様式 1 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 お よ び 担 当 者 学 位 申 請 者 論 文 担 当 者 三木 孝次郎 主 査 石原 正治 印 ○ 副 査 廣田 省三 印 ○ 副 査 宮本 裕治 印 ○ Impact of Post-Procedural Intravascular Ultrasound Findings on Long-Term Results Following Self-Expanding Nitinol Stenting in 学 位 論 文 名 Superficial Femoral Artery Lesions (浅大腿動脈病変へ自己拡張型ナイチノールステント留置後の長期 成績における血管内超音波検査所見の影響) 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 血管内治療(EVT:endovascular therapy)はその低侵襲性や器具/技術の進歩により浅大腿 動脈(SFA:superficial femoral artery)に病変を持つ患者に対しての治療方法として広 く受け入れられている。しかし、SFA 病変に対して EVT を施行後には、新生内膜の過増殖 に よ るス テント内再狭窄が高率に発生することが問題となる。血管内超音波検 査 (IVUS:intravascular ultrasound)は冠動脈や下肢動脈のカテーテル治療の際に広く用い られている画像診断装置であり、血管造影と比べてより詳細な情報を得る事を可能とす る。冠動脈においてはステント留置術後の再狭窄の危険因子として様々な IVUS 所見が報 告されているが、下肢動脈においてステント留置後の再狭窄に関連する IVUS 所見の報告 はない。そこで SFA における再狭窄への危険因子としての IVUS 所見を検討した。SFA へ ステント留置術の後に IVUS が施行された連続 236 病変を解析し、ステント内再狭窄によ る再治療(TLR)の施行に関連した IVUS 所見を検討した。最小/最大ステント面積、ステン ト近位部/遠位部の血管面積を測定した。定性的な所見としてステント断端の解離の有無 を評価した。TLR は血管造影での狭窄を伴う、臨床症状の増悪によって導かれた再治療の 施行とした。観察期間は 34±15 ヶ月、合計 42 病変に TLR が施行された。最小ステント 面積は TLR 施行群にておいて小さかった(13.4±4.0mm2 vs. 14.9±4.3mm2, p=0.04)。ま た遠位部の対照血管面積は TLR 施行群では小さかった(25.1±7.6mm2 vs. 32.3±10.7mm2, p<0.01)。ステント断端の解離は TLR 施行群において高頻度に認められた(45.2% vs. 19.1%, p<0.001)。多変量解析の結果、遠位部の血管面積(OR:0.91、P<0.01)、ステント 断端の解離(OR:3.51、P<0.01) は TLR の独立した予測因子であった。SFA 病変において、 小さな血管へのステント留置とステント断端の解離の発生は TLR の高い危険因子である。 SFA へ治療後の再狭窄に関連する因子を検討することは、その治療成績向上に寄与できる 可能性がある。社会的にも意義の大きい研究であり学位論文に値するものと評価した。
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