ナノ磁性体の作製とそのスピン構造

中部地区ナノテク総合支援:ナノ材料創製加工と先端機器分析
国立大学法人名古屋大学
Nanotechnology Support Project in Central Japan:
Synthesis, Nanoprocessing and Advanced Instrumental Analysis
超微細加工領域における支援成果
平成19年度
トピックス
ナノ磁性体の作製とそのスピン構造
名古屋大学工学研究科
加藤剛志,加藤秀彰,綱島滋,岩田聡
【研究目的】
ナノスケールに構造が制御された磁性材料は,ハードディスク(HDD)の磁気ヘッドやナノパ
ターン媒体,磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)などへの応用上非常に重要な機能性材料
であり,その磁気特性などの理解と制御は磁気工学上非常に重要な技術分野である.本研究
では,HDDのスピンバルブ型磁気ヘッドやMRAMの記録素子等の磁気デバイスにおいて磁化
固定層として利用される交換結合二層膜の交換異方性の微細領域での振る舞いを明らかにし,
これを制御することを目的としている.
【成
果】
CoFe/MnIr (001)エピタキシャル交換結合二層膜をMBE法によりMgO(001)基板上に作製
し,電子ビームリソグラフィとArイオンエッチングにより200~500nmΦの円形に微細加工した.
加工後,真空中において[100], [110], [1-10]のそれぞれ3方向に850Oeの磁場Haを印加しな
がら330˚C,1時間のアニールを行い,微細加工素子の表面形状と磁区構造をそれぞれ原子
間力顕微鏡(AFM), 磁気力顕微鏡( MFM) を用い て観察し た .図1は500nmΦの円形
CoFe/MnIr(001)膜のAFM像であるが,良好なパターン転写が行われていることが確認でき
る.図2は[100], [110]方向の磁界中で熱処理した円形CoFe/MnIr(001)膜のMFM像である.
図2(a)のように,Ha//[100]であるにもかかわらず,素子の残留磁化方向すなわち交換異方性
の容易方向は[110]から[1-10]に大きく分布することが分かった.素子ごとの容易方向の分散
は素子サイズが小さくなると増加する傾向があり,交換異方性の容易方向の分散と反強磁性
層の結晶粒サイズと関連があることが明らかとなった.また,この分散は図2(b)のように,
Ha//[110]とすることで減少する.これから反強磁性層の結晶配向性を揃え,特定の軸方向へ
の磁界中で熱処理することで,局所的な交換異方性を制御できる可能性があることが明らか
となった.
(a)
図1 500nmΦの円形CoFe/MnIr(001)膜の
AFM像
(b)
図2 500 nm円形パターンに微細加工された(001)配
向CoFe/MnIr(001)のMFM像.熱処理中の印加磁界
Ha方向はそれぞれ(a)Ha//[100],(b)Ha//[110].