機械分野 平成26年度共同研究 硬質めっきのELID研削法による高品位仕上げ加工技術の開発 担当部所 : 共同研究者 : 栃木県産業技術センター 機械電子技術部 日本プレーテック株式会社 背景 材料技術部 硬質鉄めっき(電気めっき) 硬質鉄めっきは、アルミニウム合金に適用することで 表面硬度の改善による耐摩耗性向上を実現できるこ とから、金型等幅広い用途への利用に大きな期待が 寄せられている。 本研究では、硬質鉄めっきを施したアルミニウム合 金を光学レンズ金型等の高精度金型へ適用すべく、 球面形状を有する硬質鉄めっきを施したアルミニウム 合金に対し、ELID 研削を用いて、要求される鏡面仕 上げと高精度形状加工を両立する加工を試みた。 ・硬く密着性の良い薄膜 ※硬質鉄めっきの硬度: HV500∼600 ダイス鋼相当 アルミニウム合金 金型に付与 図1 アルミニウム合金上の硬質鉄めっき 金型の耐摩耗性向上 研究目標と結果 研究目標 ●球面形状を有するアルミニウム合金に施した硬質鉄めっきに対してELID研削を適用し、算術平均粗さ Ra が10 nm 以下、形状精度5 µm 以下である鏡面仕上げと高精度形状加工を両立する加工を行う。 実施内容 Table.1 加工条件 ① ELID研削適用加工条件 砥石 #4000,#8000 メタルレジンボンド: ダイヤモンド砥粒 主軸回転数 [rpm] 10000 試験片回転数 [rpm] 500 送り [mm/rev] 0.01 切込み [µm] 0.5, 0.3 Coolant Work piece Jig y +Ve -Ve Grinding Tool direction wheel 回転する試験片に対し、XY 平面上で砥石を円弧軌道で動 かすことで球面加工を行った。 +Ve x ELID power supply 図2 加工時模式図 ③ 薄膜である硬質めっきに対する新たな補正加工法 y #4000砥石を用いた加工 それぞれの加工におい て、目標値である表面粗 さRa 10 nm、形状精度 5 µm を達成したが、図3中 の点線内に示すように、 頂点付近に軸対象加工 法における形状誤差が現 れた。 形状精度向上のため の補正加工を提案 #8000砥石を用いた加工 Ra:6.7 nm 形状精度:3 µm Ra:1.6 nm 形状精度:5 µm 図3 加工面外観及び形状測定結果 ④ 研究成果 砥石と試験片を接触させ、 多点の(x,y)座標を機上測定 軸の 誤差量:b O ② 加工結果 形状精度: 0.8 μm 最小二乗法を適用し、 最適円を算出 x 試験片 回転軸 接 触 機械 座標系 中心点(a,b)から、 軸の誤差量分:b 機械座標系をオフセット 補正加工の適用により、表面粗さRa 2.6 nm、 形状精度 0.8 µmを実現した。 砥石 図4 補正加工模式図 補正加工 図5 補正加工フローチャート Ra:2.6 nm 図6 補正加工後の加工面外観及び形状測定結果 まとめ ●球面形状を有するアルミニウム合金に施した硬質鉄めっきに対し、ELID研削及び補正加工を適用する ことで、表面粗さRa:2.6 nm、形状精度:0.8 µmの鏡面仕上げかつ高精度形状加工を実現した。 御来場の皆様へ 問い合わせ先:栃木県産業技術センター 機械電子技術部 TEL 028(670)3396 ELID研削と本補正加工は、汎用の加工機にも適用可能です。詳細については御相談ください。 本成果は、プラスチック射出成形用金型として実用化が期待されます。 Industrial Technology Center of Tochigi Prefecture
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