佐渡汽船(9176)

岡三にいがた
県内企業レーティング情報
佐渡汽船(9176
東証JASDAQスタンダード)
2015年7月24日
新造船「あかね」投入効果で年間の旅客輸送人員増加が期待される
<<アナリストの視点>>
レーティング
中立
北陸新幹線開業に合わせて4月21日から小木-直江津航路で新造船
(前回:中立 )
「あかね」が就航した。新潟航路の輸送人員は前年を下回ってい
る一方、小木-直江津航路は新造船と北陸新幹線の相乗効果に
目標株価
よって前年を大きく上回る伸びで推移している。15年12月期は新
造船投入効果で年間輸送人員の増加が期待できることに加え、原
-円 (前回:- 円)
株価 =
328
油安による燃料費の低下が追い風となろう。また、同社は訪日外
国人旅行者の取り込みに向けてツアーの企画や受け入れ体制の整
円 ( 07/21 )
備を進めており、今後は訪日外国人旅行者の増加が期待される。
年初来高値 =
400 円 ( 06/05 )
年初来安値 =
250 円 ( 01/14 )
予想PER (連結) =
5.4 倍 ( 15/12 )
予想PER (連結) = 12.1 倍 ( 16/12 )
<<レーティングの根拠>>
15年12月期は新造船「あかね」の投入効果による業績回復が期待
されるものの、最需要期である第3四半期の動向を見極める必要
があると考え、レーティング「中立」を継続する。
実績PBR (連結) = 2.15 倍
<<15年12月期第1四半期は前年同期を下回る>>
予想ROE (連結) = 43.0 %
2015年12月期第1四半期累計期間は売上高18億87百万円(前年
同期比12.0%減)、営業損失7億14百万円(前年同期は6億36百万
円の営業損失)、経常損失は7億26百万円(同6億89百万円の経常
損失)、四半期純損失は5億85百万円(同6億92百万円の四半期純
損失)となった。
主力の海運事業では、旅客輸送人員212,482人(前年同期比
4.9%減)、自動車航送台数が乗用車換算で35,019台(同14.4%
時価総額
46 億円
発行済株式数
(除く自己株)
14,151 千株
予想配当利回り = 0.00 %
減)、貨物輸送トン数は42,073トン(同13.8%減)となった。
1・2月は比較的穏やかな気象・海象で推移したものの、早春の観
光シーズンを迎える3月中旬になってから例年にない時化模様と
なったことで欠航が増加し、旅客輸送が前年同期を下回った。加
えて、貨物やトラック輸送が昨年4月の消費増税前の駆け込み需
要の反動減の影響で大幅に減少し、売上高は12億14百万円(同
12.6%減)、セグメント損失6億37百万円(前年同期は5億63百万
円のセグメント損失)となった。
エクイティ情報部
仲野 惠理佳
<<業績推移>> 日本基準
決算期(年/月)
2012/12
2013/12
2014/12
会社
2015/12(予)
弊社前回
弊社今回
弊社前回
2016/12(予)
弊社今回
売上高
11,712
12,217
11,997
12,128
12,600
12,130
12,250
営業利益
431
136
45
351
88
352
368
経常利益
415
95
-49
216
51
217
227
当期純利益
366
23
-287
858
35
860
385
一株純利益
26.36
1.66
-20.35
61
2.47
60.77
27.21
一株配当金
1.50
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
単位:百万円、一株純利益・配当は円
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
1
岡三にいがた県内企業レーティング情報
佐渡汽船(9176東証JASDAQ スタンダード)
<<新造船と北陸新幹線開業で小木-直江津航路が好調に推移>>
北陸新幹線開業に合わせて4月21日から小木-直江津航路に新造高速カーフェリー「あかね」が就航した。
同航路は「あかね」就航によって1日1.5往復運航から2往復運航となり、所要時間は1時間40分へ約1時間短
縮されるなど、利便性が向上した。同社が4月21日から5月31日までの期間で集計した航路別輸送人員では、
主力の新潟航路が前年同期比で3%減少した一方、新造船投入と北陸新幹線開業の相乗効果によって小木‐
直江津航路は同48%増と大幅に伸びた。同航路は足元でも好調を維持しており、北陸新幹線開業を記念し
たツアーの予約状況も好調なようだ。
<<搭乗手続きのスマート化がコスト削減に寄与>>
同社はここ数年の間でインターネット予約や自動券売機、自動改札機の設置等によって搭乗手続きのス
マート化を進めており、窓口の人員減少に伴ってコスト削減効果が表れている。今年7月からはインター
ネット予約サービスの「らくらくチェックイン」を本格的に開始した。窓口を通さなくても簡単な手続き
で乗船券を受け取ることが可能であり、利便性の高さからサービスの利用は徐々に増えてきているようだ。
「らくらくチェックイン」の導入によって更なるコスト削減に繋がることが見込まれる。
<<新たな割引サービスを8月に導入>>
同社は国の交付金を活用したサービスとして、乗用車運賃特別割引を実施しているが、8月からは新たな
サービスを開始する。乗用車限定で同社のインターネット予約サイト上で前日までにクレジット決済を完
了すると、航送運賃を片道1000円割引するサービスを導入する。乗用車運賃特別割引サービスの利用は堅
調に推移しており、新たなサービスも利用者の拡大と「らくらくチェックイン」サービスの利用増が期待
できる。
<<訪日外国人取り込みに向けて環境整備>>
