第1回(2015年2月7日~8日/ヒューリック

報告 第 1 回転倒予防指導士基礎講習会 教育研修担当理事 奥泉宏康
平成 27 年 2 月 7 日(土)〜 8 日(日)
東京,浅草橋ヒューリックカンファレンスにおいて,『第 1 回転倒予防指導
士基礎講習会』が開催された。
83 名の参加者のうち,職種別としては,看護師 18 名,理学療法士 16 名,医師 5 名,作業療法士 3 名,薬剤師 2 名といっ
た医療関係の参加者が 44 名(53%)と多く,介護福祉関係の参加者は 4 名(5.6%)であった。また,病院・医院に従
事する参加者は 38 名(45.8%)で,保健行政関係の参加者は 1 名(1.2%)しか参加していなかった。そのため,参加
の目的としては,院内での「転倒予防チーム」を充実させるための知識習得が多かったが,さらに病院から地域へ転
倒予防運動を拡大するための地域セミナーや講演会に生かしたいという目的も見られた。
今回の基礎講習会では,これまで当会の前身団体である「転倒予防医学研究会」の『転倒予防指導者養成講座』で
基本講義として実施されてきた①転倒予防の意義,②転倒の実態と関連する外傷,③転倒予防に対する運動効果,④
転倒に対する薬剤の影響に加えて,トピックス的に講義を行っていた⑤転倒に関連する疾患,⑥認知症に対する転倒
予防,⑦地域における転倒予防,⑧病院・施設における転倒予防を加えた。転倒予防活動に従事し,実践・啓発して
いくために必要であると考えられる基礎的事項を網羅した。
武藤芳照理事長
大高洋平講師
北湯口純講師
奥泉宏康講師
征矢野あや子講師
森田光生講師
上内哲男講師
さらに,参加者が転倒について自分で考え,転倒予防対策を立てるための参加型学習として,7〜8名のグループワー
クを実施した。転倒事例を示して転倒に関連する要因を考え(テーマ1)
,転倒予防カルタに記載されている転倒に関
する知識も活用しながら,具体的な転倒予防対策を立案して(テーマ2)まとめを行った。その後,作成したポスター
を評価しながら,軽食と飲み物を用意して,自由な発言ができる全体交流を行った。
講義が多くなると,集中力も低下してくるので,自己紹介を兼ねたアイスブレーキングとして,実際に体を動かし
たり,転倒予防体操を行ったりするなど,プログラム構成にも配慮した。
2日目,全プログラム終了後,○×判定式の 50 問の認定試験を実施した。試験時間は 75 分で,転倒および転倒に
関する基礎知識について確認する問題であった。試験の結果は,平均 49.3 点で,全員合格となった。今回の『基礎講
習会』を受講して,それぞれの項目の理解度は,受講前の 7 〜 24%が,37 〜 60%に高まり,学習効果が上がっていっ
たことが明らかとなった。
講習会受講後の感想としては,運動するには会場が狭かったこと,冬期の開催は交通が不安であること,パンフレッ
トが多いこと,など実務的な問題も浮き彫りにされ,グループワークの発表や軽食の情報交換などには賛否両論が見
られたので,今後,検討していく必要があると考えられた。講義に関しては,一般の方にもわかりやすい様に医療や
介護の用語も詳しく説明したが,カタカナ語が多くてわかりにくいという意見もあり,一層の知識整理の必要がある
と考えられた。
講習会の最初に武藤理事長より「転倒予防の基本理念」が明確にされた点,アイスブレーキングが取り入れられた
点が,今回の講習会において特筆すべき点であると考えられる。全体的には,会場全体が活気にあふれた基礎講習会
であった。
グループワークの様子
ランチョンプレゼンテーション(ネスレJ)
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第 1 回 転倒予防指導士基礎講習会プログラム
第 1 日目
2月7日
〈担当講師〉
10 分
12:30
開会の辞
北湯口純
30 分
12:40
講義1 転倒予防の基本理念と展望
武藤芳照
20 分
13:10
自己紹介 アイスブレーキング(ゲーム)
北湯口純
45 分
13:30
講義2 転倒および転倒予防の現状と課題
大高洋平
転倒後の外傷に対する治療とその予後
10 分
14:15
休憩
45 分
14:25
講義3 転倒のリスクおよび機能評価
北湯口純
転倒予防の運動療法
50 分
15:10
転倒予防体操の実技
80 分
16:00
