採択番号 10A0003 銀ナノクラスター触媒のアルカリ型燃料電池カソード反応への応用 Silver cluster catalysis for cathode reaction in alkaline-type fuel cell 清水研一 a,竹口竜也 a, 片桐誠, 薩摩篤 b Ken-ichi Shimizua, Tatsuya Takeguchia, Makoto Katagirib, Atsushi Satsumab a 北海道大学触媒化学研究センター, b 名古屋大学工学研究科 a Catalysis Research Center,Hikkaido University, b Graduate School of Engineering, Nagoya University Carbon-silver nanoparticle composite catalyst, Ag (Ag+C), was prepared from a physical mixture of Ag nanoparticles and carbon. Its activity for oxygen reduction reaction (ORR) in alkaline solutions as well as its ORR activity in alkaline membrane fuel cell condition were compared with those for commercial Ag/C and Pt/C catalysts. The ORR onset potentials shift positively in the order of Ag/C<Ag+C<Pt/C. The power density increased in the order of Ag/C<Pt/C<Ag+C. Combined with TEM results, the effect of Ag particle size on ORR activity is discussed. 背景と研究目的:高分子電解質型燃料 触媒(以下 Ag+C)は Ag nanopowder(Aldrich, 電池は最も実用化が進んだ燃料電池である 平 均 粒 子 径 15nm) と カ ー ボ ン ( Valcan が、電解質膜がナフィオンのような強酸性 XC-72)を乳鉢で 5min 混合した後、アミン カチオン交換膜であるために電極触媒には 系の iomomer を含浸させて調製した。対照 耐腐食性に優れた白金しか使うことができ 触媒として、燃料電池電極触媒として市販 ない。一方、アルカリイオン交換膜(AEM) されている Ag/C(60 wt%, E-Tec)を用いた。 を電解質に用いるアルカリ膜型燃料電池で 銀粉(平均粒子径 600nm)を原料に用いたカ は、白金より2桁程度安価で資源量も豊富 ーボン複合化触媒(Ag600+C)、含浸法で調 な銀を触媒として使うことが可能となる。 製したカーボン担持銀触媒(Ag/C-IM)も調 しかしながら、従来型の Ag/C 系カソードは 製した。 単位金属量当たりの活性が Pt/C の 1/8 程度 と低い。 従来、銀触媒は平滑表面上での酸素分子 の活性化を鍵反応とする酸化反応のみに有 触媒の酸素還元(ORR)特性は回転電極法 (北斗電工, HR-K301/K302)により評価し た。酸素雰囲気下、触媒を 0.1M KOH 電解 質中に浸漬し電極電位を変化させた。 効な成分とされてきた。これに対し、著者 燃料電池試験は、AEM(Tokuyama 製)を電 らは銀をサブ nm~数 nm に高分散担持した 解質とし、アノードに Pt/C(田中貴金属, 触媒が自動車排ガス浄化や選択的有機合成 TEC10E50, Pt= 46.1wt%, 平 均 粒 子 径 =2.6 において白金族触媒を上回る高い性能を示 nm、塗布量= 0.5mg/cm2)、カソードに各種 すこと、及び、本触媒特性が銀微粒子の高 触 媒 (Ag 塗 布 量 = 0.3mg/cm2) を 用 い 、 い酸化還元能に由来することを見いだして H2,O2(相対湿度 100%、流速 200mL/min)流通 きた。本研究では銀ナノ粒子の電極触媒へ 下、50˚C で行った。 の応用展開の第一歩として、AEM 型燃料電 結果および考察:Fig. 1 に Ag+C、Ag/C 触 池(AEMFC)カソード用銀ナノ粒子触媒の合 媒の TEM 像を示す。Ag+C では 4nm 前後の 成と ORR 特性評価を目標とする。 微粒子状の Ag と 20-84nm 程度の大粒子が 実験:銀ナノ粒子(87wt%)-カーボン複合化 観測された。平均粒子径は 19.5nm 22.7 で あった。Ag/C の場合、20nm~600nm の大 り、Ag 触媒の酸素還元活性は Pt には劣る きな粒子が観測され、Ag/C-IM でも平均粒 ものの、粒子径減少により活性向上か可能 子径は 368 313 nm であった。 であることがわかった。 Ag+C Fig. 3 には上記触媒をカソードに用いた AEMFC 単セルの分極曲線を示す。セル電圧 0.5V における電流密度は Ag/C Ag/C-IM < Pt/C < Ag+C の順に増大した。電池作動条件 では Ag+C 触媒の活性が Pt を上回ることは 特筆すべき点である。また、半電池条件と 同様に、Ag 粒子径減少により活性向上か可 能であることもわかった。 以上より、保護材フリーの銀ナノ粒子を カーボンと乾式法で混合した触媒は市販の Ag/C Ag/C や含浸法で調製した Ag/C-IM よりも 1桁小さい粒子径を示し、従来触媒を大幅 に上回る ORR 活性を示すことを見出した。 今後の課題:開発触媒は、Ag の粒子径が 20nm 以上の大粒子を多く含む。4nm 前後 の Ag からなる単分散な Ag 触媒を高担持量 (87wt%)で調製することができれば、さら なる高活性化と基礎研究のためのモデル化 に有効である。 Pcell (mW cm ) 80 J / mA cm -2 0 -1 Ag/C Ag+C Ag+C -2 Figure 1. TEM images of Ag+C and Ag/C. Pt/C 60 Pt/C 40 20 Ag/C-IM 0 -2 Ag/C 1 -4 VCell (V) -3 -0.6 -0.4 -0.2 0 E / V vs. Ag/AgCl 0.5 Ag+C 0.2 Figure 2. ORR polarization curves. Fig. 2 に回転電極法によって得た ORR 分極 曲線を示す。比較のため、Pt/C の結果も示 す。酸素還元開始電位は、P/C、Ag+C、Ag/C の順に negative shift した。Ag の大粒子を物 理混合法でカーボンと複合化させた触媒で は Ag/C よりも開始電位が低下した。以上よ Ag/C-IM Ag/C Pt/C 0 0 100 200 -2 Current density (mA cm ) Figure 3 . Cell voltage and power densit y vs current density curves (50 °C, RH = 100%) obtained with AAEM-ME As containing Pt/C (Pt=0.5 mg cm - 2 ) anodes and various cathodes (Ag or Pt=0.3 mg cm - 2 ). 参考文献:なし 発 表 状 況 : 第 108 回 触 媒 討 論 会 (予 定 )
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