FPG 投資顧問

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Investment 第 1112 号 2015 年 1 月 9 日
Financial Products Group
www.fpgam.jp
第 1112 号 | 2015.1.9
*** 目 次
***********************************************
焦点
:新年の投資、強気とリスクの両睨み
ファンドマネージャーの眼
:
投資研究
:三菱重工の投資判断
投資研究
:株式有利は続いているが
注目企業(1)
:成長投資
注目企業(2)
:業績予想は約束 日立(6501)
米国の連続増配企業
:
クラレ(3405)
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1
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Investment 第 1112 号 2015 年 1 月 9 日
焦点
新年の投資、強気とリスクの両睨み
新年の予想
金利変動に注意
日経新聞による識者が予想する「新年の株
株価に強気の理由は、日銀や年金基金などが
価と景気予想」では、大半の方々が今年は景
日本の株式を買い入れる受給面の良さ、次に円
気回復と株高を予想しています。
安継続による企業業績の伸びへの期待とROE
日本の経済成長率は13年度2.2%でし
を向上させ、株主への還元を強化する企業の株
たが今年3月に終える14年度はマイナス
高支援政策、そして安倍内閣による景気を支え
0.6%へと悪化する予想です。消費増税後
る政策への信頼感です。
の駆け込み反動によるものです。15年度に
ただこのような株高期待は、金利が異常に安
ついては1%台後半への回復を予想する人が
くなったために、相対的に株式が有利になって
多いようです。
いるからです。
(株式の益利回りは高い)
日経平均株価の予想は安値16,000円
故に今後の米国などの金利変動には十分注意
前後、高値20,000円強が多数です。
するべきでしょう。
TOPIXと長期金利の推移
TOPIX
TOPIX (pt)
10年債金利
金利 (%)
2,000
2.50
1,800
2.25
1,600
2.00
1,400
1.75
1,200
1.50
1,000
1.25
800
1.00
600
0.75
400
0.50
200
0.25
0
0.00
2000
2002
2004
2006
2008
(出所) QUICKよりFPG投資顧問作成
2
2010
2012
2014
Investment 第 1112 号 2015 年 1 月 9 日
ファンドマネージャーの眼
年初の急落
今後の課題
新年おめでとうございます。新年早々から
株式市場など「相場」は不思議なもので、
株価は予想外の波乱を見せました。先進国株
年初に多くの専門家が株価について相当楽
価の水準が昨年末に急騰していたところに、
観的見通しを出した途端に急落する、このよ
原油価格が急落しました。
うな現象は過去にも多く見受けられました。
原油の価格低下は先進国やインド、インド
今後の日本株予測のポイントは3つです。
ネシア、フィリピン、中国などにとり有利に
第1に人口減少、超高齢化社会の中で日本及
働きます。一方で世界中に投資されている膨
び日本人が果たして再び活力を取り戻すこ
大なオイルマネーが引き上げられる可能性
とができるか。
もあり、金融市場の混乱を心配しているので
第2に日本企業が世界に打って出て、競争
す。
力を維持できるか。その場合、製品や技術力
もう一つにはギリシャのユーロ圏離脱の
だけではなく、外国人を含めた人材活用など
噂など欧州経済への不安感再発です。ギリシ
マネジメントができるか。
ャに限らず反EU、反ユーロ気運が高まって
第3に中国と韓国、北朝鮮など近隣諸国と
おり、ウクライナ危機も含め不透明感があり
の外交関係と同盟国米国との関係を悪化さ
ます。
せず、むしろ好転させることができるか。
最後には景気の「体温計」である日米の金
厳しい財政事情を考えると、今後国民の負
利が再び急低下していることです。原油の急
担は増えることはあっても減ることはあり
落と合わせ、世界景気に何らかの変調が起き
ません。一方、低賃金、非正規雇用は当たり
ているのではないかとの不安です。
前になりました。必要なことは生活への「安
今年の株式相場は米国景気の更なる回復、
心感」と政府と企業への「信頼感」です。
日本の回復、中国の成長率は低下するが安定
世界一の時価総額を誇る米の銀行「ウェル
した成長、欧州景気は底ばい程度を前提にし
ズ・ファーゴ」は26万人の社員の大半が生
ています。全体的には昨年より高い成長を見
え抜きで一生働き、単なる仕事場ではなく大
ています。それだけに原油価格と金利低下が
きな家族だといっており、考えさせられま
不安感をもたらしたのです。
す。
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Investment 第 1112 号 2015 年 1 月 9 日
投資研究
三菱重工の投資判断
有望株御三家の一角
必要不可欠の企業
東レ、日立と同社は今年の年初注目株の代
同社の売上高は長年3兆円台半ばが最高で、
表選手です。日立と同社はここ数年経営改革
それ以上に増やせませんでしたが、今期に初め
