2015年6月 初夏号(PDF:597KB)

2015年6月
初夏号
新緑の美しさに誘われて散策に出る機会も多くなる季節ですが、意外と知らない花や鳥などに出会うこ
とがありませんか。そんな時には図書室で調べてみてはいかがでしょうか。新しい発見があるかも知れま
せん。
また、図書室では常に今話題の図書を揃えて皆様をお待ちしております。
見てみて!読んでみて!
2015 年 2 月 28 日 89 歳で亡くなった児童文学者の松谷みよ子(本名美代子)さんを悼み本号で特集をしました。去る4
月4日東京の青山葬儀所でのお別れ会に参列され、永きに亘りお付き合いのありました内池和子さん(宮町南)に特別寄稿
(※裏面参照)をお願いし、松谷さんがどの様にして国見町に関わったか、そして「国見の民話」の完成秘話など興味ある
寄稿をいただきました。
[当館所蔵作品]
・龍の子太郎
・松谷みよ子のむかしむかし①~⑩ ・ねこによろしく ・ちいさいモモちゃん
・ちいさいアカネちゃん ・おときときつねと栗の花
・百曲りのカッパ
・むかしむかしばなし①~⑩
・あかちゃんのむかしむかし
・おばけちゃんシリーズ ・あの世からの火 ・ちひろこ太郎
・松谷みよ子の本①~⑩ ・レストランシリーズ ・日本の神話 ・民話の世界
・松谷みよ子のむかしむかし①~⑩
<絵本>
・むかしむかしばなしシリーズ ・いないいないばあ ・ちいさいモモちゃんシリーズ
・俊寛 ・道成寺 ・茂吉のネコ ・アカネちゃん ・ちいさなオキクルミ ・あかちゃんのうた 他
新着図書情報
【一般書】
・小説 創業社長死す 高杉 良/著
・端正な生き方 曾野 綾子/著
・宿坊さんぽ 上大岡 トメ/著
・千春の婚礼 平岩 弓枝/著
・今日も一日きみを見てた 角田 光代/著
・緑の指 曾野 綾子/著
・インドクリスタル 篠田 節子/著
・睦月童 西条 奈加/著
・乙女の家 朝倉 かすみ/著
・郷里松島への長き旅路 西村 京太郎/著
・電気ホテル 吉田 篤弘/著
・鼠、滝に打たれる 赤川 次郎/著
・オネスティ 石田 衣良/著
・群青のとき 今井 絵美子/著
・パノララ 柴崎 友香/著
・エレガンスの極意 五木 寛之/著
・死んでたまるか 伊東 潤/著
・朦朧戦記 清水 義範/著
・蔦谷 谷津 矢車/著
・宰相A 田中 慎弥/著
・ナナフシ 幸田 真音/著
・月日の残像 山田太一/著
・限界集落株式会社 黒野 伸一/著
・あなたの物語 水野 敬也/著
・自分史の書き方 立花 隆/著
・ソラシド 吉田 篤弘/著
・紙つなげ! 佐々 涼子/著
・夢をまことに 山本 兼一/著
・洋七、おかんのがばい介護日記 島田 洋七/著
・天皇陛下料理番の和のレシピ 谷部 金次郎/著
・エキストラ・イニングス 僕の野球論 松井秀喜/著
・わけあり師匠の顚末物書同心居眠り紋蔵 佐藤雅美/著
・将来の学力は 10 歳までの「読書量」で決まる 松永 鴨史/著
【児童書】
・世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ
くさばよしみ/編、中川学/絵
まだまだありま~す!!
松谷みよ子先生の経歴
プロフィール
主な受賞
1926 年東京に生まれる。
1943 年東洋高等女学校卒業、会社に勤め
ながら童話を書き始めた。疎開先の長野
県で作家の坪田譲治氏に出会い師事。
民話研究家瀬川拓男氏と結婚。人形劇団
「太郎座」を共同で立ち上げた。
1960 年「龍の子太郎」
国際アンデルセン賞優良賞
1964 年「ちいさいモモちゃん」
野間児童文芸賞
1973 年「松谷みよ子全集」
赤い鳥文学賞特別賞
国見の民話と松谷みよ子先生のこと
去る4月4日、2月末日に亡くなられた日本を代表する児童文学者『松谷みよ子さんのお別れ会』
が東京青山で開かれました。
先生の訃報とともにマスコミでは一斉に先生の児童文学作品や絵本が数多く紹介されました。が、実
は先生は日本民話の会の主催者として伝承の昔ばなしとは別に、明治から大正・昭和への時代の流れの
中で人々に語られた『新しい話』を蒐集・分類、民俗学研究者として現代の民話をまとめるという大き
な仕事を残された方でした。
当時も今も、民俗学者のほとんどが手を付けない文明開化で戸惑う人々の体験談や軍隊・幽霊・怪談
など、民俗学で言えばまだまだ問題にもならない最近の話をたくさんの類話を提示しながら編集されて
います。類話は北海道から沖縄まで日本民話の会会員の聞き書きや体験談などを中心に、一般の人たち
からのアンケートも含め、
『本当にあったこと』として語られたもので、会員の努力もあってのことでし
ょうが、各地から集められた膨大な資料を整理・編集・出版された仕事は、先生のお力があったればこ
そ残ることができた現代の民話だったと言えましょう。語り手が亡くなられればもう聞くことのできな
い話の数々、草の根の心を掬い取った先生の先見性に感動しないではいられません。
さて、私が先生のお誘いで日本民話の会に入会したのは1979年、子どもの本の勉強会の折で、国
見の民話のテープ起こしをした原稿についてのご指導をいただいたのがご縁でした。このテープは19
75年他町にさきがけて国見町史が発行されたのを機に、読書会(国見民話の会)の仲間と共に語り部を
訪問し、直に昔話をお聞きしたいと始めた仕事で、当時社会教育係春日一憲氏のご案内で町内の古老を
お訪ねしたものの一部でした。
今考えますと私自身なんとも聞き耳が未熟で、もっともっと深くお聞きしておけば良かったと悔いが
ありますが、ともあれ、そのようなことがきっかけで、松谷先生から国見町を訪問し民話探訪をしたい
とのたっての依頼が参りました。先生はじめ民話の会会員でもある著名な民俗学者や児童文学者宮川ひ
ろさん、八百板洋子さんなども含めた20人以上の人たちの来町でした。お世話役の国見の民話の会は
12人。町教育委員会の全面的な応援を得て1984年夏から1988年まで一斉訪問は2回その他少
人数で、延べ20回にわたり国見町の民話探訪が行われました。151名の方々から約100話。探訪
者27名と記録されています。この成果は1999年『民話の手帖特集号・国見の民話』として結実し
ました。
あれからざっと30年、語りを披露して下さった町内の方も、松谷先生たちの来町されたことを覚え
ている方も少なくなりました。松谷先生とお会いして36年。佐渡や熊野、滋賀などへの旅、水上や猿
ヶ京での勉強会、ご自宅での手料理、すべて私には楽しく豊かなものを過分にいただいた年月でした。
松谷先生のお別れの会は神式で悲しみよりもむしろ華やかなものでした。大きな仕事を成し遂げられ
た方に相応しい清々しい会で、ただただ私の人生で出会った恩人に感謝をささげて帰途についたことで
した。
内池和子
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