インタビュ ー TATA CONSULTANCY SERVICES JAPAN 代表取締役社長 アムル ラクシュミナラヤナン 氏 日本企業のグローバル化に貢献する ―三菱商事との合弁で新たな価値創造を タタ。人口 13 億人のインドにあって、10 万人のパルシー族がなぜ世界最大級の財閥になり得たのか? その情報・IT ビジネス部門のタタコンサルタンシーサービシズが、日本という大市場の開拓に三菱商事との合弁 で挑戦する。果たしてどのような手を繰り出すのか。その意欲と戦略についてラクシュミ社長にお聞きした。 -タタ社のルーツは? の社会に貢献することを使命としている。 タタ・グループは現在ではインドで最大級のコ その TCS の売り上げは 130 億米ドルで、タタ・ ングロマリットだが、ペルシア(現在のイラン) グループ内でも重要な位置を占めている。もとも からインドに渡ってきたパルシー(ゾロアスター と TCS はグローバル志向で、現在ではインド国 教徒)族のジャムシード・タタがボンベイ(現在 内の売上比率は7%しかなく、米国が 53%、英国 のムンバイ)に 1868 年に設立した綿貿易商社が を含む欧州が 29% という売上比率になっている。 TCS の日本進出は 1987 年だが(TCS ジャパ その始まりだ。 タタはインドという国に溶け込み、繊維から、 ン:TCSJ)、TCSJ は 2014 年7月1日、TCS が 金融や不動産、鉄鋼、自動車、食品、通信などあ 51%、三菱商事 49%の出資比率で、三菱商事の らゆる分野に進出、さらには IT 産業にまで拡大・ グループ会社であるアイ・ティ・フロンティアと 発展してきた。日本には明治時代からインド綿の 合併した。 ビジネスで関わりがあって支店を設けるなどして -日本企業のグローバル化については? おり、戦前から日本との縁が深い企業でもある。 グローバル化が必至の時代 -グローバル化の現状と今後の方向性は? 近年はグローバル化が進み、 自動車 (ジャガー) 、 日本在外企業協会は 300 社の一流企業が会員 と聞いているが、多くはグローバルなビジネス展 開をしていると思う。 確かに日本の国内市場は大きいが、国内市場だ けに頼っていてはこれからの企業の成長・発展は 鉄鋼(コーラス社)などでは米欧と提携、買収を 難しいのではないか。今は日本企業にとってもグ しており、最近はイギリスの飲料会社も買収した。 ローバル化が必至の時代だ。その培った技術やノ また、高級ホテルもニューヨーク、ボストン、サ ウハウを武器に世界に拡大する時だと思う。だか ンフランシスコで買収するなどしている。 らマネジメントもグローバル化の方向に向かうべ IT ソフトビジネスを担当する Tata Consultancy きだが、そのためにはグローバル化を効率的に進 Services( タタコンサルタンシーサービシズ:TCS) めることが重要だと考えている。そうすることで は 1968 年、つまり、タタ本社ができて 100 年後 企業の発展が確保できるのではないか。製薬業界 に創業し、2014 年で 46 年の歴史を持っている。 や保険業界などは逆にグローバル企業が日本市場 TCS は世界中でグローバルスタンダードのサービ に進出してきており、そことの競争も考えなくて スを提供し、ローカルエコノミーを発展させ、そ はならない状況になっている。日本企業も積極的 32 2015年1/2月合併号
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