柱状片刃 石 斧

九州歴史資料館 飛び出すむかしの宝物 解説シート
ち ゅ う じ ょ う か た ば せ き
ふ
柱状片刃石斧
のみ
石製の鑿
約 2200 年前
うえ
出土遺跡
はる
朝倉市上の原遺跡
長方形の柱のような形の先端に片刃がついた磨製石斧です。側面の溝は紐を
のみ
かける部分と見られ、現在の鑿のように後ろの部分を叩くのではなく、木の柄
に結びつけて斧の刃先として使います。
ちょうな
刃の平たい部分を手前にして手斧のように縦にふり降ろすと、等間隔に平た
く木を削れるので、稲作に必要な農具や板材などを作ることができます。稲作
技術とともに大陸から伝わった「大陸系磨製石器」の1つで、鉄製の斧先が普
及するにしたがって姿を消しました。
下線の付く言葉の解説は裏面にあります
柱状片刃石斧の柄への装着方法
大陸系磨製石器
弥生時代になって水稲農耕技術とともに日本列島に流入した、朝鮮半島に直接的な起源
を持つ磨製石器です。
ばっさい
ふとがたはまぐりば
収穫具としては石庖丁・石鎌、伐採具としては太形 蛤 刃 石斧があります。太形蛤刃石斧
はまぐり
は刃を正面から見た形が 蛤 と似ているためこの名がついたもので、重いので木の伐採に特
ちゅうじょう か た ば せき ふ
へんぺい か た ば せき ふ
のみ
に適するとされています。加工具には 柱 状 片刃石斧・扁平片刃石斧があり、鑿として使わ
れたと考えられます。
武器としては、磨製石剣・磨製石鏃があります。水稲農耕は土地や水をめぐる争いを引
き起こすことがあるため、工具とともに武器も伝来しました。磨製石鏃は扁平な石材を磨
いて平滑にしたもので大型のものもあります。
参考文献 福岡県教育委員会 1993『九州横断自動車道関係埋蔵文化財調査報告-27-』
平井勝 1991『考古学ライブラリー64 弥生時代の石器』
写真:本館撮影
(文化財調査室 秦)