TIF2015 - Tektronix

B-1
待機電力および高調波電流の評価方法
アプリケーション・エンジニア
宮崎 強
TIF2015
テクトロニクス/ケースレー イノベーション・フォーラム
本日の内容
待機電力測定の概要
待機電力の測定方法
高調波電流の規格
高調波電流のプリコンプライアンス・テスト
PA1000型パワーアナライザの特長
まとめ
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テクトロニクス/ケースレー イノベーション・フォーラム
パワー・エレクトロニクスの評価ソリューション
Tektronix PA1000型パワー・アナライザ
Tektronix オシロスコープとパワー・プローブ
Input Filter
Switch
Transformer
Rectifier & Filter
VI
VOUT
N
PWM
Feedback
Control Circuit
Tektronix MDO4000B
Keithley パラメトリック・カーブ・トレーサ、ソース・メータ /SMU
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テクトロニクス/ケースレー イノベーション・フォーラム
待機電力の概要と測定方法
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1.待機電力(Standby Power)
 待機電力とは
⁻ 電気製品がオフまたは待機モードになっている時に消費される電力
⁻ Energy Star、Eco Directive、省エネラベリング制度/トップランナー制度では、
待機電力の低減も要求されている
⁻ EN62301 Ed2規格で待機電力の測定方法が定義されている
⁻ EN62301 Ed2 はCEマーキングに必要なEN50564の参照規格にもなっている
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待機電力測定の課題
 小さい電力、電流の測定
 低負荷での電流波形は歪んでおり、高いクレスト・ファクタとなる
 待機状態では力率が小さい
力率
=
有効電力
÷
皮相電力
 待機状態では、電源のスイッチングがバースト・モードの場合がある
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待機電力測定の接続
 微小電流測定のため、電圧測定系に流れる電流も無視できない
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待機電力測定に必要な条件
 ライン電圧、周波数が±1%内で安定していること
 13次までのTHC(Total Harmonic Content)が2%以下であること
 電圧のクレスト・ファクタが1.34~1.49であること
以上の3条件を満足できない環境の場合はプログラマブルAC電源が必要
待機電力測定において、
 電流のクレスト・ファクタ3以上、できれば10の波形でも測定できること
 微小電流、微小電力の測定ができるパワー・アナラーザを使用すること
⁻ 1mW以上の分解能、10mA未満のレンジが必要
 漏れの無い連続サンプリングができること
 毎秒1回以上のレートによる測定電力値の記録ができること
 選択した時間でのアベレージングができること
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測定の不確からしさ
 IEC62301 Ed2規格では、パワー・レベル、波形の歪み/位相シフトの両方を
もとに、“測定の不確からしさ”U(Uncertainty)を定義
 パラメータとして、測定電力とMCR(Maximum Current Ratio)を使用
MCR
=
クレスト・ファクタ
÷
力率
 許容される最大の“測定の不確からしさ”U(Uncertainty)を満足する条件
で測定
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測定の不確からしさの許容範囲
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2.待機電力測定方法
 平均読み取り法
⁻ 前のバージョンの規格(Ed.1)で使用されていた方法の改良バージョンで
すが、適用できる条件(モード)に限定あり
⁻ 10分間以上の平均電力測定を連続して2回行う
⁻ 2回の測定における電力の変化率(mW/h)を計算し、1W以下の製
品では10mW/h未満、1W超の製品では1%未満であることを確認
⁻ 30分間の測定でも変化率を満足できない場合、この方法は使用不可
 サンプリング方法
⁻ IECにより推奨されている方法で、全ての製品モードに適用できる
⁻ 15分間以上測定し、“測定の不確からしさ“の許容範囲内に測定確度が
収まっていることを確認する
⁻ 測定安定度を電力測定の最小二乗法による線形回帰で求め、 1W以
下の製品では、その傾きが10mW/h未満、1W超の製品では1%未満で
あることを確認
⁻ 最初の3分の1の期間(5分間)のデータを捨て、残りの3分の2の期間の
平均電力を測定
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待機電力測定のセットアップ
(またはLAN、GPIB)
PA1000型 パワーアナライザ