同社は訪日外国人旅行者の取り込みに向けて、今期はターミナル等の案内サインや看板、ホームページ
の外国語表記、Wi-Fi設備の能力増強や増設などに取り組んでいる。特に外国人旅行者の中で比率の高い台
湾人旅行者向けの対応を重点的に進めているようだ。同社の旅客輸送に占める外国人の割合は少数である
ため、受け入れ体制の整備によって訪日外国人旅行者の増加に繋がることが期待されよう。
<<2015年12月期の見通し>>
15年12月期は新造船「あかね」の就航効果によって旅客
輸送人員は前年を上回る160万人を会社側は想定している。
上半期の旅客輸送人員は会社計画を下回ったようであるが、
旅客輸送需要が本格化する第3四半期期間(7-9月)の巻き
返しが期待される。前期はお盆シーズンの天候不順による
欠航等の影響で計画を下振れたが、足元の個人客の予約状
況も好調であることから、天候不順などの影響が少なけれ
ば通期で増員を確保することが可能と考える。また、消費
増税の影響で落ち込んでいた貨物やトラック輸送なども持
年間旅客輸送人員
(万人)
170
出所:会社資料より岡三にいがた証券作成
168
166
164
162
160
158
156
154
152
150
10/12期
11/12期
12/12期
13/12期
14/12期
ち直しの動きとなっていることも追い風となろう。
利益面では、新潟-両津のジェットフォイル減便による運航コストの抑制に加え、原油安による燃料価
格の低下が寄与することで採算改善が期待できる。また、カーフェリーこがね丸をリベリアの船舶会社
に譲渡し、特別利益8億75百万円を計上する見込みであることから、当期純利益は黒字転換する見通し。
岡三にいがた証券では、売上高121億30百万円(前期比1.1%増)、営業利益3億52百万円、経常利益2億
17百万円、当期純利益8億60百万円を見込む。
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
2
岡三にいがた県内企業レーティング情報
レーティングの基準など
強 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上上回ると判断される銘柄
中 立:今後6ヵ月以内の目標株価と現在の株価の差が±10%未満と判断される銘柄
弱 気:今後6ヵ月以内の目標株価が現在の株価を10%以上下回ると判断される銘柄
目標株価の定義と未達成リスクについて
目標株価は、アナリストによる当該企業の業績予想を基に、マルチプル法やDCF法等の岡三にいがた証券
エクイティ情報部が妥当と考える方法により算出したもので、対象期間は6 ヵ月以内です。目標株価達成を
阻むリスク要因としては、当該企業の主要市場における競合状況(企業買収・訴訟なども含む)、製品・商品・
サービス需要の変動、原材料及び燃料価格の変動のほか、当該企業を取り巻く経済状況、為替相場の変動、
国内外の金融・不動産市場の状況、各種規制変更、事故・災害(人災含む)、社会的責任などが考えられま
す。なお、これらの要因以外にも、現時点で予想できないリスクが将来的に発生し、その結果として目標株価
達成が妨げられるおそれがあります。
本資料における個別銘柄に関する注記事項
・個別銘柄のレーティングについては、執筆アナリストの変更があった場合でも、岡三にいがた証券として
の個別銘柄のレーティングの継続性を保つため、前任者の付与したレーティングを「前回」レーティングと
して記載しています。
・株価は日付日の終値。年初来高値・安値は権利落ち修正後で、各取引所の立会市場の売買立会時
(前場・後場)における約定値段を用いています。
・上場市場は東京証券取引所の場合、記載せず、複数市場上場の場合は売買高の多い市場を記載して
います。
・時価総額など、特に日付を記していない場合は、個別銘柄の株価日付に同じです。
・PBRの根拠となるBPSは直近決算期末時点の会社公表数値を用いていますが、必要に応じて岡三にい
がた証券が算出しています。
・ROEの根拠となる自己資本は必要に応じて純資産から新株予約権と少数株主持分の金額を控除した金額
を用いています。
・予想EPSは当期利益(会社計画、前回予想を含む)を記載の発行済株式数で除して計算しています。なお、
払い込み前の公募、権利落ち前の株式分割等は考慮しておりません。
・時価総額は記載の株価と発行済株式数で計算しています。
・発行済株式数は自己株を含んでおりません。株式数は直近決算期末時点の会社公表数値を原則として用
いておりますが、株式分割、公募増資、自己株買入れなど必要に応じて岡三にいがた証券の推定による試
算値を用いる場合があります。
・日本基準の連結当期利益は、親会社株主に帰属する当期純利益です(平成27 年4月1日以後開始する連
結会計年度の期首から適用)。
・米国会計基準の当期利益は、当社株主に帰属する当期純利益です。
・指定国際会計基準(IFRS)の当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益です。
(平成27年5月改訂)
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
岡三にいがた 県内企業ウオッチ38
銘柄コード 9176
東証 JQスタンダード
エクイティ情報部
海運業
佐渡汽船(株)
≪会社概要≫
佐渡市に本社を置き、佐渡島と新潟港、直江津港、寺泊港を結ぶ定期航路を運航、観光事業も。北陸新幹線開業
に合わせて4月21日から新造船「あかね」が就航しており、小木-直江津航路は新造船と北陸新幹線の相乗効果
によって前年を大きく上回る伸びで推移している。15年12月期は新造船投入効果で年間輸送人員の増加が期待
