第62回新潟日報文化賞受賞 100%新潟産の大吟醸酒醸造を可能にした

( 発行 新潟県農業総合研究所)
《トピックス》
農業総合研究所研究員の功績が表彰されました!
第62回新潟日報文化賞受賞
100%新潟産の大吟醸酒醸造を可能にした酒造好適米「越淡麗」の開発
新潟県の酒造業界の永年の願いであった、「原料米」「水」「醸造技術」すべてを新潟で完結させる
「オール新潟」の大吟醸酒の醸造を可能にした功績が評価され、酒造好適米「越淡麗」開発グループ
(農業総合研究所作物研究センター、醸造試験場、新潟県酒造組合)が、新潟日報文化賞を受賞しま
した。
大吟醸酒は酒米を50%以下の大きさまで精米して原料としますが、県産の「五百万石」は米粒が
もろく精米が難しいため、これまでは西日本で栽培されている「山田錦」を使っている状況でした。
作物研究センターは、平成元年に「山田錦」
以上の醸造適性をもつ酒米の開発に着手し、
品種改良から製品化まで、醸造試験場や酒
造業界と共同して取り組み、平成18年に待
望の酒米「越淡麗」がデビューしました。
現在、生産者と実需が連携し、高品質な
「越淡麗」の生産や、商品性の高い大吟醸
酒の製造に取り組んでいます。このような
努 力 に よ り 、「 越 淡 麗 」 の 大 吟 醸 酒 は 酒 類
鑑評会で受賞するなど高く評価され、県内
の酒蔵の7割以上で製造販売されるととも
に、作付け面積は普及当初の10haから14
0ha(H20)に拡大し、生産者の所得向上に
も貢献しています。
「越淡麗」の大吟醸酒によって新潟清酒
ブランドの評価が高まり、酒造業界の発展
と酒米生産者の経営安定が期待されます。
「越淡麗」の開発に携わった研究員
※4ページに、平成21年度に農業総合研究所の研究員が受賞した表彰の一覧を掲載しましたので、あわせてご覧くだ
さい。
内
容
◎トピックス
○農業総合研究所の研究員の功績が表彰されました!
第 62 回新潟日報文化賞受賞 100%新潟産の大吟醸酒醸造を可能にした酒造好適米「越淡麗」の開発
◎研究紹介
○水稲の温湯消毒とタラロマイセス・フラバス水和剤を組み合わせた種子消毒法
(作物研究センター)
○「トキ色メロン」の安定栽培で佐渡特産品に!!
(佐渡農業技術センター)
○バランス・スコアカードの視点を取り入れた農業法人の経営戦略作成手法
(基盤研究部)
○ぶどう「シャインマスカット」種なし栽培の花穂整形と着粒安定技術
(園芸研究センター)
○新潟発のぎんなん革命~緑ぎんなんの収穫・販売が日本一遅い産地を救う!~
(食品研究センター)
1
《研究紹介》
水稲の温湯消毒とタラロマイセス・フラバス水和剤を組み合わせた種子消毒法
作物研究センター
水稲種子の温湯消毒は県内の約35%の面積で実施されていますが、特にもみ枯細菌病、褐条病、
ばか苗病に対する防除効果は十分ではありませんでした。
60℃10~15分間の温湯消毒とタラロマイセス・フラバス水和剤の200倍液催芽時24時間浸漬
とを体系処理すると、防除効果が向上します。
温湯処理時間・薬剤処理
もみ枯細菌病
褐条病
ばか苗病
15分
処理区
15分
温湯消毒のみ
10分
処理区
0分
10分
温湯消毒のみ
処理区
0分
対照区
無処理
0
20
40
60 0
5
発病度
図
10
発病度
15 0
5
10
発病苗率(%)
15
温湯消毒(60℃)にタラロマイセス・フラバス水和剤処理を組合せた防除効果
注)処理区:タラロマイセス・フラバス水和剤、200倍液、催芽前24時間浸漬
対照区:銅・イプコナゾールフロアブル、200倍液、浸種前24時間浸漬
《研究紹介》
「トキ色メロン」の安定栽培で佐渡特産品に!!
