平成19年度 環境共生系列教育研究支援経費成果報告書 申請・代表者 所 属 自然科学 研究科/ 理学部 職 教授 氏 名 酒泉 満 本年度の交付を受けた環境共生系列教育研究支援経費について,下記のとおり報告いたし ます。 申請課題:魚類側線パターンの形態的多様性を生み出す発生機構の解明 申請課題の代表者:所属 自然環境科学科 職名 教授 氏名 酒泉 満 分担者 2 人 (概要) 側線は魚類が水の動きを検出するための感覚器官である。側線パターンは、魚類の系統や生息する環境 の違いを反映し、非常に多様であるため、脊椎動物の形態的多様性を生み出すしくみを調べるよいモデル となる。とくに、尾鰭を支える骨格系は魚種によって多様であり、それにともなって、側線パターンも様々 な形態をとる。本研究では、メダカとその近縁種、およびゼブラフィッシュを用い、尾鰭骨格系と側線パ ターンの形成機構を比較することによって、脊椎動物の形態的多様性をつくり出す普遍的なメカニズムを 明らかにする。 (経費) 摘要 仔稚用配合飼料 CappAero Multi Pipette 8Ch, 5-50m ウルトラオリゴ(逆相カラム精製) ミクロスピッツ 1.5ml 無処理ティッシュ 1000-035 1パック 無処理ティッシュ 1010-060 1パック ダーマフリー手袋M 合計 差引額 支給額 109,000 執行額 83,800 15,970 11,122 3,478 349 1,765 1,364 109,000 0 (成果) 支援経費を実験魚飼育の一部に用いた。メダカ4系統(T5、HNI、Da、Hd-rR)メダカ近縁種(セ レベスメダカ、インドメダカ、デルモゲニー) 、ゼブラフィッシュ7系統(Isl1-GFP, ody, cls, tri, llk, olt, lof)ゼブラフィッシュ近縁種(アカヒレ、ラスボラ)合計16種類を導入し、系統維持 を行っている。これらの魚種・系統を用い、尾鰭の側線パターンを記載し、発生機構について解析 を行った結果、 (1)胚発生期における一次感丘の数と定位を制御するメカニズムが異なること(2) 後期発生期における感丘クラスターの形態形成メカニズムが異なることを示した。この2つの発生 機構の違いが系統的に離れた様々な魚種の側線パターンの違いをも説明できることを示した。これ らの結果は、脊椎動物の形態的多様性をつくり出す、新規の発生メカニズムの存在を示唆している。 今後、これらの側線パターンを生み出す分子機構について研究を行う予定である。 プロジェクト成果の発表(論文名,発表者,発表紙等,巻・号,発表年等)(別紙可) H. Wada, S. Hamaguchi and M. Sakaizumi, Developmental mechanisms underlying species-specific lateral line patterning of the teleost caudal fin (投稿中) 和田・濱口・酒泉「魚類尾鰭において種特異的な側線パターンを制御する発生メカニズム」第41 回発生生物学会(2008 年 5 月、徳島)にて発表予定。
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