平成27年5月現在 - 日本教育大学院大学

(用紙 日本工業規格A4縦型)
教
育
研
究
業
績
書
平成27年5月
黒 石 憲 洋
研
究
分
野
研
究
内
心理学
教
育
上
事
1 教育方法の実践例
2 作成した教科書,教材
容
の
キ
ー
ワ
ー
ド
教育心理学、社会心理学
の
項
能
力
に
年
月
関
日
す
る
概
事
項
要
平成20年度
日本教育大学院大学の「学習心理学特論」お
よび「教育統計概論・演習」の授業におい
て、講義資料および教材等をWeb上に公開し、
受講生が自由に閲覧・ダウンロードできる環
境を構築した。
平成20年度
~
平成24年度
日本教育大学院大学の「対人コミュニケー
ション演習」および「教職総合ゼミ」の授業
において、個人の発表・プレゼンテーション
の動画を撮影した。Web上の受講生の個人専用
ページで管理し、自由に閲覧・ダウンロード
できる環境を構築した。
平成21年度
~
平成23年度
日本教育大学院大学の「対人コミュニケー
ション演習」の授業において外部講師(ス
クール・カウンセラーおよび教育相談員)を
招聘し、授業内でゲスト・スピーカーとして
講演を依頼した。
平成21年度
日本教育大学院大学の「対人コミュニケー
ション演習」の授業において、他大学のキャ
リア関連授業と連携し、学生および教員を招
聘し、相談面接に関する演習を実施した。
平成15年度
「心理学研究法」と題する授業の教材とし
て、統計ソフトSPSSの操作および結果読み取
りに関する教材を作成し、数度にわたり改訂
をおこなった。最終的に、実験法用データ分
析および質問紙法用データ分析マニュアルを
作成した。
平成16年4月
一般心理学の教科書として、「ヒューマン・
サイエンス:心理学アプローチ」(ナカニシ
ヤ出版)の一部(86~91頁)を担当執筆し
た。
平成19年8月
発達心理学の教科書として、「ヒューマン・
ディベロップメント」(ナカニシヤ出版)の
一部(247~251頁)を担当執筆した。
平成21年8月
教員免許更新講習テキストとして、「教員免
許更新講習テキスト」(昭和堂)の一部(13
~18、118~123頁)を担当執筆した。
平成23年9月
教員採用試験対策講座テキスト(Z会)の編集
に関わり、一部執筆をおこなった(127~158
頁)。
3 教育上の能力に関する大学等の評価
4 実務の経験を有する者についての特記事項
平成17年12月
日本教育大学院大学の設置認可申請に伴う教
員資格審査において、「教育リサーチ概論・
演習」、「教育統計概論・演習」、「対人心
理学概論・演習」、「学習心理学特論」、
「教職総合ゼミ」、「パソコン演習B」担当の
専任講師として適格判定を受けた。
平成18年2月
日本教育大学院大学の教職課程認定申請(中
学校教諭、高等学校教諭専修免許状)に伴う
教員資格審査において、「教育リサーチ概
論・演習」、「教育統計概論・演習」、「対
人心理学概論・演習」、「学習心理学特
論」、「教職総合ゼミ」担当の専任講師とし
て適格判定を受けた。
平成21年度
~
現在に至る
日本教育大学院大学実施の教員免許更新講習
において、「教育の最新事情に関する事項」
の講師を担当した。
平成22年度
~
現在に至る
日本福祉教育専門学校実施の介護教員講習会
において、「教育心理学」の講師を担当し
た。
平成24年度
~
現在に至る
神奈川県立藤沢清流高等学校において、非常
勤講師として学校設定科目「心理学入門」を
担当した。
平成26年2月
教職課程認定申請(小学校教諭専修免許状
他)に伴う教員資格審査において、「学習心
理学特論」、「教育評価特論」担当の専任准
教授として適格判定を受けた。
平成11年度
~
平成18年度
ウィルソン・ラーニング ワールドワイド株式
会社において、企業における人事教育・昇進
試験用の自己報告式テストの開発およびその
データ解析に従事した。また、記述式試験の
採点業務に従事した。
平成17年度
国際基督教大学において、非常勤副手として
大学入学試験データの分析、および報告書の
作成業務に従事した。
5 その他
特記事項なし
職
務
上
の
事項
実
績
年月日
に
関
す
概
1 資格,免許
特記事項なし
2 特許等
特記事項なし
3 実務の経験を有する者についての特記事項
特記事項なし
4 その他
特記事項なし
る
事
項
要
研
究
業
績
等
に
関
る
事
項
単著・
共著の別
発行又は
発表の年月
