ユマニチュード実践

い の ち
介 護 老人 保 健 施 設
(老健)
岸 和田 徳 洲 苑
(大阪府)
は、
フランス発祥のケア手法
「ユマニ
チュード」
を本格的にスタートした。
徳洲会グループの老健では初めて。
早くも認知症
ユマニチュードはフ ラ
ンスで考案されたケア 手
伝えていませんでした」
と丸山・総看護師長。
続けて「たとえば、握
手をするにしても自分の
手の平を見せるようにし
て、下から差し出せば、
手を載せてくれるのを待
抵抗や暴言、ひとり言な
れまでは看護・介護への
や手を上からつかめば
てくれます。それを手首
自然と相手から手を載せ
150に及ぶ具体的な技
つ」など。④では「身体
や認知症を有する方に 効
高さにする」、「一定の長
から見る」、「目線を同じ
し、慎重に取り組む」な
いう意志があるかを確認
本人に立って歩きたいと
表情や行動が変化した。
践したところ、少しずつ
ュードに基づくケアを実
に気づきませんでした」
。
ことですが、今までそこ
抱く人もいます。細かい
うにマイナスイメージを
的機能が保たれているか、 どを認めたが、ユマニチ “ 罰 を 受 け る ” と い う よ
果があるとされている 。
さ(秒数)で見つめる」
たとえば①では「正面
①見つめる、②話しか け
けでなく看取りにも生か
その後、施設内で研修
占める以外に、フロアに
せると考えています」。
「とくに大きく変わった
よっては平均要介護度が
今後は、こうしたニー
のは会話。それまでは反
と、 重 度 者 の 受
ズもふまえ、入所者さん
ど。これらを組み合わせ
知症そのものが改善した
4 ・.
て総合的にケアを行う。
わけではありません。ユ
け入れに積極的に対応。
など。②では「大きな声
を実践できるスタッフを
マニチュードを通じてス
や攻撃的な声のトーンで
育成。現在、原田・看護
タッフのアプローチが変
る、③触れる、④立つ(寝
入所100人、通所 人) に向けられたりしていま
師長、丸山・総看護師長
全員に提供できるように
たきりにさせない)― ―
したが、少しずつ反応が
以外に主任1人、副主任
ユマニチュードは、もっ
を行い、ユマニチュード
返ってくるようになりま
わり、入所者さんとの関
応がなかったり、体を横
がユマニチュードに取り
した。ある日、せわしな
4人の計7人が実施し、
スタッフ育成を継続。さ
岸和田徳洲苑(定員:
話を心がける」、「『ど
組むようになったのは、
く動いている私に対し
ぱら認知症ケアで注目さ
らに施設内での取り組み
容を避け、前向きな
体的に尋ねる」など。 2014年。徳洲会看護
うしました?』と具
部介護部会担当責任者の
1人当たり3人ずつ担当、 係が、より良くなったこ
れているが、丸山・総看
や成果を、全老健大会な
る面は広く」、「優し
手に触れる」、「触れ
りどちらかの手で相
たところ、岸和田徳洲苑
ユマニチュードを紹介し
病院副院長が会議などで
丸山・総看護師長も
「居
田・看護師長。
たことがあります」と原
をあおぐ仕草をしてくれ
情に明るさが戻ったりし
ち着きが見られたり、表
まずケアの中心的な役
という言葉が返ってきた
きっと、きっと来てね』
埼玉医療生活協同組合
人の入所者さんにユ
くゆっくりとなでる
の丸山・総看護師長は「当
室 を 出 る 際 に、
『また来
ているという。
割を務める丸山・総看護
のです。涙が出そうにな
計
ように」、「手の平を
施設の特長にしたい」と
ますね』と挨拶したら入
③では「可能な限
吉﨑和子・鹿児島徳洲会 『 暑 い か い 』 と、 う ち わ
とが要因だと思っていま
護師長は「看取りでも生
どで発表することも視野
上にして、相手から
考え、すぐに実施に向け
「治療ではないので、認
師長と原田さとみ看護師
りました」と効果を強調
た準備に着手した。
長が解説書やDVDでユ
する。
日を追うごとに独語や
マニチュードを学習。そ
基づいて開発された技術
尊厳を大切にする視点に
の導入を検討中。
各老健がユマニチュード
徳洲会グループでは、
に入れている。
岸和田徳洲苑は、認知
ですから、認知症ケアだ
を 見 せ る。
「人としての
症の入所者さんが8割を
3年後めど新築移転
羽 生
総合病院
第4回理事会を開催
暴言など、いわゆるBP
の後、ふたりが一緒にか
かわる入所者さんのうち
SD
(認知症の周辺症状)
になっていったという。
が軽減し、表情も穏やか
2人を対象に実施した。
ともに認知症を有する
歳代女性で要介護5。そ
「入所者さんが“自分の
ことを見てくれている”
と安心・信頼してくれた
から変わったのだと思い
ます。今までは入所者さ
んのことを大切に思って
いても、行動できちんと
看取りでも生かしたい
かしていきたい」と意欲
「どんな場
所で
も生命だけは平
等だ!」
徳洲会グルー
プはインターネ
ット上の動画サ
イト
「YouTube」
金香院長(左)
と、藤田真奈美リポーター
に、
グループ病院の医
療への取り組みを紹介する番組を毎月配信している。
今回は吹田徳洲会病院(大阪府)の心臓血管外科にスポ
ットを当てている。同院は昨年7月に新規オープン、大阪大
学医学部第一外科(心臓血管外科)出身の金香充範院長が
率いる心外チームの活躍ぶりを紹介。大阪大学医学部附属
病院や地域の診療所との連携、院内他科連携などを通じ、
患者さん一人ひとりの状態に即した治療提供の様子を浮き
彫りにしている。金香院長は「地域に溶け込み、地域に愛さ
れる病院を目指しています」
と意気込みを語っている。
番組へのアクセスは、徳洲
会グループのホームページ
(http://www.tokushukai.
or.jp)のトップ画面にあるバ
ナー「どんな場所でも生命だ 徳洲会のホームページにあるこの
バナーをクリックすると、 番組にア
けは平等だ!」
をクリック!
