文化財センター速報 平成 26 年 6月 6月調査中 こ 柏市 や まだ い 小山台遺跡(57) 柏市小山台遺跡では第 57 次調査が4月から開始され、現在も進行中です。遺跡の内容は、大規模 な竪坑状遺構と、それらが地下で貫通して、編み目状に交差する多くのトンネル状遺構(横坑)が検 出されました。同様の遺構は、この遺跡で平成 21 年度と平成 25 年度にも発掘調査されています。 大型の竪坑状遺構を発掘すると、その壁面から、人間がやっとくぐり抜けられる位の横坑の入り 口が見つかります。この横坑は、複雑に曲がりくねり、時に二股に分かれながら、隣の竪坑状遺構 につながっています。逆の見方をすれば、横坑群のネットワークの中に、竪坑状遺構が点在してい るともいえるでしょう。 ◀ 遺跡全景1 (竪坑状遺構発掘段階) ◀ 遺跡全景2 (横坑発掘段階) 遺構内には所どころに焼土や木炭粒が検出され、この中で人間が火を使用していたことが明らか になっています。出土遺物は、縄文時代早期から前期の土器片が中心で、石器はほとんど見つかっ ていません。 発掘風景(左竪坑状遺構・右横坑) 竪坑状遺構 横坑 土器出土状況 横坑内部 木炭粒分布範囲 遺構の性格を物語る手がかりは、今のところ遺構内で使用された火の痕跡くらいです。焼土痕は 小さなもので、暗闇の中の照明でしょうか。木炭粒の散布は、そこで焚き火が行われたことを示し ています。それ以外では、石鏃・石斧などの石器類が極端に少ないことも特徴の一つでしょう。 いずれにせよ、このような遺跡は現状では類例が限られるため、遺跡の性格解明には、同様な遺 構の調査例の増加が待たれるところです。 c公益財団法人 ○ 千葉県教育振興財団
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