1 集団精神療法の基礎用語
共著
平成15年9月
ナカニシヤ出版
集団精神療法に関連する社会心理学概念に
ついて用語の解説をおこなった。
掲載頁:「レヴィン」(178頁)「集団力学
の対象」(182頁)「心理学における認知革
命」(186頁)「社会的認知」(187頁)
「集団形成」(194頁)「認知スタイル」
(197頁)「社会的影響」(198頁)「内集
団-外集団バイアス」(200頁)
編者:北西憲二・小谷英文・池淵恵美・磯
田雄二郎・武井麻子・西川昌弘・西村馨
分担執筆:秋山朋子・天笠崇・雨宮基博・
池田真人・石川与志也・磯崎三喜年・磯田
由美子・磯部修一・伊藤哲寛・稲村茂・井
上直子・宇田川一夫・大澤多美子・太田裕
一・大野孝浩・大野木嗣子・小笠原美江・
小山内實・鍛冶(荻原)美幸・角谷慶子・
川端壮康・川幡政道・衣笠隆幸・窪田彰・
熊谷直樹・倉知延章・倉戸ヨシヤ・黒石憲
洋・河野貴子・小林夏子・近藤喬一・皿田
洋子・鈴木浩二・高橋哲郎・高橋美紀・高
松里・高良聖・田代浩二・丹野ひろみ・土
屋明美・藤堂宗継・中川剛太・中込ひろ
み・能幸夫・野末浩之・橋本和典・長谷川
美紀子・針塚進・樋掛忠彦・髭香代子・舳
松克代・星野法昭・堀川公平・袰岩秀章・
前田ケイ・増野肇・松井紀和・箕口雅博・
宗像佳代・室城隆之・森田展彰・山内学・
山田恵美子・横山太範・連理貴司
2 ヒューマン・サイエンス:心
理学アプローチ
共著
平成16年4月
ナカニシヤ出版
動機づけについての基本的な理論として、
ディシィとライアンの内発的動機づけと外
発的動機づけに関する自己決定理論の概念
について解説した。また、行動の動機とし
てもっとも多くの研究がなされてきた達成
動機と親和動機について説明した上で、学
業・仕事・向社会的行動といった実際の行
動における動機づけの様相について論じ
た。
掲載頁:4.2.内発的動機づけと外発的動機
づけの諸問題(82~86頁)、4.3.動機づけ
と行動(86~91頁)
編者:杉山憲司・青柳肇
分担執筆:青柳肇・杉山憲司・野田満・松
井洋・黒石憲洋・梅崎高行・中村淳子・寺
澤美彦・岡本依子・亀井美弥子・野崎瑞
樹・尾見康博
3 ヒューマン・ディベロップメ
ント
共著
平成19年5月
ナカニシヤ出版
現代の発達心理学に対して大きな影響を与
えたフロイト、エリクソン、ピアジェと並
ぶ大心理学者であるエリ・エス・ヴィゴツ
キーを取り上げ、理論の骨子である高次心
理機能の記号による被媒介性と社会的起源
(内言理論)、重要概念である「発達の最
近接領域」について解説し、発達における
文化・社会的影響を強調した理論の特徴に
ついて論じた。
掲載頁:Appendix 4.ヴィゴツキー
(Vygotsky, L. S.)(247~251頁)
編者:青柳肇・野田満
分担執筆:青柳肇・野田満・青木弥生・芳
野郁朗・高崎文子・梅崎高行・松岡陽子・
酒井厚・永田俊明・澤田匡人・密城吉夫・
曽根美恵・井上典子・石川理恵・黒石憲洋
著書,学術論文等の名称
発行所,発表雑誌等
又は発表学会等の名称
す
概
要
(著書)
4 教師のための「教育メソッ
ド」入門
共著
平成20年8月
教育評論社
学校教員に対して広く新しい教育技法を紹
介する目的で、2つの教育技法を取り上げ
て解説をおこなった。ひとつは、さまざま
な評価資料を用いて共同的に評価をおこな
う教授メソッドであるポートフォリオ評価
を、もうひとつは、教育にシステム設計の
プロセスを適用するインストラクショナ
ル・デザインをICTメソッドとして取り上げ
て解説した。
掲載頁:2.1.8.ポートフォリオ評価法(74
~49頁)、2.2.2.授業デザイン法(88~93
頁)
監修:日本教育大学院大学、編者:高橋誠
分担執筆:高橋誠・北川達夫・内田友美・
井口哲夫・江川玟成・花田修一・湯浅俊
夫・宇田光・黒石憲洋・斎藤俊則・奥正
廣・東山紘久・中尾英司・杉江修二・清宮
普美代・小山英樹・登村勝也・大野精一・
今西一仁・都丸けい子・藤原忠雄・山野晴
雄・斉藤善久・林義樹・宗吉秀樹
5 相互交流能力を育てる「意
見・説得」学習への挑戦
共著
平成20年9月
明治図書
社会心理学の観点から、国語科教育におけ
る「意見・説得」学習に対する示唆を提示
した。対人コミュニケーションとしての説
得の要因やプロセス・モデルについて解説
した上で、発達に応じて社会には「善意」
の説得のみでなく「悪意」の説得も存在す
ること、あるいはそこから身を守る方法な
