i Magazine 5月号

U 研・
発見!
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N T E
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今年のiSUCには、これからのiSUCの
新しい姿も織り込んでいきます
佐々木 健治氏
第 26 回 iSUC 福岡大会 実行委員長
フジタ製薬株式会社 システム部長
今年10月14日〜16日に開催される第26回iSUC福岡大会が始動している。今回は、新たな25年へ向けてのスタートの年。
どのようなiSUCを構想し準備を進めておられるのか、実行委員長の佐々木健治氏に話を伺った。
iSUCはITの活用を学ぶ
絶好の機会という信念 佐々木 iSUCに初めて参加したのは、1993 年の第 4 回神
戸大会です。当時 20 代の前半で、ベンダーに籍を置いて
AS/400のプログラムを書いていたのですが、ほかの人がど
のように開発しているのか、どのような事例があるのかに興味
i Magazine(以下、i Mag) 最初に、iSUCとの関わりか
があり、上長にかけ合って行かせてもらいました。当時は一
らお話しください。
人でiSUCに申し込むと、宿泊ホテルは他の会社の参加者と
3 人相部屋で、まったく知らない者同士でしたが、楽しく交流
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発見!
させていただいたのが懐かしい思い出です。当時は、IBM
うイベントそのものを考える契機にもなりました。そうした見方
へのリクワイアメントを募るプログラムがあり、そういう要求も出
は、一参加者として参加している時はなかったですね。
せるのか、と強く印象に残ったことを覚えています。
その時はセッション委員として、清本(隆司)リーダーのも
と、今の時流に合うセッションは何かをみんなで討議し、ユー
i Mag その後も継続して参加してきたのですか。
ザー事例をどうすれば発掘できるかという方法論から検討し、
調査しながらプログラムを作っていきました。そのやり方、考
佐々木 1996 年にフジタ製薬に移ってからは10 回以上参加
え方は、今回のセッションチームにも受け継がれています。
しています。セッションの講師も3 回ほど務めました。いずれ
も自社の事例発表ですね。
i Mag それは、会社が奨励しているということですか。
i Mag 昨年の事務局長は大役でしたね。
佐々木 自分としてはいい経験になると思い、声をかけられ
た時に、ぜひやらせてくださいと逆にお願いしたほどでした。
佐々木 社長の藤田昌弘は、第 5 回と第 14 回の実行委員
去年を振り返ると、事務局長としてさまざまな経験をし、とても
長を務めたことがあり、iSUCとの関わりや思い入れは人一倍
充実した1 年を送れたと思います。
強くもっています。しかし、単にiSUC が好きというより、この
ようなイベントに参加して知見を広め、人とのつながりを作るこ
i Mag それはどういう経験ですか。
とを非常に重要視しているからだと思います。つまり、当社の
ような規模の会社が大企業に伍してビジネスを展開していくに
佐々木 iSUCの実行委員会では、3日間のイベントに向かっ
は、個々の社員がより強くなり、会社全体として高い生産性
て、1 年をかけて準備していきますが、期日が決められている
を維持し、他社との差別化を不断に図っていくことが不可欠
ので、それに遅れないようにするにはどうすべきかを絶えず考
で、その実現はIT の活用なしにありえず、iSUCはIT の活
えていました。そのことで得たのは、決断すべき時は決断し
用を学ぶための絶好の機会になるという信念があるからだと
なければならないという、当たり前のことながら、非常に重要
思います。iSUCは、目的やテーマをもって参加すれば必ず
な教訓でした。iSUCのような大きなイベントは、決めるべきこ
何かを得られますし、実行委員を務めることは個人の成長に
とを早く決めていかないと先に進んでいきませんし、多くの関
もつながるという考えもあるのだろうと想像しています。
係者に迷惑をかけることになってしまいます。そこで、決断す
べき時にはタイミングを見計らい、きちんと決断するようにしまし
た。それには、人との関係やコミュニケーションがいかに重要
