【円海山周辺の緑地の将来像(ゾーニング)原案】

【円海山周辺の緑地の将来像(ゾーニング)原案】
円海山周辺の緑地は、三浦半島の先まで続いている、横浜最大の緑地帯です。横浜市環境創
造局は、この緑地で「いきものに触れ合える、人もいきものもにぎわう森」を目指して、2004
年度より、森の計画づくりを市民と協働で行ってきました。この間の調査、寄せられた生物の
情報や緑地へのご意見を元に、この地域の将来像の原案を作成しました。林を自然に遷移(成
長)させる部分では、目標達成までにとても時間がかかると思われますので、この原案のよう
な林になるのは、ずっと先の将来になります。
円海山周辺の緑地全体の目標:
「いきものに触れ合える、人もいきものもにぎわう森」
1. 空から見た円海山周辺の緑地全体と近郊緑地特別保全地区のゾーン配置
北
奥山ゾーン
里山ゾーン
源流ゾーン
図1.ゾーンの配置
図2.近郊緑地特別
保全地区の
ゾーニング
■ゾーンごとの目標
(1)奥山ゾーン
目標:緩い斜面および平らな尾根の常緑樹林と急斜面の落葉樹林を主体とし、一部に針葉樹
林のある、横浜最大の緑地の中心に位置する、奥山的な生物のすむ環境。
(2)里山ゾーン
目標:様々な林齢の落葉樹林を主体とし、一部に混交林や、針葉樹林・竹林・草原などの様々
なモザイク状の環境がある、里山的な生物のすむ環境。
(3)源流ゾーン
目標:奥山ゾーンと里山ゾーンの両ゾーンにある、源流の水域。水生生物の生息場所であり、
また、動物の隠れ場(草丈の高い草・低木)のある、動物の移動コースおよび水場。
1
2. ゾーニングの根拠
次に列記した円海山周辺の緑地の特徴と近郊緑地特別保全地区の現状を活かして、大きな緑地、
源流の森ならではの、生物保全・人の利用を考えた将来像(ゾーニング)を検討した。
<円海山周辺の緑地の特徴>
・横浜市で最も大きな緑地(神奈川県内東部で最も大きな緑地)である。
・横浜市で最も高い山がある
・源流の森である。
・生物相が豊かである。
<近郊緑地特別保全地区の現状>
1)近郊緑地特別保全地区の中央を南北に通る尾根道を挟んで、東と西に、それぞれ、源流と、
源流を取り囲む斜面がある。
2)尾根道の東側は、その周囲を緑地に囲まれている(図1)
。
3)尾根道の西側よりも東側に大木が多い(図3)
。
4)西側よりも東側で、大木の中の常緑樹の割合が高い。
5)常緑樹の割合が高い場所が、西側よりも東側に多い
(図4)
。
6)西側の瀬上沢にはため池があり、東側の氷取沢より、
沢の巾が約 1.5 倍広い。
7)西側よりも東側の方が、高い場所が多い。
8)西側にはハイキング道が多く、人の利用が多い。
9)スギ・ヒノキの針葉樹の植林が多い。
10)急斜面が多く、小さな沢が複雑に入りこんでおり、
この沢沿いに、希少な生物が多い。
図3.大木の分布
●常緑樹 ●落葉樹 ●針葉樹
1)∼8)より、緑地の中央であり、より林の遷移(成長)が進んでいる東側を「奥山ゾー
ン(遷移の進んだ林のゾーン)
」とし、より、開けた谷戸の風景で、林の遷移が進んでいない西
側を「里山ゾーン」として、昔の林の配置を目指して、生物多様性を保全していく。そのため
に、針葉樹林を、落葉樹や常緑樹に変えていく。また、10)より、多様性保全のために、
「源流
ゾーン」は現状を維持する。
%
全調査地点における
常緑樹の多い調査地点の割合%
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
奥山ゾーン
里山ゾーン
図5.昔の林の配置イメージ
図4.常緑樹の割合が多い調査地点
2
3.近郊緑地特別保全地区の将来の目標植生
図6.近郊緑地特別保全地区の目標植生
奥山ゾーン
●常緑樹林
里山ゾーン
●源流ゾーン(注)
●落葉樹林
●針葉樹林
●混交林
●モザイクエリア(常緑樹林・落葉樹林・針葉樹林・●竹林・草原)
●池
●湿地性草原