どについても扱う必要があることを論じ
た。
掲載頁:1.3.対人コミュニケーションとし
ての「意見・説得」とその学習(29~34
頁)
編者:花田修一・松村賢一・若林富男
分担執筆:花田修一・内田伸子・黒石憲
洋・星野祐子・若林富男・吉岡晶子・上坂
元絵里・小野澤由美子・岡田博元・若山志
津子・芥川元喜・阿部藤子・松木正子・初
谷敬子・井上雅登・宗我部義則・寺井英
子・植田敦子・荻原万紀子・村上博之・
佐々木泰子・楊虹・松崎祐子・松村賢一
6 教員免許更新講習テキスト―
教育現場のための理論と実践
共著
平成21年8月
昭和堂
所属大学で実施された教員免許更新講習の
テキストとする目的から、学校における統
計の利用と情報処理」として、データ・リ
テラシーとは何か、教育における統計デー
タの利用、成績データの統計的処理などの
問題を論じた。また、「対人心理学の理論
と実践」として、認知的バイアスや生徒の
動機づけの問題を取り上げて解説した。
掲載頁:1.3.学校における統計の利用と情
報処理(13~18頁)、6.1.対人心理学の理
論と実践(118~123頁)
監修:日本教育大学院大学
編者:河上亮一・高見茂・出口英樹
分担執筆:河上亮一・勝野正章・黒石憲
洋・藤永保・諏訪哲二・梶原宣俊・出口英
樹・岡田佐織・仲田康一・貝塚茂樹・竹迫
和代・東谷仁・斎藤俊則・酒井洋・久保田
武・熊平美香・高見茂・大野精一・戸所保
忠・川合正・多田宣子・吉村保・高橋誠・
松村賢一・内田友美・湯浅俊夫・花田修
一・林義樹・吉良直・北川達夫・石川裕
之・藤田敏明・清史弘・峯岸文男
7 企画と発想の心理学
共著
平成22年5月
朝倉書店
心理学の知見と実践現場を結ぶという観点
から、特に説得のプロセスや要請技法と
いった社会心理学の基礎的な知見について
の解説をおこなった。その上で、効果的な
企画提案をおこなう上で重要となるロジカ
ルシンキングやプレゼンテーションのテク
ニック、逆に企画を採択する側において必
要とされるデータ・リテラシーの重要性と
その具体例について論じた。
掲載頁:11章 企画を通す説得の心理学
(158-171頁)
監修:海保博之、編者:高橋誠
分担執筆:岩井洋・奥正廣・片桐一郎・黒
石憲洋・小橋康章・齊藤誠・高橋誠・宗吉
秀樹・山本睦・弓野憲一・渡邊正孝
8 自己心理学2:生涯発達心理学
へのアプローチ
共著
平成22年5月
金子書房
セルフ・エスティームと自己評価の関連に
ついて論じた。ジェームズの自己評価にお
ける個人的価値を重視するモデル
(Jamesian model)や、クーリーやミード
などの他者視点の役割の重要性を強調し社
会的価値を重視するモデルでは、セルフ・
エスティームに対する説明力が高くならな
いことを指摘した。その上で、今後のセル
フ・エスティーム研究において考慮すべき
観点として、社会的価値の内在化という社
会化のプロセスに注目し、「共有された価
値」という概念の有効性を指摘した。
掲載頁:トピックス3 共有された価値と自
己(60-61頁)
監修:榎本博明
分担執筆:榎本博明・佐藤淑子・柏木惠
子・臼井博・鎌倉利光・安藤寿康・飯野晴
美・白井利明・川﨑友嗣・伊田勝憲・木下
孝司・戸田まり・平石賢二・小野寺敦子・
佐藤眞一・松田信樹・丹羽智美・黒石憲
洋・天谷祐子・伊藤正哉・浦田悠・杉本英
晴・亀田研・家島明彦・中谷陽輔・安藤冬
華・大村壮
9 国語授業における「対話」学習の開発
共著
平成25年12月
三省堂
心理学の観点から、国語科教育における
「対話」学習に対する示唆を提示した。成
人においてさえ、対話が成立しにくい理由
を考察し、本質的な意味での対話に必要と
なる条件を明らかにした上で、社会人にお
ける対話という観点から、「対話」学習に
求められる内容の方向性について論じた。
掲載頁:4 社会人の対話力から見てどのよ
うな「対話」学習を期待するか(32~38
頁)
編者:花田修一
分担執筆:松村賢一・花田修一・内田伸
子・黒石憲洋・宗我部義則・初谷敬子・菊
池真理子・梅田悠紀子・本橋幸康・山岸直
希・横山加代子・福島教全・屋代健治・日
高辰人・星野祐子・楊虹
平成10年3月
国際基督教大学学報I-A
教育研究 第40号
単純課題において自尊感情とポシブル・セ
ルフ、要求水準、課題への関与度、課題成
績の関連の検討をおこなった。結果から、
ポシブル・セルフや関与度が要求水準に影
響を与え、GDスコアを規定するとともに、
自尊感情が直接的にGDスコアを規定すると