クセスできる
す」と、丸山・総看護師
医療連携で最善の心外治療
長は分析する。
YouTubeで紹介
マニチュードを実践し、
吹田徳洲会病院
多くのケースで行動に落
話さない」、「否定的な内
4月と7月に京都で開催
の4つの行為を基本に 、
■第2回肺がん研究会
17
法のひとつ。主に高齢 者
「最初は半信半疑でしたが、効果の
大きさに驚いています」と原田・看
護師長
術を規定。
入を進めており、
他の施設でも実践していく予定。
施設大会などで発表していく構え。
徳洲会グループでは各老健でユマニチュードの導
山洋子・総看護師長は今後も継続するとともに分析などを行い、
全国 介 護 老 人 保 健
の入所者さんに顕著な効果を認めていることから、
ケアの中心的な役割を務める丸
認知症入所者さんに効果
し ん ちょく
60
所者さんから『きっと、
ユマニチュードの技術を用いて、入所者さんに近い距離
でゆっくりと話しかける丸山・総看護師長(右)
日時:2015年4月4日
(土)午後3時開始
会場:TKPガーデンシティ京都(京都タワーホテル内)
プログラム:第 1 部 は 徳 洲 会グル ープ 肺 がん臨 床 研 究・進 捗 会 議
「Alternate-day S-1+CBDCA試験」、第2部はパネルディスカッション
「高齢者・PS不良例の対応」、第3部は特別講演(九州大学病院呼吸器
科ARO次世代医療センターの岡本勇・特任准教授が講師)
※参加無料。宿泊・交通費は各自負担。参加申込みは3月7日まで
申込み・問い合わせは徳洲会グループオンコロジープロジェクト事務局
(☎03-3263-4801)
21
埼玉医療生活協同組合は1月17日、羽生市のホ
テルで第4回理事会を開催、50人が出席し、各議案
を討議した。理事会の冒頭、福島安義理事長が「羽
生総合病院の新築移転が具体化しました。一刻も
早く移転を実現させ、地域の方々に利用していた
だきたいと思っています。新病院は高度医療の実
現を図ります」
と挨拶した。
中川和喜・専務理事は「土地取得のめどが付き
ました。県や開発審査会の審査が終われば、着工
の運びとなります。3年後のオープンを目指してい
ます」
と、出席者に協力を訴えた。
同院の松本裕史院長は「今年1年で設計を決定
し、ハードルは高くても、市長や当局と協力して1日
も早く新築移転を実現させたい」
と意気込みを見
せた。
この後、議長に大塚専司理事を選出し、
各議案を討議。また、皆野病院の堀井勝
徳事務長が羽生病院と皆野病院、介護老
人保健施設あいの郷やクリニック、
グループホームの
事業報告を行った。
瀬山光男監事は、医療講演は上期で63回実施、健
診のダイレクトメールは250社に送付したことを説明。
ワンコイン(500円)血液検査や、SAS(睡眠時無呼吸
症候群)の検査機器の貸し出しも好評を博したという。
また、羽生病院の大川啓二事務長は、結石の手術の
ために新たにレーザー装置を購入したことなどにつ
いて報告した。
理事会閉会後、新年会を開催。福島理事長が「徳洲
会は、阪神・淡路大震災から東日本大震災に至るまで、
国内外で医療救援活動を行ってきました。阪神・淡路
では、徳田虎雄・前理事長がヘリに搭乗して被災地を
視察。神戸徳洲会病院を拠点として全国の病院から救
急車とスタッフを集め、陣頭指揮を執りました」。
今後について福島理事長は「NPO法人TMATを認定
NPO法人にするために、200人(法人含む)の会員確
保を目指しています」
と出席者に協力を呼びかけた。
ユマニチュード実践
肺がん研 究 会の
参加者を募集!
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「入所者さん全員にユマニチュード
を提供したい」と丸山・総看護師長
老健 岸和田徳洲苑
徳洲会グループはオンコロジー(腫瘍学)
プロジェク
トとして目下、大腸がん、肺がん、乳がんの3領域で臨
床研究・臨床試験を進めている。また、
グループ共通の
標準レジメン
(がん化学療法の治療計画書)の整備を通
じ、エビデンス(科学的根拠)に基づく安全で効果的な
がん医療の確立に尽力している。
これら3領域では、それぞれ定期的に進 捗 状況の報
告や勉強会を兼ねた研究会を開催。今回は肺がん研究
会を4月4日
(第2回)
と7月11日
(第3回)に開催する。会
場はいずれも京都。2014年2月に第1回を開催して以来
となる。
同プロジェクト事務局は、徳洲会グループ病院で肺が
ん診療にかかわる医師、看護師、薬剤師、CRC(治験コー
ディネーター)など幅広い職種の研究会参加を募ってい
る。第2回肺がん研究会の開催概要は以下のとおり。
徳 洲 会
オンコロジー
プ
ロ
平成 27 年 2 月 9 日 月曜日│No.966 ❹
聞
新
洲
徳
生 命だけは平等だ