▲源流の山
●広場・休憩所
山深さを楽しむ道
谷の深さを感じる道
谷戸の風景を楽しむ道
注:源流ゾーンに関しては、2006 年度に横浜市環境科学研究所が調査中のため、上図では概要のみ。詳し
くは、調査結果を待ってゾーニングに盛り込む予定。
3
4.ゾーン別の保全管理の目標と指針
(1)奥山ゾーン
目標:緩い斜面および平らな尾根の常緑樹林と急斜面の落葉樹林を主体とし一部に針葉樹林
のある、横浜最大の緑地の中心に位置する、奥山的な生物のすむ環境。
③
②
①
奥山ゾーン
●源流ゾーン
●常緑樹林
●落葉樹林
●針葉樹林
●広場・休憩所
山深さを楽しむ道
*源流ゾーンについては P.8 参照。
図7.奥山ゾーンの目標植生
■目標とする環境概要
奥山的な林の中を通る、道沿いに大木の多い、山の奥深さを感じることのできる道があり、ま
た、大岡川の始まりの細い源流沿いには、両側を急な谷に囲まれた、谷の深さを感じることので
きる道がある。最も低い場所には、両側を林に囲まれた、草丈の低い湿地性植物の草原がある。
■目標とする林の環境と現況
場所
目標植生
①
常緑樹林
緩やかな斜
面、尾根部の
平地
②急斜面
落葉樹林
③
針葉樹林
かつて地元
中学生が植
林した場所
目標とする植物
(イノデ−タブノキ群集、ヤ
ブコウジ−スダジイ群集)
シロダモ、アカガシ、アラカ
シ、ヤブツバキ、ジャノヒゲ、
ヒサカキ、モチノキ、イタビ
カズラ、ビナンカズラ、キヅ
タ、テイカカズラ、イヌビワ、
タシロラン、ウラシマソウ
(イロハモミジ−ケヤキ群
集)
コクサギ、アブラチャン、エ
ンコウカエデ、カントウカン
アオイ
大径木スギ林
リョウメンシダ、ヤブミョウ
ガ、他シダ類
4
目標とする
その他の生物
サンコウチョウ
アオゲラ
クロジ
クチキコオロギ
ヤマトヒバリ
ヒメスズ
アオスジアゲハ
オオルリ、ヤブサメ
キビタキ、ルリビタキ
センダイムシクイ
オナガアゲハ
ゴイシジミ(ササ藪)
キクイタダキ、クロジ
サンコウチョウ
ヒグラシ
ヒナカマキリ
現在の植生
落葉樹林
落葉常緑混交林
針葉樹林
(スギ・ヒノキ)
落葉樹林
針葉樹林
(スギ・ヒノキ)
針葉樹林
(スギ・ヒノキ)
①平らな部分や、
緩やかな斜面の
常緑樹林
道
②急斜面の
落葉樹
図8.奥山ゾーン断面のイメージ
道
■保全管理作業指針
・平地や緩やかな斜面は常緑樹林、急斜面は落葉樹林を目標とする(図8)
。
・常緑樹林・落葉樹林を目標とする場所では、高木の皆伐や低木の除去を、短期間に広範囲で
行うことはしない。高木の管理作業方法としては、狭い範囲の高木の皆伐または間伐後、自
然に生える樹種を、遷移にさせる方法や、植樹する方法などがある。
・現在針葉樹林で、将来針葉樹林にする場所では、まず小径木を間伐する。また、他の植物を
生えにくくするヒノキを優先して間伐する。
・急斜面は、防災上必要でない場合には、積極的には手を入れず、遷移させる。遷移を進める
ために、間伐を行う方法もある。
・希少な生物の生息地(後述。図11・12)では、一度に広範囲な大きな管理作業は行わな
い。また、生物のモニタリングを行い、生物に注意しながら管理作業を行う。
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(2)里山ゾーン
目標:様々な林齢の落葉樹林を主体とし、一部に混交林や、針葉樹林・竹林・草原などの様々
なモザイク状の環境がある、里山的な生物のすむ環境。
④
里山ゾーン
●源流ゾーン
●常緑樹林
●落葉樹林
●混交林(常緑樹・落葉樹・針葉樹)
●モザイクエリア(常緑樹林・落葉樹林・
⑤
針葉樹林・●竹林・草原)
●池
⑥
▲源流の山
●広場・休憩所
山深さを楽しむ道
谷の深さを感じる道
*源流ゾーンについては P.8 参照。
図9.里山ゾーンの目標植生
■目標とする環境概要
奥山ゾーンとの境を横切る道は、片側を常緑樹林、片側を落葉樹林に囲まれ、また、源流の谷の風景