いう2つの側面があることが示唆された。
掲載頁:11~33頁
分担執筆:磯崎三喜年・黒石憲洋
共同研究につき本人分抽出不可能
(学術論文)
1 要求水準とポシブル・セル
フ、自尊感情、課題への関与度
の関連について
共著
2 他者共在場面における課題遂
行と要求水準、課題への関与
度、帰属の関連について
共著
平成11年3月
国際基督教大学学報I-A
教育研究 第41号
3者共在場面における単純課題において課題
遂行と要求水準、課題への関与度、帰属の
関連について検討をおこなった。結果か
ら、帰属と課題遂行が密接に関連し、関与
度は課題への態度や取り組み、要求水準に
影響することが示された。さらに、要求水
準が課題成績と関連を示し、課題成績が関
与度に影響を与え、次回の課題遂行にも影
響することが示唆された。
掲載頁:1~21頁
分担執筆:磯崎三喜年・黒石憲洋
共同研究につき本人分抽出不可能
3 現実自己と理想自己およびそ
のズレと適応に関する研究
共著
平成11年3月
国際基督教大学学報I-A
教育研究 第41号
現実自己と理想自己およびそのズレと自尊
感情の関連について検討をおこなった。そ
の結果、大学生においては対人的積極性が
自尊感情と最も関連していた。また、理想
自己や自己概念のズレでは自尊感情との間
に弱い相関しか得られなかったのに対し
て、現実自己と自尊感情は中程度の相関を
示したことから、現実自己評定が適応の指
標として有効であることが示された。
掲載頁:23~44頁
分担執筆:磯崎三喜年・黒石憲洋・丸山歌
織・土居香央理・鈴木結花
共同研究につき本人分抽出不可能
4 英語学習における学業成績お
よび帰属、目標志向性、関与
度、自尊感情の相互関連に関す
る時系列的研究
単独
平成11年3月
国際基督教大学大学院
教育学研究科提出
修士論文
英語学習における学習意欲や学習成績に影
響を与える要因について検討した。高校1年
生を対象として、縦断的に質問紙調査を実
施し、目標志向性・帰属・関与度・自尊感
情を求め、学業成績との関連を検討した。
結果として、学習目標および評価目標が後
の学業成績と関連しており、英語学習への
関与度が高い場合には悲観主義的傾向が高
い学業成績に関連することが示された。ま
た、関与度が後の学業成績を予測し、学業
成績を反映して自尊感情が変化するという
力動的変化が明らかとなった。
5 大学生における悪質商法被害
に関する研究のための基礎資料
収集
単独
平成13年3月
国際基督教大学学報I-A
教育研究 第43号
大学生おける悪質商法被害に関する基礎資
料を得るために調査をおこなった。国際基
督教大学の全学生を対象として質問紙を配
布し、悪質商法被害の経験などを求めた。
結果として、深刻な悪質商法被害は少な
かったものの、危険性は潜在することが示
された。また、1)事前方略としては、日常
からの警戒心や手口への気づきが有効に機
能し、2)被勧誘時には、明確に拒否する意
志表明が有効であり、3)事後方略として
は、親兄弟など近親者への相談が有効とな
りうる可能性が示唆された。
掲載頁:81-93頁
6 内発的動機づけと課題パ
フォーマンスの関連について
共著
平成14年3月
国際基督教大学学報I-A
教育研究 第44号
内発的動機づけと課題パフォーマンスの関
連を検討した。1セッションの実験1では、
先行する課題パフォーマンスが内発的動機
づけに影響するという関連が確認された。2
セッションの実験2では、自己決定理論
(Deci & Ryan, 1991)に一致して自律性、
コンピテンス、関係性などが動機づけを高
めることが示唆された。また事後面接の
データからは、動機づけにおいては状況要
因を考慮する必要性が示唆された。
掲載頁:93~102頁
分担執筆:黒石憲洋・村中泰子
共同研究につき本人分抽出不可能
7 動機づけ研究における文脈
単独
平成16年3月
心理学評論 第46巻
これまでの心理学研究における文脈要因の
捉えられ方を論じた上で、動機づけ研究に
絞った議論をおこなった。動機づけ研究は
その当初から文脈的要因を扱うものであっ
たが、近年では動機づけの維持・高揚とい
う介入的な観点から文脈的要因が取り上げ
られている。中でも社会的要因が注目され
て「社会的動機づけ」研究への関心が高
まっている。以上のようなレビューを踏ま
えて、今後の動機づけ研究には、多様化す
る文化に対応する動機づけ理論、および特
