岐阜大学医学部附属病院 平成27年 医師育成推進センター通信 第17号 2015.2 2月 発行 如月 あなたは10年後 10年後どんな医師になっていたいですか。 10年後どんな医師になっていたいですか。 医師としてのキャリアは、国家試験を合格してようやくスタートラインです。どんな医師になりたいのか、はっきりし たビジョンを持って突き進む人もいれば、漠然としてて不安を持つ人もいます。今回、卒後7年から10年目の医師に依 頼したアンケートの回答をお届けします。初期研修から専門医取得までひとそれぞれの軌跡があります。先輩の言葉から 何かヒントが見つかるかもしれません! Q1,初期研修から現在までのキャリア概要 Q2,専門を決めたきっかけは(それにまつわるエピソードがあれば) Q3,自身から見た診療科の魅力と入局について Q4,これまでに取得した資格について Q5,今後のキャリア形成について10年後の目標は? Q6,後輩へのメッセージ 第三内科(免疫内分泌内科) 麻酔科疼痛治療科 岩田 水野 正巳 先生(平成19年卒) ちひろ 先生(平成19年卒) Q1、初期臨床研修 Q1、岐阜大学病院 初期臨床研修 2年 岐阜大学 大学院医学系研究科 生理学:大学院生 5年(2回の産休・ 育休含む) 同時に 岐阜大学病院 麻酔科疼痛治療科 医員(パート) 平成26年(2014)年8月~岐阜大学病院麻酔科疼痛治療科 医員 Q2、もともと基礎医学の研究に興味があったため、自分の行う研究と最も密接に関 係している科として麻酔科を選びました。 Q3、結婚して子どもが生まれた後も、それまでとあまり変わらないテンポで働ける こと。子どもの緊急時や手術が長引く時にはフォローもしてもらっています。医局全 体としてこのような雰囲気があるため、育児をしながら働く医師がどんどん増えてき ています。いつか自分も周りを助ける立場になりたいなと思いながら、今はひたすら 感謝しながら日々頑張っています。 Q4、学位(医学博士) 麻酔科標榜医 麻酔科認定医 Q5、研究から臨床にシフトしてきてまだ日が浅いので、まずは麻酔科医として一人 前になるのが目標です。その後は緩和医療など、同じ麻酔科分野の中でも患者さんと 密接に触れ合うような仕事もしてみたいです。 Q6、臨床を少し離れて、基礎の大学院で学んだことは「研究マインドを持ち続け る」大切さでした。日々の麻酔の仕事に、ルーチンワークとして挑むのではなく、生 体の示す反応一つ一つに「どうしてだろう?」と考えながら全身管理を行っている と、毎日の仕事はとても楽しいです。私は麻酔科医としては少し寄り道をしています が、この期間があったおかげで、その後の世界観が変わったなと感じています。 岐阜大学病院 (たすきで2年目岐阜市民病院) 3年目から5年目 岐阜大学病院 第三内科 (免疫内分泌内科) 5年目から7年目 藤田保健衛生大学 リウマチ感染症内科 8年目から 岐阜大学病院 第三内科 (免疫内分泌内科)現職 Q2、もともと精神科志望であり、2~3年間の内科後期研修を 経て精神科に入局する予定でした。それについての理解もあり、 当科に一旦入局しましたが、上司について勉強しはじめた膠原病 が思いのほか楽しく、そのまま居ついています。 Q3、第三内科は、基本的には手技のない内科であり、内科一 般+糖尿病や内分泌、膠原病を専門とします。内科らしい内科で あると自負しています。また、これからの高齢化社会に向けて ニーズは多くあります。膠原病科も不足しているので、入局をお 待ちしております。 Q4、内科認定医 Q5、リウマチ専門医、内科専門医、糖尿病専門医を目指し、臨 床のみでなく、教育もきちんと行えるように努力していきます。 Q6、勉強することが多くあると思いますが、残念ながら一生そ れが続きます。だからこそ自分の好きな分野を見つけ、その道で の勉強を続けてください。 第一内科・血液内科 中村 信彦 先生 (平成18年卒) Q1、岐阜県立岐阜病院 (現、岐阜県総合医療センター)で2年間(主に内科全般)の初期臨床研修。第一内科に入局し、引き続き同病院で1年間の後期 研修(主に消化器内科)後、大学病院で消化器内科および血液内科を中心に研修 Q2、内科医を目指していましたが、専門領域が決められずに、初期臨床研修終了直前まで悩んでいました。その時に、当時の第一内科の医局長の先生よ り、幅広い臨床能力と専門知識を身に付けることが可能な第一内科への入局を勧められ入局を決めました。現在は、血液内科を専門としていますが内視 鏡検査にも携わっています。 Q3、血液内科の最大の魅力は、診断から治療まで一貫して行うことができることです。また、血液の異常はあらゆる診療科において起こりうることであ り、様々な科の先生たちと協力して診察できることも魅力です。 Q4、認定内科医 血液専門医 がん薬物療法専門医 Q5、血液専門医となって初めて知ったのは、実は岐阜県は人口当たりの血液専門医の数が、全国で最も少ないということです(2013年:10.3人/人口 1,003人)。それは、血液疾患に悩む患者さんに対して十分な医療が提供できない可能性があるということであり、一人でも多くの血液専門医を志す後 輩を指導したいと思います。 Q6、私は、市中病院で研修を受けた後に大学病院で研修を受けましたが、それぞれの利点があると思います。特に大学病院での研修は、各領域の専門医 が集まっており、一つ一つの症例を深く勉強することができるため、専門性を高めるために重要だと思います。市中病院での研修も大切ですが、一度は 大学病院で研修することをお勧めします。 神経内科・老年内科 吉倉 延亮 先生(平成20年卒) Q1、初期研修:岐阜県総合医療センター 平成22年(2008)から現在まで岐阜大学病院 Q2、部活の先輩が神経内科へ入局したから Q3、・急性期から慢性期まで。