再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌に対する

海 外 最 新 文 献
メディカルカスタム(編集協力 HealthDay) 2015-09
再発性または転移性の頭頸部扁平上皮癌に対する
一次治療としてのセツキシマブ、ドセタキセル、
シスプラチン併用療法
― 多施設共同第 II 相 GORTEC 試験
Cetuximab, docetaxel, and cisplatin as first-line treatment in patients with recurrent or metastatic head
and neck squamous cell carcinoma: a multicenter, phase II GORTEC study.
Guigay J.et al.: Ann Oncol, 2015
背 景
頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)では、集学的治療により初回奏効を得た患者における再発率は 50%にも及び、約 25%の
患者では転移を生じる。局所療法のできない再発患者では予後は不良であり、生存期間の中央値は 10 カ月未満である。
しかし、プラチナ製剤をベースとした多剤併用化学療法レジメンを適用できる場合、患者の生存期間を延長させ、生活
の質を改善できる可能性がある。欧州における試験で、プラチナ製剤、5-フルオロウラシル、セツキシマブを用いた
EXTREME レジメンにより全生存期間(OS)が改善すると示されて以来、同レジメンはこうした患者への標準一次治療と
されている。
なお、ドセタキセルとプラチナ製剤の併用投与は、肺癌に対しては一般的に行われている。また 2 週間ごとのセツキ
シマブによる維持療法は、大腸癌における標準的治療法である。
目 的
欧州の頭頸部癌放射線治療グループ(GORTEC)2008-03 TPEx 試験において、ドセタキセル+シスプラチン+セツキ
シマブ(TPEx)の 4 サイクル投与を評価した。本試験の目的は、再発性または転移性の HNSCC 患者において、1 日目に
ドセタキセルとシスプラチンを、続いて 1、8、15 日目にセツキシマブを投与し、これを 3 週ごとに計 4 サイクル反復
投与するレジメンが、良好なベネフィット・リスク比をもたらすか否かを評価することとした。
方 法
本試験はフランスおよびベルギーの 12 施設におけるプロスペクティブ非盲検第 II 相試験だった。2009 年 9 月∼ 2011
年 2 月に患者 54 例が登録された。全患者で転移性または再発性の HNSCC が確認され、TPEx プロトコールによる治療
を行った。さらに各サイクルの終了時に、全ての患者に顆粒球コロニー刺激因子を投与した。病勢の進行または許容で
きない毒性が認められない限り、治療は最後まで継続された。第 12 週目に 48 例での効果を評価した。主要評価項目は
4 サイクルの TPEx 投与後における客観的奏効率(ORR)だった。
結 果
主要評価項目である ORR は 54 例中 24 例に達した。完全奏効は認められず、部分奏効は 24 例、変化なしは 19 例だった。
43 例で病勢コントロールが達成され、進行が認められた患者は 5 例のみだった。
41 例では試験終了後も何らかの抗癌剤投与が継続された。OS は中央値 14 カ月、無増悪生存期間は中央値 6.2 カ月
だった。毒性は、これらの薬剤の安全性プロファイルと一致していた。グレード 4 の事象は 12 件のみ認められた。
肺塞栓症のために死亡した 1 例を除き、研究期間中の死亡は全て癌関連の死亡だった。
結 論
再発性または転移性の HNSCC 患者において、適応がある場合、TPEx 投与は実施可能であり、有望な効果を示す。
その安全性プロファイルは管理可能なものである。現在 TPEx と EXTREME の各レジメンを比較する試験が進行中であり、
ここから一次治療としての TPEx がもたらすベネフィットに関するデータがさらに得られるだろう。
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