2015 December Special-1 東京海上日動 WINクラブ http://www.tmn-win.com/ 化学物質のリスク低減 ∼コントロール・バンディング∼ 化学物質は私たちの生活の中で広範囲に活用されており、現代生活にとってなくてはならないものに なっています。また、今や事業場で使用される化学物質は 6 万種類以上といわれています。これらの 化学物質は世界に誇る日本品質の達成のために極めて重要な役割を担っていますが、その一方で、労働 者への健康被害を防止するという観点から、職場において化学物質をいかに適切に管理していくかが大 きな課題となっています。 この課題に対応していくためには、化学物質を取り扱う全ての事業者が、自らのリスクを評価し、必 要な対策を自律的に講じていく必要があります。ここでは、本年 6 月から施行された改正労働安全衛 生法と、化学物質のリスクアセスメントの進め方についてご紹介します。 Ⅰ.化学物質の健康有害性 2014 年、大阪の印刷会社の元従業員が胆管がん を発症し死亡した事件が、新聞、テレビなどで大き く取り上げられました。原因は、業務で使用する化 学物質(有機溶剤)の管理不具合ということでした。 化学物質はその使い方を誤ると、労働者の健康被 害に繋がり、場合によっては死に至る危険を孕んで います。 右図は化学物質の健康有害性を示したものです。 事業者にとって、化学物質を適切な管理の下で使用 することがいかに大事であるかがわかります。 化学物質には健康有害性の他にも、火災・爆発な どの危険有害性や環境への影響などもあります。 出典:経済産業省/厚生労働省「化管法・安衛法にお けるラベル表示・SDS提供制度」を元に弊社作成 Ⅱ.化学物質のリスクアセスメント 労働者の安全と健康の確保対策を一層充実する目的で、 労働安全衛生法が 2014年 6 月に改正され、 一定の危険有害性が確認されている化学物質1のリスクアセスメントが 2016 年 6 月から義務化され ます。 また、リスクアセスメントの結果を踏まえ、事業者の判断によって労働者の危険や健康障害を防止す るために必要な措置を講じることが努力義務とされました。なお、労働安全衛生法に基づく労働安全衛 生規則や特定化学物質障害予防規則等の特別規則に規定がある場合は、当該規定に基づく措置を講じる ことが必要です。 1 安全データシート(SDS)の交付義務がある640物質 化学物質のリスクアセスメントの一般的な実施手順は次のようになります。 出典:中央労働災害防止協会「健康障害防止のための化学物質リスクアセスメントのすすめ方」を元に弊社作成 Ⅲ.コントロール・バンディング 上記の手順に沿ったリスクアセスメントを実施するためには、化学物質の専門性が不可欠です。そこ で、中小企業のように専門家がいなくてもリスク評価ができる手法として「コントロール・バンディン グ」と呼ばれるツールが厚生労働省によって公開・推奨されています。 このツールを利用すると、 ・ 「GHS分類」による有害性評価 ・ 「使用量や沸点」による暴露評価(曝露濃度測定を行わない) など、危険有害性情報や化学物質の使用量、作業内容等を入力することで簡易的なリスク評価が可能に なります。 出典:厚生労働省「コントロール・バンディングの概要」を元に弊社作成 コントロール・バンディングは以下のサイト2から無料で利用できます。事業場の改善に是非お役立 てください。 http://anzeninfo.mhlw.go.jp/ras/user/anzen/kag/ras_start.html 2 本サイトを活用すれば、リスクが自動判定されます。また、参考となる対策シートがPDFで提示されます。
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