定の文化に依存しないメタ理論という2つの
方向性が必要であることを指摘した。
掲載頁:5~11頁
8 独自性欲求及び「ふつう」認
知が精神的健康に及ぼす影響
共著
平成17年3月
国際基督教大学学報I-A
教育研究 第47号
独自性欲求および自分が「ふつう」である
という認知が精神的健康に与える影響を検
討するため、大学生を対象として質問紙調
査をおこなった。理論(Snyder & Fromkin,
1980)に一致して、独自性欲求は精神的健
康の各指標と関連していたものの、孤独感
との間にも正の相関が示された。さらに、
独自性欲求の低い人々においては、「ふつ
う」認知の高低が孤独感を規定する要因と
して機能していることが示唆された。
掲載頁:61~66頁
分担執筆:佐野予理子・黒石憲洋
共同研究につき本人分抽出不可能
9 多面的自己概念における個人
的価値、社会的価値、共有され
た価値の観点からみた自己評価
とセルフ・エスティームの関連
単独
平成17年3月
国際基督教大学大学院
教育学研究科提出
博士論文
セルフ・エスティームと自己評価の関連に
ついて実証的な検討をおこなった。研究1~
3では、個人的価値および社会的価値の影響
について検討したが、先行研究と一致して
それらの有効性は支持されなかった。研究4
~6では、個人的価値と社会的価値の一致を
表す「共有された価値」(Chaplin &
Panter, 1993)という指標を導入して検討
した。これらの結果から、「共有された価
値」指標の有効性が示され、自己評価とセ
ルフ・エスティームの関連を媒介する効果
が示された。すなわち、そのような側面に
おける高い自己評価こそが高いセルフ・エ
スティームに繋がるという関連を示す実証
的証左が得られた。
10 現実場面における競争(1):
課題状況における遂行と感情の
関連
共著
平成18年3月
国際基督教大学学報I-A 教 同性の友人ペアを対象とした単純課題の成
育研究 第48号
績について競争する場面を設定し、課題成
績が感情状態に及ぼす影響を実験により検
討した。探索的な分析から、達成関連感情
は勝敗の影響を受けていることが示され
た。しかし、誇りや恥の感情、状態セル
フ・エスティームの下位尺度である評価不
安や自意識過剰などは課題遂行と関連して
おらず、予想に反して対人感情は勝敗の影
響を受けていなかった。
掲載頁:131-142頁
分担執筆:黒石憲洋・佐野予理子
共同研究につき本人担当部分抽出不可能
11 現実場面における競争(2):
面接データに基づく競争概念の
再検討
共著
平成18年3月
国際基督教大学学報I-A 教 実験室内における友人との競争事態後に面
育研究 第48号
接調査をおこなった。参加者は競争に従事
しているときは自分の成績を上げることに
関心を持っていたが、勝敗意識に伴い競争
相手の感情の推測や相手との関係性への懸
念が生じていた。また、競争概念は自分の
能力を高める点で楽しさや達成感などポジ
ティブな側面がある一方で、不安感をもた
らしたり人間関係を悪くしたりするネガ
ティブな側面からも評価されていた。
掲載頁:143-149頁
分担執筆:佐野予理子・黒石憲洋
共同研究につき本人担当部分抽出不可能
12 他者が「ふつう」であること
の意味:対人認知および対人感
情の観点から
共著
平成19年3月
国際基督教大学学報I-A 教 「ふつう」であることが対人認知に及ぼす
育研究 第49号
影響を検討するため、場面想定法を用いた
質問紙実験をおこなった。結果として、
「ふつう」認知は周囲と同じ行動をとるか
どうかにより影響を受けていた。他者との
違いが量的に示される場面においては、遂
行の高低に応じて対人認知が変化したが、
それらの効果に「ふつう」認知による媒介
はみられなかった。日本人における「ふつ
う」概念は、他者存在に向けられたもので
はなく、自己の状態として認知される場合
にのみ、重要となる可能性が示唆された。
掲載頁:67-78頁
分担執筆:黒石憲洋・佐野予理子
共同研究につき本人担当部分抽出不可能
13 「ふつう」であることの安心
感(1):集団内における関係性
の観点から
共著
平成21年3月
国際基督教大学学報I-A 教 周囲の他者との比較に基づく遂行水準が
育研究 第51号
「ふつう」認知と感情状態に与える影響を
場面想定法の質問紙調査によって検討し
た。概して、自らの遂行水準が「ふつう」
であるときに最も「ふつう」認知および安
