生体力学の基礎 准教授 井田 博史 1.授業のねらい・概要 力学とは、物体の運動やその物体に働く力を考察する学問である。メジャーを使って遠投距離を測る、体重計に乗っ て体重を量る、ストップウォッチを使ってスプリント走のタイムを計る―これらはすべてヒトの身体やそのパフォーマ ンスに対して力学的観察を与えるものであり、我々は日常的にもこういった力学的な指標により身体活動の評価を行な っている。本授業では、主に初学者を対象として、生体の構造や力学的な特性を観察するために必要な数値標記法およ び力学法則の基礎について学習する。また、基礎運動学やバイオメカニクスといった学問領域への応用を見据えて、よ り具体的な生体力学に関する問題も対象として扱う。 2.授業の進め方 主にプレゼンテーションソフトを用いたスライド呈示、および板書による講義形式で授業を行う。また、授業の進捗 状況をみながら、計測実習や計算演習なども適宜導入する。 3.授業計画 1.ガイダンス 9.エネルギー、仕事量、パワー 2.単位、記号、文字、表記法 10.運動量と保存則 3.座標と関数 11.剛体の運動 4.スカラーとベクトル 12.生体に働く力と運動 5.位置、速度、加速度、躍度 13.生体計測と力学量計算 I(説明と身体測定) 6.力と運動の法則 14.生体計測と力学量計算 II(計算演習) 7.放物運動と振子運動 15.まとめ 8.角度、角速度、角加速度 4.到達目標 基本的な数値表記法や力学概念を理解し、諸々の生体活動に対して妥当かつ正確な力学的説明を与えることができる ようにする。さらに、バイオメカニクスなどのより応用的な学問分野の学習に繋がるように、ヒトの複雑な身体運動を 力学的にとらえるための基礎力を身につける。 5.準備学修に必要な時間,またはそれに準じる程度の具体的な学修内容 各回の授業内容は互いに関係しているため、前回までの授業ノートの見直しをしておく。また、参考図書などを利用 しつつ、シラバスおよび授業中になされる予告にもとづいて事前知識の収集もあわせて行う。これらのため、週に 1 時 間程度の自習時間を確保することが望ましい。 6.成績評価の方法・基準 授業態度や積極的取り組みなどの平常点を 30%程度、期末テストにおける試験点を 70%程度として総合的に評価する。 ただし、必要に応じて課題提出を求めた場合には、これも評価に入れる。 7.テキスト・参考文献 特に指定しないが、以下を参考図書とする。その他の資料は、必要に応じて授業中に紹介もしくは配布する。 ・ 「基礎運動学第 6 版」中村隆一・斎藤宏・長崎浩(医歯薬出版) 8.受講上の留意事項 初学者を主な対象とした授業内容であるため、これまでの物理学もしくは力学の履修状況は問わない。
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