Mesop/odon について 山田致知(日本海セトロジー研究グループ) ① tlesoplodonとはあ'phius, 8Mardiusとともに は前に鼻骨,後ろに顔面骨が並び,この一見ゴタゴ Z i p h i i d a e を構成する歯鯨のー属,世界中の海に分 タした骨の塊を両外側からまず顎閑骨が,その外側 2種が知られていたが,最近 pMuvianusと 布し, 1 e l e s c o p e終末が囲む。構成骨の比率な を上顎骨の T e a d ,M a r i n eM a m m a lS c i e n c e , いう新種が加わった(M どにはかなりの個体差があるが,顎問骨の骨稜より 1 9 9 1。 ) 後ろの部分は[ ]のように囲み,前後端相互の間 Z i p h ii d a eのメンバーはすべて上顎に歯がない→ 隔には限度がある。 マ ツ コ ウ 。 この関係には,例えばアカボウと同じところもあ 頭骨上面がスコップ状に凹む。 り,おおいに様相を異にするところもある。その顎 情報は依然乏しい。現在標本を再検討して分類学を 問骨は鼻骨の前に出ることはなく,終始外側にあっ C . M o o r e( 1 9 6 3)で,北太平洋ないし 整理したのはJ. て独立に顔面骨稜に達する(相違点)。重要なことは , 日本近海産のメソプロドンは少なくとも 4種類ある 鼻孔上縁で顎間骨に顎間骨稜とよぶ前突のコブを生 と明らかにされていた 。 じること ,しかも骨稜はここで前屈みに折れ,横か carI h u l > b s i,~i n i t 抑 d e n s ,densirostri s ,s t e j n e 1 7 e ri ら顎問骨の輪郭を辿ると不連続になるが, stejne17e riの決め手のーっ とい う。この骨稜に類する特殊 8 0 0,魚津 F4 9 0 0,つ ②漂着例を見ると : 西山 M4 な隆起構造はアカボウにもあるが,形成機構はアカ j )。 まり体長は雌が雄より大(富来は男i ボウの顎間骨と類似のネジレによる(類似点)。参考 7等身=脊柱部体幹の相対長大( 6×頭骨長),線突 のため 9 0輪島名船Fを解剖してみると,顎間骨稜(烏 起も長く=筋性なのが特徴 帽子)は機能的には外鼻孔の後唇の付着に役立ち, M e a d( 1 9 8 9)によると t/esop/odon属の椎骨式: C その庇の蔭は鼻憩塞の行きづまりとなる。多くの歯 7 ,D 9 / 1 1 ,L 8 / l l,C a l7 / 2 1では計4 1 / 5 0で,分節の総 鯨と同じく頭骨には不相称があるが,軽度である。 和に種のあいだで最大 9の分節差ができることを考 右の顎間骨の発達がよく,鼻干しから顎間骨稜の範囲 えると,体部を区分する流儀では全体としての展望 でとくに右が大きい。 がしにくくなる。新しい提案として通しで考えると, 椎骨式は次のようになる。 ④ M o o r eは tlesoplodonの標本を検討して,以下の 西山 M: C l 7 ,C 8 1 6 ,L l7 2 7 ,C a 2 8 4 5 ような諸項目を分類学的な注意点として挙げている 富来 F: C l 7 ,D 8 l7 ,L l 8 2 7 ,C a 2 8 3 4 + が,この中には該当するものもあるがしないものも ダ1)数は少ないので不確定だが,例えば両個体とも ある。今後この食い違いをどう判断するかが問題と 4節の練突起が最長というように,おそらく種の 第2 なる。 特徴として注目されるものが特定できるのではない A .P r e m a x i l l a r yb r o wc r e a s e か。(富来は骨化完了しているが小さい→不思議) B .V e r t e x ③頭骨は笠をかぶったように T e l e s c o p i n g ででき D .O r i e n t a t i o n ,p r e m a x il l a r yc r e s t た上顎顔面盤 D i s c u sm a x i l l o f a c i a l i s によって上 E .T i l t ,s p i r a c u l a rp l a t e 面(鼻孔域)と下面(内臓部)が区別される。上面中 F .P r o m i n e n t i a ln o t c h C .A n g l e , a n t o r b i t a ln o t c h→ stejne17eri では鈍角 央の鼻孔の後ろに烏帽子状の隆起 V e r te x ができる G .H e i g h t , m a x il l a r yp r o m i n e n c e のが /'lesop/odonの最大の特徴。 V e r t e x の正中部に H .R os t r alp r o f i l e ,M e s o r o s t r a lo s s i f i c a t i o nの 37- 出現は性には係わりない種の特徴。進行すると いわれた。多くの下顎骨はひどく粉砕しているが, 吻は象牙様になる。上も下も直線的。 下顎関節頼の直前にちょっとした粗面がある(両津, I .A n t o r bi t a lt u b e r c l e 魚津,名船標本に見られるので偶然の構造ではない)。 J .Pterygoid sinus Ziphiidae翼状桐は特徴的に しかし,記録もな くその意義は不明である 。 大きいが, stsjns仰 riではその前端が限寓前切 痕より前へ出ることはないという 。この条件を満 足するのは富来 Fだけ,他はこの制約を突破す ⑤生態学的側面 いろいろな情報があるが,出産例があるのが注目 る。 M o o r eの基準は満足しないけど ,stsjns{J&ri に価する。すなわち, 1 9 8 8 . 4. 29 ,1 9 8 7. 4 . 2 6,それ と判断されるものがある ロ ぞれ輪島と上越において新生児と思われる個体が上 がっている。また浮遊具物の胃内容の発見例もある。 歯は,西山・長手・魚津・両津の各標本にみられる ただし,食性の証拠となるような胃の内容物は発見 が,西山雄以外は歯が蔵出しないので,このような されていない。 t l s s o p/ odonは古くは A o d o n(歯がないとの意)とも -38-
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