19.薬剤部 (1)医薬品の購入に関する事項 ①薬品の発注と購入 1) 調剤時や出庫時に薬品の在庫が、「発注カード」に記載されている在庫数量を下 回った場合は「発注カード」で発注を行う。 2) 医薬品の発注担当者への購入依頼は、「発注カード」もしくは「購入伝票」で行 い、口頭での発注依頼は行わない。 ②検品 1) 発注した医薬品の検品は、納品された医薬品と納品書を確認後、受取印を押す。 2) 納品された医薬品の使用期限年月日を確認し、期限の短い商品が前になるように 棚になおす(先入れ先出し)。 3) 麻薬の受取時の検品は、譲渡証の製品番号と照合し受け取る。 4) 向精神薬(第 1 種,第 2 種)については,納品伝票を 2 年間保存する。 (2)調剤室・薬品庫の薬品管理 ① 薬品棚の管理 1) 薬品棚は劇薬・普通薬に分類し、配列は劇薬・普通薬とも 50 音順を基本とする。 2) 類似名称、外観類似の医薬品がある場合や、同一銘柄で複数規格等のある医薬品 の場合は、棚を離す、表示名称に工夫するなどの取り間違い防止対策を検討する。 (参考:類似名称薬品、多規格薬品 一覧) 3) 医薬品の包装を開封し使用する場合、期限管理のために使用期限の記載された製 品の箱は廃棄せず薬品と共に棚に入れる。 4) ハイリスク薬の場合,調剤棚、薬品棚の「薬品名」の横にはハイリスクのマーク を貼る。 ② 薬品の在庫管理 1) 毎月末に棚卸を行い、薬品庫の在庫を確認すると共に、期限管理を行う。 ③ 麻薬、向精神薬、毒薬の管理 1) 麻薬は、鍵をかけた堅固な保管庫(重量金庫)に保管し、他の医薬品と一緒に保管 しない。 2) 向精神薬、毒薬は施錠できる保管庫で管理を行う。 3) 麻薬の使用量及び在庫と処方箋の確認作業を定期的に行う。 4) 内服の毒薬やエスラックス注は、調剤時及び購入時に数量の確認を行い帳簿に記 載する。 ④ 薬剤部の施錠 1) 業務時間内であっても調剤室など各部屋が無人になる場合は、扉の施錠を行う。 2) 業務が終了し帰宅する場合、薬剤部にある薬品保管庫や各部屋の施錠及び、全て の鍵がそろっていることを確認し、 「調剤室日誌」に記入する。 3) 薬剤部の全ての鍵はキーボックスに保管する。 (3)病棟・各部門への払い出しと在庫管理 ① 処方オーダー 1) 入院処方を調剤する場合は、電子カルテの処方監査の画面で監査を行い、処方内 容に疑義がある場合には処方医への問い合わせを行う。オーダー情報を取り込み、 調剤を行い、申し合わせ時間に合わせて払い出す。 → 調剤(内服薬・外用薬調剤)の項を参照 ② 注射オーダー 2) 申し合わせ時間に合わせてオーダー情報を取り込み、調剤、監査を行い、払い出 す。処方内容に疑義がある場合には処方医への問い合わせを行う。 → 調剤(注射薬調剤)の項を参照 ③ 定期出庫および定数配置薬の補充 1) 夜間等に使用した定数配置薬の補充のための払い出しは、翌日のストック集計で 行なう。 2) 定数配置している「特定生物由来製品」を使用した場合、オーダーは個人入力を 行い、使用した製造番号を必ず別紙で残す。薬剤部は印字された「血液製剤処方 箋」と「処方箋」をまとめておき、部署から薬品を受け取りに来た際、使用した 薬品の製造番号を血液製剤処方箋に記入し、押印する。払い出す薬品の製造番号 を血液製剤処方箋の欄外に記入し、受取印をもらう。 3) 定数配置の向精神薬は、ストック集計の数量を空容器と引き換えに各部署に補充 し、同時に定数確認を行う。 4) 定数配置している薬品を期限切れ、事故等で交換補充する場合は、「注射薬 事 故・期限切れ伝票」で返品を受け、 「臨時注射請求伝票」で払い出す。 