原稿 - 藤尾 潔

加東市議会議員 藤尾潔
議会報告 ㉞
2015.5
前回発行させていただきました議会報告第33号で、「市が3月に公共施設適正化計画を決定する」と書
かせていただきましたが、2月5日のとどろき荘での住民説明会で、市長より9月まで熟慮して決定したい旨
の回答がありました。原稿をそれ以前に作成して印刷していた関係で、結果として誤った(古い)情報を提
供してしまいました。おわびと訂正をさせていただきます。
現時点では、パブリックコメントへの市からの回答が発表されたところです。市の考え方としては、廃校後
の米田小学校跡地を売却でなく他地区同様「地域コミュニティ施設への転用」としたこと以外は、従来の考
え方に沿ったものとなっています。今後の流れとして、
6月12日まで市民の皆さんからの代案の受け付け
7月5日に再度の住民説明会 その後9月に市当局としての計画案を決定
というのが現時点でのスケジュールです。(もちろん、その後計画を推進していくには議会での審議や、必
要な条例・予算の議決が必要となりますが)
小中一貫教育
小中一貫教育については、住民説明会でも多くの意見が出たことでもあり、私としても3月議会で
①保護者・教員等を対象としたアンケートを実施すべき
②専門の検討組織を立ち上げるべき という質問をしました。
PTAのみなさんからも同様のご意見が寄せられていたようであり、①については 4~5月のPTA総会など
でアンケートを実施されていたと思います。
研究会の構成
②の研究会についても設立され、6月に第一回目の会議が予定されているようです。 学識経験者2名
その際、①のアンケートの結果の取りまとめなどについても話し合われる予定です。
今回、市教委が学校の統廃合を計画している背景には、小規模校におけるメリット
を認めつつも、一定規模の中での集団の中での学習の必要性を考えていることがあ
校長小・中各1名
教諭小2名中1名
PTA
3名
ります。実際保護者の方が、「少人数の地域の学校で学ばせたい」と思われているの 区長会 3名
か、不安を感じられているのか、その声は大事に見ていきたいと思います。(もっと 。計13名、教 育 委
も、このような計画案をまとめる前に実施しておくべきアンケートだとは思いますが)
員がオブザーバー
として参加
※東条地域
東条地域の小中一貫校については、現計画では平成33年度開校予定となっています。先ほど、「計画を
推進してくには議会の議決が必要」と書きましたが、現在の計画であれば平成29年度に設計の予算が必
要となります。このスケジュールは、平成32年度までは合併特例債が使用できるためであり、遅れると市の
負担が約8億円違ってきます。(ただ、これには学校の建設費約42億円の他に、コスミックホールを仮に取
り壊した場合の代替の図書館・多目的ホール建設費用約11億円を含んでいるからでもあります)
社
福田
三草
米田
鴨川
滝野東
滝野南
東条東
東条西
H21年度 H26年度 H32年度(予測)
583
593
556
151
109
99
128
103
92
70
46
50
24
21
29
602
515
532
198
188
173
205
238
292
160
107
63
「市の計画は拙速である」とのご意見もいただきます
が、今検討を始めてもこれだけの時間がかかるわけ
ですし、教育内容なども地域のみなさんに理解を得
られるよう説明をしていく必要があると考えます。
児童数の推移を表にしてみましたが(平成32年度
は現在の0~5歳児の数を基にした予測)、東小学校
区では南山地区の人口増などにより手狭になること
も懸念されています。現在多目的に使用している教
室を通常教室に転用する等して教室数を確保する
必要がでてきます。西小学校区の急激な児童数の減も大きな課題です。ただ、課題の一つとして1学年が
現在の東小学校2クラス+西小学校1クラスで統合をしても、児童数によっては3クラスにならないケースも
出てきます。そうなると、窮屈な感じを受けるかも知れません。そういったことへのフォローも必要です。
※社地域
計画では平成36年度に小中一貫校として開校予定ですが、平成29年度から用地の買収にかかる予定