を見ることのできる場所がある。谷道沿いにはスギの大木や湿った場所を好む植物がある。上流にため
池のあるいたち川は、片側に湿地性植物の草原が続き、周囲を落葉樹林で囲まれた谷戸の風景が広がる。
■目標とする林の環境と現況
場所
④
モ
ザ
イ
ク
エ
リ
ア
目標植生
常緑樹林
落葉樹林
針葉樹林
目標とする植物
大径木のスダジイ、アカガシ
(ヌルデ−ヤマグワ群落、アカ
メガシワ−ミズキ群落、ヤツデ
−カラスザンショウ群落、オニ
シバリ−コナラ群集)
ヌルデ、ヤマグワ、ヤツデ、カ
ラスザンショウ、アカメガシ
ワ、コナラ、エンコウカエデ、
エゴノキ、ヤマザクラ、オオシ
マザクラ、ウグイスカグラ、ヤ
マツツジ、ヤマテリハノイバラ
大径木スギ
目標とするその他の生物
*奥山ゾーン常緑樹林参照
ノウサギ
タヌキ
フクロウ
カンタン
現在の植生
常緑樹林
畑・落葉樹
林
*奥山ゾーン針葉樹林参照
針葉樹林
(スギ・ヒノキ)
竹林
モウソウチク
ベニカミキリ
竹林
草原
草丈の高い草原:
草丈の高い草原:
畑
(草丈の高い
ススキ、ナンバンギセル
カヤヒバリ
草原・低い
カヤキリ
草原)
草丈の低い草原:
草丈の低い草原:
スゲ・カヤツリグサ・シバの
エンマコオロギ
仲間、チヂミザサ
ミツカドコオロギ
全般:ノウサギ、フクロウ、
カンタン、モズ
6
場所
目標植生
目標とする植物
⑤
落葉常緑混交 アワブキ、シロダモ、キンラン、
混交林
林
ギンラン、カンアオイ
⑥
落葉樹林
(イロハモミジ−ケヤキ群集)
落葉樹林
コクサギ、アブラチャン、エン
コウカエデ
落葉樹林
コナラ、ヤマザクラ、オオシマ
ザクラ、ガマズミ、ムラサキシ
キブの仲間、スハマソウ、リン
ドウ、イチリンソウ、ニリンソ
ウ、イチヤクソウ、ウグイスカ
グラ、クロモジ、ハナイカダ
目標とするその他の生物 現在の植生
落葉常緑針葉
混交林
オオルリ
針葉樹林
ヤブサメ
(スギ・ヒノキ)
キビタキ
針葉落葉混交
センダイムシクイ
林
ルリビタキ
タヌキ、フクロウ、オオタ 落葉樹林
カ、ウグイス、ホトトギス、
センダイムシクイ、オオミ
ドリシジミ、アカシジミ、
ゴマダラチョウ
オオルリ
■保全管理作業指針
・モザイクエリア:現在、小規模の常緑樹林・落葉樹林・畑・竹林・針葉樹林が混在している。
将来も、これらの環境を混在させることで生物の多様性を保全する。
竹林は、広がらないように、現状の範囲に留めるように管理する。
常緑樹林は、小径木を間伐し、大木の常緑樹林にする。
畑は、将来、草丈を変えて、草丈の高い草原と、低い草原の両方にする。
・混交林:常緑樹の大木を残し、落葉樹と混交している現状を維持。希少な落葉樹(アワブキ)を残す。
・落葉樹林:一部にササ藪も残すことで、藪に依存する生物(ウグイス、ホトトギス、タヌキ、
ヤブサメ、クロジなど)の生息場所を確保する。
・急斜面は防災上必要でない場合には、積極的には手を入れず、遷移させる。遷移を進めるた
めに、間伐を行う方法もある。
・希少な生物の生息地(後述。図11・12)では、短期間に広範囲な大きな管理作業は行わ
ない。また、生物のモニタリングを行い、生物に注意しながら管理作業を行う。
7
(3)源流ゾーン
目標:奥山ゾーンと里山ゾーンの両ゾーンにある、源流の水域。水生生物の生息場所であり、
また、動物の隠れ場(草丈の高い草・低木)のある、動物の移動コースおよび水場。
⑨
●源流ゾーン
●池
●湿地性草原
▲源流の山
●広場・休憩所
山深さを楽しむ道
谷の深さを感じる道
谷戸の風景を楽しむ道
図10.源流ゾーンの目標植生
注:源流ゾーンに関しては、2006 年度に横浜市環境科学研究所が調査中のため、概要のみ。植生など詳しくは、調査結
果を待ってゾーニングに盛り込む予定。
■目標とする環境概要
奥山ゾーンには、周囲を林に囲まれた谷深い大岡川の源流があり、里山ゾーンには、上空の開けた広
