河川敷の表土除去等による空間線量率の低減効果

河川敷の表土除去等による空間線量率の低減効果
鈴木 聡,○錦織達啓
福島県環境創造センター
【要約】
目的 : 河川の表土除去による空間線量率と
外部被ばく量の低減効果を検討
除去前
空間線量率は約半減
被ばく線量
◆堤防天端の通学利用
⇒ 30% 低減
◆低水敷の親水利用
No.18
No.17
No.16
除去後
その結果
No.15
No.14
No.13
No.12
No.11
No.10
No.9
⇒
No.8
No.7
No.6
No.5
70% 低減
☆除染時の注意点
河岸の放射性 Cs の深度
分布は農地や森林に比べ
深い傾向. 剥ぎ取り深度
を要考慮.
No.4
No.3
No.2
No.1
堤防敷&低水敷の表土を除去
(阿武隈川水系)
【背景と目的】
【結果と考察】
◇福島第一原発事故に伴う放射能汚染から 4 年が経過
◇福島県内の宅地や農地の除染は予定数の半分以上が完了 1
◇空間線量率の経時変化
試験前 (9 月 )
下流2
堤防敷除染後 (10 月 )
低水敷除染後 (11 月 )
事後測定 (2 月 )
> 1.0 µSv/h (黄) 減少
< 0.50 µSv/h (青~水色)
変化なし (< 0.50 µSv/h)
下流1
No.18
No.17
No.16
一方, 河川は…
No.15
No.14
No.13
No.12
No.11
◆除染ガイドラインが 2014 年 12 月に公表
◆公衆の活動が多い区域を対象に除染が進む予定
No.10
No.9
No.8
No.7
No.6
No.5
No.4
No.3
No.2
No.1
陸水域における被ばくリスク
低?
高
河川
低?
低
湖沼
ため池 低~中 低?
河川の外部被ばくリスクは高い
> 1.0 µSv/h (黄) 多い
表土露出部の多さ + 滞在時間の多さ
(公園 ・ 通行 ・ 釣り ・ 隣接地居住など )
河岸堆積物表層 5 cm の
137
Cs 濃 度 の 経 時 変 化
では除染の効果はどれくらい?
2014 年
試験前
堤防敷表土除去
12 月
(平 水 時)
事 後 測 定
定
11 月
(平 水 時)
事 後 測 定
測
定
表 層 除 去
河岸堆積物
測
表 土 除 去
堤 防 敷
試験前測定
10–11 月
134
Cs と 137Cs の合計
沈着量 (Bq/m2)
学校
堤防
天端
堤防敷
低水敷
堤防
天端
堤防敷
・ 各利用地の除染がそれぞれの
利用地の低減に最も寄与
⇒低減対象地の除染で大部分
の効果は得られる
樹園地
0.8
50% 低減
0.6
0.4
0.2
持続
試験前
除染区間
試験地位置図
1.0
0.0
堤防敷除染後 36% 減 17% 減
低水敷除染後 49% 減 55% 減
小学校
堤防敷
除染後
低水敷
除染後
事後
事後
・ 表土削り取りは効果あり
・ 冬季中、 効果は持続
☆低水敷除染時の留意点
分布深度に応じた削り取り
137
0
00-05cm
05-10cm
10-15cm
15-20cm
20-25cm
25-30cm
30-35cm
35-40cm
Cs 濃度 (Bq/kg)
10,000
20,000
分布深度
深い
(本研究では深さ 15–35 cm まで削り取った)
枯れたヨシ
土砂や泥
2m
2m
6m
◇年間追加被ばく線量の低減量
通学利用 : 除染前 15 µSv/yr → 除染後 11 µSv/yr (30% 低減)
2m
河川横断面模式図
( 通学時間 10 分、 日数 210 日、 バックグラウンド 0.04 µSv/h)
親水利用 : 除染前 74 µSv/yr → 除染後 23 µSv/yr (70% 低減)
( 地理院地図 )
( 利用時間 2 時間、 日数 50 日、 バックグラウンド 0.04 µSv/h)
【今後の検討項目】
河岸堆積物
表層除去
○測定項目
・ 横断線上の空間線量率
横断線 18 本, 測定間隔 1 m, 測定点 300
・ 河岸堆積物の放射性 Cs 濃度
試験前 : 20–40 cm 深
除染後 : 5 cm 深
事後
堤防敷 低水敷
10 km
2月
2015 年
事後
( 地理院地図 )
◇試験工程
10 月
0
利用地別の空間線量率の変化
(河道) (露出部)
9–10 月
変化なし
5,000
除染後、 河岸の再汚染は見られない
(他の測定点も同様)
【方法】
9月
10,000
試験前 低水敷
除染後
①空 間 線 量 率 の 低 減 量 を 検 証
表土除去による実証試験から
②追加被ばく線量の低減量を推計
◇試験地
福島県伊達市
阿武隈川水系広瀬川支流 (上小国川)
全長約 170 m, 川幅約 15 m
汚染度 2 : 300–600 kBq/m2 (134Cs + 137Cs)
1.0–1.9 µSv/h
被ばく経路 : 通学路 (堤防天端)
親水利用 ( 低水敷 )
15,000
空間線量率 (平均値) の経時変化
空間線量率(µSv/h)
内部
137Cs濃度(Bq/kg)
外部
上流
◇除染効果の持続性 (土砂流入による再汚染の影響)
⇒現在調査中
空間線量率の測定横断線
河岸堆積物の採取位置
測定位置図
【参考文献】
1
環境省 (2015) 除染情報サイト. http://josen.env.go.jp/area/index.html
2
原子力規制委員会 (2015) 放射線量等分布マップ拡大サイト. http://ramap.jaea.go.jp/map/