出羽水車と花笠水車の開発 - 小水力発電 J

 第1回全国小水力発電大会 2015.11.19
出羽水車と花笠水車の開発
マイクロ水力の
技術的課題
マイクロ水力発電ガイドブック H15
1,0
鶴岡工業高等専門学校
専攻科2年 伊藤 祐太
機械工学科5年 本間 拓瑠
創造工学科 本橋 元 鶴岡
◆低落差用水車無し ◆水路のゴミ対策
◆割高な周辺コスト
kW
3
低落差用の水車が無い 流量 Q [ m /s ] 【出羽水車】
・特徴
・これまでの取組み
(①実証試験,②減勢池底部の圧力)
・今年度の取組み(水車出力特性の一考察)
【花笠水車】
・検討~実機設置
・今年度の取組み
(模型実験による水車出力特性試験)
系統連系コントローラ
系統連系コントローラ (5.1kW)
取水部 ごみ除去 ごみ除去
出羽水車の特徴 ―オープンクロスフロー型マイクロ水車―
00
水車は水流の中⇒土木工事費UP 水車は水流の中⇒土木工事費UP
これまでの取組み① ―― 実証試験 ―― 効率よりも コスト&メンテナンスを重視 ⇒ ケーシングを除去 ケーシング
水平移動式導水路 メ
ン
テ
ナ
ン
ス
時
通常のクロスフロー水車
● ゴミ対策が不要 ● 過負荷保護が不要 ● メンテナンス容易
● 軽量・安価
● 土木工事は基本的に不要
導水路
可動導水路の代わりに除塵スクリーンを設置
除塵スクリーン無し
1
これまでの取組み② ―― 減勢池底部の圧力分布――
電気系統
◆落差工は水流の作用で侵食される
発電機(永久磁石型アウターロータ) ◆落差工に水車を設置すると
? 水車が水流のエネルギーを吸収するので,
水路底の保護になる はず
? 水路底への水流の作用点が,
落差工設計時と異なる.その影響は不明
交直変換器(全波整流)
パワー コンディショナ (3kW)
(太陽電池用, DC→AC200V)
系統
系統連系:
住宅用太陽電池と同じ扱い
買電契約+売電契約(売電単価0円)
震災後の電力供給に微力ながら貢献 実験装置
積算発電量 [kWh]
漏電遮断器(ELCB)
3,000
1.4 kW
2,000
1,000
0
4 
5
6
月 7
透明ビニールチューブ
内径φ4
◆底部と後方壁部に測定孔
(φ1mm,水路幅中央に10mm間隔)
内径φ1 減勢池底部の圧力分布を
模型実験により調査
下
流
側
▲侵食された減勢池底部(鉄筋が見える)
結果(減勢池底部)
水車径
φ180
水流が測定孔に作用するように流量を調整
(10mm間隔)
h/H
1.0 1.50 ℓ/s
◆結果は h / H で評価
上
流
側
α
2.42 ℓ/s
3.02 ℓ/s
0.5
水車あり
0.0
h H
0
水車なし
x
x
x
水車なし: 水流作用点で h / H ≒1, 流量増で最大圧力微減
(流量が増⇒水深が深くなり底部への水流作用が弱まる/流入角が小さくなる)
10mm
水車あり: 水流作用点の圧力が約1/10に激減.圧力微増範囲が分散
⇒水車設置は水路底(減勢池底部)の保護になる
2
今年度の取組み ――出羽水車の出力特性に関する一考察――
水車の出力特性試験:
回転数,トルク ⇒ 水車動力
効率
流量,落差 ⇒ 流体エネルギー
0.8
}
流量は水路上流の堰により測定
従来の試験結果
効率 η
(JIS B 8302)
0.4
流量 Q0 = K・Bw・hw3/2
0.2
K = K (hw ,Dw)
Bw :水路幅 (=180mm)
0
0
1 2 3 4
無次元回転数 λ
(
)
羽根先端速度
=――――――
基準流速
①効率を過小評価,②周速比を過大評価
目的:水車に作用する水流を基準にして,出力特性を評価 hw
落差工上部から水流が水車に作用
トルクT [Nm] と 回転数 N [rpm] を測定
2πN
水車動力
P =T (―――) [W]
60
【水車が無い状態】 ピトー管による流速測定
}
流速分布の測定
ピトー管を水流厚さ方向に
移動 (0.5mm間隔)
【水車設置状態】 水車外周から水流上面まで
の距離を測定
⇒水車に作用する流速分布
から,実流量Q1を算出
ピトー管(φ1.3mm)
の先端0.8
ピトー管:流速に応じた速度ヘッドHから,流速を求める細管
s [mm]
仮定 水流の中は大気圧
δ <15° Q1 δ
Q0
= 0.1m
全流量Q0 =3.06 ℓ/s
Vi =√2gH
ピトー管
Dw
Flow
