20150131横浜中青色申告会 決算説明会(事業所得者用)

自営業(個人事業者)
決算説明会
はじめて決算書を作成される方
(一般・事業所得編)
平成27年1月31日
横浜中青色申告会
(ご案内)税理士
飯田
真之
自営業者(個人事業者)決算説明会(事業所得編)
目次
1.はじめに 「確定申告書」と「決算書」
2.青色申告・青色決算とは?
3.青色申告を行いたいときは?
4.求められる「記帳の水準」は?
【参考】白色申告者の帳簿記載例
【参考】簡易帳簿とは(その1)(その2)
5.「取引」から「決算書」まで
6.青色申告決算書(一般用)1頁目
7.青色申告決算書(一般用)2頁目
8.1・2頁目の留意事項① 収入計上時期の原則
9.1・2頁目の留意事項② 売上原価計算と棚卸の仕方
10.1・2頁目の留意事項③ 青色事業専従者給与
11.1・2頁目の留意事項④ 必要経費(減価償却費・修繕費以外)
12.1・2頁目の留意事項⑤ 売掛金等が回収不能となった場合
13.青色申告決算書(一般用)3頁目
14.減価償却とは
15.減価償却費の計算
16.減価償却資産の法定耐用年数(耐用年数表)
17.減価償却資産の償却率表
18.修繕費と資本的支出の違い
19.修繕費と資本的支出の判断基準
20.青色申告決算書(不動産所得用)4頁目
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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1.はじめに
ココ!→
青色決算書
(収支内訳書)
(課税ベース)
所得金額
「確定申告書」と「決算書」
①事業所得
収入金額-必要経費=所得金額
②不動産所得
(売上原価・経費)
③山林所得
④給与所得・退職所得
⑤利子所得・配当所得
⑥譲渡所得・一時所得・雑所得
×
△所得控除
人的控除
①配偶者控除
②配偶者特別控除
③扶養控除
④障害者控除
⑤寡婦(寡婦)控除
⑥勤労学生控除
⑦基礎控除
2015/1/31
= 所得税額
税率
(H26まで)
5%~40%の
6段階に区分
(累進税率)
物的控除
⑧雑損控除
⑨医療費控除
⑩社会保険料控除
⑪生命保険料控除
⑫地震保険料控除
⑬小規模企業共済等掛金控除
⑭寄附金控除
△税額控除
①配当控除
②外国税額控除
③政党等寄付金特別控除
④認定NPO法人等寄附金特別控除
⑤公益社団法人等寄附金特別控除
⑥住宅借入金等特別控除
確定申告書
(翌年3/15まで)
飯田真之税理士事務所
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2.青色申告・青色決算書とは?
所得税→ 納税者が自ら税法に従って所得金額と税額の計算を行い納税
(申告納税制度)(暦年課税)
1年間に生じた所得金額を正しく計算し申告するためには?
①収入金額 や必要経費に関する日々の取引の状況を記帳する必要がある
②取引に伴い作成したり受け取ったりした書類を保存しておく必要がある
青色申告制度(事業所得・不動産所得・山林所得)
一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする人が
所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる制度
特典1
青色申告特別控除
最高65万円(又は最高10万円)の控除!
特典2
純損失の繰越控除
赤字(損失額)を3年間繰越できる!
特典3
青色事業専従者給与・貸倒引当金・特別償却その他
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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3.青色申告を行いたいときは?
次の提出期限までに「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出!
区分
提出期限
1
原則
青色申告の承認を受けようとする年
の3月15日
2
新規開業した場合
(その年の1/16以後に新規業務開始)
業務を開始した日から2か月以内
3
被相続人が白色申告者の場合
(その年の1/16以後に業務を承継)
業務を承継した日から2か月以内
4
被相続人が青色申告者の場合
2015/1/31
死亡日がその年1/1~8/31
死亡の日から4か月以内
死亡日がその年9/1~10/31
その年の12月31日
死亡日がその年11/1~12/31
翌年2月15日
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4.求められる「記帳の水準」は?
