「知の知の知の知 」第2560号 - 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会

い~な
診療所
あまみ
中
中 央
事務局
研究所
しらさぎ
つなぐの
さくら
大阪+知的障害+地域+おもろい=創造
知の知の知の知
社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 2560 号 2015.7.30 発行
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(教えて!介護保険:6)認知症の人、どう支援?
朝日新聞 2015 年 7 月 30 日
服の着方がわからない。今日の日付を思い出せ
ない……。東京都町田市の70代の女性は、数年
前からそうしたことが目立ちだした。
家族は認知症ではないかと疑ったが、
「どこも悪
いところはない」と病院に行きたがらない。同居
の娘が今春、町田市の地域包括支援センターに相
談すると、包括の職員に加えて医師や精神保健福
祉士(PSW)
、看護師らが一緒に訪ねてきた。
「認
知症初期集中支援チーム」だ。
医師が初期か中期の認知症と判断。女性は確定
診断後に要介護認定を受け、訪問介護や宿泊など
を一体的に使える小規模多機能型居宅介護を利用
し始めた。
この支援チームは医療と介護の専門職で構成さ
れ、認知症が疑われる人を1回から数回訪問し、
進行度合いに応じて介護保険などの支援につなげ
ている。2014年度は41市区町村で実施。政
府が1月にまとめた認知症の国家戦略「新オレン
ジプラン」では、18年度までに全市区町村で行
うとしている。
町田市のチームに関わる鶴川サナトリウム病院
PSWの村山秀人さんは「本人の受診拒否や、どのような支援を受けたらいいかわからな
い場合でもスムーズに介護保険や医療につなげていきたい」と話す。
飼い犬介護も切実 人間並み工夫 ペット用品開発進む 大阪日日新聞 2015 年 7 月 30 日
人間と同様に飼い犬も介護問題に直面している。飼育環境や獣医療の向上を背景に寿命
が延び、寝たきりや認知症になる犬が増加しているためだ。このため、飼い主の負担を軽
減しようと介護用品の開発が進む。ペットを家族同然と見なす風潮も相まって需要は高ま
る一方だ。
■高齢犬向け
床ずれを予防するひじ当て、体圧分散マット、尿漏れを防ぐおむつカバー。これらはペ
ット用品の通販事業を展開する新日本カレンダー(大阪市東成区)が7月に発売した高齢
犬向け介護用品だ。ベビー寝具や医療福祉用具の製造業者と提携し、人間と同じように湿
気を放出しやすい素材をはじめ医療・介護分野で使用するクッションも取り入れている。
開発に携わった同社ペピイ事業部商品企画課の成田千恵さん(40)は「人間の世話と
一緒。だからこそ快適な物を着けさせたい」と話す。中・大型犬向けを中心に歩行を補助
するハーネスやブーツなどアイテム数は約30品目に上る。
床ずれ防止に使う犬用のひじあてとマット。ペットの世界でも介護問題
が深刻化している=大阪市東成区の新日本カレンダーペピイ事業部
■長寿命化進む
ペットフード協会(東京都)の2014年調査によると、
飼い犬の平均寿命は14・17歳。国内で飼われている推計
1034万6千匹のうち、高齢期に当たる7歳以上が53・
4%と半数以上を占める。長寿命化の背景には、ペットフー
ドの進化▽室内飼育の増加▽動物医療の向上―が挙げられて
いる。
小型犬に比べると長生きできないとされてきた大型犬の寿
命も延びているため、介護には工夫が必要だ。盲導犬をはじ
め介助犬の老後を支援する日本サービスドッグ協会(奈良県)
の五箇純子さん(44)は「大型犬は体の向きを変えるのに
も負担がかかる。ほえて何かを訴えても経験で判断するしかない」と指摘する。
特に大型犬は運動器の障害が重症化しやすい。後ろ足が弱ると自分で歩けなくなり、体