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待機電力測定のための準備
スタッカブル・安全バナナ・ケーブルをブレークアウト・ボックスの電流コネクタに接続
突入電流や通常動作電流
をバイパスするために
ケーブルを短絡する
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被測定製品の電源ケーブルを接続
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待機モードに入ったことを確認後
短絡を解除する(シャントを切り替える
時は再度短絡する)
PWRVIEWソフトウェア
AddボタンでPA1000を追加 (使用していない機器はRemoveで削除)
使用機器にチェックを入れ、Connectをクリック
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PWRVIEWソフトウェア
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待機電力測定のウィザード
1Aシャントを使用する場合は、
1A以下に設定
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待機電力測定の条件設定
テスト・タブ
電源周波数を指定
電源電圧を指定
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PWRVIEWによる測定画面
 電力のリアルタイム・グラフ表示
 規格要求の14項目の同時測定と表示
⁻ PF, A, A CF, F, V CF, VTHC, Stability, MCR, Ulim, Ures
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待機電力測定結果のテスト・サマリ
Resultsタブ
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テスト・レポートの自動生成
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IEC61000-3-2の概要と測定方法
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高調波電流の規格
IEC61000-3-2
⁻ IEC(International Electro-technical Commission)
国際電気標準会議
⁻ EN(European Norm)
欧州規格 EN61000-3-2
⁻ 商用電源に接続する相あたり16A以下の機器に適用される
JIS C61000-3-2:2011
⁻ 日本工業標準調査会
⁻ 商用電源に接続する相あたり20A以下の機器に適用される
機器のクラスごとに限度値が規定されている
⁻ 照明機器を除く定格電力75W以下の機器は適用外
⁻ 1kW超の専門家用機器は適用外
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機器のクラス分け
クラスB
⁻ 手持ち型電動工具、専門家用でないアーク溶接装置
クラスC
⁻ 照明機器
クラスD
⁻ 有効入力電力が600W以下の次の機器
⁻ パソコン、パソコン用ディスプレイ、テレビ
⁻ JIS C規格では、インバータ冷蔵庫も含む
クラスA
⁻ 平衡三相機器、白熱電球用調光器
⁻ 他のクラスに属さない機器
独立した品目の機器をラックまたはケースに収納された機器
⁻ 各品目の機器は独立して電源に接続しているとみなしてよい。
⁻ 個々の機器について別々に測定し、各クラスの限度値を適用
※ 詳細は規格書をご覧ください
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高調波電流測定用電源の要件
定格電圧±2.0%以内
公称周波数±0.5%以内
三相電源の場合、三相位相角は120°±1.5°
電源の内部インダクタンスと供試機器のキャパシタンス
の間で共振が起こらない
測定用電源電圧に含まれる高調波は次の値以下
⁻ 3次高調波:0.9%
5次高調波:0.4%
⁻ 7次高調波:0.2%
9次高調波:0.2%
⁻ 2次~10次の偶数次高調波 :0.2%
⁻ 11次~40次の奇数次高調波:0.1%
※ 以上の条件を満足しない環境下では、プログラマブル安定化電源が必要
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高調波電流限度値の適用
高調波電流限度値は、各クラス毎に規定されている
⁻ 40次または39次までの限度値を規定
限度値の適用
⁻ 個々の高調波電流の平均値は適用限度値以下であること
⁻ 全ての1.5秒平滑実効値高調波電流は、限度値の150%
以下であること
⁻ 入力電流値の0.5%と5mAを比較し、大きい方の値未満の
高調波電流は無視する
⁻ 特定の条件を満足する場合は、別の値を適用できる
※ 詳細は規格書をご覧ください
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高調波電流限度値
限度値の換算
⁻ 単相
⁻ 限度値 ×(230÷機器の定格電圧)
⁻ 三相
⁻ 限度値 ×(400÷機器の定格電圧)
クラスC(照明機器)の限度値
⁻ IEC61000-3-2では、25W以下と25W超で限度値が異なる
