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FEATURE
そろ
“芸術の秋”を前に、滋賀県文化振興事業団主催の公募事業が出揃った。
平成27年度 滋賀県アートコラボレーション事業
「絵画」にスポットを当て、一堂にご紹介!!
第2回 近江の歴史文化遺産・景観を描くあいしょう絵画展
会 期/ 8月1日(土)∼9日(日)10:00∼16:00 ※月曜休館
第20回記念 ―湖国の表現展2015―
会 場/ 愛荘町立ハーティーセンター秦荘 中ホール(愛知郡愛荘町安孫子822)
TEL.0749-37-4110 FAX.0749-37-4113
湖国を描く絵画展
作品搬入/
滋賀県立近代美術館 ………………… 8 月15日(土)、16日(日)10:00∼16:00
(大津市瀬田南大萱町1740-1)
滋賀県立文化産業交流会館 ………… 8 月15日(土)10:00∼16:00
(米原市下多良二丁目137)
会 期/
滋賀県立近代美術館 …………………10月 6 日(火)∼10月12日(月・祝)
ビバシティホール ……………………10月15日(木)∼10月22日(木)
しがぎんホール ………………………10月27日(火)∼11月 1 日(日)
高島市藤樹の里文化芸術会館 ………11月21日(土)∼11月29日(日)※11/24( 火)休館
成安造形大学 …………………………12月 8 日(火)∼12月17日(木)※12/13( 日)休館
料 金/ 観覧無料 ※出品は有料となりますので、詳細はお問い合わせください
[問合せ]
(公財)滋賀県文化振興事業団[滋賀文化元気室]TEL.077-522-8369
料 金/観覧無料
今年は20th Anniversary
「湖国を描く絵画展」は、今年で第20回を迎える。また、
「琵琶湖とその水辺景観―祈りと暮らしの水遺
滋賀県の魅力を伝え、地域の文化力向上を目指す
産―」が日本遺産(Japan Heritage)
に認定された年でもあり、これらを祝して「日本遺産認定記念賞」
コンサートや日本の古典芸能など、数々の芸術を鑑賞できる愛荘町立ハーティー
を特設。湖国の風景や自然と共生してきた人々の営みなど、滋賀の魅力を絵画を通じて知っていただき
センター秦荘で、滋賀県内の文化遺産や景観を描いた絵画展が開催される。今
たい展覧会だ。
年で第2回目。
昨年の絵画展では、県下で最も高く優美な山として知られる伊吹山の姿や、湖
Research
過去3年の入賞・入選作品テーマ集計
過去3年の入賞・入選作品の中から最も描かれたテーマをリサーチ
すると、同率で米原市の「伊吹山」と甲賀市信楽町の「登り窯」が
1位にランクイン(※右表)。
描き手を魅了する各々のスポットを訪ねてみた。
1位
1位
2位
3位
3位
伊吹山(米原市)
登り窯(甲賀市信楽)
余呉湖湖畔(長浜市余呉)
烏丸半島の蓮(草津市)
梅花藻(米原市醒ヶ井)
8票
8票
7票
5票
5票
第19回:入賞・入選点数92点(応募点数299点)
第18回:入賞・入選点数86点(応募点数272点)
第17回:入賞・入選点数87点(応募点数279点)
Research
北の伝統的な集落を今にとどめる「菅浦」の景観など、県内外から応募された絵
滋賀県の東部に位置
画75点が寄せられた。
これらの絵画を通じて、滋賀の魅力をアピールするとともに、
し、県下唯一の人口 2
芸術作品を創作し、鑑賞する喜びを愛荘町の住民をはじめ、県内外の方々に伝
万人というまち 愛荘 。
えることを目的とする。
数々の伝統や豊かな風
応募作品には、グランプリ1点、特選2点などの賞が設けられており、グランプリ受
土に包まれながら育ま
賞者には賞金10万円と、愛知川駅コミュニティハウス「るーぶる愛知川」での個
れてきた愛荘町の歴史
展開催権利が贈られる。絵画家たちにとっても創作の励みとなっている。
文化遺産を訪ねた。