・全身をみる。・分からない病気/希少な病気がみられる。・高齢者、認知症Ptなど今後必要とされる。 Q4、 認定内科医 Q5、 博士学取得 神経内科専門医 Q6、どこに入るかは、それほど重要ではなく、どこで長くやれるか、そこで何をしたか、自分の性格と向いているかを考えて、入局するとよいと思いま す。入局しなくても医師としてやっていける時代ですが、一人でやれることは多くありません。繰り返しになりますが、自分が何をしたいかをよく考え ることが大事です。 放射線科 川田 紘資 先生(平成20年卒) Q1、総合病院 聖隷三方原病院(浜松市) 初期研修医 2年間 <後期研修>岐阜大学医学部 放射線科 医員 3年間 <国内留学>愛知県がんセンター中央病院 放射線診断・IVR部 レジデントおよび医員 各1年間 Q2、過去の自分の経験から、大血管疾患および救急医療に携わりたいと考えて学生時代や初期研修時代を過ごしました。また同時に実習や研修中に経験 した血管造影のすばらしさに感動し、徐々に血管内治療を専門としたいという気持ちが芽生えてきました。血管内治療を行う分野は放射線科以外にも循 環器内科や消化器内科なども有りましたが、専門を決めるに当たり、岐阜大学・放射線科が全国的に見ても救急IVRに力を入れていること、また同時期 に心臓血管外科の先生方とチームを組んで大動脈ステントグラフト治療に取り組み始める事になったこと等から、自分のやりたい仕事が出来ると感じ放 射線科(特に血管内治療、IVR)を専門とすることを決意しました。 Q3、放射線科は診断から治療まで関わることが出来る事、他科の先生方と関わりながら様々な科をつなぐ、ある種“チーム医療の要”として仕事が出来る 事が最大の魅力と感じています。放射線科の仕事は読影(CT、MRI、核医学など)、IVR治療,放射線治療と大きく3つに分けることが出来ますが、いずれ も他科との協力が欠かせない、多領域に渡る仕事が多くやりがいを感じます。また、特に自分が専門にしたいと考えているIVRの分野では救急疾患の治 療に当たることも有れば、癌患者の治療や緩和の為に手技をする機会もあり、対象は急性期疾患から慢性期疾患まで多岐にわたるため常に新鮮な驚きが あります。 入局に関しては個人個人で目的が異なると思いますが、岐阜大学放射線科は国際誌に多数の論文を発表されている先輩方が沢山いらっしゃり、 Academicな分野に関しても充実した指導を受けることが出来ます。そこに魅力を感じて入局してきた後輩も多く、意欲的なので常に刺激を受けること が出来ることから入局したことで充実した環境で仕事をさせていただいているなと感じています。また国内留学で貴重な経験を積むことが出来たことも 入局した事で得られたメリットだと感じています。 Q4、放射線科専門医 Q5、放射線科読影専門医、IVR専門医等のIVR診療に関わる資格取得を当面の目標とし勉強を続け、地域医療に貢献できる人材になることを目標として います。また治療を行うだけでなく、臨床データ集積や臨床研究への積極的な参加で、Academicな面でも医療分野に貢献できる人材になりたいと考え ています。 Q6、現代医療では、generalな知識が求められる一方で1人の能力には限界があり、各自が専門性を持ち、助け合う事が大切だと痛感します。実習や研 修中には驚くほど多くの情報が目の前を通過する為、取捨選択が非常に重要で、その意味でもなるべく早く専門を決めてその分野で仕事をする視点を大 事にするとより有意義な時間が過ごせるのではないかと思います。頑張ってください。 岐阜大学病院のある岐阜県岐阜市の「岐阜」の名の由来は、諸説ありますが、ひとつに戦国の世に、この地から天下統一を 目指した織田信長が故事にちなんで選んだとか……。昔も今も東西を結ぶ交通の要所であり、時代によっては、歴史を動か す舞台にもなった岐阜ですが、南部の濃尾平野を除く三方を山地が取り囲む形状のため、ある意味隔離された状況でもあり ます。結果、多くの症例、疾患が集まることになります。平成29(2017)年度から専門医制度も変わります。見識のあ る医療従事者になるには、臨床医学はもちろん基礎医学にも深く考察できる環境で生活するのが大切なのでは……。 生活環境の点でも岐阜は、お勧め!! TOPICS 10年後あなたはどんな医師になっていたいですか? 平成27年2月2日 岐阜大学病院内でYou Tube公式チャンネル用動画 本 院 で は、ひ と り ひ と り の た め に の撮影がありました。センター関係では、水田センター長が、医師育成・教育につ キャリアデザインを叶える柔軟性のあ いてインタビューを受け、大江副センター長は、実際に研修医を指導している場面 を 撮 影 し ま し た。な お、紹 介 動 画 は、施 設 検 索 | ホ ー ム メ イ ト・リ サ ー チ (http://facility.homemate-navi.com/)で2月下旬からご覧いただけます。 るプログラムを初期臨床研修から提供 しています。詳しくは、センターホー ムページ参照!! *今号に掲載したアンケートを含め、今回ご協力いただいた先生方のアンケートは、すべて医 師育成推進センターホームページに近々アップする予定です。今回、協力いただいた各診療科 等の先生方には、紙面をお借りしてお礼を申し上げます。お忙しい中、ご協力ありがとうござ いました。 発行:岐阜大学病院医師育成推進センター TEL:058-230-6048 E-mail: [email protected] HP:http://hosp.gifu-u.ac.jp/kensyuui/index.html
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