を重ねており、ようやくその成果が出つつあ
て4兆円が見込まれます。さらに3年後には5
ります。ただ日立のほうがより早く、より明
兆円を目指します。つまり成長への期待があり
確に改革効果が出ています。同社の場合、客
ます。
船での大赤字や、旅客機事業の不確定要素が
小型旅客機MRJの商業生産、潜水艦や宇宙
残されていますのでやや不人気のきらいがあ
衛星、ステルス戦闘機など日本の安全保障を支
ります。
える力、ガスタービンなど、社会で必要不可欠
しかし、3代にわたる社長が継続して企業
な企業です。
体質の改善を行っていることと、売上拡大が
ポイントは下図のような利益計画を実現でき
見えてきたことなどを評価したいです。
るかどうかが株価を決めます。
PER
会社計画では利益急拡大
株価売上倍率
売上は伸び始めた
営業利益率
利益は過去最高へ
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Investment 第 1112 号 2015 年 1 月 9 日
投資研究
株式有利は続いているが
株式有利
異例の金利低下
下図は東証1部のイールドスプレッドとT
したがって、現在のイールドスプレッドが株
OPIXの推移です。イールドスプレッドは
価の相対的割安を示していることは事実です
日本の10年物国債金利から東証1部の株式
が、比較すべき金利は、官製相場による異例の
益利回り(PERの逆数)を差し引いたもの
事態ですから、単純に株価が割安だと喜んでば
で、株式市場全体が金利水準に比べて割高か
かりいられないのです。
割安かを見る指標です。
しかし、当面は金利が上がる気配はないので、
現状は株式の益利回りが債券金利を大きく
先行きは別にしても、株価を買い上げる根拠は
上回っており、株式投資が有利であることを
あるのです。これは、ある種のチキンレースで
示しています。ただし、金利の水準は日銀の
す。つまり超低金利がどこまで続くのかの読み
国債買い入れによる異常なまでに低い水準で
次第のゲームなのです。焦点は本年半ばと言わ
す。
れる米国の金利引き上げでしょう。
東証1部のイールドスプレッドとTOPIX
イールドスプレッド
(%)
2
イールドスプレッド(左軸)
TOPIX
(pt)
1,800
TOPIX(右軸)
債券
有利
0
1,600
-2
1,400
-4
1,200
-6
1,000
-8
800
株式
有利
-10
600
07/1
08/1
09/1
10/1
11/1
(出所) QUICKよりFPG投資顧問作成
(定義) イールドスプレッド=日本10年債利回り-東証1部の株式益利回り
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12/1
13/1
14/1
15/1
(年/月)
Investment 第 1112 号 2015 年 1 月 9 日
注目企業(1)
成長投資
クラレ(3405)
積極的な中期計画
決算期変更
昨年 12 月に発表された中期計画は、3 期間で
同社は今期から決算期を変更しますが、子会
営業利益を約 70%伸ばす積極的なものです。
社の決算期に合わせる為です。同社の計画では
中期計画期間中の売上増加は 2,365 億円の見込
3 年後には売上の 70%近くが海外になります。
みですが、日本、米国、欧州で約 80%を占めま
海外子会社に合わせ 12 月決算とすることで
す。同社の製品の特徴は高単価で先進国の需要
今までより新しい決算情報を報告できると言
に合致していることです。同社の場合、製品 1
うのが変更の理由です。
万トン生産に必要な投資額は約 100 億円だそう
今までは 12 月決算の子会社業績の本体決算
で、通常の石油化学会社の 5 倍から 10 倍に当
への反映は 3 ヶ月遅れでした。当たり前のこと
たるそうです。
をしたようですが、同社のような決算期変更は
今回の中期計画では 1,200 億円の増産投資を
行うそうで、今までのあまり規模を追わない印
余り有りません。
決算情報の開示はIRの中でも最重要です。
象から成長を追求するように変わった印象で
IRの良し悪しは投資に際しての判断材料の
す。業績の中心のポバールフィルムに関しては
一つです。今回の積極的な設備投資とIR方針
液晶TVの面積は増えていると楽観的でした。
は同社の魅力を増したようです。
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Investment 第 1112 号 2015 年 1 月 9 日
注目企業(2)
業績予想は約束
日立(6501)
次期中期計画は営業利益率 10%超
業績予想は必達
同社の社長の年頭の社員向けメッセージで
次期中期計画では営業利益率 10%を目指
は業績予想はコミット(約束)である、と語っ
すようです。現中期計画はコスト削減による
ていました。ネットで公開している企業情報で
計画達成となります。次期中期計画ではサー
このように語る企業は少ないのです。業績への
ビス拡大による達成を目指すようです。
サービスは基本的にはITを活用しての
自信の表れです。
今まで同社については何度も報告して参り
ものです。中西会長は自社のIT活用での自
ましたが、最近は業績達成について中期計画の
信と、多くのインフラ企業は自社の製品を顧
達成(来期)への自信を語り始めています。
客に押し付ける傾向と語り、顧客は全然満足