静状態が高い一方、否定的感情が最も低い
傾向がみられた。こうした傾向は、関係性
の調和に敏感でいなくてはならない間柄に
おいて顕著だった。日本人は周囲の他者と
比較して自らの遂行水準が「ふつう」であ
ることで安心感を得ていることが示され
た。
掲載頁:35-42頁
分担執筆:佐野予理子・黒石憲洋
共同研究につき本人担当部分抽出不可能
14 「ふつう」であることの安心
感(2):集団規範からの逸脱
という観点から
共著
平成21年3月
国際基督教大学学報I-A 教 自己が周囲の他者と同じ行動をとる状況と
育研究 第51号
異なる行動をとる状況を設定し、感情状態
への影響を検討した。命令的規範と記述的
規範を独立に操作したところ、周囲の他者
と同じ行動をとることが否定的感情や安静
状態に影響を与えていることが示唆され、
文化的規範からの逸脱の程度を3水準設定し
た場合には、周囲の行動が極端に逸脱した
状況以外では、否定的感情と安静状態への
影響が認められた。
掲載頁:43-54頁
分担執筆:黒石憲洋・佐野予理子
共同研究につき本人担当部分抽出不可能
15 学校と塾産業の連携について
の一研究:現状の分析と今後の
展望
共著
平成21年3月
日本教育大学院大学紀要教 学校と塾産業の連携の現状について実態把
育総合研究 第2号
握をおこなうため、教育研究者、塾関係
者、学校関係者、保護者などを対象として
面接調査をおこなった。その結果、講師派
遣による授業提供や受験生募集支援といっ
た塾産業から学校への貢献の実態が明らか
となった。また今後の展望として、学校と
塾における人材交流の可能性、塾による学
校経営の可能性、さらには子どもを中心と
した生徒指導における連携の可能性などが
示唆された。
掲載頁:43-54頁
分担執筆:黒石憲洋・高橋誠
共同研究につき本人担当部分抽出不可能
16 日本における「ふつう」の意
味:自己改善動機の観点から
共著
平成21年3月
対人社会心理学研究
第9巻
17 小・中学生における生活習慣
と学習行動の関連について
共著
平成22年3月
日本教育大学院大学紀要教 小学生および中学生を対象として生活習慣
育総合研究 第3号
と学習行動についての調査研究をおこなっ
た。平均起床時刻は7時前、平均就寝時刻は
23時前、8割を超える子どもが朝食を必ず食
べており、一日の平均学習時間は平日・休
日を問わず1時間半から2時間程度であると
いった生活の実態が明らかとなった。生活
習慣の学習行動への影響としては、学年差
以外に、通塾やTVゲームの使用時間、起
床・就寝時刻などが関連していることが示
された。
掲載頁:17-28頁
分担執筆:黒石憲洋・佐柳信男・高橋誠
共同研究につき本人担当部分抽出不可能
18 日本,中国,韓国の看護大学
生と一般大学生の創造的態度の
比較研究
共著
平成22年3月
日本創造学会論文誌
Vol. 13
日本人に一般的に見られるとされる自己改
善動機について、他者との比較における相
対的遂行が「優れている」「ふつう」「劣ってい
る」状況が感情状態および動機づけに及ぼす
影響を検討した。「優れている」および「ふつ
う」であるとフィードバックされた人の方が
「劣っている」とフィードバックされた人よ
り感情状態がポジティブだった。他者と同
程度に達しているかどうかが重要な意味を
持ち、「ふつう」以上であることが望まし
い価値を持っていることが示唆された。
掲載頁:63-71頁
分担執筆:佐野予理子・黒石憲洋
共同研究につき本人担当部分抽出不可能
日本・中国・韓国の3ヶ国において、看護大
学生と一般大学生の創造的態度の比較検討
をおこなった。その結果、看護大学生と一
般大学生の間に差はみられず、むしろ文化
間の差が大きかった。特に、意欲や思考タ
イプのいずれにおいても、中国が創造的で
あり、日本が創造的でないという傾向がみ
られた。特異項目機能(DIF)の可能性およ
び測定用具の国際的な標準化の必要性が論
じられた。
掲載頁:220-241頁
分担執筆:佐藤道子・岸あゆみ・石塚淳
子・高橋誠・黒石憲洋
本人担当部分:224-283頁
19 専門職大学院の「理論・研究
と実践・実務との架橋・融合」
に関する一つの基礎的調査研究
共著
平成23年3月
日本教育大学院大学紀要教 専門職大学院の「理論・研究と実践・実務
育総合研究 第4号
との架橋・融合」について、「理論・研
究」と「実践・実務」に対するイメージの
検討をおこなった。これらの差異をもたら