白色申告
(H26記帳義務化)
記入方式
簡易簿記
法定帳簿
任意帳簿
必要帳簿
決算書
青色申告
(10万円控除)
収支内訳書
青色申告
(65万円控除)
複式簿記
(簡易帳簿)
現金出納帳
預金出納帳
売掛帳
買掛帳
経費帳
固定資産台帳
など
青色決算書
(損益計算書)
(主要簿)
仕訳帳
総勘定元帳
(補助簿)
現金出納帳
預金出納帳
売掛帳
買掛帳
経費帳
固定資産台帳など
青色決算書
(損益計算書)
(貸借対照表)
「大きな図ですぐわかる はじめての青色申告」 宮原裕一監修より
2015/1/31
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【参考】白色申告者の帳簿の記載例
白色申告者も収入や必要経費を「整然かつ明瞭」に記帳することが義務付
(税務署「帳簿の記載のしかた-事業所得者用-」P3-4)
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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【参考】簡易帳簿とは(その1)
複式簿記による仕訳や転記作業を行わないで、簡易帳簿に売上・仕入・経費など
の損益計算書に関する事項だけ記帳する帳簿
(複式簿記の帳簿とは少し形式が異なる)
現金(預金)出納帳
(税務署「帳簿の記載のしかた」P11)
売掛帳・買掛帳
(税務署「帳簿の記載のしかた」P13-14)
経費帳
(税務署「帳簿の記載のしかた」P15)
事業の現金の出し入れを取引順に記帳する。
「月別総括集計表」に集計
2015/1/31
固定資産台帳
(税務署「帳簿の記載のしかた」P16)
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【参考】簡易帳簿とは(その2)
月別総括集計表(税務署「帳簿の記載のしかた」P20)
月末には、帳簿に記載されている事項と納品書や請求書、領収書などの原始記録と照合して、
記載誤りや記載漏れがないかどうかをよく確かめた上で、各帳簿の各欄ごとに、その月の合計と
年初からその月までの累計を計算 → 年末における整理(決算)が容易となる!
2015/1/31
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5.「取引」から「決算書」まで
取
引
記 帳
決算整理
決算書
(日々の処理)
(1年のまとめ)
(申告書に添付)
書類保存
2015/1/31
青色決算書(不動産用)…全部で4頁構成
(1頁目)損益計算書
収入金額と必要経費
┗(2頁目)月別売上・仕入・
給与賃金・貸倒引当金 ほか
┗(3頁目)減価償却の明細 ほか
(4頁目)貸借対照表
資産と負債
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6.青色申告決算書(一般用)1頁目
国税庁 平成26年分 青色申告決算書(一般用)の書き方 P2
給与賃金
(内訳2頁)
月別仕入金額
(内訳2頁)
減価償却費
(内訳3頁)
月別売上金額
(内訳2頁)
貸倒引当金
専従者給与
(内訳2頁)
青色申告
特別控除
(内訳2頁)
2015/1/31
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7.青色申告決算書(一般用)2頁目
国税庁 平成26年分 青色申告決算書(一般用)の書き方 P3
1頁①欄
1頁④欄
1頁⑳欄
一人別源泉
徴収簿から
転記
1頁㊳欄
▼チェック
ポイント
他の所得は
入れない!
2015/1/31
1頁㊹欄
1頁㊴欄
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8.1・2頁目の留意事項①
収入計上時期の原則
収入計上時期の原則 = 年末までに納品済・未請求(未回収)のものも
当年分の売上に計上(売掛金・未収入金)
原則
収入計上時期
通常の販売
引渡しがあった日
請負
物の引渡しを要する場合…目的物の全部完成による引渡し日
物の引渡しを要しない場合…役務提供の完了日
人的役務の提供
(サービス業)
人的役務の提供の完了日
(期間の経過、役務提供の程度に応じて収入する特約がある
場合…その特約による収入すべき事由が生じた日)
個人事業者の家事消費(決算書 2頁売上欄)
例 料理店の賄い(事業主)・食品小売
→ 所得税法では、「原価除外」ではなく、「売上計上」
【原則】
【特例】
通常販売価額
仕入価額 又は 通常販売価額×70% の多い方を収入を計上
(備え付け帳簿への記帳を要件→「青色申告決算の手引き」P8)
▼チェックポイント 家族数などから見て適正な金額か?
