HDDA_SVHC_20151217(208K)

HDDAのSVHC候補リスト収載の決定にREACH第59条(9)項が適用される
2015年12月17日
第 14 回 SVHC の候補の 7 物質が 9 月 1 日に提案されたが、その中のスウェーデンから皮膚
感作性を理由に SVHC の指定を提案された hexamethylene diacrylate (HDDA)について、2015 年
12 月 14 日の ECHA の News alert は、以下の加盟国専門委員会の審議結果とそれに対する ECHA
の今後の対応を伝えた。1)
SVHC の候補物質リストへの収載を検討した加盟国専門委員会は、過半数がスウェーデンの提
案を承認したがそれに反対する少数の意見があり満場一致の採択に至ることができなかった。
ECHA 長官は REACH 第 59 条(9)*) に従って、加盟国専門委員会の賛成意見及び反対意見を欧州
委員会に提出し最終決定を欧州委員会に委ねる判断を下した。
加盟国専門委員会は HDDA が強い感作性物質であることを示唆する科学的証拠が存在し、皮
膚感作性の誘導期が不可逆であり、HDDA と他のアクリレートとの間の交差反応を排除できない
ことを満場一致で認めた。
委員の過半数はスウェーデンの提案において提供された情報が、HDDA によって引き起こされる
皮膚感作性の重症度及び不可逆性を含めて、すべての要因の全体的な評価に基づき、発がん性、
変異原性及び生殖毒性(CMR カテゴリー 1A 又は 1B)に相当するレベルの懸念を構成するのに
十分であるとの結論を支持した。
しかしながら、委員の少数は、皮膚感作性は高懸念物質として特定されるかもしれないが、皮膚
感作性に伴う症状が本来は可逆であり(誘出期において)、CMR の影響ほど重大ではないように思
えるため、HDDA の場合は同等の懸念レベルである資格がないとの意見であった。その会議の間
に、過半数の意見で加盟国専門委員会の意見が採択され、少数の意見も提示された。
REACH 第 59 条(9)に従い、ECHA 長官はスウェーデンの提案に関する加盟国専門委員会の過半
数の意見と反対する少数意見を遅滞なく欧州委員会に提出する予定。欧州委員会は本物質の
SVHC としての特定に関する提案を 3 ヶ月以内に作成する。欧州委員会は委員会手手続きにおい
て最終決定を行う予定。
HDDA は CLP 規則において有害性分類が皮膚感作性カテゴリー1 とされており、今回の提案
が初めて皮膚感作性を理由として SVHC に提案された事例である。この提案が正式に採択される
と最初の判例となり、今後、その他の数多く存在する皮膚感作性物質も SVHC に指定される道が
開かれることになる。関係業会への影響が大きいため、DUCC(Downstream Users of Chemicals Coordination group)等はこの提案に反対する意見書を公表していた。2)
同様に REACH 第 59 条(9)が適用された最近の例は、人の健康に対して内分泌かく乱作用があ
ることを追加理由として4つのフタル酸エステルが SVHC に提案された時の対応である。最終判
定は欧州委員会に委託され、その後、欧州委員会はこれを認めて内分泌かく乱作用を4つのフタ
ル酸エステルを SVHC に指定する根拠に追加する委員会決定草案を作成した。本草案 3) は
1
10 月 22 日の REACH 委員会に提出されて採択された後、WTO/TBT に通用されている。
*)第 59 条(9)及び関連する第 133 条(3)の条文:
第 59 条(9)
加盟国専門委員会が満場一致の合意に達することができなかった場合、欧州委員会は、加盟国専
門委員会の意見を受領後 3 ヶ月以内に、その物質の特定に関する提案を作成するものとする。
その物質の特定に関する最終決定は、第 133 条(3)に言及される手続きに従って下されるものと
する。
第 133 条(3)
このパラグラフが参考にされる場合、決定 1999/468/EC 4)の第 5 及び 7 条が、その第 8 条の規定
を考慮して適用されるものとする。
決定 1999/468/EC の第 5 条(6)に規定された期間は、3 ヶ月であるものとする。
参考文献
1) MSC supports by majority inclusion of HDDA to the Candidate List
<http://echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/title/msc-supports-by-majority-inclusion-of-hddato-the-candidate-list>
2) DUCC POSITION ON Skin sensitisers and their potential identification as SVHC due to equivalent
level of concern to CMRs (Article 57(f) of REACH) 29 September 2015
<http://www.ducc.eu/documents/DUCC%20position%20on%20sensitisers%20as%20SVHC_%20FIN
AL_29%2009%202015.pdf>
3) Draft Commission Implementing on the identification of bis(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP), dibutyl
phthalate (DBP), benzyl butyl phthalate (BBP) and diisobutyl phthalate (DIBP) as substances of very
high concern according to Article 57(f) of Regulation (EC) No 1907/2006 of the European Parliament
and of the Council
<http://ec.europa.eu/transparency/regcomitology/index.cfm?do=search.documentdetail&rCTLxyS0bw22
g714ku8JU1Xr2G9VfZ2fv5wmgcYqQkoXV3U4/r7rgJvJWdYwELHg>
4) 理事会決定 1999/468/EC
COUNCIL DECISION of 28 June 1999 laying down the procedures for the exercise of implementing
powers conferred on the Commission (1999/468/EC)
<http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=CONSLEG:1999D0468:20060723:EN:PDF>
以上
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