き ふく さん かい
滋賀県の最高峰・標高1,377㍍の伊吹山。約1億5000万年前に隆起した起伏山塊で、低山に分類されるも、
品格・歴史・個性を兼ね備えた山として「日本百名山」に選定されている。伊吹山にはシダ植物以上の高等
植物が約1,300種自生しており、
うち約280種が薬用植物という 薬草の宝庫 。更に、20種以上の哺乳類が
生息、鳥類は120種以上が確認されており、豊かな生態系であることがうかがえる。大正7年(1918)∼昭和
日本六古窯の一つ、信楽焼。開窯に関しては諸説あるも、聖武天皇が紫香楽宮造営にあたり所用瓦を焼
63年(1988)
の調査によると、1年のうち300日程度が霧(雲)
に覆われており、快晴は20日ほどという気候。風
成したことが起源とされる。火色、焦げ(灰被り)、自然釉(ビードロ釉)の3要素が特徴。信楽焼から連想する
ゆう
ししゅう
両手の中に納まるほどの丸いびんの中には、色とりどりの刺繍が施された日本古来の手まりが――。
の山 としても知られ、とりわけ濃尾平野に吹きおろす北西風「伊吹おろし」は山の神の息吹きであると考えら
のは、やっぱり タヌキ 。昭和26年に昭和天皇が信楽を行幸された際、狸の置物を沿道に並べて歓迎したと
びん細工手まりは、愛荘町に江戸時代末期頃に伝わったとされる伝統的工芸品。母が嫁ぐ娘を祝って持たせる
れており、山名の由来ともされる。また、伊吹の神は、神話の英雄である日本武尊を退けて死に至らしめた荒
ころ「幼なとき 集めしからに 懐かしも しがらき焼の 狸をみれば」と詠まれたことで、全国的に 信楽=タヌキ
ことや、新築や結婚祝いとして喜ばれてきた。その由来は謎に包まれているが、一説には1800年代にヨーロッパ
ぶる神として「古事記」や「日本書記」に登場している。
のイメージが広がった。しかし、鎌倉期の信楽焼は、いわゆる
で流行した、ボトルシップが伝わったのではないかと云われている。
のう び
やまとたけるのみこと
●Picture
イコール
古信楽として「わびもの」
「さびもの」と呼ばれる素朴さと簡素
●Picture
美を特長とした種壺が多く作られており、室町・桃山時代は茶
びん細工手まりの製法は、これまで愛荘町で門外不出のものだった。明治時代、同町で行われていた女性に向
けた裁縫塾の中で、とりわけ優秀な生徒にだけに密かに技法を伝えられてきたという。後の昭和49年、びん細工
絵画展では、伊吹山の全景を描いた作品が多く見られたため、今回は、伊吹山の内側から見た 湖国を描く
道の普及とともに釉薬をかけた茶壺や茶器、明治から昭和の
スポットをご紹介したい。
中頃にかけては「なまこ釉」を使った火鉢の生産が全国の約9
先ずは、山頂に立って眺めるその展望。天気が良い日には、琵琶湖を眼下にして八幡山、遠く大津の方まで
手まり保存会が発足し、町内に限って技法を伝承するようになった。現在は、会長である辻みよ子さんの指導の
割を占めていたことから 火鉢の信楽 としての印象が強かった
もと、およそ100名の会員が制 作に励
続いて見ることができ、南に鈴鹿山脈、東には養老山脈、更に北に目を向けると御嶽や乗鞍などまでをも眺
そうだ。その産業を支えてきたのが、穴窯を発展させた「登り
んでいる。だが近年では、多くの人々の
望することができる。日本百名山に
窯」。穴窯のトンネルドームを大型化し、焼成室を何段にも重
ひら
要望が寄せられ、年に数回、体験教室
は「登るに従い、展けてくる眺 望に
ね一度に大量の品物が焼ける構造になっている。時代の流
心を奪われた」と書かれており、著
れとともに窯数が少なくなった現在、稼動している登り窯は3基
者・深田久弥さんのお墨付きポイン
ほどである。
いびん細工手まり。ひと針に思いを込
トだ。もう一つは、伊吹山麓で伝承さ
●Picture
めて仕上げれば、いっそうの愛着が湧
れる雨乞いとその返礼を目的とした
絵画展では、登り窯そのものを描かれているケースが多く、職人が息づくまち 焼きものの里 を切り取ってみる。