かということも、あらためて痛感しました。人との関係は、けっ
して短時間で作れるものではありませんし、日頃の積み重ね
が重要です。それも事務局長を務めて、あらためて経験した
ことでした。
i Mag 実行委員としての参加はいつからですか。
佐々木 第 23 回の仙台大会(2012 年)からです。この時
はセッション委員で、翌年の別府大会でセッションチームのサ
ブリーダーとなり、昨年の札幌大会で事務局長、そして今年、
自社のシステム再構築を
事務局職のかたわら実施
i Mag 事務局長とフジタ製薬のシステム部長としての役割
i Mag 一参加者と実行委員とでは、iSUC の見え方が違い
は、どう使い分けたのですか。
ますか。
佐々木 iSUCに関わるには、会社の業務をしっかりやってい
佐々木 まったく違いますね。特に初めて委員となった仙台
かなければならないと常に考えていました。実は、事務局長
大会では、セッションの作り方を従来の公募からセッションチー
を務めた昨年は、当社のシステム化の歩みの中でもエポック
ムによる手作りに大きく方向転換した時だったので、iSUCとい
メーキングだった年で、IBM iをFlex System へ切り替えて
http://www.imagazine.co.jp/
佐々木 健治 氏
実行委員長になりました。
INTERVIEW ◉
「決断すべき時は
決断しなければならない」
を学ぶ
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システム基盤を一新するとともにデータセンターに移行し、そ
企業の規模や業種、立場の違いで垣根があることを意識せ
れと同時に、老朽化しているアプリケーションの改修や ERP
ざるをえません。iSUCの優位性は、そういう垣根をこえて交
のバージョンアップを実施しました。プロジェクトの開始が 1月
流でき、最新情報を得られることなので、今回はその垣根を
で、本番稼働が 7月でしたから、事務局長としての忙しい時
こえられる仕掛けをたくさん作りたいと思っています。
期にちょうど重なっていました。事務局長の仕事と並行してそ
れをやり遂げられたことも、大きな充実感につながっています。
i Mag 今年は実行委員長ですが、会社のほうはいかがで
すか。
一人参加・初参加者に
楽しんでもらう仕組みづくり
佐々木 会社では今年もITを活用した業務改革を推進し、
i Mag 現時点(インタビューは4月末)で決まったことはあ
モバイルの活用を製造領域に広げる計画です。当社では、
りますか。
2011 年にiPadを導入して営業改革を実施しましたが、今度
は製造ラインの計量器とモバイルデバイスを連動させて、出
佐々木 まだ決めるべきことの30%程度しか決まっていません
庫業務を支援するシステム構築を検討しています。メーカー
が、小学生を対象とした社会貢献プログラムを4 年ぶりに復
である当社の基幹業務に関わるモバイル活用になると考えて
活させる予定です。モバイル端末を使ったプログラミングの学
います。
習ですが、遊びの要素も取り入れながら未来を担う子供たち
にIT への関心をもってもらおうという企画です。
もう1 つは、一人で参加される方や初参加の方にiSUCを
大会テーマ「創」
と
「垣根」に
込めた意味と思い
楽しんでいただくための仕組み作りです。iSUCに初めて参加
された方に感想を伺った時、初日夜のiSE(情報交換会)は
「初めての人にとってはアウェイ感覚だった」というご意見を
いただきました。つまり、同じ会社や取引先関係の人たちに
i Mag 第26回iSUC福岡大会のメインテーマを
「創
(つくる)
とっての交流の場にしかなっていない、という感想です。昨
〜垣根をこえた新しい価値の創造〜」としましたが、どのよ
年、
「ファーストタイマーズ・セッション」に力を入れたり、その
うな考えからですか。
後の交流する場として「コネクトルーム」を用意したのですが、
積極的な活用には至りませんでした。今年は、そこをどうす
佐々木 iSUCの柱は参加者の交流と研鑽ですが、その精
るかが課題です。
神を受け継ぎ、
「人と人の新たなつながりを創る」「iSUCで学
んで自ら新しい仕組みを創る」という2 つの意味を込めました。
i Mag セッションについてはいかがですか。
また、
「垣根をこえる」には、iSUCには全国から人が集まり
ますから、まず「地域の垣根をこえる」、そして「企業規模
佐々木 ユーザー事例は今大会でも重要なテーマです。
