コーラルサンド(風化造礁サンゴ)で鶏の骨を強くする

コーラルサンド(風化造礁サンゴ)で鶏の骨を強くする
『コーラルサンド(風化造礁サンゴ)』は、珊
瑚礁が自然の波の作用で破壊され、長い年月をか
けて風化して、海底に堆積したもので、カルシウ
ムの他、ミネラルを多く含む資材です(図1)
。
採卵用の鶏において、鶏のカルシウム不足が原
因で起こるとされている「破卵」や「脚弱」は、
経営的に大きな損失を招きます。特に脚弱は、産
卵できる鶏を骨折等の理由により淘汰しなけれ
ばならず、動物福祉の観点からも問題となってい
ます。
図1 コーラルサンド
そこで、畜産研究所では、日本養鶏農業協同組
合連合会と協力して、カルシウムの補給に多く用
いられる 『カキ殻』 より、小腸での吸収が優れ
ている 『コーラルサンド』 を採卵鶏に給与する
試験を実施しました(図2)。
図2 採卵鶏への給与
その結果、『コーラルサンド』 を給与
すると、産卵後期の骨強度が維持されま
した(図3)
。また、生存率や産卵性、卵
質については、『カキ殻』 の給与と差は
ありませんでした。
採卵鶏は、約50週齢以降に骨粗鬆症
による骨折が増加して、早期に淘汰され
る個体が発生し始めます。
『コーラルサン
ド』 の給与は、良質の卵殻質を維持しな
がら採卵鶏の骨強度を長期にわたり保ち、
骨折による淘汰が減少するため、採卵鶏
飼育において、有効な資材と考えられま
す。
【 問い合わせ先 】
埼玉県農林総合研究センター
畜産研究所 養豚・養鶏担当
試験は、
『コーラルサンド』 と 『カキ殻』 を
それぞれ飼料に添加し、餌付けから80週齢まで
の生存性、骨強度、産卵性に対する影響を比較し
ました。
図3 骨強度(三点曲げ最大点)
(電)048(536)0440