い谷底を通るいたち川の源流がある。これら源流には湿地性の植物が見られ、流れには源流に特有の魚
などの水生生物が見られる。いたち川の上流のため池では、止水性の生物が見られる。
■目標とする林の環境と現況
場所
目標植生
急斜面
落葉樹林
目標とする植物
*奥山ゾーン落葉樹林参照
草丈の高い湿性 ガマ、ヨシ、シロバナサクラタデ
草原
草丈の低い湿性 ミゾソバ、ミズタマソウ、イボクサ、ツ
草原
リフネソウ、タコノアシ、ミゾカクシ
川
ヨゴレネコノメ、ヤマネコノメ
⑨池
ヤナギの仲間
8
目標とするその他の生物
*奥山ゾーン落葉樹林参照
キンヒバリ
クイナ
ヤチスズ
ミゾゴイ
ホトケドジョウ
ゲンジボタル
コサギ
ヤマアカガエル
ヒキガエル
ヘイケボタル
カルガモ、カイツブリ
■保全管理作業指針
・基本的に、手をつけないで現状を維持する。
・倒木・大規模な土砂崩れで水流が止められた場合には、水流を復興する。
・西側のいたち川の源流の瀬上池より下流は、開けた湿地として、人との関わりの深い里山的
湿地とし、東側のいたち川の源流は、より奥山の源流らしい雰囲気を保つ
・瀬上池は、止水性の生物多様性保全の機能を保つようにする。
・湿地性草原は、生物多様性保全のために、草丈の高い草原と草丈の低い草原の両方がある状
態にする。これらの草原は、湿地性植物が生息できるよう、乾燥しないように注意する。
・乾燥化していないかどうか、数年ごとにモニタリングを行い、保全策が必要かどうかを判断する。
・急斜面は落葉樹林を目標とする(図8参照)
。
・いたち川と大岡川の2つの源流の根元にある山は、乾燥に注意する必要がある。管理作業の前
と、作業後定期的に、乾燥度合いと生物多様性のモニタリングを、管理作業の前および作業
後定期的に行い、高木や低木の伐採を、短期間に広範囲に行うことはしない。
・希少な生物の生息地(後述。図11・12)では、短期間に広範囲な大きな管理作業は行わ
ない。また、生物のモニタリングを行い、生物に注意しながら管理作業を行う。
9
5.近郊緑地特別保全地区の保全管理指針
(1)実施計画づくり
・管理作業にあたっては、作業に入る前に、各団体が、緑地全体の目標・ゾーニング・保全管理作業指針に
沿って、保全管理作業の実施計画をつくる。実施計画は、
(2)∼(6)に注意して作成する。
(2)生物多様性保全のための保護・管理
・各管理作業地では、作業によって環境が変化するため、生物が逃げ込めるように、保全地区と
して、10%以上、手をつけない場所をつくる。
・藪を好む生物(タヌキ、ウグイスなど)のために、藪も残す。
・枯木・枯枝を好む生物のために、道沿いなど安全確保が優先される場所以外は必要以上に管理
整理せず、残しておく。管理作業中に切った幹・枝は、昆虫のために、日当たりの良い場所と
日陰に積んでおく。
・管理作業前に、1年間生物の調査を行って希少な生物を確認し、管理作業地内に希少生物が生
息する場合、その生物を保全する、また、その生物に配慮した作業時期の、実施計画をつくる。
・ササ・アオキの繁茂の著しい場所を管理する場合には、これらを刈った後に生えてくる植物を
同定(*種名を明らかにすること)し、同定できない場合には、生えている場所や写真などを
記録し、横浜市・専門機関等に同定を依頼する。
・実施計画策定後に希少な生物を発見したり、管理作業の結果希少な植物が生えてきた場合には、
保全するための計画に修正する(希少な生物は、環境省・神奈川県のレッドデータおよび「横
浜の植物」を参考にする)
。
・希少な生物が生息している場所(図11・12)の周辺では、短期間に広範囲な管理作業は行
わない。また、管理作業前と作業中に希少生物のモニタリングを行い、管理作業後も定期的にモ
ニタリングを行う。草の除去(図11)や、高木・低木の環境を短期間に大きく変化させない(図
12)などの注意が必要な場所では、注意しながら管理作業を行う。