佐渡農業技術センター
中山間地域の新規設立法人等の経営の維持・安定の選
択肢として園芸品目を導入した複合営農確立があげられ
ます。
佐渡では新規設立法人に対する新たな導入作物として
「トキ色メロン」を選定し、現地実証栽培も含めて基礎
データを把握しています。
2
《研究紹介》
バランス・スコアカードの視点を取り入れた
農業法人の経営戦略作成手法
基盤研究部
バランス・スコアカードとは、収益、お客様、業務、人
材の4つの視点から、バランス良く目標を定めて戦略を実
現しようとする経営管理手法です。他産業の企業で導入さ
れているこの手法を取り入れて、農業法人が自社の特徴を
活かし主体的に経営戦略を作ることができる手法を開発し
ました。
この手法は、法人従事者と農業指導者が参加して、4段
階の手順に沿って話し合いながら分析やアイディア出しの
作業を進めます。詳細は、各普及センターに配布したマニ
ュアルを参照ください。
1
分析
2
発想
3
戦略検討
4
計画策定
SWOT分析
クロス分析
戦略マップ
行動計画
図1
戦略作成の手順
(視点)
売上拡大
収益
お客様
契約販売提携
先の会社に利
益を与える
もち、赤飯加工
顧客のニーズ
に応える
業務
早生、もち品種
の作付を増やし
品質向上する
加工施設を年
間稼働する
人材
適正な労力配
置をして作業を
効率化する
パートを年間雇
用し、技術を向
上させる
図2
戦略マップ事例
《研究紹介》
ぶどう「シャインマスカット」種なし栽培の花穂整形と着粒安定技術
園芸研究センター
「シャインマスカット」は食味が良好で栽培面積の拡大が期待されるぶどう新品種です。また近年の
消費傾向からは、種なしぶどうの要望が強くなっています。
「シャインマスカット」の種なし栽培では花穂整形により房形が変わりますが、1粒重や糖度への影
響は少ないため、出荷販売方法にあった整形方法を選択することが可能です(図1)。また1回目のジベ
レリン処理時にホルクロルフェニュロン液剤を加用すると果房先端部の着粒不良を防止できます(図2)。
図1
収 穫時 の果房 例
花穂整形時 3.5cm
果房重 505g、着粒数 40、1粒重 12.5g
花穂整形時 5.0cm
果房重 613g、着粒数 55、1粒重 11.1g
図2
1回目ジベレリン処理時のホルク
ロルフェニュロン液剤加用が果房
先端部の着粒不良に及ぼす影響
3
《研究紹介》
新潟発のぎんなん革命
~緑ぎんなんの収穫・販売が日本一遅い産地を救う!~
食品研究センター
新潟産ぎんなんは収穫時期が遅く、また出荷が集中するため低価格で取引されていました。そこで、
早期収穫ができ、高価格が期待できる「緑ぎんなん」の収穫時期予測・判別技術を開発しました。
この技術は、以下の4点がポイントです。殻を割らなくても中身が確認でき、流通時に乾燥しにく
く柔らかさも維持できることが大きな特徴となります。
ぎんなん果実の外観
本技術のポイント
①殻割れのない時期の判定
②アメダスデータで収穫適期予測
③塩水選手法による充実度確認
④予備調査による収穫始期・終期の決定
今後の新潟産ぎんなん
・販売期間は3倍に拡大
・流通適性の高さ(信用)
・高単価による生産意欲向上
ぎんなんの胚乳色(可食部)
平成21年度 農業総合研究所の研究員が受賞した表彰
所長
星
受賞者
豊一
表彰事業等
受賞年月日
表彰内容
全国農業関係試験研 究 平21.6.11 環境負荷低減・高品質良食味水稲品種の
場所長会表彰
研究開発と普及
作物研究センター
酒 造 好 適 米 「 越 淡 麗 」 第62回新潟日報文化賞 平21.10.30
開発グループ
「コシヒカリ新潟BLシ 平成21年度日本育種学 平22.3.26
リーズ」開発グループ 会学会賞
畜産研究センター
生産・環境科
主任研究員 小柳 渉
繁殖工学科
専門研究員 中川邦昭
2009年度日本土壌肥 平21.9.16
料学会技術賞
平成21年度日本獣医三 平21.9.6
学会中部地区学会長賞
100%新潟産の大吟醸酒を可能にした酒造
好適米「越淡麗」の開発(醸造試験 場、
県酒造組合と共同)
日本を代表する品種「コシヒカリ」のい
もち病に弱い欠点を克服する「コシ ヒカ
リBLシリーズ」の開発と全県下への普及
家畜ふん堆肥の特性の実用的評価方法の
開発
高能力牛娘牛の育成期における複数回採
胚
にいがた農総研だより 第22号【2010年(平成22年)2月発行】
編集・発行 新潟県農業総合研究所 企画情報部研究情報室
〒940-0826 新潟県長岡市長倉町857番地 TEL.0258(35)0823 FAX.0258(39)8498
URL http://www.ari.pref.niigata.jp/
E-mail [email protected]
【掲載記事についての連絡先】
基盤研究部
〒940-0826
作物研究センター
〒940-0826
園芸研究センター
〒957-0111
畜産研究センター
〒955-0143
食品研究センター
〒959-1381
佐渡農業技術センター
〒952-1211
4
長岡市長倉町857
長岡市長倉町857
北蒲原郡聖籠町大字真野177
三条市棚鱗178
加茂市新栄町2-25
佐渡市中興甲351番地
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TEL.0256(52)0448
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