す要因としては、性別や勤務年数などが挙
げられた。また、シンプルな「理論・研
究」に対する期待が示唆された。さらに、
学校現場で役に立つ大学での授業形態とし
て、ケーススタディや各種のインターン
シップ、授業観察・分析などが認識されて
いることが明らかとなった。
掲載頁:143-152頁
分担執筆:大野精一・黒石憲洋
本人担当部分:144-151頁
20 教育相談場面で語られる「ふ
つう」の意味
共著
平成25年3月
国際基督教大学学報I-A 教 「ふつう」概念の持つ意味を描き出すこと
育研究 第55号
を目的として、教育相談場面において語ら
れる「ふつう」をめぐる発話の質的分析を
おこなった。その結果、(1)人並みの「ふつ
う」に拘る、(2)高い基準を強いて「ふつ
う」を軽視する、(3)他者からの「ふつう」
評価に囚われる、ことで不安や緊張といっ
た不適応な心理状態に結びつくことが示さ
れ、(4)「ふつう」を捉え直し肯定的な価値
を置くことが、適応的な心性と関連する可
能性が示された。
掲載頁:99~104頁
分担執筆:生井裕子・佐野予理子・黒石憲
洋
共同研究につき本人分抽出不可能
21 面接からみえてきた「ふつ
う」の意味
共著
平成25年3月
清泉女学院大学人間学部研 「ふつう」概念の持つ意味を描き出すこと
究紀要 第10号
を目的として、大学生を対象として面接調
査をおこない、発話の質的分析をおこなっ
た。その結果、大学生は日常場面で「ふつ
う」を意識することが多く、他者から浮い
ていないという意味での「ふつう」を意識
すると安心感を感じるのに対して、他者よ
りも優れていないという意味での「ふつ
う」を意識すると否定的感情を感じするこ
とが示され、「ふつう」概念の多様性が示
唆された。
掲載頁:21~30頁
分担執筆:佐野予理子・黒石憲洋・生井裕
子
共同研究につき本人分抽出不可能
22 ぬり絵にみる幼児の自他類似
性および差異性の認識
共著
平成26年3月
清泉女学院大学人間学部研 幼児が自己と他者の類似性および差異性を
究紀要 第11号
どのように捉え意味づけるのかについての
発達段階における違いを、ぬり絵課題を使
用して実験的に検討した。その結果、年中
児では描かれた子どもの服の色を意識して
色を塗った子どもは少数しかいなかった
が、年長児では半数以上が同一色で塗って
いた。類似性および差異性に基づく自己認
識は4~5歳頃から発達しはじめる可能性が
示唆された。
掲載頁:3~11頁
分担執筆:佐野予理子・黒石憲洋・生井裕
子
共同研究につき本人分抽出不可能
(その他)
1 要求水準とポシブル・セル
フ、自尊感情の関連について
共同
平成20年10月
日本心理学会第62回大会
(東京学芸大学)口頭発表
ポシブル・セルフ概念の有効性を検討する
べく、具体的な課題を設定した実験研究に
より要求水準とポシブル・セルフの関連を
検討した。自尊感情はGDスコアと関連して
おり、ある種の固執性と関連していると考
えられた。一方、ポシブル・セルフは課題
後半における要求水準およびGDスコアと関
連しており、状況即応的自己概念としての
ポシブル・セルフの有効性が明らかになる
とともに、課題成績との関連がみられな
かったことから、実用的な概念としての限
界も明らかとなった。
共同発表:黒石憲洋・磯崎三喜年
共同研究につき本人分抽出不可能
2 小・中学生における学習塾通
いと動機づけの関係(2):家庭・
学校・学習塾の目標構造の影響
共同
平成22年8月
日本教育心理学会第52回総
会(早稲田大学)口頭発表
学習塾への通塾が動機づけに及ぼす影響を
検討するべく小学生および中学生を対象と
する調査研究をおこなった。目標構造に着
目し、家庭・学校・学習塾の相対的影響を
検討した結果、通塾の有無による大きな差
異は認められず、一貫して家庭の目標構造
の影響が大きかった。また、非通塾群にお
ける家庭の遂行目標構造の影響が大きかっ
たことから、通塾に対する家庭の影響の大
きさが伺われた。
共同発表:黒石憲洋・佐柳信男
共同研究につき本人分抽出不可能
3 How do you feel when you
are normal at a funeral?:
Cross-cultural study between
China and Japan
(葬儀場面における「ふつう」
に対する感情反応:日中韓比較
文化研究)
共同
平成23年7月
Poster presentation at
the 9th biennial
