膵神経内分泌腫瘍の一例

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膵神経内分泌腫瘍の一例
◎関口 久男 1)、猪浦 一人 1)、鈴木 光江 1)、宮内 優太 1)、村田 知香代 1)、並木 薫 1)
埼玉県済生会 栗橋病院 1)
【はじめに】膵に発生する神経内分泌腫瘍(以下膵 NET)
【組織所見】膵頭部腫瘍:小型で異型性の乏しい腫瘍細胞
は全膵腫瘍の約 2%に相当する稀な疾患であるが近年増加
が索状・腺管状増生する腫瘍であり, Ki67 指数は約 0.1%で
傾向にある. 2010 年に WHO の組織分類が新たに提唱され,
WHO 分類の G1 相当であった. 膵体尾部腫瘍:比較的小型
核分裂像数と Ki67 指数により G1, G2, G3 に分類された.
で核異型を有する腫瘍細胞が索状や島状に増生し, 間質は
今回我々は膵 NET の捺印細胞像を経験したので報告する.
好酸性硝子様に変性した線維組織で石灰化を伴っていた.
【症例】70 歳代, 女性. 腹痛で他院受診し, 膵尾部に 2cm
静脈侵襲が目立ち, 脾静脈に腫瘍塞栓を形成していた.免
大の腫瘍を指摘されるも放置. 2 年後に他院 CT で膵頭部に
疫染色では Synaptophysin, Chromogranin が共に陽性, Ki67
0.7cm 大腫瘍も指摘され, 精査目的で当院を紹介受診. MRI
指数はもっとも高い領域で約 9.4%であり G2 相当であった.
で膵頭部に約 0.7×0.7cm 大, 膵体尾部には粗大石灰化を伴
【考察】膵頭部腫瘍は G1 相当で問題ないと思われた. しか
う約 3.2×2.3×3.6cm 大の腫瘍が認められた. その後膵頭部
し膵体尾部腫瘍は, 捺印細胞診像で核形不整を示し, 大型の
切除+体尾部切除+脾臓摘出術が施行され, 膵体尾部の捺
核も混在していたが, 組織では核分裂像も目立たず, Ki67
印細胞診を行った. 術後 2 年 3 ヶ月経過しているが再発は
指数は 20%に及ばなかった. 2010 年の WHO 分類では, 浸
認められない.
潤の有無などに関する項目が削除され G2 にとどまるが, 今
【細胞所見】比較的小型の細胞が孤在性ないし疎な結合性
回の症例は腫瘍塞栓を形成し, 臨床的には G3(NEC)に相
で認められた. 核は円形から類円形が主体であったが, 一部
当すると考えられた.
核形不整を示し大型の核を有する細胞も見られた. 核縁は
薄く, クロマチンはごま塩状, 一部にロゼット様配列が認め
られた. 核分裂像は目立たなかった.
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