不況対策シリーズ 生き残りをかけて何ができるか?

2009年9月号
2010年7月号
不況対策シリーズ☆生き残りをかけて何ができるか?
~中小の小売でも実践できる協働MDで効果を上げる!~
今年6月下旬、札幌で大手小売6社とメーカー・卸の関係者など約1600名を集めた大規模なMD大会が
開催された。小売側がこうしたイベントを主催するのは珍しい。過去にメーカー・卸が小売に提案したMD
の事例を大会出席者に公開して評価するのが特徴で、出席したメーカー・卸に分析力・提案力のアップ
を図ってもらうのが狙いだ。 このように大手小売にとって今や協働MDは当たり前になってきたが、中小
の小売にとっても競合に勝ちぬく上でメーカー・卸との協働MDの実践は急務といえよう。
■大手小売と中小小売のMD分析力の差が広がる
協働MDの基本は、小売からメーカー・卸にPOSデータを開示し分析システムを利用して高度な解析を
するのだが、小売もメーカー・卸も分析システムの導入費や担当者の人件費など高額なコスト負担の上
に成り立っている。だが、中小の小売では高額なシステム投資はできないしPOSデータを活用するノウ
ハウも不足しているため、このままでは大手小売とのMD分析力の差は広がる一方だ。中小小売の中に
は既にPOSデータを一部の仕入先に開示している例もあるが、そのフィードバックとして商品や売り場づ
くりの提案に結びついている例は少ない。
■中小の小売でも導入可能な協働MDツールとは?
大手との差を埋めるべく中小の小売からも協働MD実現の要求が増えているが、それを可能とする
ツールとして機能を絞り込んでコストを抑えた「売上データ開示システム」が登場してきた。削ったのは高
額な分析機能だ。メーカー・卸は既に分析システムを導入していることが多いので、小売からPOSデータ
を開示する機能だけあればデータを受け取ったメーカー・卸は自社の分析システムを使えばいいと割り
切ったのだ。しかも、従来のような固定的なデータ開示ではなく、メーカー・卸が期間や地区、店舗や商
品の範囲、客数など欲しいデータを自由に抽出しダウンロードできる優れものだ。もちろん小売側でもダ
ウンロードできるので、本格的な分析機能がなくてもExcelを使ってちょっとしたデータ分析も可能である。
■MD研究会を設置し、直接の仕入先以外のメーカーにも参加してもらう
協働MDを実践する場合、いかに多くのメーカー・卸に参加してもらうかという課題がある。解決策の一
例を挙げてみよう。まず、小売は「MD研究会」を組織する。これまでの業者会のような組織とは異なり直
接仕入をしている取引先だけでなく取引口座のないメーカーなどにも呼び掛け参加してもらうのだ。しか
し、それだけではダメだ。定期的に研究会を開催し、参加者から小売が開示したPOSデータに基づいた
「気づき・発見」の提案をしてもらい、実効性が高いと判断した対策を小売・メーカー・卸の三者が協力し
て実施する。そして、その結果をデータ分析によって評価して次につなげる。日常業務に追われて忙しく
ても、サボらず繰り返すことで徐々に効果が表れるだろう。もし、自社のMD分析力に不満があるなら、
協働MD実践の検討をお勧めする。
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