出来る最大の親孝行だと
思っています。その夢を叶え
るためには沢山の犠牲を払い
と日本一になって感謝の気持
ちを伝えることが今家族に対
です。そんないつもそばで支
えてくれている家族に、仲間
のは、どんな時でも家族が応
援し、支えてくれているから
もやめたいと思うことがあり
ました。でも今こうして諦め
ず剣道をやってこられている
が、小学校の頃は好きで剣道
をやっていなかった為、何度
私は小学校の頃から剣道を
や っ て お り、 日 本 一 に な る
と い う 夢 が あ り ま す。 で す
うになりました。
もその「ありがとう」の言葉
を忘れずに、これからの道を
歩んでいきたいと強く思うよ
思 う と、
「ありがとう」とい
う言葉にはもの凄いパワーが
秘められているのだと思うよ
うになりました。誰に対して
んでいきます。
このラブレターを胸に刻
み、自分の道をひたすらに進
十七歳の私より。
しか出来ない事なんだ。必ず
テッペンにたって伝えるんだ
だから、大好きな家族に必
ず一番輝く金メダル見せるん
だよ。それは十七歳のキミに
最後に十七歳の自分へ自分
を励ますラブレターを書き遺
します。
なれてい な い 人 な ど 、 ち ょ っ
とした行 き 違 い な ど で あ ま り
た五文字だけで多くの人の人
生が続いているんだろうなと
届かなかったラヴレター 104通の涙
●ブックデータ
その夢を持つ事が出来てい
るのは、どんな時でもそばに
いてキミの一番の味方でいて
くれている家族がいるからだ
《編さん》
周囲と自分とのつながりな
どが、十七歳らしく美しい
気持ちで綴られ、文章の構
成もうまく、表記の面でも
行き届いていました。
みのある言葉を通して、築
い て い こ う と す る 家 族 や、
キャリア・マム
《書籍名》
ね。
●審査 講 評 「 あ り が と う 」
という、ありふれていて深
よ。
「ありがとう。
」って。
ね。
今まで一緒に暮らしてきた
からそれがあたり前だと思っ
ていた。だけど今離れてみて
その大切さを痛いほど感じる
今キミには大きな大きな夢
があるね。
十七歳のキミへ
家 族 と 話 せ て い な い 人 な ど、
少しでも 読 ん で み る と い つ も
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