バイオメカニクス 准教授 井田 博史 1.授業のねらい・概要 バイオメカニクスは、生体システムの構造と機能について、機能解剖学的あるいは神経生理学的背景にもとづき、力 学や機構学の手法を用いて解釈を与えようとする学問領域である。より具体的には、ニュートン力学、連続体力学、流 体力学などを基礎理論として、身体活動におけるヒトの神経筋骨格系の時空間的なふるまいを主な対象とする。本授業 では、キネティクスに関する内容を中核として、それに続く筋活動についての学習とあわせて、神経生理学的運動制御 と密接に関係する生体内部の力学的挙動を中心に解説していく。これにより、バイオメカニクスの基礎となる諸理論と 方法論を学習するとともに、身体運動における諸現象を多面的に理解する力を養成する。 2.授業の進め方 主にプレゼンテーションソフトを用いたスライド呈示、および板書による講義形式で授業を行う。また、授業の進捗 状況をみながら、計測実習や計算演習なども適宜導入する。 3.授業計画 1.ガイダンス 9.キネティクス III(筋出力との関係) 2.バイオメカニクスの対象と歴史 10.生体内のエネルギー流動と筋パワー 3.力学基礎 11.筋電図学 4.キネマティクス 12.筋のモデリング 5.運動器とキネマティクス 13.神経筋骨格系計算シミュレーション 6.身体部分慣性特性 14.バイオメカニクスの実際 7.キネティクス I(力とその計測) 15.まとめ 8.キネティクス II(逆動力学計算) 4.到達目標 バイオメカニクスの基本的な概念と方法論を理解し、諸々の生体活動に対して力学や機構学の観点から説明を与える ことができるようにする。特に、スポーツ科学やリハビリテーション科学におけるバイオメカニクスの立場、またパフ ォーマンス発揮や機能回復などの具体的課題に対してどのように役立てられているか、などの現状についても理解を深 めていく。 5.準備学修に必要な時間,またはそれに準じる程度の具体的な学修内容 各回の授業内容は互いに関係しているため、前回までの授業ノートの見直しをしておく。また、参考図書などを利用 しつつ、シラバスおよび授業中になされる予告にもとづいて事前知識の収集もあわせて行う。これらのため、週に 1 時 間程度の自習時間を確保することが望ましい。 6.成績評価の方法・基準 授業態度や積極的取り組みなどの平常点を 30%程度、期末テストにおける試験点を 70%程度として総合的に評価する。 ただし、必要に応じて課題提出を求めた場合には、これも評価に入れる。 7.テキスト・参考文献 特に指定しないが、以下を参考図書とする。その他の資料は、必要に応じて授業中に紹介もしくは配布する。 ・ 「身体運動のバイオメカニクス研究法」原著:D.G.E. Robertson, G.E. Caldwell, J. Hamill, G. Kamen, S.N. Whittlesey、 翻訳:阿江通良・木塚朝博・川上泰雄・森丘保典・宮西智久・藤井範久・榎本靖士・岡田英孝(大修館書店) 8.受講上の留意事項 これまでの物理学もしくは力学の履修状況は問わない。
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