⁻ JIS C61000-3-2では、35W以下と35W超で限度値が異なる
600W超のエアコンにはJIS独自の限度値がある
測定器の要求仕様
⁻ IEC61000-4-7対応のアナライザを使用
⁻ パワーアナライザPA1000型は、IEC61000-4-7に対応
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PWRVIEWソフトウェアによる規格適合性テスト
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IEC61000-3-2 テストの設定
テスト・タブ
クラスを選択
電源周波数を指定
電源電圧を指定
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PA1000型+PWRVIEWによる電流高調波測定
リミット2 マーカー
リミット1 マーカー
ピーク値マーカー
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23 June 2015
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PA1000型およびPWRVIEWによる
IEC61000-3-2 プリコンプライアンス・テスト
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23 June 2015
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プリコンプライアンス・テスト・レポート
測定結果のPDFレポート・ファイルを自動生成
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PA1000型パワー・アナライザの特長
 フロントパネルに電流、電圧入力用のセーフティ・ソケット
 デュアル・シャント
⁻ 20Arms、100Apeakのシャントと1Armsのシャントを標準装備
⁻ 40µAから 20Armsの直接入力
⁻ 電流クランプと外部CTもサポート
 最大測定電圧
⁻ 600Vrms、1000Vpeak
 周波数帯域 1MHz
 主な測定項目
⁻ Vrms、Arms、有効電力、VA、VAR、力率、THD、高調波(50次)、突入電
流等
 電流、電圧基本確度 0.1%
(読値の0.05%±レンジの0.05%)
⁻ 電力基本測定確度 0.15% (読値の0.075%±レンジの0.075%)
⁻ クレストファクタ10の波形でも高確度測定
 多用途のカラー・グラフィック・ディスプレイ
⁻ 測定値、波形、高調波バー・チャート、トレンド、積算電力量
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PA1000型パワー・アナライザの特長
 待機電力規格 IEC62301 Ed2.0 に準拠したフル・コンプライアンス・テスト
⁻ コンプライアンス・テストに必要な14項目および電力グラフを同時測定、表示
⁻ EnergyStar™、IEC50564規格もIEC62301規格を参照
 IEC61000-3-2 プリコンプライアンス・テスト
 LAN、USB、GPIBを標準装備
⁻ フロント・パネルのUSBでUSBメモリに直接データ・ロギング
 PWRVIEWソフトウェアを標準装備
⁻ 複数台のPA1000と同時接続し、リアルタイムで外部PCにデータロギング
 別売ブレークアウト・ボックスBB1000型により被測定製品との接続が容易
 UL準拠、 IEC61010最新安全規格準拠
 5年間の無償保障
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パワー・エレクトロニクス測定をトータルでサポート
オシロスコープ+パワー解析ソフト
スイッチング特性
パワー・アナライザ
変換効率、高確度パワー解析
デバイスの静特性
ノイズ測定
電流プローブ
パラメトリック・カーブ・トレーサ
高電圧差動プローブ
ミックスド・ドメイン・オシロスコープ
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まとめ:待機電力の測定と高調波電流の測定
待機電力測定
⁻ 待機モードの電流波形のクレスト・ファクタは大きい
⁻ PA1000型はクレストファクタ10でも高確度測定できる
⁻ ブレークアウト・ボックスなどを使用
⁻ 電圧測定系に流れる電流の影響を排除する
⁻ 測定要件を満足する電源環境で測定する
⁻ 要件を満足しない場合は、プログラマブル・安定化電源を使用
⁻ IEC62301 Ed.2では不確からしさの概念が採用されている
⁻ PA1000型+PWRVIEWはMCR、Ures等14項目をリアルタイム測定
IEC61000-3-2 高調波電流測定
⁻
⁻
⁻
⁻
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機器のクラス(A、B、C、D)ごとに限度値が設定されている
限度値は定格電圧に応じ、換算して適用
高調波電流測定用電源の要件を満足する環境で測定する
使用するパワーアナライザはIEC61000-4-7に対応していること
⁻ PA1000型は、IEC61000-4-7に対応
⁻ PA1000型+PWRVIEWでプリコンプライアンス・テストを効率アップ
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