です。東条地区の一貫校は小中学校の一体型ですが、社地域は小学校+中学校が近接に併設される形
になる予定です。小人数教育の良さの話も聞かれるところですが、反面社小学校の(特に低学年の)授業
などを参観させていただくと、本当に大変だな、と思います。そういった課題も含めて、地域の方の理解を
得ながら研究していく必要があると思っています。
前号でも書かせていただきましたが、個人的には「本当に中学校の横に新築する必要があるのか」という
思いを持っています。社小学校の増改築で、学校の場所は別でも小中が連携を進めるようなあり方でダメ
なのか。「社以外の4地区の立場からは吸収されるイメージがある」「思い切って新しい学校を」という意見も
聞かれます。市は「別の場所だと乗り入れ授業をするのに教員の移動時間のロスが生じる」「児童生徒の
交流に影響がある」という理由を述べますが、約40億円かかるわけですし…
今回の小中一貫校の建設は3校で百数十億円の予算がかかるわけで、今回の適正化計画を推進した
場合、短期的には借金も増大し、財政が悪化する可能性があります。(もちろん今が黒字ですから、急に
危険水準になるわけではありません)。さまざまな施設の統廃合による影響が長期的にはプラスになるとし
ています。まずその詳細なシミュレーションを市は示すべきであると考えます。それをもとに「思い切ってき
れいな学校を新築する」のが正解なのかどうか、「将来世代にツケを送ってはいけないから適正化は必要」
と考えておられる方にも考えていただければ、と思います。
※滝野地域
平成40年の開校を目指しているわけで、話の実感がないかも知れませんね。仮に計画通り進んだとして
も、統合される小学校に通われるお子さんはまだ生まれていない訳ですから。統合型なのか一体型なのか
もこれからの話ですが、当然全市的にどのような形で進めるのかには大きな影響を受けることになります。
私は、小中一貫教育を前向きに研究をしていくことには賛成ですが、当然子供たちにプラスになるような形
で進めなければならないと考えています。議員有志で、5月下旬に高松市の小中一貫校を視察に行く予
定です。「こういう疑問がある」というような点がありましたら、裏面の連絡先までご意見をお寄せください。
コスミックホール
住民のみなさんの署名活動などもあり、議会にも「存族を市当局に働きかけてください」とい
う請願をいただきました。私は、今回の適正化計画を審議する委員会の副委員長でもあり(審議
には中立公平に当らねばなりません)、「存続を当局に働きかける」ことは立場としてすべきで
はないので反対の立場を取らせていただきました。賛成6反対9で結果としては不採択となりま
したが、賛成の議員が予想よりも多い印象を受けました。
市から委員会としても「代案」の提示を求められていますから、個人的には「学校の建設予定
地を別に確保し、コスミックホールの存廃はホール自体の問題として慎重に協議する」という提
案をしようと思っています。採用されるかどうかはわかりませんが。
ただ、この案にしても厳しいものがあります。候補地についてはいくつか提案が寄せられてい
るものの、法的な制限があるものや、地権者の方の協力が得られるかどうか不透明な点もありま
す。これだけ市の借地が問題になっているのですから、原則として新たな公共施設用地を借地で
確保することはあり得ないと考えられます。
しかし、第一歩として、やはり市民のみなさんの利活用の輪を広げていただくことが、存続に
つながると考えています。「音響の良いホール」「価値ある木管コンクール」を存続すべき、と
いう多くの署名をいただきましたが、その上で足を運んでいただけたらな、と思います。
5月24日、世界的なバイオリニスト・デュメイ氏と、関西フィルによる演奏会がコスミック
ホールで予定されています。プログラムも、コスミックホールの響き方にあっていると思われ
る、ブラームスの交響曲がメインです。
今後とも9月まで議会審議が続いていきますが、私が発言するにしても
「本格的な音楽コンサートに、多くの市民が足を運んでいる価値のあるホールなのですから存続
しましょう」というのはまだ説得力がある話ですが、