いてくることだろう。1枚の絵に収めた
太 鼓 踊り 。今 年は5年 に1度しか
信楽町長野地区にある「窯元散策路」の窯場坂を上っていくと、なんとも趣ある煉瓦造りの煙突が目に飛び
い湖国の情景である。
見ることのできない、三之宮神社で
込んでくる。山手に足を進めれば、谷寛窯内にある「gallery 陶 ほうざん」へと辿り着く。明治の師範学校を
踊られる上 野 地 区の「伊 吹 山 奉 納
移築したという建物内には工房とギャラリーが併設されており、昭和41年に築炉された重油窯を利用した展
■愛荘町立愛知川びんてまりの館(愛知郡愛荘町市1673)
びん細工手まりの実物の展示や、歴史、制作工程などを紹介している。
開館時間/10:00∼18:00 休館日/月・火曜日、祝日、毎月最終水曜日
TEL.0749-42-4114
1
現在はアートスペースとして活躍する登り窯(ろくろ坂)
が開催されるようにもなっている。
ただ眺めているだけでも心が躍る、美し
わ
1
たど
太鼓踊」が10月4日に開催される
(前
あし ぞろ
1
示ペースがとても印象的。敷地内には穴窯もあり、焼きものの歴史、職人の技を身近に感じられる空間が、
夜には「足揃え」も)。ぜひ、伊吹山
なんとも絵心をくすぐるスポットだ。
と共生してきた人々の姿も描いて欲
その他にも、散策路を歩くと色々な衣装を身に纏ったタヌキや大きな壺、登り窯で壺や火鉢を焼く際に使った
まと
窯道具「立ちざや」
「継ぎざや」等が至る所で見
しい。
ることができ、あなただけの 発見 が楽しめること
2
るーぶる愛知川の前にはこんな大き
なびんてまりが。実はポストなんです !
色鮮やかに美しく仕上げるには、裁
縫の技術と根気が必要
■愛知川駅コミュニティハウスるーぶる愛知川(近江鉄道愛知川駅舎内)
びん細工手まりを購入できる、唯一の施設。愛荘町の観光情報やお土産なども数多い。
営業時間/8:00∼17:00 休業日/年末年始
TEL.0749-42-8444
必須。また、10月10日
(土)∼12日
(月・祝)
は、信
楽一帯で開催される「信楽陶器まつり」がある。
2
3
眼下に望む琵琶湖と湖北地域
5年前に開催された上野地区の「伊吹山奉納太鼓踊」の様子
参考資料:
みんなが楽しい伊吹山プロジェクト
「写真でふりかえる伊吹山物語―神の山
とあゆむ上野人―」
米原市教育委員会
「伊吹山―荒ぶる神の坐す山の歴史―」
陶器ファン はお見逃しなく。
■gallery 陶 ほうざん(信楽町長野788)
営業時間/10:00∼17:00
定休日/火曜日 ※祝日の場合は営業(年末年始はお休み)
TEL.0748-82-2462
第45回滋賀県芸術文化祭
第69回滋賀県美術展覧会
県民の方々の日頃の創作活動の成果を発表する場、身近に芸術を鑑賞する場として開催する、歴史ある展覧
会。部門は、平面(日本画、洋画、版画、その他平面作品)、立体、工芸、書。
作品搬入/
2
右前方には“焼きものの里”を望むことができる
(「gallery 陶 ほうざん」山手側より)
Memo:「信楽陶器まつり」にあわせて 谷井芳山 秋
のうつわ展 が開催される。
滋賀県立近代美術館 …………………………11月21日(土)、22日(日)10:00∼16:00
(大津市瀬田南大萱町1740-1)
滋賀県立文化産業交流会館 …………………11月22日(日)10:00∼16:00
(米原市下多良二丁目137)
会 期/ 12月 1 日(火)∼12月13日(日)9:30∼17:00 ※12/7( 月)は休館
前期=【工 芸 ・ 書】12月 1 日(火)∼12月 6 日(日)
後期=【平面・立体】12月 8 日(火)∼12月13日(日)
会 場/ 滋賀県立近代美術館
料 金/ 観覧無料 ※出品は有料となりますので、詳細はお問い合わせください
[問合せ]
(公財)滋賀県文化振興事業団 TEL.077-522-8369