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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9.1・2頁目の留意事項② 売上原価と棚卸の仕方
1頁の②~⑦欄は何を計算しているか=売上原価(売上対応分)の算出
売上原価
期首商品棚卸高
②欄 3,705,000
小計④欄(②+③)
今年販売可能であった
棚卸商品の総額
31,301,000
仕入金額
③欄 27,596,000
差引⑥欄
④-⑤
年内販売済
(売上に対応
するもの)
期末棚卸高
⑤欄 3,814,000
年内未販売
翌年分の「期首」②欄へ
12/31の棚卸表
(「決算の手引き」P8)
▼チェックポイント
たな卸資産の評価は届
出どおりに行われている
か(届出がなければ、最
終仕入原価法)
2015/1/31
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10.1・2頁目の留意事項③ 青色事業専従者給与
生計を一にする親族に支払う対価
→ 原則 必要経費に算入できない
→ 特例 青色事業専従者給与
事業専従者給与(白色)
専従者の要件
① 事業者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
② その年12/31現在で年齢が15歳以上であること
③ その年を通じて6月を超える期間(※)、その青色申告者の営む事業に
専ら従事していること。
※年の中途の開業などの場合には事業に従事することができる期間の2分の1を
超える期間
対象金額
支払金額のうち、「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載されている金
額の範囲内で、労務の対価として相当な金額
取扱い
手続
チェック
ポイント
2015/1/31
事業主 → 事業所得の必要経費
親 族 → 給与所得の収入金額
「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出
期限(原則)その年3/15まで
(特例)1/16以後に開業・専従者となる場合→その日から2月以内
□ 届出は適正に行われているか
□ 支払う給与の金額が業務実態からみて適正であるとともに実際に支給が
行われているか
□ 源泉徴収は適正に行われているか
飯田真之税理士事務所
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11.1・2頁目の留意事項④ 必要経費(減価償却費・修繕費以外)
【必要経費とならないもの】
・家事上の経費及び家事関連費
・所得税・都道府県民税・市町村民税・延滞金・印紙の過怠税・各種加算金
・罰金・過料・科料
・生計を一にする親族に支払う地代・家賃・借入金の利息
区分
家事上の経費
家事関連費
(店舗併用住宅の家
賃・租税公課・保険
料・修繕費・水道光
熱費などの支出)
取扱い
必要経費に算入できない
原則
必要経費に算入できない
例外
①主たる部分が業務遂行上必要であり、かつ、その必要である
部分を明らかに区分できる場合
→その明らかにできる部分は必要経費算入
② ①のほか、家事関連費のうち、取引の記録等に基づき、業
務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分の金額
→必要経費算入
①家賃→床面積で按分 50㎡のうち事務所スペース20㎡ →40%経費
(明確なルールがない。 ②電気代→使用時間や消費電力(やむなく床面積もありか)
誰もが納得できるよう ③電話代・インターネット代→使用時間 週5日使用→5/7(約70%)経費
なものを!)
④ガソリン 走行距離
合理的な按分例
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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12. 1・2頁目の留意事項⑤ 売掛金等が回収不能となった場合
(ポイント)①貸倒れとなる「事実」
②事業的規模とそれ以外で処理が異なる
不動産事業で生じた債権の貸倒れの場合
⑴
更生計画・再生計画の認可決定、特別清
算に係る協定の認可決定による切捨て
その切り捨て
られた金額
⑵
合理的な基準により、債権者集会の協議
決定等で切り捨て
その切り捨て
られた金額
⑶ ①債務超過状態が相当期間継続・②債務
の弁済が受けられない→書面で債務免除
書面通知をし
た債務免除額
2 回収が事実不可能
債務者の資産状況、支払能力からみて全額が
回収できないことが明らかとなった場合
全額
(担保処分後)
3 形式基準
①債務者と取引停止(最後の弁済等)以後1年
を経過した場合、②同一地域の債務者につい
て売掛金等の総額>取立費用の場合
債権額-1円
(備忘価額)
(担保処分後)
法律上の債権の
1 消滅等
(法律上の貸倒れ)
(経済上の貸倒れ)
(売掛金等の通常債権)
貸倒損失
(必要経費)
貸倒懸念債権・貸倒れの事実が未確定の場合
1
債務者が債務超過
災害その他
①債務者が債務超過の状態が相当期間継続し
て、将来の業務好転の見通しがたたない
②債務者が災害、経済事情の急変により多大
な損害
2
申立てがある場合
更生手続開始・再生手続開始・破産手続開始
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
一部の取立て
不能見込額
債権×50%
個別評価の
貸倒引当金
(必要経費)
※翌年戻し入れ
※一般は5.5%
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13.青色申告決算書(一般用)3頁目
国税庁 平成26年分 青色申告決算書(一般用)の書き方 P4
1頁目⑧へ
4頁(負債)へ
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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14.減価償却費とは?