圧がかかるため床ずれできやすい。認知症が疑われる例では、夜にうろうろしたり、同じ
場所をくるくる回り続ける。家具にぶつかり自ら傷つくこともあるという。
■専門誌発行へ
1994年にペット用品通販事業に参入した新日本カレンダーはすでに、全国約8千カ
所の動物病院でカタログ情報誌を配布するビジネスモデルを構築。「老犬の世話に困ってい
る」との飼い主の訴えを踏まえ、今秋には高齢犬の介護用品専門誌を発行する。
プロモーション課の河井良宣リーダー(42)は「最期まできちんと面倒を見たいとい
う飼い主の気持ちを大切に、他にはない商品を取りそろえていきたい」と話している。
生活に行き詰まる働き盛り世代
NHKニュース 2015 年 7 月 29 日
阿部「私たちの生活に関する問題です。今年(201
5年)4月に始まった『生活困窮者自立支援制度』
。生
活保護に至る前の段階で自立につなげるための支援を
強化しようというものです。」
和久田「こちらをご覧ください。今、生活保護を受け
ている世帯は162万世帯を超え、過去最多の水準で
す。一方、生活保護の相談に訪れたけれども受給に至
らなかった人は、国の推計では年間40万人いると見られ、新たな制度はこうした人を支
えることを目的としています。この中には、病気や障
害など何らかの事情で働けない人も多くいます。制度
では自治体が窓口となって相談を受け、相談者の状況
に応じて就労などにつなげていくための支援計画を作
成していくことになっています。」
阿部「制度が始まっ
て3か月。30~5
0代の働き盛りの
世代を中心に、仕事ができず、生活に行き詰まっている
実態が見えてきました。
」
行き詰まった人たち 生活・仕事 どう支える?
今年4月から支援を受けている望月邦彦(もちづき・く
にひこ)さん、47歳です。去年(2014年)9月、出勤途中に脳梗塞で倒れ、一命は
取り留めましたが左半身にまひが残りました。
望月さんは以前、建築現場で監督をしていました。しか
し、体に障害が残ったことから働けなくなり、収入が途
絶えました。独身の望月さん。高齢の親や親族に頼らず
に、1人で生活を立て直していきたいと考えています。
望月邦彦さん「これが精いっぱいかな、俺にとって。」
病気をきっかけに望月さんには複数の問題が一気に降
りかかりました。収入が無くなって電気などの公共料金
は払えず、食費など当面の生活費もありません。それに加えて体の障害もあり、就職先を
どう見つけていくのか困り果てています。貯金は底をつき、今年1月に生活保護の申請を
しました。しかし、住宅ローンが残っていることから自
宅が資産とみなされて、生活保護の受給に該当しません
でした。
望月邦彦さん「不安
になった。収入も無
いのに住宅ローンだ
けどんどんたまって
いく。軽作業でもいいから仕事しなきゃと思っている状
況に追い込まれてきた。
」
今年4月、
「生活困窮者自立支援法」が施行されたのを機
に、望月さんの支援が始まりました。担当する神奈川県
社会福祉協議会の主任相談員、大関晃一(おおぜき・こ
ういち)さんです。
大関さんは望月さ
んの希望を聞いて
支援計画を作成し
ました。
神奈川県社会福祉協議会 主任相談員 大関晃一さ
ん「本人はまた仕事をして、自分のスタイルを持って
生活していきたいところ。」
計画では県内の行政や医療機関をフル活用します。当面の生活費は地元・葉山町の社会福
祉協議会が貸し付けます。公共料金は県の社協が独自に支援。また、買い物に付きそうな
ど生活面のサポートも行います。リハビリができる病院を紹介。そして就職先の情報はハ
ローワークに提供してもらうことにしました。
大関さんはこの計画を実行するために関係する機関を集めました。会議では6つの機関に
協力を求めました。
神奈川県社会福祉協議会 主任相談員 大関晃一さ
ん「左半身にまひが残っている状態。それでも働ける