グループワーク 説明および事例提示:10 分
16:10
<テーマ1> 事例から,転倒要因を抽出する:20 分
16:30
パワーポイントで参考になる情報を提示する 休憩 10 分
60 分
第 2 日目
北湯口純
講師全員
: 10 分
16:40
<テーマ2> 「転倒予防カルタ」を使って,転倒予防対策について考える:30 分
17:10
まとめ・整理・ポスターの掲示:10 分
17:20
事務連絡 準備
17:30
グループワークのポスター討論会 (軽食あり)
18:30
解散
講師全員
2 月 8 日 (日) 10 分
8:30
集合 事務連絡
45 分
8:40
講義4 疾病と転倒予防(パーキンソン病,正常圧水頭症,糖尿病性末梢神経障害,
視覚障害,前立腺疾患,薬剤について)
45 分
9:25
講義5 認知症に対する転倒予防
30 分
10:10
アイスブレーキング(机で行う転倒予防体操)
休憩
45 分
10:40
講義6 在宅における転倒予防
北湯口純
森田光生
地域連携のためのチームマネージメント
11:25
奥泉宏康
征矢野あや子
転倒アセスメントシート
45 分
講師全員
講義7 病院・施設における転倒予防(急性期・回復期・療養期)
奥泉宏康
転倒予防の限界と法律的責任
60 分
12:10
昼食 ランチョン:転倒予防推奨品の紹介:ペンパルアクティブ
05 分
13:10
認定試験の説明
75 分
13:15
認定試験
10 分
14:30
休憩
30 分
14:40
総合討論
15 分
15:10
閉会の辞,認定証交付
ネスレジャパン
講師全員
講習会後 アンケート
<講師>
武藤芳照(日体大総合研究所 所長 / 日本体育大学保健医療学部 教授:医師)日本転倒予防学会理事長 奥泉宏康(みまき温泉診療所 所長:医師)日本転倒予防学会教育研修担当理事
大高洋平(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室 助教:医師)
上内哲男(JCHO 東京新宿メディカルセンターリハビリテーション室 主任理学療法士)
北湯口純(身体教育医学研究所うんなん 主任研究員:健康運動指導士)
征矢野あや子(佐久大学看護学部 教授:看護師)
森田光生(慶友整形外科病院リハビリテーション科 転倒予防骨折予防センター 室長:作業療法士)
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『転倒予防指導士』合格者名簿(2015 年 2 月 8 日)
松永 房枝
山本 悠揮
遠矢 寿子
三好 主晃
谷津 祥一
田端 洋貴 進藤 篤史 西川 裕一郎
松尾 てる子
鈴木 裕司
谷津 一美
吉野 公圭
池西 弘達 福島 孝子 桑垣 佳苗
久高 直美
山田 浩
佐藤 俊夫
多田 稔英
池村 真美 大石 京子
加嶋 敏克
髙橋 公
鈴木 則子
森田 英伸
関 幸司
斉藤 裕子 佐々木 浩 大塚 江理子
加賀 章乃
岡崎 薫
田原 岳治
篠原 武雄
中原 史惠 尾崎 和成 木下 由紀子
綱 一弘
花島 明美
石川 由利子
綱 加奈子
梁川 三知子 荒井 真奈美
渡邉 淳一
大久保 恵子
菅原 美賀子
小川 歌子
中村 千夏
明内 康彦 龍口 ゆかり
加藤 康太
石川 愛一郎
尾上 仁志
照井 久美子
高橋 照子
川﨑 真理子 菅 明世
宇佐 純治
山崎 重人
中野 ますみ
松本 晃彦
北地 志行
木平 百合子 藤井 小百合
武井 真由美
吉田 博之
槇島 洋子
坂本 邦子
大沼 陽子
土屋 満子 武部 敦子 村上 宏之
阿部 宣行
今泉 光子
大和久 美代子 吉川 佳代子 加藤 愛子 荏原 太 中村 直子
堀口 弘恵
塩塚 幸彦
亀井 恭子
多門寺 さつき 佐藤 裕紀
計 83 名
お知らせ
日本転倒予防学会認定
第 2 回「転倒予防指導士 ®」基礎講習会 開催
日時:2016 年 2 月 13 日(土),14 日(日)
場所:ヒューリックカンファレンス
〒 111-0053 東京都台東区浅草橋 1-22-6 ヒューリック浅草橋ビル3階
主催:日本転倒予防学会
申込:プログラム詳細確定次第,ホームページおよび会員配信メールにて告知後
当会ホームページ会員専用ページ上にて受付開始(2015 年 11 月頃を予定)。
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