・現在土壌動物の多様性が高い場所(図13)では、短期間に広範囲な管理作業は行わない。作
業前および作業後定期的に土壌動物をモニタリングする。また、乾燥・土壌流出・落葉の欠如等
が起こらないよう、注意しながら管理作業を行う。
奥山ゾーン
里山ゾーン
源流ゾーン
●広場・休憩所
草の管理に注意する必要
がある希少生物生息地
図11.希少生物が生息している
ため草を管理する際に注意する場所
10
奥山ゾーン
里山ゾーン
源流ゾーン
●広場・休憩所
高木・低木の管理に
注意する必要がある
希少生物生息地
図12.希少生物が生息しているため
高木・低木の管理の際に注意する場所
奥山ゾーン
里山ゾーン
源流ゾーン
●広場・休憩所
土壌動物の多様性が
高い場所
図13.土壌動物の多様性が高いため
乾燥・土壌流出・落葉の欠如に注意
する場所
(3)大木の保護
・一抱え以上ある大木は、大木を利用する生物のために、基本的には残す。
・道沿いの大木は、歴史的に残されてきた(境界木など)可能性があるため、残す。
(4)湿地・水辺
・水系の周辺は生物が行き来するコリドー(回廊)として、また、生物が水場として利用する際
の隠れ場所として保全するために、なるべく現状を維持する。
・谷筋は大きく手を入れない。
(円海山周辺の緑地の谷筋には、希少な生物が生息していることが多い)
・水の流れをせき止める倒木・道の歩行を妨げる倒木などは、脇に避ける程度にする。
・湿地性の生物保全のため、湿地を乾燥させないようにする。乾燥化のモニタリングを行う。
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(5)植栽
・植林の際は、できるだけ円海山周辺の緑地の種子から育てた苗・山採りした幼木を使う。
・外来種(外国の植物・日本の他の場所の植物・円海山周辺の緑地にある種類と同じ植物であっ
ても、離れた緑地の植物)は持ち込まない。
(6)崖
・急斜面・崖は、防災上必要な場合は、横浜市が管理する。
・下に家屋・道などがなく、防災上必要でない場合には、崩れた崖地を好む生物の生息場所とし
て位置づけ、崩れても、補修・植栽などを行わない。
(7)モニタリング
1)各管理作業地について
・管理作業を行っている場所では、その場所の林相・指標生物の、作業前後のモニタリング調査
を、作業を行っている団体が行う。 (調査は、共通の方法で行う)
2)緑地全体について
・横浜市は、以下のモニタリングを行う。
・生物多様性のモニタリング
・源流ゾーンについては、乾燥化のモニタリング
・横浜市は、モニタリングで得られた生物情報を公表する。但し、密猟・盗掘などにより、生物
の保全に悪い影響の出る可能性のある希少生物や、繁殖場所に関しての情報は、公表しない。
(8)実施計画および保全管理計画の見直し
1)各管理作業地について
・管理作業を行っている団体は、管理作業地のモニタリングの結果を踏まえ、実施計画を見直す。
・横浜市は、緑地全体のモニタリング調査の結果を踏まえ、実施計画の見直しが必要かどうかを
判断し、見直しが必要な場合には、管理作業を行っている団体に見直しを指示することで、緑
地全体での順応的管理(調査結果から計画を見直す管理方法)を進める。
2)緑地全体について
・横浜市は、緑地全体のゾーニングおよび作業指針等の保全管理計画は、新しい知見などを取り入れ、
社会情勢の変化などによって、見直しをしていく。
(9)管理作業の調整
・横浜市は、広い面積で短期間に高木が伐採されないように、また、様々な林齢の樹林がモザイ
ク状になるように、複数の管理作業団体による管理作業の場所・時期(年)などを調整する。
環境創造局環境活動事業課
(財)日本野鳥の会・横浜自然観察の森レンジャー
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