conference of Asian
Association of Social
Psychology (Yogyakarta,
Indonesia)
葬儀場面における規範が感情に与える影響
について検討をおこなった。文化比較をお
こなう目的から、日本人・中国人・韓国人
の大学生を対象とし、仮想場面を用いた場
面想定法による質問紙実験を実施した。微
細な点については3国間で差異がみられたも
のの、周囲の他者と比較して同等(すなわ
ち記述的規範)に従うことが、否定的感情
の低さや安静状態の高さをもたらすという
パターンは3国間で共通しており、日中韓に
おける一定の通文化性が示された。
共同発表:Norihiro Kuroishi & Yoriko
Sano
共同研究につき本人分抽出不可能
4 How do you feel when you
are normal?: Cross-cultural
study between Korea and Japan
(葬儀場面における「ふつう」
に対する感情反応:日韓比較文
化研究)
共同
平成23年8月
Poster presentation at
the annual conference of
Korean Psychological
Association (Jeonju,
Korea)
社会的比較場面における規範が感情に与え
る影響について検討をおこなった。文化比
較をおこなう目的から、日本人および韓国
人の大学生を対象とし、仮想場面を用いた
場面想定法による質問紙実験を実施した。
微細な点については2国間で差異がみられた
ものの、周囲の他者と比較して同等(すな
わち記述的規範)に従うことが、否定的感
情の低さや安静状態の高さをもたらすとい
うパターンは2国間で共通しており、日韓に
おける一定の通文化性が示された。
共同発表:Norihiro Kuroishi & Yoriko
Sano
共同研究につき本人分抽出不可能
5 How do you feel when you
are normal at a funeral? :
Cross-cultural study between
Korea and Japan
(葬儀場面における「ふつう」
に対する感情反応:日韓比較文
化研究)
共同
平成24年8月
Poster Presentation at
the annual conference of
Korean Psychological
Association (Chuncheon,
Korea)
葬儀場面における規範が感情に与える影響
について検討をおこなった。文化比較をお
こなう目的から、日本人および韓国人の大
学生を対象とし、仮想場面を用いた場面想
定法による質問紙実験を実施した。微細な
点については2国間で差異がみられたもの
の、周囲の他者と比較して同等(すなわち
記述的規範)に従うことが、否定的感情の
低さや安静状態の高さをもたらすというパ
ターンは2国間で共通しており、日韓におけ
る一定の通文化性が示された。
共同発表:Norihiro Kuroishi & Yoriko
Sano
共同研究につき本人分抽出不可能
6 How do you feel when you
performed normal at a social
comparison? : Cross-cultural
study among China, Japan, and
South Korea
(「ふつう」に対する感情反
応:日中韓比較文化研究)
共同
平成25年8月
Poster presentation at
the 10th biennial
conference of Asian
Association of Social
Psychology (Kunming,
China)
社会的比較場面における規範が感情に与え
る影響について検討をおこなった。文化比
較をおこなう目的から、日本人・中国人・
韓国人の大学生を対象とし、仮想場面を用
いた場面想定法による質問紙実験を実施し
た。微細な点については3 国間で差異がみ
られたものの、周囲の他者と比較して同等
(すなわち記述的規範)に従うことが、否
定的感情の低さや安静状態の高さをもたら
すというパターンは3国間で共通しており、
日韓における一定の通文化性が示された。
共同発表:Norihiro Kuroishi & Yoriko
Sano
共同研究につき本人分抽出不可能