「米国 SLAC 国立加速器研究所より半導体増幅器 1.3GHz/3.8kW を受注」

発行 2015/11/20
株式会社アールアンドケー
「米国 SLAC 国立加速器研究所より半導体増幅器 1.3GHz/3.8kW を受注」
株式会社アールアンドケー (代表取締役 ; 小花利一郎/以下、 R&K) は米国 SLAC 国立加速器研究所
(SLAC National Accelerator Laboratory /以下、SLAC) より、 同研究所が推進する LCLS-Ⅱ Project
(The Second Generation Linac Coherent Light Source)において使用される、 半導体増幅器 (1.3GHz CW
Solid State Amplifiers 出力 3.8kW) を 受注しました。
この半導体増幅器は LCLS-Ⅱの超伝導空洞
において安定的で制御可能な高周波を発生する
ために使用され、 フェルミ国立加速器研究所
(Fermi National Accelerator Laboratory)、
トーマス ・ ジェファーソン国立加速器研究施設
(Thomas Jefferson National Accelerator Facility)
及び SLAC に納入されます。
フェルミ国立加速器研究所及びトーマ ス ・
ジェファーソン国立加速器研究施設は LCLS-Ⅱ
Project において、 SLAC と協力関係にあり、夫々
1.3GHzクライオモジュール (cryomodules)の 50%
を製作することになっており、 半導体電力増幅器
を実際に利用して超伝導空洞の試験を行います。
SLAC はスタンフォード大学によりカリフォルニア州に設立されたアメリカ合衆国エネルギー省 (DOE) が
管轄する国立研究所です。 電子線形加速器によって高エネルギー物理学の実験を行っていますが、 今回
受注した半導体増幅器は SLAC で現在稼動中の X 線自由電子レーザー施設 LCLS の次世代施設 LCLS-Ⅱ
で用いられ、 より高性能の XFEL (X 線自由電子 ) の生成に貢献します。
LCLS-Ⅱで得られる光は、 従来の X 線よりも何倍も強力であり、 また
レーザーのように波が揃って高品質といった特徴があります。 この XFEL
を利用すると、 様々な物質を原子レベルで解明することが可能になり、
医療、 エネルギー、 環境、 様々な分野での問題解決、 我々の生活の
向上に大いに貢献すると考えられます。
例えば細胞の表面にある「膜たんぱく質」の形が原子レベルで分かれば
作用する薬を作ることが容易になる可能性があり、 開発期間、 費用を
大幅に節約することができます。 また、 がんやエイズ (HIV ウィルス ) など
の難病の解明、 特効薬の開発にも役立ち、 これまで治療が困難だった
病気が治療可能になるかもしれません。 すでに加速器施設での研究で
エボラウイルスの増幅に不可欠なたんぱく質 VP40 の構造を分析し、 この
たんぱく質が 3 つの異なる形に変形し、 どのように人の細胞表面に運ばれ
ているかが解明され、 治療薬の開発に大きく寄与しました。
この他にも、 XFEL により植物の光合成の様子が詳しく観察できれば
人工的に光合成を行うことができ、 省エネルギー社会への大きな貢献と
なることでしょう。
R&K はこれまでにも、 国内では、 兵庫県に設立された大型放射光施設 SPring-8 や、 茨城県つくば市の
高エネルギー加速器研究機構等に半導体増幅器を納入してきました。 今回の SLAC への納入を契機に、
海外の主要研究機関に対する事業を展開していきます。