所があれば働きたいというのが本人の主訴。」
それぞれの機関が互いに連携して支援を行うことに
なりました。
大関さんは2週間
に1度、望月さんの自宅を訪ねます。支援計画の進捗状
況を伝え、望月さんの就労意欲を支えています。望月さ
んはこれまで3社の求人に応募しましたが、採用には至
っていません。
神奈川県社会福祉協議会 主任相談員 大関晃一さん
「また次チャレンジするしかないですね。」
望月邦彦さん「手伝ってくれる人はうれしいし、助け
てくれる人にはありがとうと思って、仕事探そうって
いう気にもな
る。」
制 度 が 始 ま って
3か月。NHKは
都道府県、政令市、
中核市を対象にアンケートを行いました。3か月で相談
があったのは5万5,000人。相談者の年齢は30代
から50代の男性が全体の3割と最も多く、働き盛りの
世代で生活に困窮する人が多いことが分かりました。さ
らに、簡単には仕事に結びつかない現実も見えてきまし
た。
“生活困窮者の多
くが病気や障害を
抱えている”
“ひきこもりなど
により定職に就いたことがない”
一方で、こうした人たちを受け入れる就労の場を確保
することが難しい現状も浮かび上がってきました。神奈川県・相模原市は、民間の事業者
の協力を得て、一般の就労が難しい人のために働く場を作り出しています。
その1つが市内の造園業者です。住宅街の土地を、持ち主の依頼を受けて手入れしていま
す。ここで働く30代の男性です。仕事を辞めた後、2年間、家に引きこもっていました。
親の収入に頼って生活してきた男性は、フルタイムで働
く自信を失っていました。しかし制度が始まったのをき
っかけに、月に2回、1日5時間程度、ここで働いてい
ます。
30代男性「(体が)思っていたより動くと感じている。
何年間か外出していなかったわりには。外に行って何
か目的がある行為をして帰ってくるという行動にはつ
ながっている。その行動がさらに職探しに、もっと深
くつながっていくといい。」
こうした取り組みの結果、3か月で合わせて3人が正
社員になることができました。相模原市では、専門の
スタッフが受け入れ先の会社を開拓しています。
この日訪れたのは、清掃業者で作る市内の協同組合。
支援対象者の能力に合わせた働き方を受け入れてくれ
ないかお願いしています。
開拓専門スタッフ「最初は週2日、次は週3日。
(仕事
は)体力と相談してやっていく。」
地道な開拓によって、協力してくれる企業は今では5
0社以上に上ります。
相模原市地域福祉課 鈴木和夫担当課長「その方のス
テージに応じて階段を上がっていく。意欲が高まった、
技術が習得された、生活習慣が整ったことで就労に結
びつく。
」
行き詰まった人たち 生活・仕事 どう支える?
阿部「取材した生活情報チームの村石記者です。こうした取り組みは全国各地で始まって
いるんでしょうか?」
村石記者「相模原市のような、就労の場を開拓する
という取り組みは自治体の裁量に任されているので、
実施しているのは一部の自治体にとどまっています。
NHKのアンケートから見ても、
『そもそも企業の数
が少ない』
『支援員が足りず手が回らない』という形
で、自治体によっては十分に取り組めていないとい
う実態も見えてきています。
」
和久田「では、この制度を十分に活用していくため
には、何が必要になるんでしょうか?」
村石記者「支援の対象となりうる人は年間40万人
いるという推計から見ると、相談を寄せている5万
5,000人という数は決して多くはない数字です。
生活に困っている人の中には、行政の窓口にはみず
から足を運ばないという人も多いため、こうした人
に支援が届くように、どのような制度の周知徹底をはかっていくかということは大きな課
題だと感じました。
」
5億円ネコババ弁護士の〝裏の顔〟 脳障害少女の家族も食い物に
の味方」の仮面 産経新聞 2015 年 7 月 30 日
