粘性土における引張強度と伸びひずみの測定 【目的】農業用フィルダムの漏水原因の一つに内部侵食があり、その起因として水 理破砕による亀裂の進展が考えられる。水理破砕とは貯水量の増加に伴い上昇した 水圧が提体内に存在する亀裂に作用して破壊する現象である。この亀裂の発生条件 として引張強度と伸びひずみが挙げられる。そのため、粘性土における限界伸びひ ずみと引張強度の測定方法を確立することは重要である。これまでⅠ字型供試体を 用いた実験により引張強度と伸びひずみを測定する方法を試みたが、今回は供試体 内のひずみ分布を詳細に調べた。 【実験方法】引張試験の試料には新潟県大谷内ダムの基礎地盤から採取した火山灰 質 粘 性 土 を 用 い た 。高 さ 175mm、直 径 150mm の モ ー ル ド に 5 回( 5 層 )に 分 け て 試 料 を 入 れ 、 各 55 回 ( 計 275 回 ) 突 き 固 め た 。 厚 さ 20mm の 供 試 体 を 図 1 の よ う に 作 成 し 、 蛍 光 塗 料 を 塗 っ た ガ ラ ス ビ ー ズ を 横 5mm 縦 15mm 間 隔 で 取 り 付 け た 。 供試体を引張試験機に設置し、供試体が破壊されるまで引張力を作用させ、その間 デ ジ タ ル カ メ ラ を 用 い て 正 面 か ら 供 試 体 を 5 秒 間 隔 で 撮 影 し 、同 時 に フ ォ ー ス ゲ ー ジを用いて引張力を測定した。試験終了後、供試体の切断した部分の含水比の測定 を 行 う 。ひ ず み の 解 析 に は 画 像 相 関 法 を 用 い た が 、こ の 方 法 に よ り 0.1pixel ま で の 測定を可能とした。この引張試験では縦方向の力しか作用していないので、ひずみ は各測点の縦方向についてのみ計算した。 【実験結果】画像計測により各測点のひずみを求めた結果、ひずみは供試体の中心 に 近 い ほ ど 大 き く な る 傾 向 が 見 ら れ た ( 図 2 )。 含 水 比 47% の 供 試 体 で は 左 右 ほ ぼ 均 等 に 引 張 が 作 用 し た が 、含 水 比 46% 、49% の 供 試 体 で は 供 試 体 右 側 に 優 先 し て 引 張が作用したため、ひずみ分布が不均一になったと考えられる。ひずみの値が供試 体毎に異なる要因として、供試体の作成における人的誤差や突き固めによる資料の 均一性が不十分であるなどが考えられる。試行回数を増やし信頼度の高い範囲を求 めれば、画像計測をいてひずみの分布を測定することは可能であると考えられる。 90 46 49 20 0.5 含水比(%) 47 15 10 123 60 456 456 123 20 ひずみ(%) 25 0.4 0.3 0.2 0.1 0 20 0 図1 供 試 体 概 要 図 (mm) 1 2 3 4 5 測定位置 図2 ひずみ分布 6 7
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