中期計画の主な目標は営業利益率 7%です。
していないとも語っています。この辺りに次
前期の営業利益は 5,300 億円ですので、毎期
期中期計画での利益増の肝が有るようです。
1,000 億円程度の増益を測るという事です。中
同社の中期計画による業績の伸びは下図
西会長も中期計画の達成は見えて来たと語り、
のPER15 倍線に示しています。株価もその
コスト削減が順調に進んでいることを物語っ
PER15 倍線に沿って上昇しています。長期
ているようです。
的に注目したい株式です。
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Investment 第 1112 号 2015 年 1 月 9 日
米国の連続増配企業
配当貴族指数
投資に良い企業とは
米国株式指数に配当貴族指数と言う指数が
表で目立つのは飲料、家庭用品が多いこと
あります。S&P500 指数に採用されている銘
です。共通するのは海外に進出し、ブランド
柄の中で 25 年連続増配している銘柄を選び算
力を築いていることです。国内企業では味の
出する指数です。
素、キッコーマンがありますが、収益力はい
米国では 20 年以上増配を継続している企業
ま一つです。その点では東洋水産やアリアケ
は 150 社以上あるそうですし、そのうち 50 社
ジャパンの海外展開には注目したいと思いま
以上が 40 年以上増配を続けています。ちなみ
す。
に日本では花王が最も長く増配を続けていま
また、利益率が高くない企業でもROEが
すが、今期に 25 年に達します。20 年以上増配
高いことも注目点です。国内企業の場合、R
継続企業はこの花王 1 社です。
OEは利益率に左右されることが多いのです
米国の企業で著名な企業はソフトウェア、
が、例えばウォルマートでは総資産回転率を
ネット関連が多いのですが、長期に株主に配
2.3 回と高い水準に保ち、高いROEを継続し
分を増やす企業も多いのです。もちろんその
ています。投資、在庫の管理が上手と言う経
基盤は収益力です。
営力を示すものです。
この配当貴族指数採用銘柄での時価総額上
増配を続けると言うことは長期に保有する
位 25 社を右表に掲載しています。
と、配当利回りが年々上昇するということに
収益力はROEと利益率で見ます。この利
なります。
益率は税引き前利益率で日本での経常利益率
国内で個人株主比率が少ないのは、この長
に近いものです。
期連続増配企業が少ない辺りにも理由がある
ROEについては日本では経済産業省のプ
ようです。
ロジェクトチームが最低目標 8%を唱えてい
米国の長期増配継続企業を見ていると、国
ますが、表中には 10%以下の企業は有りませ
内企業との違いや今後の国内企業が目指すべ
ん。ROEと利益率は過去 5 年平均ですので、
き方向、或いは米国企業の長期的な経営姿勢
おおよその実力が現れていると思います。
が見て取れます。
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Investment 第 1112 号 2015 年 1 月 9 日
米国の連続増配企業
社名
時価総額
配当利回り
ROE
利益率
業種
エクソン・モービル
3,931
2.9%
23.1%
15.5%
エネルギー
J&J
2,926
2.6%
21.2%
22.8%
医薬品
ウォルマート
2,769
2.2%
21.9%
5.4%
小売
P&G
2,444
2.9%
16.8%
17.7%
家庭用品
シェブロン
2,128
3.7%
18.0%
17.3%
エネルギー
コカコーラ
1,846
2.9%
30.8%
28.6%
飲料
AT&T
1,757
5.5%
12.2%
13.0%
通信サービス
ペプシコ
1,414
2.7%
32.4%
14.5%
飲料
3M
1,051
2.1%
27.6%
20.9%
化学、素材
マクドナルド
908
3.5%
35.6%
29.2%
ファーストフード
ウォルグリーン
719
1.8%
13.7%
5.1%
ドラッグストア
メドトロニック
708
1.6%
19.8%
24.3%
ヘルスケア機器
アボット
676
2.0%
20.3%
16.0%
医薬品
ローズ
659
1.2%
12.2%
6.3%
小売
コルゲート
629
2.1%
94.3%
22.2%
家庭用品
ターゲット
480
2.5%
17.0%
5.9%
小売
キンバリー・クラーク
430
2.8%
35.9%
12.5%
家庭用品
エマーソン・エレクトリック
428
3.0%
21.0%
13.6%
電機、制御
オートマチック・データ
402
2.4%
22.7%
19.4%
ソフトウェア
ITW
370
1.9%
17.9%
14.8% 輸送、電力システム
フランクリン・リソース
345
1.0%
21.6%
37.2%
金融
VF
319
1.5%
18.5%
11.6%
アパレル
PPGインダストリー
315
1.1%
22.2%
8.9%
化学
エコラボ
313
1.1%
17.5%
10.2%
業務用洗剤
注
配当利回りは 1 月 6 日現在。
利益率は税引き前利益/売上で経常利益率に相当。
時価総額の単位は億ドル。エクソン・モービルは 3931 億ドルで約 47 兆円。
ROE、税引き前利益率は過去 5 期間の平均値。
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