欧州化学物質法規制最新動向 http://www.johokiko.co.jp/seminar_chemical/New_REACH/ 第 15 回 SVHC 候補物質の ECHA 最終草案の状況 2016 年 6 月 13 日 2016 年 6 月 10 日に ECHA の加盟国専門委員会(MSC)による第 15 回 SVHC 追加候補物質 に関する判定が公表された。1) 第 15 回 SVHC 追加候補物質として 2016 年 2 月 29 日に 提案された 4 物質 2) のうち、4-methylbenzylidene camphor 及び Benzo[a]pyrene は支持され ず、ECHA は 3-benzylidene camphor 及び DCHP の 2 物質に関する最終草案を欧州委員会に 提案する予定である。尚、DCHP は前回(第 14 回 SVHC)提案時には取り下げられ、今回、 再提案されたものである。 今回の加盟国専門委員会における提案への承認は、以下の様に必ずしも全会一致の承認が 得られていない状況である: 1. Dicyclohexyl phthalate (DCHP)について ・第 57 条 c (生殖毒性)については全会一致の承認が得られた。 ・第 57 条 f (環境への同等レベルでの懸念)は、少数の加盟国の反対意見があり、スウェー デンは SVHC の理由としての第 57 条 f を提案書から取り下げた。 2. 3-benzylidene camphor について ・第 57 条 f (環境への同等レベルでの懸念)は、少数の加盟国の反対意見があり、全会一致 の承認に至らなかった。 こうした加盟国専門委員会において全会一致の承認が得られなかった場合は、多数意見 と少数意見の両方が欧州委員会に送られ、欧州委員会が最終的な判断を下すことになる。 前回の hexamethylene diacrylate (HDDA)の場合は、REACH 第 59 条(9)に従って、加盟国専 門委員会の賛成意見及び反対意見が欧州委員会に提出され、最終決定を欧州委員会に委ね る判断がされて、現在、欧州委員会が HDDA を SVHC と規定する草案を検討中である。 今回の場合、3-benzylidene camphor については、HDDA と同様に、本物質を SVHC と規制 する草案が、今後 3 ヶ月以内に欧州委員会によって作成される可能性がある。 Dicyclohexyl phthalate (DCHP)の場合については、2 の SVHC の理由のうち、第 57 条 c(生殖 毒性)については、全会一致の承認が得られている。そして、第 57 条 f については、既に 提案国のスウェーデンによって提案書から取り下げられている状況である。 HDDA と同様に REACH 第 59 条(9)が適用されるのかそれとも、第 57 条 c (生殖毒性)の単 独の理由だけで SVHC と判定されるのかは、同様の事例がないために推測困難であり、 1 今後の欧州委員会の判断を待たなくてはならない。 参考文献 1) MSC sends two SVHC proposals to the Commission for decision making <http://echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/title/msc-sends-two-svhc-proposals-to-thecommission-for-decision-making> 2) 第15回SVHC追加物質(4物質)提案のコンサルテーション開始 <http://www.johokiko.co.jp/seminar_chemical/New_REACH/15_SVHC_20160302.pdf> 以上 2
© Copyright 2024 ExpyDoc