1-3 遠隔作用(論)と近接作用(論) (p.9) (1)遠隔作用と近接作用の

1-3 遠隔作用(論)と近接作用(論) (p.9)
~ クーロン力のベクトル表示から
ベクトル場としての電場へ
(1)遠隔作用と近接作用の考え方
日常,経験する力
万有引力
→ 直接作用
→ 遠隔作用
地
月
クーロン力,磁石の力 → 遠隔作用
力を受けている電荷に注目しよう!
周りの電荷の配置は問題ではない
異なる配置で同じ力の可能性もある
「その場で何かから力を受けている」
と考えるべきだ ~ ファラデー(1791-1867)
電荷分布がまわりの空間に“ひずみ”をつくる.電荷のあ
る空間には,目には見えないが“ひずみ”ができている
その場所の“ひずみ”が電荷に力を及ぼす
~ 近接作用論
電荷が作る,空間に分布している“ひずみ”
→ 「電場」“electric field”
~ 最初の「場の概念」
;ファラデー(1837)
「電磁場の概念」の定式化:マクスウェル(1864)
電磁場の方程式(マクスウェルの方程式)
⇒ 電磁波の存在を予言
ヘルツの実験(1888)
⇒ 電磁波の実在の証明
―――――――― ―― ―――――――――
万有引力,重力も近接作用で考える
→ 「万有引力場」
,「重力場」
―――――――― ―― ―――――――――
真空空間
⇒
電荷の存在を「電場」という形で,質
量の存在を「万有引力場」という形で,
伝えるはたらきがある(真空の性質)
真空空間≠虚無空間
スカラー場とベクトル場(数学的準備)
スカラー場:
「空間のある領域内の各点に,位置 r の関数として,
スカラー量(値)が与えられているとき,この領域
をスカラー場という.」
(例)室内の温度分布;T(r)
問題:「スカラー場」の他の例を挙げよ
ベクトル場:
「空間のある領域内の各点に,位置 r の関数として,
ベクトルが与えられている場合,この領域をベクト
ル場という.」
(例)エアコンの室内送風気流の分布
~ 流れの速度のベクトル場
ベクトル場をどう表現するか?;
速度ベクトル場を例にして
位置 r1 の速度v1 → v1(r1)
位置 r2 の速度v2 → v2(r2)
...
...
r を任意の位置ベクトルとして
位置 r の速度v
→ v(r)
(ただし,r は空間内の任意の位置ベクトル)
任意(any) ⇔ すべて(all)
“v(r)”は,すべてのv(r),
すなわち,ベクトルの分布全体を表す
速度ベクトル場 → “v(r)”で表そう
「電場」の定義
空間に分布している電場をどう表現するか
空間に電場がある ⇔ 電荷に力がはたらく
電場を乱さない微少電荷で調べよう
位置 r にある微少電荷 qにはたらく力:F(r)
F(r)=qE(r)
(3.1)’
位置 r にベクトルF(r) → 力のベクトル場
→ 単位電荷あたりに直そう
F(r)/q=E(r)
電場:「正の単位電荷あたりにはたらく力の
ベクトル場:E(r)」
電場の単位:[N/C]
(補)
「単位あたりの量」
「δA/δx ⇔ 単位 x あたりの A」
例1;時速 → 単位時間あたりに進む距離(km/h)
~ 1時間走らないでなぜ時速が分かるのか?
S (km)
s
O
v =s/t
t
t (h)
例2;溶液の濃度 → 単位体積あたりの溶質の量
(kg/m3)
~ 1m3 の溶液がなくても濃度は求まる!
電場:
「正の単位電荷あたりにはたらく力」のベクト
ル場
物理的実在は「電場」という空間の「ひずみ」
ベクトル場E(r)は,その表現
点電荷q1(r1)の作る電場:
点電荷q1(r1)が単位電荷に及ぼすクーロン力
qq1
r-r1
F(r)=―――― ―――――
4π0
|r-r1|3
(2.6)
で,q=1[C]と考えれば,
q1
r-r1
E(r)=―――― ―――――
4π0 |r-r1|3
(3.2)
練習問題 点電荷q1 の作る上記の電場(3.2)のx成
分Ex(x,y,z)の表式を書きなさい.
表現 ~ ベ
ベクト
トル場の
場の視覚
覚的表現
表現
「電場」の表
電気力
電
線(法
法):(p
p.13)
「接線の方
方向」がその
の点における
る電場
場の方向
向
向き:
を表
表し,正電荷
荷から
ら負電荷
荷への
の向きをもつ
つ
度:電気
気力線
線に垂直
直な面
面での面
面密度
度が電場
場の大
大
密度
きさ
さを表
表す
(例) 図 1.1
13,p
p.14
の性質
質;
電気力線の
荷から出て,負電
電荷に入
入るか
かまたは無限
限
1.正電荷
遠まで
で延び
びている
る
ない空
空間で途
途切れ
れることはな
ない
2.何もな
矢印法
矢
:
空間
間の各点
点のベ
ベクトル
ルE(rr ) の大
大きさ
さと向き
きを矢
矢
印で表
で表す
長さ ⇔ |E|
き
向き ⇔ Eの向き
矢
元
位置 ⇔ 矢印の元
電荷 q1=+
+3 と q2=-1
1 の近
近くの電
電場
(例) 2 個の電
(例) 2 個の電
電荷 q 1=+
+3 と q 2=-1 の近
近くの電場
電場の重ね合わせの原理
n個の点電荷q1,q2,...,qn が,位置 r 1,r 2,...,
r n にあるとき,位置 r における電場 E(r)は,
qi (r – r i)
1
E(r )=―――- Σ――――――
4π0
|r – r i|3
練習問題
(3.3)
クーロン力の重ね合わせの原理を用いて,
上記のことを示せ.
例題1 (p.15) 電荷が無限に長い直線上に線密度
(単位長さ当たりの電荷量)λ[C/m]で一様に分布し
ている.その周囲に生じる電場を求めよ.
→ 直線電荷を細かく分割して点電荷と見なす
各微少電荷の作る電場を足し合わせる
積分の
積
話;(数学的
(
的準備
備)
(1)積分:関数
数 f(x)
線
線素片
dx
d と ff(x)の積
積の寄
寄せ集 め
~「面積」
「 積」とは
は限ら
らない
(「速度
度 vs 時
時間」 → 距離
離)
例題1(
例
(p.15)
電荷が無限
限に長い
い直線上に線
線密度(
(単位長
長
りの電
さ当た
さ
電荷量)λ[C/m
m]で一
一様に分
分布して
ている.その
の
周囲に生
周
生じる電場を
を求めよ
よ.
(例解)
)
原点に対
原
対称な 2 カ所
所の微小
小電荷からの
の寄与の
の平行成
成分は
は
キャンセ
キ
セルす
する.したがっ
し
って,各微少電
各
電荷か
からの寄
寄与のう
ち,垂直
ち
直成分
分E⊥だけを考
だ
考えればよい
い.
z
図から
図
Δz ⇒ 無限
限小の極
極限で
で,電場
場 E の大きさ
の
さは,
電場の向
電
向きは
は,直線
線の周り
りに放射状
(参考
考)
R/r =sinθ,
R/|-z|=tan
nθ=ssinθ/ccosθ → -z =R (ccosθ/ssinθ)
dz /d
d=-R((-sin2θ- cos2θ)/ sin2θ)=
=R / siin2θ
∴ dz = (R / sin2θ)d