1 I 平成25年度 事業計画書

I 平成25年度 事業計画書
1 内外経済の現況
平成24年度の我が国経済は、平成20年秋のリーマンショックを受けて始まった
未曾有の不況からようやく脱却するとともに、
企業収益にも改善の兆しが出ていたが、
一昨年の3月11日に、戦後最悪となる東日本大震災が発生し、加えて福島第1原子
力発電所の事故も起きて、
東北地方を中心に国民生活全体に大きな悪影響を与える結
果となった。特に、原発事故の発生により、中国、インド等アジア圏諸国への輸出が
風評被害等で影響を受け、外国人観光客も減少していたが、持ち直しの傾向も見られ
るようになった。
世界経済の動きとしては、顕在化したギリシャの財政危機はひとまず収まっては
いるが、スペインやイタリアの財政危機が懸念され、また急成長を続けてきた中国に
おいて成長にかげりが出る等、依然として不安定な状況が続いている。その中で、
米国経済は徐々にではあるが、回復の兆しがあり、今後が期待される。
我が国は、デフレが依然沈静化せず、若者の就職も好転せず、個人消費が上向く
状況にない中、昨年新政権が発足し、最重要課題として経済再生を掲げ、デフレ克服
のための2%の物価目標の設定等新規施策の展開が始まって、
株高円安の明るい側面
も出てきている。しかし、今後消費税の増税が現実味を帯びてくれば節約志向・低価
格志向がさらに強まるものと思われ、真珠産業への影響も心配される。
今後、東北地方での震災の復興、復旧が本格化して、我が国経済が回復基調にのる
とともに、世界経済が再び活性化することが待ち望まれる。
2 真珠業界の取り組み
我が国や世界で厳しい経済状況が続く中、今年のアコヤ真珠浜揚取引は、引き続き
新しい試みを取り入れながら開催した。その結果、各種の価格安定対策が奏功して、
デフレの世の中で、
単価が上がる傾向が出ていることは真珠業界にとって明るい話題
ではあるが、後継者問題等もあり生産量は依然として低迷している。
一方、販売面については、最近、香港ジュエリーショーにおいて、中国人の日本産
アコヤ真珠への関心が高まりつつある等、海外において、日本産アコヤ真珠の「品質
の良さ」や「品質への信頼」が再認識されつつある。このような中で「品質の向上」
、
「価格の安定」
、
「イメージアップにつながる PR、イメージダウンを避ける施策」を
生産者、流通業者一体となって取り組むことがますます重要になると思われ、これを
次年度の生産発展につなげてゆくことが大切と考える。
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振興会としては、このような点を重視して、生産技術の向上のために、様々な支援
を実施するとともに、世界に向けて日本産品の積極的な広報活動をしてゆくことが、
必要と考えている。
また、振興会は今年度から一般社団法人日本真珠振興会として新たにスタートする
こととなり、これを機会に今後の業界団体のよりよい運営のためには、どのようにす
べきか等についても議論を進めたいと考えている。
以上の内外経済の現況及び真珠業界の置かれた状況を踏まえて、今後の真珠業界の
再生と振興のため、以下の事業活動を実施していくこととする。
3 重点目標
上記1及び2に述べた情勢の下、わが国の真珠産業の維持・発展を目指して、
本年度の重点目標を以下のとおり定め、事業活動を実施するものとする。
(1)実施事業等会計
① 市場開拓及び需要拡大等支援事業
ア 展示会等への出展による市場開拓・需要拡大事業
東京、神戸で開催される国内の国際宝飾展において、パネル展示やDVD
の放送による日本産アコヤ真珠のPR、高品質日本産アコヤ真珠の展示及び
小冊子等の配布を行う。
また、香港等海外で開催される宝飾展においても真珠のすばらしさをPR
する。特に今年度は香港の宝飾展において、パネル展示やDVDの放送、
小冊子の配布等に加え、セミナー、ファッションショーなどを開催し、中国
人バイヤー等外国人の人々へ日本の真珠への理解を深める。
また、ジャパンジュエリーフェアー(JJF)における日本真珠輸出加工
協同組合の出展を支援する。
イ 地域活性化事業
愛媛県真珠PRレディ募集事業、真珠婚おかげ参り事業、神戸パールパス
ポート事業、ミズノクラシック協賛イベント、真珠祭事業等各地区で行われ
る真珠に関するイベント等の協賛やPR活動への支援を行う。
② 品質向上及び供給安定化等支援
ア 品質向上事業
・ 品評会関連
全国真珠養殖漁業協同組合連合会と共同で、全国真珠品評会、全国
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花珠真珠品評会を開催するとともに、愛媛県浜揚真珠品評会、三重県
真珠品評会を支援する。
・ 養殖技術向上関連
変動の激しい自然環境の中で生産するアコヤ真珠の品質向上を図る
ために、三重県真珠養殖連絡協議会が実施する自動観測ブイ管理事業や
愛媛県漁業協同組合連合会等が実施する宇和海水温観測システム事業
を支援する。また、日本産アコヤ真珠の品質保持を図るために全国真珠
養殖漁業協同組合連合会が行う高品質珠生産活動事業を支援する。
・ 新技術・新基準関連
良質な真珠核を確保するために各種試験等の事業を実施するととも
に、優良母貝生産に役立てるため愛媛県漁業協同組合連合会等が実施
する2年貝による挿核試験を支援する。
また、真珠の生産が国際的に広がる中で発生する各種の問題に対処
するため真珠研究委員会を開催し、必要に応じて国際会議に専門家を
派遣する。
イ 環境保全事業
真珠養殖漁場の環境改善を目的に、三重県真珠養殖連絡協議会が実施し
ている環境保全事業を支援する。
(2)その他会計
① 普及啓発事業
日本の特産品である真珠の持つ多面的な価値を広く普及・啓発するために、
一般消費者からの質問、相談への対応、新聞等のメディアによる広告宣伝、ホー
ムページの活用、パンフレットの作成、入札や生産流通に関する委員会の開催
等々、幅広く実施する。
(3)法人会計
総会及び理事会において、振興会の活動について活発な審議・検討を行い、
振興会の重要事項の決定を行うとともに、会員相互の意思疎通を図り、真珠業界
全体のために振興会の運営と事業活動の円滑な推進を図る。
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