はぎ取られた「弱者
弁護士による多額着服・詐取事件の構図。大阪弁護士会(左
上)所属の弁護士、久保田昇被告による犯行は平成21年春
から今春まで実に6年にも及んだ。大阪地検特捜部が弁護士
事務所を家宅捜索(下)
、強制捜査に乗り出したことで「弱者
の味方」の仮面がはぎ取られた
5億円近い大金をネコババした
のは、基本的人権を擁護し、社会
正義を実現することを使命とする
はずの弁護士だった。依頼人から
の預かり金など計約4億9千万円
を着服、詐取したとして、大阪地
検特捜部は業務上横領や詐欺の罪
で大阪弁護士会所属の弁護士、久
保田昇被告(62)を起訴した。一連の捜査で、交
通事故で脳障害を負った10代の少女一家が受け取
るはずだった示談金約5400万円まで着服する無
慈悲ぶりも判明。柔和な笑顔を浮かべた「弱者の味
方」という〝仮面〟ははぎ取られた。横領などの不
正が全国的に相次ぐ弁護士。業界はいまだ有効な対
策を打ち出せておらず、国民の「不信」は拡大する一方だ。
「事務所移転で書類破棄」
「ひとりでは重い荷物も二人三脚なら軽くすることができる」
。事務所のホームページに
柔和な笑顔で登場し、依頼を呼びかけていた久保田被告。しかし、実際に手に入れたかっ
たのは、依頼人の苦しみの解決でなく、
「カネ」だった。
大阪地検特捜部が今回立件した横領・詐欺事件の被害者は(1)新潟市の建設会社(2)
大阪府岸和田市の建設会社(3)大阪市内で幼稚園を運営する学校法人(4)娘の交通事
故の示談金請求業務を委任した女性。犯行時期は平成21年春から今春まで、実に6年間
にも及んでいた。
不正発覚の発端は、新潟の会社の事件だった。この会社が兵庫県内で施工した病院の建
物の欠陥を巡って訴訟を起こされ、代理人を委任されたのが同社の大阪支店の顧問弁護士
を務める久保田被告だった。大阪高裁で23年9月に和解が成立したが、訴訟の過程で法
務局に支払っていた供託金など約3億5千万円が返還されず、同社は久保田被告を相手取
り、25年に大阪地裁に提訴したのだ。
「去年、当事務所へ移転する際に終了した事件につきましてはかなりの書類を破棄、整
理しました。今一度探しているところです」。訴訟では久保田被告が会社側代理人の弁護士
に宛て、苦しい「弁明」の手紙を送っていたことも明らかになった。
結局、地裁は久保田被告が供託金などを着服したと判断。ほぼ請求全額の返還を命じる
判決が26年8月までに確定した。
なりふり構わぬ金策
直後の同年9月、久保田被告は返還命令に応じようとしたのか、なりふり構わぬ金策に
走り出す。標的となったのは、大阪市内の幼稚園を運営し、園に隣接する土地の購入を検
討していた学校法人だった。
法人から売買契約交渉を委任された久保田被告は、実際は一切交渉しないまま「売買が
順調に進んでいる」と説明し、土地購入費名目で計2700万円を詐取したのだ。法人に
は、売買の相手方弁護士の捺印(なついん)などがあるように見せかけた偽造報告書まで
提出していた。
売買契約が進めば、交渉をしていなかった事実が発覚するのは時間の問題だった。あま
りにずさんな犯行のように思えるが、捜査関係者は「それだけ切羽詰まっていたというこ
とではないか」とみる。
「法のプロ信用」背信
こうした背信行為の中でも、特に目を引くのが交通事故で脳障害を負った少女一家の被
害だった。
当時10代だった一家の長女は平成18年1月、自転車で帰宅途中、自宅近くの交差点
で出合い頭にトラックと衝突。一時は意識不明の重体となり、脳機能障害が残った。母親
が知人の紹介を受け、事故の相手側への示談金請求業務を委任したのが久保田被告だった。
数回にわたり、示談成立前の一時金名目で入金があったが、実は「交渉途中」と説明し
ていた22年春の段階で示談が成立していた。本来の示談金は約9200万円だったが、
振り込まれたのは一部に過ぎなかった。被告が着服した総額は約5400万円に上った。
