7月下旬の水田畦畔におけるカスミカメムシ類の発生量 は過去 10 年間

平成27年度病害虫発生予察情報
注 意 報 第 3 号
平 成 27 年 7 月 30 日
岩手県病害虫防除所
7月下旬の水田畦畔におけるカスミカメムシ類の発生量
は過去 10 年間で3番目に多くなっており、斑点米の多発
が懸念されます。水稲の生育に合わせ、穂揃1週間後の
薬剤防除を徹底しましょう。
1 対象作物、病害虫:イネ、カメムシ類(斑点米の原因となるカスミカメムシ類)
2 対象地域
:県下全域
3 発生時期
:並
4 発生量
:多
5 予報の根拠
(1)水稲の出穂期は平年より1日早い見込み(表1)
。
(2)7月 17~24 日の巡回調査(74 圃場)における水田畦畔すくい取り調査では、カスミカメムシ
類の発生圃場率は 48.6%と過去 10 年間で3番目に高い(図1)。
(3)加害種別には、アカヒゲホソミドリカスミカメは過去 10 年間で3番目に高く、アカスジカスミ
カメは平年より低い。
(4)アカスジカスミカメの第2世代ふ化盛期は平年よりかなり早まると予測され(表2)
、8月下旬
以降、本田における発生密度が増加する可能性が高い(平成 22 年度岩手県農業研究センター試験
研究成果「7~8月の高温がアカスジカスミカメの発生に及ぼす影響」参照)。
6 防除対策
(1)粉剤、液剤による薬剤防除の適期は、水稲の穂揃 1 週間後である。表1を参考に適期散布に努
める。
表1 地域別、品種別の出穂期予測(7 月 28 日現在)
地帯名
品種名
北上川上流 北上川下流 東部
北部
全県
いわてっこ あきたこまち どんぴしゃり ひとめぼれ
本年(予測)
8/4
8/2
8/3
8/7
8/3
8/7
8/4
8/3
8/1
平年
8/4
8/4
8/5
8/5
8/4
8/5
8/4
8/3
8/5
平年差
±0
-2
-2
+2
-1
+2
±0
±0
-4
※平成 27 年7月 30 日発行 農作物技術情報第5号水稲より抜粋
※平年値は H22-26 の5ヵ年の平均を基本とするが、データがない場合はある年次のみの平均
※出穂期の予測は、リアルタイムメッシュ気象情報システム「水稲生育ステージ予測支援」により、7/28 以降の気温が平年並で推
移する場合の予測結果である。
(2)以下のような場合は斑点米の発生が多くなるので、穂揃 1 週間後および穂揃2週間後の2回防
除を実施する。(穂揃1週間後にアルバリン剤、スタークル剤を使用し追加散布を行う場合、2
回目は穂揃3週間後に実施する。)
ア 水田付近に出穂開花中のイネ科植物(特にイタリアンライグラス)を含んだ牧草地、雑草地
等があり、カスミカメムシ類の発生密度が高い場合。
イ 本田内にノビエ、イヌホタルイ、シズイなどが多発している場合。
ウ 割れ籾が多い品種(あきたこまち等)の場合。
(3)畦畔際のみの薬剤散布では効果が劣るので、薬剤は水田全面に散布する。また、水田周辺に牧
草地などのカスミカメムシ類の発生源がある場合や、例年斑点米の発生が多い場合は、畦畔を含
めて薬剤による防除を行う。
(4)カスミカメムシ類は、移動性が高いので地域一斉に防除すると効果が高い。地域の穂揃期の幅
が7日以内の場合、半数の圃場が穂揃期に達した時期の約7日後に一斉防除を実施する。
(5)水稲出穂期以降に畦畔の草刈りを行う場合は、穂揃1週間後の薬剤散布後おおむね1週間以内
(残効期間内)に行う。
(6)地域内で出穂の早い品種がある場合は、その圃場に被害が集中することがあるので注意する。
7 留意事項
(1)養蜂活動が行われている地域で殺虫剤を散布する場合は、養蜂家と協議の上、散布時期を事前
に通知するなど、ミツバチの危害防止対策を徹底する。
(2)薬剤散布の際は、農薬使用基準を遵守し、周辺への飛散防止に努める。
80
80
カスミカメムシ類
少(1~20頭)
アカスジカスミカメ
中以上(21頭~)
60
発
生
圃 40
場
率
発
生
圃 40
場
率
% 20
% 20
少(1~20頭)
中以上(21頭~)
(
(
60
)
)
0
0
H17 18
19
20
80
21
22
23
24
25
26
27 平年
H17 18
19
20
21
22
80
アカヒゲホソミドリカスミカメ
25
26
27 平年
中以上(21頭~)
60
中以上(21頭~)
発
生
圃 40
場
率
(
(
発
生
圃 40
場
率
少(1~20頭)
24
カスミカメムシ類幼虫
少(1~20頭)
60
23
% 20
)
)
% 20
0
0
H17 18
19
20
21
22
23
24
25
26
27 平年
H17 18
19
20
21
22
23
24
25
26
27 平年
図1 7 月下旬水田畦畔すくい取り(往復 20 回振)の発生圃場率年次推移
(左上:カスミカメムシ類=アカスジカスミカメ+アカヒゲホソミドリカスミカメ+カスミカメムシ類幼虫)
(右上:アカスジカスミカメ成虫、左下:アカヒゲホソミドリカスミカメ成虫、右下:カスミカメムシ類幼虫)
表2 有効積算温度によるアカスジカスミカメの世代推定
年 次
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
平年
ふ化盛期
7/13
7/13
7/11
7/10
7/6
7/6
7/8
7/11
7/6
7/1
7/1
7/10
第1世代
羽化盛期
7/29
7/31
7/30
7/25
7/22
7/20
7/20
7/27
7/23
7/16
7/16
7/26
産卵開始
8/3
8/6
8/5
8/1
7/28
7/25
7/27
8/1
7/30
7/24
7/22
8/1
ふ化盛期
8/10
8/13
8/12
8/9
8/6
8/1
8/5
8/7
8/8
7/31
7/29
8/8
第 2世代
同差平年比 羽化盛期
+2
8/22
+5
8/25
+4
8/26
+1
8/27
-2
8/20
-7
8/13
-3
8/15
-1
8/20
±0
8/22
-8
8/13
-10
8/11
-
8/21
産卵開始
8/30
9/2
9/4
9/3
8/28
8/18
8/24
8/25
8/29
8/20
8/17
8/28
※アメダス地点北上を使用し、7/28 までは現況値、以降は平年値を使用したもの。
※平年値はアメダス地点北上の 10 年平均を使用。
【平成22年度試験研究成果の要約】
アカスジカスミカメ第2世代ふ化
盛期の早い(北上で8月5日以前)高
温年は第2世代成虫の発生が早まり、
7月や8月上旬の発生が少なくても
8月下旬以降は本田における発生密
度が増加する可能性が高いため、追加
防除等の対策が必要である。
※本年の第2世代ふ化盛期の予測は
7/29(表2)となっている。
【利用上の注意】
本資料に掲載した農薬は、平成 27 年7月 22 日現在の農薬登録情報に基づいて作成しています。
・農薬は、使用前に必ずラベルを確認し、使用者が責任を持って使用しましょう。
・農薬使用の際には、(1)使用基準の遵守(2)飛散防止(3)防除実績の記帳 を徹底しましょう。
【情報のお問い合わせは病害虫防除所まで】
TEL 0197(68)4427
FAX 0197(68)4316
☆この情報は、いわてアグリベンチャーネットでもご覧いただけます。
アドレス http://i-agri.net/