「コンサートには空席も目立ちますが、響きのいいホールですし、稼働率とか数字だけで判断す
ることはないと思います」というのは苦しいですから。
6月1日からは日本木管コンクールのコスモス賞審査員も募集されます。
平成27年度予算
◎介護保険料が以前の月5600円(基準)から、今後3年間は5500円と100円ですが値下げとなり
ました。議員選挙の際も北播磨最高額ということで争点になりました。その際も、加東市の特
徴として、軽度の方の利用が比較的多いというお話をさせていだきました。今回、若干とは言
え引き下げられたものの、利用が伸びればまた引き上げざるを得なくなります。
「1割負担」ということは、(簡単に言えば)1000円でご利用いただいているサービスは
10000円かかっているということで、その分は税や介護保険から出ています。もちろん、
必要なサービスの抑制につながってはいけませんが、市だけで介護保険料を抑制できる訳では
なく、市民のみなさんとともに考えていかねばなりません。
◎「地方創生」が現在話題になっています。加東市としても、計画策定に取り組んでいるところ
です。現在のところ出てきているテーマとしては、
●ICカードを利用した地域通貨的なもの(他市では紙ベースの商品券を配ったりしていますが、
加東市では秋以降、ICカードのポイントとして発行予定)
●BIO周辺の「新:道の駅構想」
などがあります。ICカードについては紙で配るより一工夫した点はうかがえますが、果たしてそ
れが上手に回るのかどうか気になるところです。(審議中に平成28年3月に、西脇市駅までイコカ
が利用可能になる予定なのがわかったことが、議題と直接関係ないもののうれしかったです。加
古川駅で何度か切符を取り忘れた経験もあり、あの“関所”がイヤだったのです…)
◎また、地域公共交通についても「地域公共交通活性化協議会」が設立され、具体的な検討が始
まっています。市民の方から「議会で公共交通、公共交通言う割に結果が出てないな」という声
もいただきますが、やっと山の五合目くらいまで来た感じです。
◎少し大きなテーマとしてですが、経済活性化といえば「企業誘致」もその一つ。ただ、社・滝
野の工業団地は完売しており、南山にしても面積的には残っているのですが、大規模工場のため
の土地が残っていることが原因で、実は工場を誘致できる場所は加東市には少ない、こんな課題
もあります。とは言え、新規に工業団地の造成に踏み切るという判断はそう簡単にはできませ
ん。また、新名神高速 西宮北~高槻が平成28年度に開通予定であり、そうなれば加東市から
東への交通の利便性も高まります。今後の企業誘致のあり方について、さらに研究しなければい
けないと考えます。
個人的に、2月に東北地方(宮城県涌谷町)に視察に出かけました。最近、「地域包括ケア」
という言葉があちこちで飛び交い、その先進地なのですが30年以上も取り組まれているとのこ
と。付け焼刃で真似ても駄目ですね。院長が保健部門・介護部門・医療保険の部門まで統括さ
れ、院長自ら保健指導なども実践されています。介護保険料も月4000円代、病院も黒字、表面の
数字だけに飛びついて見に行きましたがその背景にはさまざまな取り組みがありました。夜、仙
台の居酒屋で宮城の地酒の売れ筋「浦霞」(塩釜市)「日高見」「墨廼江」(石巻市)、岩手の
「南部美人」をいただきましたが、大吟醸の山田錦は加東市産のものでした。被災地との不思議
なご縁を感じたものです。(政務活動費はないので、私費で行っています、念のため)
※議会全体の報告会が、5月16日(土)19:00~市役所で行われます。
また、藤尾個人の報告会を5月23日(土)19:00~とどろき荘会議室、
5月28日(木)19:00 滝野文化会館講座室、31日(日)14:00社福祉センター会議室
で行います。是非お越しください。途中入退室も歓迎です。もちろん地域割などありません。
藤尾からは、東条ではコスミックホール、社・滝野では小中一貫教育の報告をする予定です。
加東市議会議員
藤尾潔
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