示談成立から3年余り後、久保田被告は「示談が不成立になった」との虚偽の事実を母
親に告げた。
「最近は自転車側の過失も重視されるようになった。訴訟を起こしても勝ち目
はない」と説得。結局、母親は交渉継続を断念した。
障害者向けの作業所に就職した長女は、記憶力の低下や激しい感情の起伏もあり、事故
以前の生活に戻ることはできない。
「法のプロなら大丈夫、と全面的に信用していた」。母
親は憤りを隠さない。
借金返済、キャバクラ豪遊…
捜査関係者によると、久保田被告は少女一家という「弱者」を含む被害者から着服、詐
取した5億円近い大金を自らの借金返済や事務所の維持費、生活費などに費やしていたと
いう。ただ、現実には「弱者」を食い物にした弁護士の犯罪は後を絶たない。
25年には、成年後見人を務めていた女性の預金計約4200万円を着服したとして、
東京弁護士会の元副会長が業務上横領罪に問われ、懲役5年の実刑判決を受けた。判決に
よると、この弁護士はバブル期の不動産投資に失敗し、多額の借金返済や事務所経費に充
てるため横領を繰り返した。
また、今年7月2日には、成年後見人として管理していた認知症の女性の預金を着服し
たとして、警視庁が業務上横領容疑で元弁護士を逮捕。無断で口座から現金を引き出した
り、不動産を売却したりしてキャバクラなどで使っていたという。
最高裁によると、弁護士や司法書士ら専門職による着服などの不正は、調査を始めた2
2年6月から26年末までの4年半で、全国で少なくとも62件、約11億2000万円
に上った。
判決文偽造の不祥事も
大阪弁護士会をめぐっては、久保田被告の逮捕に続き、別の会員の弁護士も裁判所の判
決文や決定書を偽造していた疑いが浮上し、大阪地検が本格捜査に乗り出している。
相次ぐ不祥事に、同弁護士会の山本健司副会長は「大変残念だ。依頼した弁護士に不審
を抱いた場合には、弁護士会に相談してほしい」と呼びかける。
久保田被告に示談金を横領された少女一家は、交通事故から9年を経た今春、地検の捜
査が入るまで弁護士の不正を疑ったことは一切なかった。もっとも、弁護士の不正を監視
すべき立場の弁護士会でも、被告の不正情報はつかめていなかったという。
拡大する一方の「弁護士不信」を解消する有効な手立てはないのか。「『弁護士自治』の
原則があり、相当程度の不正を確認できなければ、積極的に介入することはできない」。弁
護士会の関係者はこう嘆くのだが…。
中国人が爆買いする「神薬12」
日本人が知らなかった小林製薬のスゴイ実力
産経新聞 2015 年 7 月 30 日
中国人観光客らによる「爆買い」で人気
が高いのが“神薬”とも呼ばれる日本の医
薬品だ。とくに昨年10月に中国のネット
メディアで「日本に行ったら買わねばなら
ない」と紹介された「12の医薬品」が売
り上げを伸ばし、そのなかで5製品が取り
上げられたのが中堅大衆薬メーカーの小林
製薬だ。なぜ同社の製品が支持されるのか。
ニッチでも類似品のない新市場の開拓を目
指すオリジナル戦略が中国人らのハートを
つかみ、爆発的なヒットにつながっている。
(阿部佐知子)
神薬の売れゆき
「インバウンドの取り込み策を強化する」。
7月1日の新製品発表会で、小林製薬の
小林章浩社長はこう意気込んだ。
好調なのが傷口に塗ると皮膜で菌の侵入
を防ぐ液体絆創膏「サカムケア」だ。今年
4~6月の売り上げが前年同期の5倍以上
となった。そのほか、皮膚の赤みを改善す
る塗り薬「ニノキュア」は約1・5倍、額
に貼るタイプの冷却用「熱さまシート」は
約4割増になった。
売り上げが伸び始めたのが昨年秋ごろだ。昨年10月に中国の大手ポータルサイト、捜
狐(SOHU)で、
「日本に行ったら買わねばならない12の医薬品」という記事が掲載さ
れたのがきっかけだという。
このサイトでは、サカムケアは「傷口を水分から保護するので衛生的」と紹介され、熱
