暗黒物質の物理(3) WIMPと原子核の反応レートについて

暗黒物質の物理(3) WIMPと原子核の反応レートについて
第4回B02班若手研究会@早稲田 早稲田大学寄田研究室 修士1年 中新平
2015/09/01
若手研究会
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今回のトーク
WIMPの直接探索は、ターゲットとなる原子核と弾性散乱し、反跳
された原子核がおとすエネルギーを検出することによって行う。 今回のトークでは予想されるWIMPと原子核の散乱レートの計算
をし、反跳エネルギーの分布からlimitの曲線の引き方について
話していく。 2015/09/01
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事象数
事象率は対象となる媒質の単位重さあたり以下の式で表される。 NA : アボガドロ数 A : 対象の物質の質量数
n : 暗黒物質の数密度 v :暗黒物質の対象媒質に対する相対速度 積分をすることで 全事象数が求まる
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事象数
暗黒物質の相対速度はマクスウェル-­‐ボルツマン分布をしていると想定される 相対平均速度は
ρD : 暗黒物質の数密度 Mχ : 暗黒物質の質量 2015/09/01
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標的原子核とWIMPの弾性散乱
標的粒子の実験室系での反跳エネルギー ERは以下で表される。 低エネルギーでの2 体弾性散乱は、重心系で大体等方的なのでここでもこれを仮定すると、 反跳エネルギーは 0 <ER <Er の間で一様に分布する。このとき事象率は、 地球の銀河に対する相対速度を0 暗黒物質の脱出速度を∞とすると
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反跳エネルギーに対する事象数
地球速度を考慮すると、次の様に修正して良い近似となる c1c2は地球速度対する定数 c1 = 0.751 c2 = 0.561
形状因子による補正
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原子核の形状因子補正
WIMPと原子核の衝突には運動量移行が生じる
q が十分大きければ、WIMP は物質波 (=ħ/q) として原子核の内部まで侵入できるようにな
り、散乱振幅に不完全に干渉して反応断面積を小さくする 。
ρ(r):原子核の分布関数
F は運動量移行が小さいとき (qrn< 2)、近似的に 2015/09/01
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反跳エネルギー分布
Arを対象とした時の反跳E分布 (σ = 10-­‐44)
ArとXeの反跳E分布比較 (WIMP質量50GeV/c2)
WIMP 質量 10GeV/c2 50GeV/c2 100GeV/c2 Ar Xe
反応レートは指数関数的に減少する → 実験的に検出可能な反跳エネルギーの閾値を下げることが非常に重要
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検出信号
反応レートから、WIMP質量・断面積を仮定したときに あるEr領域で積分すれば、期待される信号数が求まる。
この時の観測数が0であれば、 ポアソンの片側検定により、90%の信頼度で上限値は2.3となる。
平均値2.3のポアソン分布
WIMP質量・Er領域を決めて、 断面積を変化させたときの信号数
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WIMP質量をかえてこの作業を行うと、 limit曲線が引ける
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まとめ
•  事象数Rと弾性散乱による反跳エネルギーERとすると地球の公転を
考慮したによる原子核 (質量数A) 弾性散乱エネルギースペクトルは •  WIMPによる事象のエネルギースペクトルは頻度が低く、指数関数
的に減少 p  検出器の低バックグラウンド化 p  ターゲットの大質量化 p  低エネルギー閾値の実現 これらのことが重要になってくる。
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WIMP 質量 10GeV/c2 50GeV/c2 100GeV/c2 若手研究会
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