や業種の垣根をこえる」、さらにさまざまな立場の人が参加さ
ユーザーが求めているものを突き詰めると、ユーザー事例や
れますから「ユーザー、ベンダー、IBMの垣根をこえる」と
ユーザーの体験・取り組みに行き当たります。今年のセッショ
いう3 つの思いを込めました。昨年の大会テーマが「挑(い
ンリーダーの小山(祐二)さんはまさしくそのユーザーで、ア
どむ)」でしたから、挑んだことを今回は実体として創り上げ
イデアをこらして準備を進めています。その中には、セッショ
ようという考えもあります。
ンの講師と参加者が大会期間中だけでなく、その前後にもつ
ながる仕掛け作りができないか、ということも検討しています。
i Mag 「垣根」を強く意識されているわけですね。
佐々木 ある時に地方の方とお話しさせていただく機会があ
り、地方では必要なIT 情報が得られない、得る機会がない、
ということをおっしゃっていました。それは厳然たる事実だと
思います。そのことに目を向けると、地域の間に垣根がある、
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IBMの技術や取り組みを
実体験できる場に
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発見!
ユーザーが求めているものを突き詰めると、
ユーザー事例やユーザーの体験・
取り組みに行き当たります。
ユーザー事例は今大会でも重要なテーマです。
る場ですね。
佐々木 はい。しかし変わらない点は、iSUCはIBMのファ
また、参加者の約半数が初参加で、そうした参加者のプ
ンの集まりだということですね。昔は、IBMの事業所やショー
ロフィールを分析すると、参加者を送り出す企業が社員教育
ルームを訪ねると、最新技術の展示がたくさんあって、IBM
プログラムの一環としてiSUCを定着させていることがわかりま
が今何を進めているのかを肌で感じることができましたが、今
す。今年は26 回目を迎え、新しい四半世紀へ向けてのスター
はネット中心となり、そうした機会が少なくなっています。それ
トの年となります。これからの iSUC の新しい姿も織り込んで
をiSUCで再現したいと思っています。IBM の最新技術セッ
いかなければならないと考えています。
http://www.imagazine.co.jp/
佐々木 健治 氏
ションはもちろんのこと、IBMの技術や取り組みを実体験でき
INTERVIEW ◉
i Mag iSUCも年々変わっていきますね。
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INFORMATION
第26 回 iSUC 福岡大会
大会テーマ
創
∼垣根をこえた新しい価値の創造∼
会 期:2015年10月14日
(水)
∼16日
(金)
会 場:福岡コンベンションセンター
福岡国際会議場
主 催:全国IBMユーザー研究会連合会
支 援:日本アイ・ビー・エム株式会社
協 力:九州IBMユーザー研究会
★
参加申込期間:2015年7月27日
(月)
∼9月28日
(月)
http://www.uken.or.jp/
第 26 回 iSUC 福岡大会 実行委員会
実行委員長
佐々木健治
フジタ製薬株式会社
事務局長
松尾佳子
JBCC ホールディングス株式会社
リーダー
小山祐二
澁谷工業株式会社
委 員
木村 仁
TMI ソリューションズ株式会社
委 員
林 昭洋
株式会社京王 IT ソリューションズ
委 員
矢川智子
日本アイ・ビー・エム株式会社
委 員
濱田正彦
日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング株式会社
委 員
新宮 貢
株式会社アイ・ティー・ワン
委 員
海老原弘次
株式会社ヤマタネ
委 員
高山隆一
株式会社アシスト
リーダー
中村信幸
明治安田システム・テクノロジー株式会社
委 員
原口重樹
ジャパンウェブサービス株式会社
委 員
西崎幹夫
キリンビジネスシステム株式会社
委 員
黒瀬勝裕
株式会社エス・エス・デー
委 員
須田拓弥
株式会社アートネイチャー
委 員
高橋理恵
損保ジャパン日本興亜システムズ株式会社
セッションチーム
アドミチーム
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