宇宙用ハイパースペクトルセンサ HSC-III:HyperSpectral Camera-III

宇宙用ハイパースペクトルセンサ
HSC-III:HyperSpectral Camera-III
プロトフライトモデル
Proto-Flight Model (PFM)
項目
2003年に道民の力で超小型衛星『大樹』を打ち上げようとい
う北海道衛星プロジェクトから宇宙用ハイパースペクトルセン
サHSC-IIIの研究開発が始まりました.「モノづくり」・「市場創
造」・「啓蒙」の3つの柱のもとに日本に新しい宇宙産業を創造
することが北海道衛星プロジェクトの目的です.
私たちは実験室モデルであるHSC1.0,HSC1.5,HSC1.51,
HSC1.7(スピンオフ製品HSC1700の原型)を経て,H21年度の文
科省の超小型衛星研究開発事業にて超小型衛星に搭載可能
なHSC‐IIIを開発しました.
また2006年には『大樹』の実験衛星という位置付けで2.7㎏の
HIT-SATという北海道初の人工衛星を打ち上げました.次は本
命です.
私たちは近未来にはHSC-IIIを超小型衛星に搭載し,皆様と共
に北海道の夢を実現していきたいと思います.
北海道工業大学
教授 佐鳥 新
性能
観測方法
プッシュブルーム
地表サンプリング間隔
15m
観測幅
15km
観測波長域
450-1000nm
波長サンプリング間隔
7nm (Average)
フレームレート
500Hz
ダイナミックレンジ
10bit
開口径
15cm
搭載メモリ容量
32GByte
装置重量
衛星バスとの通信方式
10 kg
(光学系のみで5kg)
Space Wire
HSC-IIIの開発体制
平成21年度文部科学省 「超小型衛星研究開発事業」
ハイパースペクトルセンサとは・・・
ハイパースペクトルセンサは連続的な分光情報と画像情報を同
プロジェクトリーダー
北海道大学 戸谷剛
時に取得することが可能な先進的なリモートセンシングセンサであ
る.観測対象の物性値との相関が高い反射スペクトルを連続的に
光学系
サブプロジェクトリーダー
北海道工業大学 佐鳥新
取得できるため観測対象に対する識別能力が飛躍的に向上する.
植物の品種判別・品種毎の活性度測定などが可能になるため,農
北海道工業大学
サブプロジェクトリーダー
㈲オービタルエンジニアリング 山口耕司
業分野や林業分野,環境分野において注目されている技術である.
データ処理系
北海道衛星(株)
Wavelength
熱構造系
北海道大学
㈲アイドマ
(株)植松電機
東京都立航空工業高等専門学校
㈲オービタルエンジニアリング
400
600
800
Wavelength [nm]
1000
汎用性の高い光学系およびデータ処理装置を搭載
Optical telescope
Detector assembly
HSC-IIIと国の施策との連携
ハイパースペクトルデータにより ,複
ハイパースペクトルセンサの開発は,経済産業省の宇
数種類の対象識別が高精度に可能に
宙分野における技術戦略マップにおいても重要項目とし
なる.大まかな識別(木や地表,川,市
て扱われており,今後の地球観測衛星に取り入れられて
街地等)はもちろん,例えば,牧草の品
いくものと考えられる.ALOS-3へ搭載が予定されている
種,樹種の識別までも可能にする.
高性能ハイパースペクトルセンサHISUIに対して,HSC-III
地上調査によりスペクトルライブラリ
Spectral Angle Mapper法を用いた分類画像
Digital output [DN]
250
Trees1
Sand
Soil
Green1
Trees2
Green2
Water1
Water2
Water3
200
150
100
50
0
400
600
800
Wavelength [nm]
Data Handling Unit
Radiator
ハイパースペクトルデータの解析
航空機搭載小型ハイパースペクトルカメラによる撮影画像
Data recorder
Spectrometer
小型かつ明るい光学系を搭載
F#3.0, 光学系のみの重量は5kg
「柔軟」な仕様変更が可能な光学系を搭載
搭載望遠鏡は,焦点距離・視野角が異なる望遠鏡 への変更が容易に可能である
・地表サンプリング間隔, 観測幅等をユーザーニーズに合わせて柔軟に変えられる
分散素子(プリズム,グレーティング)が変更可能
・波長サンプリング間隔をユーザーニーズに合わせて柔軟に変えられる
裏面照射型CMOSイメージセンサを搭載
高速・高感度の撮影が可能
ROI (部分読み出し)機能により観測波長範囲の選択が可能
独自にデータ処理装置を搭載
衛星バス部とのI/FにSpace Wireを採用
はその即応性・機動性の高さから可視近赤外域の運用
(各観測対象ごとの反射スペクトルを保
補完を行うことが可能である.また,可視近赤外域は主
存したデータベース)を構築しておくこと
に農業・森林観測をターゲットとした波長範囲であるため,
により,対象固有の反射スペクトルを参
農作物の生産量予測,品質向上および森林管理など国
照できるため,物体識別はさらに容易
の様々な施策との連携が十分に可能である.
になる.
1000
HSC-IIIの国際的優位性
地表サンプリング
間隔
打上げ年
(予定)
10 nm
30 m
2000
5-12 nm
25 - 50 m
2001
10 nm
30 m
2014
10 nm
30 m
2014
400-2405 nm
10 nm
30 m
20xx
450-900nm
7nm (Average)
15m
20xx
センサ名称
センサ重量
観測波長
Hyperion (NASA)
50 kg
400-2500 nm
機動性,即応性の高いハイパースペクトルセンサを実現できるも
CHRIS (ESA)
14 kg
400-1050 nm
のと考えられる.各国のハイパースペクトルセンサの性能比較した
HISUI(経済産業省)
130 kg
400-2500 nm
結果より,HSC-IIIは他のハイパースペクトルセンサと比較して,観
EnMAP (DLR)
250 kg
420-2450 nm
PRISMA (Italy)
<100 kg
HSC-III
10kg
(光学系のみで5kg)
HSC-IIIの特徴は,小型・高い空間分解能が挙げられるとともに,
波長分解能
測波長が可視近赤外域のみであることを除けば性能がほぼ同一
であり,かつ10kgという小型センサを実現するため,非常に国際
的優位性の高い地球観測センサになるものといえる.
北海道工業大学
Hokkaido Institute of Technology
〒006-8585
札幌市手稲区前田7条15丁目4番1号
E-MAIL: [email protected]