どうなる 2015年度の不動動産産市市況況 竹内一雅 ニッセイ基礎研究所 金融研究部 不動産市場調査室長 増加で、全体の スボーダー取引︶は前年比 ここでは、安倍政権発足後の2013年頃 から回復する不動産市況について、投資資金 の動きとともに今後の見通しを分析する。 日本の再評価につながっていると %の %を占める。 考えられる。 ティチュートによる世界の不動産 ら、まだキャップレートの引下げ りが大 き く 低 下 し て い る こ と か PWCとアーバンランドインス 投資家等への調査でも、日本がア DTZリサーチによると、20 余地はあると思われる。ただし、 物流分野も6位に入っている︶。 る。円安、低金利とイールドギャ ジア太平洋地域全体で最も有望な 14年の日本国内の不動産投資額 今後の価格上昇はキャップレート 在、世界の不動産投資家が ップの大きさ、安定した収益期待 投資先とされた。東京は投資見通 %増加し、4兆43 日本の不動産に注目してい とダウンサイドリスクの小ささ、 は前年比で 取得競争激化 価格上昇が クターでファンドバブルの状況ま ア太平洋地域における不動産の魅 CBREの調査によると、アジ 性がある新興市場への関心が冷め 金利上昇懸念から資金の流出可能 クとともに下がっており、米国の の各都市の順位がマニラやバンコ のうち海外資金による取得︵クロ で、前年比5%の増加だった。こ ル︶の 総 取 引 額 は481億 ド ル 住宅・商業施設・物流施設・ホテ ︶の 調 査 で は、2014年 lytics の国内主要セクター︵オフィス・ 年を上回る近年の最高額という。 低下し、過去1年間の空室率はほ が、最近は需要増加のスピードが 運用中の私募リート数は リートの組成も続いており、現在 2つの上場があった。また、私募 2015年に入ってからもすでに 6つの投資法人が新たに上場し、 の低下よりも稼働率や賃料の上昇 では回復していないが、国債利回 力的な国・セクターとして、日本 模についてはRCAのデータによ ぼ横ばいで推移している。 の評価が高まっているからだ。 京、香港、深 、広州などの中国 一 方、2015年 は 上 海 や 北 の オ フ ィ ス 市 場 が1位 と な っ た つつあるという。そうした動きも る︶。外 国 資 金 に よ る 取 得 は % を上回 東京都心部では大規模ビルの空 − 昇がもたらされている。 投資はシンガポール。次いでアメ 2014年のオフィスビルの取 幌市、仙台市が続いている︵ 図表 京都心部、名古屋市、大阪市、札 の低下が著しいのは福岡市で、東 着実に低下している。特に空室率 主要都市のオフィス空室率は、 ほぼ空 室 が な い と い う 状 況 に あ ため、都心部の大規模優良ビルは 区や新宿区でも3%台に低下した 2%程度で推移しており、千代田 に渋谷区では1年以上にわたって 室率が非常に低い状態にある。特 %の大幅な増加で、 リカ、フランスだった。 引は前年比 る。 1 セクター別の市況 2012年の2倍以上の規模とな 。仙 台 市 で は 東 日 本 大 震 災 以 2︶ オフィス市場︵売買・賃貸︶ った︵注 RCAの調査によるド : %の上昇 %の上昇、中型以下のビルで ビルでは成約が続き、空室率が低 築年数、規模などで競争力のある ばいの状況が続いている。立地や る。しかも平均募集賃料はまだ底 によって賃料回復が二極化してい は7%の上昇と、規模やグレード は 他方、Bクラスビルの成約賃料 となっている。 1年の底値からすでに クラスビルの成約賃料は、201 ックスによると、東京都心部のA 開発したオフィスレント・インデ トとニッセイ基礎研究所が共同で 上昇を見せている。三幸エステー Aクラスビルの成約賃料は大幅な 空室率の低下に応じて東京都心 降、大きく空室率が改善してきた (出所)三幸エステート どから、相対的に日本の不動産へ ︵ホテル・リゾート分野と産業・ 大傾向にあり、結果的に国内不動 の大幅な増加で、このうち最大の このように国内投資資金の受け 皿は拡大しつつある。不動産証券 化協会の調査によると、不動産投 資︵実物不動産・証券化商品を含 む︶を行っている年金の比率は、 %から2014年 %まで上昇し、今後さらな 2004年の には る拡大が期待されている。 つまり、外国資金だけでなく国 69 10 54 25 が牽引すると考えられている。 また、RCA︵ Real Capital AnaJ REITでは2014年に り、さらに複数の私募リートが組 産の取得競争が激化し、価格の上 と 不動産の収益は、ほとんどのセ 経済回復への期待、リーマン・シ しで2014年に続き2年連続で 3億円となった。これは2007 国内資金 不動産投資 向 ョック、東日本大震災以降の低評 1位となり、2013年には 位 まで落ちていた大阪も3位まで順 現 26 価の見直し、2020年の東京五 19 輪開催と関連公共事業に伴う波及 き 位を上げてきた︵ 図表1︶。 に 効果、外国人観光客の大幅拡大な も 14 成準備に入っている。 22 ルベースでの評価。以下、取引規 . 36 19 内資金についても不動産投資は拡 (出所)PWC, Urban Land Institute, “Emerging Trends in Real Estate Asia Pacific 2015 (アジア太平洋版)” 46 0 0 7 0 1 12 1 42 0 0 82 0 1 22 2 0 1 52 0 0 92 0 1 32 0 1 02 0 3 2 1 1 3 6 1 1 1 3 1 7 9 4 1 3 0 1 1 1 2 0 2 1 1 7 2 1 9 1 9 2 4 1 1 3 5 2 2 8 1 6 6 5 5 1 3 4 4 1 4 6 1 6 9 3 1 7 7 5 1 1 1 0 9 1 2 2 2 1 2 6 5 2 1 3 6 5 1 7 1 9 1 7 1 6 4 1 4 8 0 2 4 1 9 1 8 2 8 9 1 2 1 0 1 4 1 7 2 1 9 2 3 5 9 7 8 6 5 1 0 2 7 3 1 7 3 3 2 0 1 5 1 1 2 7 1 0 1 8 5 5 1 4 1 1 7 1 1 2 1 0 1 5 1 5 1 2 1 1 9 1 8 1 0 1 1 3 1 3 8 1 3 1 4 5 1 1 2 3 1 2 1 4 2 9 1 1 1 0 8 1 7 1 4 0 1 1 5 1 7 1 7 2 6 1 8 7 1 1 8 4 1 1 6 1 8 1 6 1 9 1 0 0 1 0 1 2 1 9 1 1 7 2 4 1 9 4 5 3 1 6 6 8 1 1 8 1 8 1 9 1 0 1 1 9 1 6 7 8 1 6 1 9 6 2 0 6 5 2 1 1 4 8 1 5 1 3 2 1 1 3 1 1 2 東京 ジャカルタ 大阪 シドニー メルボルン 上海 ソウル マニラ シンガポール 北京 ムンバイ クアラルンプール ホーチミンシティ ニューデリー オークランド バンコク バンガロール 台北 深 広州 香港 16 2015・ 5月1日号 2015・ 5月1日号 17 主要都市のオフィス空室率 図表2 アジア太平洋地域都市別の投資見通し順位 図表1 好調が続く不動産市況と 金融機関のビジネスチャンス 特集
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