減価償却資産
業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具
などの資産(10万円以上)
→
これらの資産は、一般的には「時の経過」等によってその価値が減っていく
→ これらの資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのでは
なく、その資産の使用可能期間(法定耐用年数)にわたり配分して必要経費とする
→
この手続を「減価償却」という。
購入時
1年目
2年目
3年目
4年目
5年目
経費10
経費10
経費10
経費10
¥1まで
50万×0.200
=10万
2015/1/31
50万×0.200
=10万
50万×0.200
=10万
飯田真之税理士事務所
50万×0.200
=10万
1円まで
19
15.減価償却費の計算
定額法の場合(毎年の償却額が同額になるように配分)
1.平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産の場合
(耐用年数表による)
減価償却費=(取得価額×0.9)× 旧定額法の償却率
減価償却限度額95%まで償却
残りを5年間で償却 (5%-1円)×各年の月数/60
2.平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産の場合
(耐用年数表による)
減価償却費=
取得価額 × 定額法の償却率
残存価額が1円になるまで償却する
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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16.減価償却資産の法定耐用年数(耐用年数表)
国税庁 平成26年分 青色申告決算書(不動産所得)の書き方 P7
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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17.減価償却資産の償却率表
国税庁 平成26年分 青色申告決算書(不動産所得)の書き方 P6
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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18.修繕費と資本的支出の違い
「修繕費」=日常用語の「修繕費」と税務的な意味での「修繕費」は少し違う!
修繕費
資本的支出
必要経費となる。
(維持管理のための補修。原状回復のための修理)
①建物の価値が増加した部分
②建物の寿命が伸びた部分
(修繕費の例)
①
②
④
⑤
⑥
資本的支出の例)
壁の塗装費用
床のき損部分の取替え③ 畳の表替え
はく離した瓦の取替え
き損したガラスの取替
障子、ふすまの張り替え
2015/1/31
一時の必要経費とならず、
固定資産(減価償却資産)
として減価償却
① 建物の避難階段の取付け(物理的な付加)
② 和室(畳部屋)を洋室(フローリング)に
改装(用途変更)
③ モルタルの壁をタイルに張り替え
(耐久性増加)
飯田真之税理士事務所
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19.修繕費と資本的支出の判断基準
修理改良等のための支出金額
20万円未満
又は 周期がおおむね3年以内
YES
NO
明らかに価値を高めるもの
耐久性を増すものか
NO
通常の維持管理ものか
NO
災害などで毀損したものの原状回復
YES
YES
YES
NO
(明らかでない場合)
60万円未満
又は前期末取得価額の10%以下か
70%
NO
7:3割合区分法
NO
資本的支出
実質により判定
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
YES
30%
修繕費
24
20.青色申告決算書(一般用)4頁目
国税庁 平成26年分 青色申告決算書(一般用)の書き方 P2
1頁②・⑤欄
3頁ヌ欄 未償却残高
1頁 ㉞・㊴欄
2頁 ⑤欄
事業主貸・事業主借勘定
…事業所得に貢献しないもの
(他の所得・所得控除・引出金・
家事費など)
1頁㊸欄
バランス(一致)すること!
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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さいごに
御清聴ありがとうございました
(ご案内)
税理士 飯田真之
飯田真之税理士事務所
〒220-0032
横浜市西区老松町29-8アトラス野毛山306
TEL 045-262-8417 FAX 045-315-6545
E-mail [email protected]
2015/1/31
飯田真之税理士事務所
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