ブランド戦略の基礎と実践 ブランドの語源は「牛の焼印」。ある特定のシンボルと商品やサービスの品質・イメージ などが結びついたものと考えられている。ブランドという言葉は、企業価値、商標やマー ク、マーケティング手法など様々な観点から語られるが、プロモーションに長く携わって きた筆者はブランドをマーケティングの一手法と考え、ターゲット顧客へのコミュニケー ション手法の起点として商標やマークなどのブランドシンボルをとらえている。したがっ てブランド戦略という言葉はブランドマーケティングと言い換えた方がわかりやすくなる。 ブランドマーケティングとはもっと端的に言えばターゲットマーケティングであると考 える。商品やサービスのターゲットを絞り込み、そこに向けて最も適切な商品・サービス のコンセプトを考案し、コンセプトに基づく商品やサービスを開発し、ターゲットに向け て情報発信をしていく。この手順を『ターゲット+コンセプト・シンボル・コミュニケー ション』と呼ぶ。ブランド戦略はコーポレートブランドと商品・サービスブランドの 2 階 層で展開可能であり、両者とも同様の手順で進めることができると考えている。中小企業 であれば、コーポレート戦略がすなわち商品・サービス戦略となることも多い。 ターゲットの絞り込みとコンセプトの立案は従来からある分析手法を用いる。SWOT 分 析、3C 分析、ポジショニングマップなどが利用できる。ここで狙うべきターゲットと差別 化されたコンセプトを立案したら、この段階で魅力的な言葉で表現しておくとあとの展開 がうまくいく。ブランド戦略は複数のメンバーで当たり、組織上の稟議を経るなどの必要 性から、社内の(時には社外も含めて)合意形成をしていく必要がある。このときに魅力 的な言葉があれば求心力が大きく働く。またこの言葉を中心にビジュアル系のブランドシ ンボルに展開し、社内外に向けてのコミュニケーションのフェーズにスムースに入ってい くことができる。コンセプトを表現する魅力的な言葉やマークを「シンボル」と呼んでい る。 プロモーション系ではここで情報発信の準備が取りかかるが、業務系では具体的な商品 やサービスの設計・開発に入る。既存の商品・サービスにブランドという冠をかぶせると いう方法もある。全く新しい商品やサービスの開発であれば、設計・開発・生産等の手段 を、アウトソーシング等含めて検討する必要があるし、社内的なノウハウが不足していれ ば人材教育を並行して進める。いずれにせよ関係者にブランドのコンセプトを浸透させる ためのコミュニケーションのプロセスは社内的にも必要である。 他方、社外に向けてのコミュニケーションの準備では、メディアの選択とコンテンツの 制作が必要となる。ターゲットに向けてどんな媒体をどんな手法で伝えれば良いのかの検 討を進める。 近年はインターネットの普及でコミュニケーションのプロセスがスピーディになった。 特に市場に向けての情報発信では、アクセスログ解析等により市場の興味関心がリアルタ イムで把握でき、次に打つべき手も明確となる。コミュニケーションの PDCA サイクルが Copyright: 村木則予(株式会社アトリオン) 許可なく複製を禁じます。 Email: [email protected] 非常に短くなっているため、取り組み姿勢によってはかなり高度なマーケティングが可能 である。 20050221 Copyright: 村木則予(株式会社アトリオン) 許可なく複製を禁じます。 Email: [email protected]
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