できることに加え、原油安による燃料費の低下が追い風となろう。また、同社は訪日外国人旅行者の取り込み
に向けてツアーの企画や受け入れ体制の整備を進めており、今後は訪日外国人旅行者の増加が期待される。
≪週足チャート≫
327
現在値
13週移動平均線
07/16 (月/日)現在
円
26週移動平均線
360
340
320
300
①
280
260
240
月/日
07/04
06/06
05/09
04/11
03/14
02/14
01/17
12/20
11/22
10/25
09/27
08/30
08/02
07/05
06/07
05/10
04/12
03/15
02/15
220
〔テク二カルコメント〕
14年2月以降、15年2月第4週までおおよそ250円から270円程度のボックスの動きが続いていたが、3月
第1週①にボックスを上抜け、新たな上昇トレンドに入った。今回の上昇は13週移動平均線が下支えと
なっているが、現在も相場の方向性を示すとされる移動平均線の向きは、13週、26週線ともに上を向い
ており、トレンドに変化の兆しは見当たらない。今後も13週線を下支えとした上昇が続こう。
〔参考指標〕
年初来高値
PER(会社予想)
信用買い残
400 円
年初来安値
5.39 倍
PBR(実績)
55 千株
貸借倍率
250 円
2.15 倍
0倍
単元株数
100 株
最低購入代金
ROE(実績)
-12.45 %
配当利回り
発行済株式数
14,275 千株
時価総額
32,700 円
0.00 %
4,668 百万円
〔業積推移〕
決算期
売上高
経常利益
2013/12
12,217
95
2014/12
11,997
-49
2015/12
12,128
216
2015/12 は予想
単位:百万円
税引利益
23
-287
858
EPS(円)
1.66
-20.35
60.66
配当(円)
0
0
0
〔株主優待情報〕
年1回
株主優待乗船券引換え点数券 500株以上 500株につき無記名式2点券1枚
【大人1名片道につき】
ジェットフォイルに搭乗 6点
〃 4点+運賃料金の3分の1相当額(差額)
〃 2点+運賃料金の3分の2相当額(差額)
カーフェリー特等 6点
カーフェリー1等 4点又は2点+2等との差額
カーフェリー2等 2点
高速船「あいびす」 2点
巻末に重要な注意事項が記載されていますので、十分にお読みください。
4
手数料およびリスクについての重要な注意事項
・ この資料は、投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特
定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。また、過去の実績は必ずしも将来の成果
を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願
いします。
・ 株式は、株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の変動による株価の変動によって損
失が生じるおそれがあります。また、発行体やその他の者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外
部評価の変化等により、株価が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
・ 本資料は、岡三にいがた証券が信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものです
が、その情報の正確性、完全性を保証するものではありません。企業が過去の業績を訂正する等により、
過去に言及した数値等を修正することがありますが、その責を負うものではありません。また、本資料に記
された意見や予測等は、資料作成時点での岡三にいがた証券の判断であり、今後予告なしに変更される
ことがあ ります。なお、本資料は、日本証券業協会「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則」のアナ
リスト・レポートとして審査されたものです。
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て、自己売買または委託売買取引を行う場合があります。
・ 自然災害等不測の事態により金融商品取引市場が取引を行えない場合は売買執行が行えないことがあり
ます。
・ 金融商品取引のご契約にあたっては、あらかじめ当該契約の「契約締結前書面」(もしくは目論見書及びそ
の補完書面)または「上場有価証券等書面」の内容を十分にお読みいただき、ご理解いただいたうえでご契
約ください。
・ 株式の売買取引には、約定代金(単価×数量)に対し、最大1.242%(税込み)(手数料金額が2,700 円を
下回った場合は2,700 円(税込み))の売買手数料をいただきます。ただし、株式累積投資は一律1.242%
(税込み)の売買手数料となります。国内株式を募集等により購入いただく場合は、購入対価のみをお支払
いいただきます。
・ 本資料は岡三にいがた証券が発行するものです。本資料の著作権は岡三にいがた証券に帰属し、その目
的のいかんを問わず無断で本資料を複写、複製、配布することを禁じます。
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金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第169号
加入協会:日本証券業協会
(平成27年5月改訂)