流速分布
水車に作用する水流の測定
Q0
全流量の測定
0.6
流体エネルギーの基準点
(従来) 導
水
①水流の一部は
路
落差工
水車に作用せず
②流速は加
速するはず
水車動力の測定
この面積が
流量になる
流速 Vi [m/s]
堰を用いて測定した流量 Q0 = 3.06 ℓ/s
流速分布から求めた流量Q1 = 3.49 ℓ/s 3
3.花笠水車 ー農業排水路用水車ー
実験結果および考察
2.43 ℓ/s
実験結果の一例
ℓ/s
ℓ/s
)Q1
4.15 ℓ/s
)Q0
流量が多いと水流が厚くなり,水車
に作用しない余剰水量が生じる
http://www.yamashin-kenso.co.jp/hanagasa/
●検討~実機設置
無次元回転数 λ
①余剰水量がない場合,効率は変わらない
②余剰水量がある場合,効率は上昇する.この例では 0.47 ⇒ 0.75 ③λの最大値は概ね1 ⇒ 羽根に作用する流速≒羽根先端速度
●今年度の取組み
検討~実機設置
検討~実機設置
排水路の特徴 1.51
0.86
排水路の特徴 ①水路が地面から深い
(水田からの排水を受けるため) ②増水対応のため水路断面が
台形状
⇒ 水路壁上部間隔が広い
③水路側壁はブロック積み
⇒ 荷重をかけられない
④水位が側壁を越えうる
⑤落差が小さい
水車
①水路が地面から深い
(水田からの排水を受けるため) ②増水対応のため水路断面が
台形状
⇒ 水路壁上部間隔が広い
③水路側壁はブロック積み
⇒ 荷重をかけられない
④水位が側壁を越えうる
⑤落差が小さい
◆排水路で利用可能な水車が開発できれば設置可能点が増える
◆排水路で利用可能な水車が開発できれば設置可能点が増える
◆水路を跨ぐ架台は長スパンで羽根車に対して過大
⇒出羽水車の利用は得策でない
◆水路を跨ぐ架台は長スパンで羽根車に対して過大
⇒出羽水車の利用は得策でない
4
排水路用水車の条件 花笠水車設置イメージ 水車位置は落差工
(斜流入型水車) 下部の断面拡張部 B
A
条件
① 水車設置にともない水路断面
積が減少しない
② 流入するゴミの影響を受けない
③ 急な増水でも過負荷にならない
側壁
対応
落差工下部の断面拡張部に水車
設置(A)
水量少:曲面部から水車に流入
水量多:水車上方を通過し,
過負荷にならない
水車は開放型
④ 増水時に人力で水車を退避可
⑤ 設置・メンテナンス時に水流バ 水力発電装置を上方へ移動可(B)
イパスが不要
⑥ 地元鉄工所で製作・修理が可 シンプルな形状
2013.01.19 「花笠水車」設置
水車形状 設計条件
1)  落差工上部:水深h =0.2m
2) 落差工下部:水深0.2mまでは
水車が水面よりも上にある
3) 落差工下部:水深0.3mまでは
水車軸が水面よりも上にある
水路内の異物は
圧力差により
水路中央へ押し
やる力が作用
水車直径 D
羽根半径 R
羽根の数 N
水車幅
800 mm
120 mm
12
80~120mm
水
流
平常時
増水時(上方に退避)
積雪時
5
排水路用水車の比較 水車 (63 rpm)
胸掛け オープンクロスフ
ロー 出羽水車
増速 (Vベルトで3倍)
斜流入型 花笠水車
形状
発電機
(スカイ電子,HR-250)
整流器
バッテリー (24V)
水流の 水流の一部が貫流
作用 となり,水車下部
でもトルクに寄与
負荷 (LED投光器2灯)
運用上の不具合(約2年で各1回)
落差
●整流器(ブリッジダイオード)が 誘導雷?により破損
●夏の渇水時にバッテリー過放電 ◎機械的なトラブルは無し 設計流量に対して
は大きくとれる
導水路に沿った流れ 端板がない側の斜
が水車下部まで作用 め上方から曲面導水
板に沿って水流が流
入 大きく取れる
(水車最下点まで)
水車羽根からの流出
まで (落差が少し無
駄) 導水路 短い
今年度の取組み ―― 模型実験による水車出力特性試験 ―― 長くなり易い 短い曲面状 不明
効率
基準
劣る
ゴミ
対策不要 (実績あ
対策必要 (導水路と羽 対策不要 (実績あ
出羽水車と花笠水車の開発 流量
トルク
T
Q
流量
Q
2
1
回転数 N
ご清聴ありがとうございました ●測定するもの
回転数,トルク ⇒ 水車の動力 効率 流量,落差 ⇒ 流体エネルギー }
●実験パラメータ
水車と導水路の位置関係 流量 Q2
効率
η
流量 Q1
無次元回転数 λ
6