さまシートは「はがれにくい。急な発熱のために常備したい」とコメントが載っている。
売れる理由は「他にはない」
なぜ、これらが売れ行きが好調なのか。小林製薬の広報担当者は「日本製の安心感と類
似商品がないためでは」と分析する。
このほか12製品に選ばれた大正製薬の「口内炎パッチ」は、塗り薬が一般的な口内炎
薬でシールのように貼るタイプにしたのが特徴で、患部に密着させることができるのがユ
ニークだ。また、同じく12製品に入った参天製薬の目薬「サンテボーティエ」は疲れ目
に対する効能だけでなく、香水の瓶のような容器とバラの香りが高級感があり女性向けと
紹介された。
小林製薬の戦略
大衆薬で市場規模が大きいのは、ドリンク剤や胃腸薬、風邪薬などだ。それだけに発売
する会社は多く、大規模な投資ができる大手でないと差別化や新規参入は難しいのが現状
だ。このため中堅メーカーの小林製薬は、あえてこういった売り上げ規模の大きい市場を
狙わず「新市場を開拓し、そこで高いシェアを獲得すること」(小林社長)をビジネススタ
イルとして追求している。
たとえば、額に貼る冷却シートの市場は45億円程度で、同社の熱さまシートがシェア
約54%を占める。市場規模は500億円近くにのぼる解熱鎮痛剤には遠く及ばないが、
そこで数%を売り上げるより、自ら市場を開拓して確実に収益を上げていくやり方だ。
最大手でないからこそ、こういった「ニッチ」を狙った商品開発を成功させてきた同社
は、他にも女性用保健薬でシェア57%の「命の母」や、洗眼薬シェア65%の「アイボ
ン」シリーズなどを持つ。
同社は中国人ら訪日外国人の爆買いの影響で平成26年度の売り上げが約8億円伸びた
と分析しており、今年はさらに拡大を見込む。訪日外国人の動向に迅速に対応するための
営業担当者を今年4月に配備するなど対応も進めるなか、同社のニッチでもオリジナルな
新商品を開発する戦略が思わぬ視点で効果を生み出している。
廃寺改修し温泉福祉施設に…にぎわいづくり一役 石川
産経新聞 2015 年 7 月 30 日
石川県小松市の荒れ果てた寺が、天然温泉の銭湯を備えた福祉施設に生まれ変わり、地
域のにぎわいづくりに一役買っている。サービスを受ける高齢者や障害者に加え、一般の
利用客も含めると、多い時で250人近くの人が訪れるという。
施設は三草二木西圓寺。2008年にオープンし高齢者のデイサービスや、障害者の生
活介護と就労支援をしている。元は1473年創建の浄土真宗の寺。05年に住職が亡く
なり廃寺となった。
お寺の外観をそのまま残した建物に入ると、元は本堂だった60畳間で高齢者がテーブ
ルを囲み、笑い声を響かせていた。併設したカフェでは就労支援を受ける障害者が食事を
運ぶ。一角にある駄菓子販売のコーナーは学校帰りの子どもの遊び場に。カフェは夜、近
所のシニア世代が調理の腕を振るう居酒屋に変わる。
開設したのは同県白山市の社会福祉法人佛子園。
「廃れた寺を何とかして」と町内会から
相談を受け、高齢者がデイサービスを受けたり障害者が働いたりできる場にリノベーショ
ン(改修)することにしたという。
特に好評なのは地下約750メートルから涌き出る掛け流し温泉だ。土間や仏間を浴場
に改装し、地域の69世帯には無料で、一般客には400円で開放している。
施設長の安倍真紀さん(39)は「ここはいろんな人が日常的に交流
する場所」と話す。福祉施設に抵抗がある高齢者も顔なじみが多いため、
お寺に行く感覚で気軽に立ち寄れるという。デイサービスを利用する女
性(86)も「週4回は使っているが、毎回来るのが楽しみ」と笑顔を
見せた。
月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も
大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行