【第 3 回】倍数の見つけ方 【第 1 回】 (ルート) 【第 4 回】コーヒーカップの

文字 l や L が用いられました。したがって r から作られたともいわれています。しかし一方で 1480 年
頃に「・」で平方根を表す方法があり,1524 年以前の代数の写本には点が変形して「
Mathematics Magazine for Everyone
No.5
2015.6
http://izumi-math.jp/sanae/
[email protected]
[email protected]
」のような記
述が見られます。そこでこの点の変形だと見る人もいます。
現在のような
の記号が最初に現れるのは,1525 年ウィーン大学教授のシュライベルの弟子ルドル
フが Coss(代数)で用いたのが初めてといわれています。右の図はその一頁ですが,一番上の行には
【第 3 回】倍数の見つけ方
は 2,
は 3 でその和が 5 であると記されています。
【第 4 回】コーヒーカップの描く軌跡
分数でまだ約分できるかとか,素因数分解をするときに、何の数で割れるだろうか、などで迷うこと
がよくあります。数が大きくなったり,見なれない数字が出てくると,どんな数で割れるかの判定法が
あればいいですよね。特に 3 の倍数などは問題にもよく出てきます。
【2 の倍数】 1 の位が 2 の倍数(偶数)であること。
みなさん『所さんの目がテン!』という番組をご存知ですか。所さんが毎回日常の面白いテーマをみ
【3 の倍数】 各位の数の和が 3 の倍数であること。
つけ,解明していくという番組で、長寿番組の一つになりました。2000 年 4 月に放送された番組のテー
例えば,x=1,456,863→1+4+5+6+8+6+3=33 より x は 3 の倍数。
【4 の倍数】 下 2 桁の数が 4 の倍数であること。
マは『楽しさの科学 遊園地』というものでした。
遊園地にある遊具をめまい系(ジェットコースタやフリーフォー
例えば,x=1,456,863→下 2 桁の数 y=63 は 4 の倍数でないから,x も 4 の倍数でない。
ルなど)となごみ系(観覧車やメリーゴーランドなど)に分け、め
【5 の倍数】 1 の位の数が 0 か 5 であること。
まい系の代表選手としてコーヒーカップを分析していくという内容
【6 の倍数】 各位の数の和が 3 の倍数で,なおかつ 1 の位が偶数であること。
でした。めまい系のベスト?5は
例えば,x=1,456,863→1+4+5+6+8+0+3=27 となり 3 の倍数であるが,偶数ではないので x は
1.
コーヒーカップ
6 の倍数ではない。
2.
ビックリハウス
3.
バイキング
4.
ジェットコースター
5.
フリーフォール
【7 の倍数】 末位から 3 桁ごとに区切り,左端の区画を最初の区画とするとき,
「奇数の区画の総和-
偶数の区画の総和」が 7 の倍数であること。
例えば,x=35,123,473→35|123|473 と区切ると,奇数の区画の総和=35+473=508,偶数の区画
の総和=123,508-123=385 は 7 の倍数なので x は 7 の倍数。
【8 の倍数】 下 3 桁が 000 か,8 の倍数であること。
例えば,x=1,456,863→863 は 8 の倍数ではないので,x も 8 の倍数ではない。
【9 の倍数】 各位の数の和が 9 の倍数であること。
例えば,x=1,456,803→1+4+5+6+8+0+3=27 より x は 9 の倍数。
と、なんとコーヒーカップが1番めまいを起こしやすい乗り物だっ
たのです。なぜコーヒーカップが一番めまいを起こしやすい乗り物
なのかを科学的に解明しようというのが,その回の番組の趣旨でし
た。
私(早苗)はこのコーヒーカップの描く軌跡をコンピュータを用
いて簡単な分析をして,ホームページ上で公開していました。コー
ヒーカップは右の図にあるように大きな円盤の上に中円盤が乗って
【第 1 回】
(ルート)
いて更にその上にコーヒーカップが乗っています。大円盤と中円盤,
そしてコーヒーカップが 3 つとも回転し,その回転の速さ,回る向
きによって軌跡が変わります。図の左上にある 1:-5:0 というのは 3 つの円盤の回転の速さの比を表
15,16 世紀のヨーロッパの代数では,平方根は root
(根,ラテン語 radix)とか side(1 辺,ラテン語 latus)
に当たることが多かったようです。イタリアのレオナ
ルド(1402 年)の本には, 4 は radix de 4 ,ドイツの
レギオモンタヌスの本(1473 年)には radix quadrate de 4
のように記されています。
このあとイタリアでは最初の R と最後の x が縮約さ
れて「 」となり,フランス,イギリスでは latus の頭
します。この軌跡の上を人間が動くと思うと,それだけでも気持ちが悪くなりそうですね。この数字を
変化させると描く軌跡にはどんな秘密があるかを追求することができます。
この題材は数学と日常生活との関わりを身近に感じさせてくれる題材です。このレポートの中で使用
したシミュレーションプログラムが,番組の中で使用され,私自身も驚きでした。当時先生は出張で仙
台に行っていました。夜,ホテルに日本テレビのプロデューサーから電話がかかってきて,先生のシミ
ュレーション映像を使用させてくれないかという話だったのです。番組最後の字幕に一応名前も流れま
した。しかし,謝礼は何もありませんでした・・・。