松尾 徳朗 - 公立大学法人首都大学東京 産学公連携センター

001 情報通信
産業技術大学院大学 産業技術研究科 情報アーキテクチャ専攻
www.tokuro.net/j/
松尾 徳朗
研究テーマ
応用情報学的アプローチで社会と産業の最適化をめざす
【キーワード】 材料情報学、情報経済学、コンベンション経営学、人工知能、サービスマーケティングとマネジメント
応用情報学からひろがる学際的研究への挑戦
[材料情報学] 半導体製造では高度な機能性材料
が要求されている。特許侵害問題を回避しつつ、
知の融合による最適化
多様で繊細な企業ニーズに応じた特性を持つ機能
人間行動や社会組織・制度等の社会科学分野に
性材料を開発するためには、材料配合シミュレー
おける「知」とコンピュータ等の先端的な科学技術
ションを効率的かつ精緻に行なうシステムの開発
分野における「知」の融合によって、新たな概念や
が課題になる。大手企業と産学連携し、材料工学
理論を提起、実証することで、革新的で実用的な
の専門家が実際の生産現場で利用可能な複数の材
情報経済理論や高度な情報システムの構築を進め、 料配合解析装置を開発し、2014 年には2つの特
発展させることが、応用情報学的アプローチを基
許を成立させた(下図)。
盤とする私の研究活動の根幹を成す目標である。
[知能情報学] 社会の中の様々な制度設計は従
例えば、現代はコンピュータが社会の至る所で
来、経済学の領域だが、現在では人工知能分野に
活用されているが、利用者便益にたる最適な情報
おいてコンピュータ技術との融合による自動設計
システムには成り得ていないし、企業経営戦略に
が注目されている。例えば、商品取引データを監
おける情報システムも最適な活用がなされるには
視し瞬時に不正防止する取引機構の研究では、取
至っていない。重要なことは、先端的な科学技術
引者のインセンティブをうまく設定することで、
からの視点に加え、情報システムにどのような仕
不正防止と取引者収益増加を可能にする機構の自
掛けを施せば、人や企業、社会においてより安全・
動設計を実現した。
安心で使い易くなるかを考えることであり、半面 [コンベンション経営学とサービスマネジメント]
で収益や競争力、顧客満足度を得られるかを導き
国際的コンベンションには、経済波及効果が一
だすことである。
般観光の7倍以上という高収益性、日本の技術
つまり、
「知」の融合による最適化の視点こそが、
や産業の国際主導力向上につながる、等の利点
私の研究でのコアコンセプトである。今後、先端
がある。著名なイベント誘致を成功させるため
的な科学技術はさらに飛躍的な進化を遂げると推
には、コンベンション開催に携わる行政、産業、
測されるが、同時に社会科学分野との融合、最適
専門家の底上げが課題となる。このため観光学
化 は 大 き な 課 題 と な る と 思 わ れ る。そ の 研 究
に経営学や先端的科学技術を融合させ、ユーザー
フィールドとして、材料情報学、知能情報学、コ
ニーズの分析・対応と収益拡大を図るサービスマ
ンベンション経営学、サービスマネジメント、観
ネジメントの研究や調査、啓蒙活動を行なって
光学、等に取り組んでいる。
いる。
研究概要
今後の展望
研究のコアコンセプトは
日本の学会を国際化し、
世界の都市に誘致されるような学会へ
まず日本のコンベンション業界の人材育成を支援して国際レベルに引き上げ
たいと思っている。2 点目は日本の学会の強化を図りたい。本来なら、日本の研
究者は自発的に国際学会を立上げ、世界の中心、標準になる勢いが必要だ。コ
ンベンション業界も海外の学会の国際会議を日本へ誘致するばかりだが、本当
は日本に事務局を置く国際学会が海外の各都市へ誘致されねばならないと思う。
産業界や自治体の課題
のうちで、適用可能な例
まつ
お
とく ろう
松尾 徳朗 教授
2001 年佐賀大学文化教育学
部学校教育課程卒、2003 年
北陸先端科学技術大学院大
学知識科学研究科博士前期
課程修了、2006 年名古屋工
業大学大学院工学研究科博
士後期課程修了、博士(工学)
、
修 士(知 識 科 学)
。2006 年 山
形大学大学院理工学研究科
准 教 授 に 就 任、そ の 後 カリ
フォルニア大学アーバイン校
客員研 究員などを経て2012
年から現職。
応用情報学の機能性材料開発への応用例
*物質作用配合解析データ管理装置
(特許 5614259)
情報システム構築、観光・コンベンション事業の高度化、機能性素材の研究開発、企業の危機管理、等。
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