第 四 回 「 藻 類 」 講 義 ポ イント 【講師】田中 次郎 (東京海洋大学教授) 鈴木 秀和 (東京海洋大学准教授) 【時間】13:00∼17:00 【場所】東京海洋大学品川キャンパス 講義のねらい ●小学生に体験・理解してほしいこと ・海には様々な藻類(緑色の緑藻、茶色の褐藻、赤色の紅藻)が生育している。 ・食用になる海藻も多い。紅藻(アサクサノリ類、テングサ類、海藻サラダ)、褐藻(コンブ、ヒジキ、ワカメ、アカモク)、 緑類(アオノリ類、海ぶどう)。 ・海岸には肉眼では見えない珪藻(単細胞が群体を作って糸状になる珪藻や、海藻に付着して生育する珪藻)が多く生育している。 ●小学生を指導するリーダーに理解してほしいこと ・海藻とは(藍藻、緑藻、褐藻、紅藻に大分けされる) ・東京湾(河口域、内湾域および外湾域)で見られる海藻の種類とその比較 ・海藻押し葉の作り方 ・珪藻とは ・珪藻の採集方法と観察方法 座 学「藻 類」 藻とは・ ・ ・漢字の作りが特徴を表している。 草冠・木=形状や生きも ののタイプを表現、 さんずい=水の中の生きもの、 品=鳥 が3匹騒いでいる様子から賑やかな様子=種類が多く、 海 中で賑やかに生育しているから。 分類学上:藻類はいくつかにまたがっている。 ※さまざまな海藻について写真を使って紹介していただいた。 ・海草 (うみくさ) と海藻の違い: 海草は種子植物でアマモなどがある。 海草は根茎葉の区別がなくコンブや ワカメなどがある。 ・アマモには一茎にオスとメスがある。 ・色々な海藻:藍藻類、 紅藻類、 緑藻類、 褐藻類、 黄色藻類などの色分 けができる。 ・ワカメは普段根を下にして横たわっている (立ち上がって揺らめく ことは少ない) 。 ・ワカメの芽かぶは、 生殖器の集まりで栄養がある。 ワカメは12∼5 月に生えるので、 夏は見られない。 他の藻類も多くはそうである。 ・ワカメは元々は茶色だが、 その色素が熱に弱いため、 茹でると緑色 になる。 ・海ぶどうは冷蔵庫に入れると死んでしまう。 また、 1粒が1細胞な のだが、 隔壁がないため触感がよい。 ・マリモは、 ゆっくり成長することで長く生きることを戦略としている。 座 学「珪 藻」 珪藻とは・ ・ ・珪酸質の殻を持つ単細胞性の真核藻類。 恐竜が闊歩し、 哺乳類 の出現と変わらない頃に出現。 短い期間で 繁栄してきた。 【珪藻は死してなお】 化石珪藻として残る。 その堆積した場所は珪藻土として利用されている (七輪、 壁材) 、 酵母菌を珪藻土でろ過して作るのがビール。 【環境指標生物となる】 河川や湖沼の汚濁指標、 犯罪捜査の物的証拠 【どこにいるか】 海水、 汽水、 淡水など。 川で石に手をついてぬるぬるするのも珪藻。 【特殊な環境に生育する珪藻】 極域 (高温域∼低温域) 、 温泉地 (酸性域∼アルカリ性域ph1.6∼5.0) 【珪藻の生活】 ・浮遊する (プランクトン生活) ・付着する (付着生活) …岩の上、 砂の上、 海藻や海の上 ・藻体に直接付着する ・群体を作って生活する 【形質】 大きく 『中心珪藻』 『羽状 (舟形) 珪藻』 に分かれるが、 形はさまざま。 性質はガラス質。 【採集と観察】 採集:プランクトンネット、 歯ブラシで珪藻を擦り取る→冷蔵庫に入れておく と維持できる。 観察のポイント:珪藻は動く、 プランクトン性の珪藻はどうやって浮いている のか(群体をつくる、 トゲや針を持つ、 殻が薄い、 細胞の中 に油を持つ=石油の素か?) 実 習「海藻押し葉づくり」 ***講義を通して、自分の心が一番動いたこと、田中先生や鈴木先生に質問したいこと*** Q. 海藻押し葉の海藻を採集するポイントは? A. 海藻は3∼5月が一番の収穫時期。海辺に打ち上げられている のが手っ取り早い。冷凍(暗黒)しておくと色味も持つ。 紅藻類は冷凍した方が発色がよい。 Q. 群体はどれくらいの単体細胞の集まりなのか? A.いろいろある。数年前に世界最小の多細胞生物として「しあ わせ(四合せ)藻」が発表された。4つの細胞だけでできて いる藻。 Q. 珪藻土をいろんなことに使っているが、なくならないか? A. 珪藻土は酸素の次に多い。殆どの土には珪藻がある。 Q. 田中先生の一番憧れの藻類は? A. 外国の研究者が日本に来て喜ぶのはヒジキ。外国ではその土地その 土地で感動する藻類に出会う。日本では見慣れてきたが、マリモが 好き。 Q. 藻類は「食物連鎖」を説明する際にどのように伝えたらいいか? A. 地球上の生態系として考えたら生産者は藻類よりも植物プランクト ンになる(藻類の100倍の量)。
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