5) 外用薬は「外用請求伝票」にて払い出す。 ④ 病棟、各部署の定数配置薬の管理 1) 在庫薬品の数量及び使用期限を定期的に確認し、使用期限が6ヶ月以内で使用予 定のな いものは返品を受ける。 2) 使用期限切れの薬品は、期限切れ伝票を薬品とともに薬品を受け取る。 3) 各部署でのハイリスク薬は、薬品ケースに「ピンクのシート」をひいて、他の薬 品と区別を行い、使用や管理の注意を促す。 4) 各部署での劇薬は、薬品ケースに赤丸のシールを貼り、他の薬品と区別する。 (4)処方 ① 院内処方 1) 処方内容に疑義がある場合には処方医への問い合わせを行う。疑義照会を行なっ た場合、電子カルテの監査画面の「患者コメント」や処方箋に記録を残す。 2) 薬剤部窓口において、患者名と引き換え番号を確認し引換券を受け取り、薬を渡 す。複数の診療科から投薬がある場合があるので、渡し漏れがないように引き換 え番号を確認する。 3) 薬の説明を行い調剤薬や数量、薬袋の記載が間違っていないことを患者と共に確 認する。 4) 麻薬処方箋がある場合は医師の押印があることを確認する。 5) 疑義照会等で処方変更があった場合、必要に応じ患者に変更内容について説明を 行なう。 6) 処方箋に薬の引換券を貼付し、説明時に得られた患者情報を記入する。 ② 器材処方 1) 窓口で器材伝票の患者名、医薬品名を確認し器材を患者に渡す。 (5)調剤 ① 内服薬・外用薬調剤 1) 始業時、終業時に機械、器具の点検、清掃を行う。 2) 処方薬の用法・用量、日数、コメント、相互作用などについて監査を行ない、薬 剤の特性を考慮した調剤を行う。 3) 処方内容に疑義がある場合には処方医への問い合わせを行い、記録する。 4) 計量器・分包器などの定期点検を実施し正確性・安全性を確保する。 5) 一包化された薬品から特定の薬剤を取り出すなどの再調剤は行わない。 ② 注射薬調剤 1) 調剤薬は病棟別に搬送用ボックスにいれ、ボックスにふたをし、搬送時に患者情 報が人目に 触れないようにする。 ③ 化学療法調製 1) 化学療法委員会で有効性や安全性を検討し承認されたレジメンについて調整を行 う。 2) 化学療法施行2日前に診療予約一覧、抗がん剤処方チェックシートを印刷し、処 方監査を行うとともに集計表をもとに必要な薬品を発注・購入する。 3) 外来化学療法では「承認箋の発行」および「施行連絡」を受けてから調整を開始 する。入院化学療法では、承認箋が発行されていれば調整を開始する。 4) 検査値を確認し、Grade2 以上の血液毒性がある場合は、施行可否を確認する。 5) 調整後、監査を行い、異物混入等の確認後、払い出す。 6) 抗癌剤の暴露を最大限防御するための器具や環境を整備する。 7) 安全キャビネットの定期的な点検を行う。 (6)薬剤管理業務 ① 服薬指導 1) 患者の服薬歴、既往歴、アレルギー・副作用歴などの患者情報を活用した適正な 薬学的管理を行った指導記録を作成する。 2) 特に安全管理が必要な医薬品(ハイリスク薬)では、投与量の加減により重篤な 副作用が発現しやすいため薬剤管理指導時には十分な注意を行い、指導内容を記 録する。 3) 退院後も他の医療機関等で継続的な薬剤情報が受けられるよう、入院中の薬剤情 報(副作用の発現など)について「お薬手帳」などに記載する。 ② 持参薬の確認および錠剤鑑別 1) 持参薬は、初回服薬指導時に確認を行う。 2) 各部署からの錠剤鑑別の依頼は「薬剤鑑別依頼書」で受け、 「薬剤鑑別依頼書」へ の記入、又は MDbank を用いて医薬品鑑別報告書を作成し、報告を行う。 ③ PIR報告と副作用報告 1) 薬剤管理指導業務において、提案、申告、説明、指導等により、患者の安全が保 たれた場合や服薬コンプライアンスの改善、有効性が向上した場合、薬剤の品質 確保等に繋がった場合は「PIR報告」を作成する。 2) 薬剤管理指導業務において得られた患者の副作用情報を記録し、報告書を作成す る。 (7)医薬品情報の収集・管理・伝達 ① 医薬品情報の収集・管理 1) 医薬品情報管理担当者(DI担当者)を置き、医薬品情報の収集・管理業務を行 う。 2) 医薬品に関する問い合わせ及び回答の記録を作成する。 ② 医薬品情報の伝達 1) 添付文書の改定情報、緊急安全性情報、医薬品安全性情報、DSU、医薬品回収 情報などの情報を、CoMedix に掲載する。 2) 緊急安全性情報等による重大な副作用情報、重篤な健康被害等の情報は、直ちに 院長および関連する診療科医師に伝えるともに、院内各部署にも連絡を行う。 (8)副作用報告の収集・管理・提供 ① 副作用の収集 外来および入院患者問わず、確認された患者の副作用については、副作用報告書 を作成し薬剤部に提出、同時に医師へ報告を行う。 ② 副作用情報の管理 1) 収集した副作用は、器官別(肝臓、腎臓、血液、過敏症状、呼吸器、消化器、循 環器、精神神経系、代謝・電解質)に分類を行い、厚生労働省による医薬品重篤 度分類(グレード分類) 、転機、副作用に対する処置などの情報も併せて管理する。 2) 必要に応じ、厚生労働省医薬食品局安全対策課へ報告を行う。 ③ 副作用情報の情報提供 定期的に集計を行い副作用情報を職員間で情報を共有できるよう情報提供を行う。 (9)医薬品の採用 ① 医薬品の新規採用及び採用中止について 1) 医薬品の新規採用及び採用中止は、薬事委員会での審議を経て決定する。 2) 採用に当たっては一増一減を原則として,同種同効薬の比較検討を行う。 3) 名称類似,外観類似の医薬品については、リスクマネジメントの観点から定期的 に採用の見直しを行う。 ② 採用医薬品の情報提供 1) 医薬品が新規に採用された場合、または採用が中止された場合は、院内各部署お よび和泉市薬剤師会に連絡を行う。 2) 採用医薬品については随時院内に情報提供を行い、定期的に「院内在庫薬品一覧」 を CoMedix に掲載する。 ③ 院内製剤の新規申請 1) 院内製剤の申請があった場合, 「院内製剤の調製及び使用に関する指針」に基づき 倫理委員会で審議し、決定する。 2) 薬剤部では,製剤の特性に関する検討を行い調整する。 (10) 問い合わせ・他施設との連携について ① 院外処方の疑義照会 1) 調剤薬局からの問い合わせは、FAXで受け付け、関係部署に対して問い合わせ を行ない、回答はFAXで行なう。 2) 疑義照会後に、電子カルテの処方修正を薬剤部で行う場合は、修正者、修正確認 者の2名で行い、時間外や当直帯に1名で行った場合はその旨を電子カルテに記 載する。 ② 1) 外来患者からの問い合わせ 患者から薬についての相談があった場合、必要に応じ、地下の「お薬相談室」や 1階の相談室で説明を行う。 ③ 他施設との連携 1) 薬剤管理指導における退院時指導では、お薬手帳に退院処方や入院中の副作用等 の情報を記入し、かかりつけの薬局に提示するように勧める。 2) 調剤薬局から副作用等の情報提供があった場合、速やかに主治医に報告する。 3) 他施設から当院での処方歴についての問い合わせがあった場合、プライバシーの 問題等を考慮し適切に対応する。 4) 地域薬剤師との連携を深め,情報交換を行うための勉強会を定期的に行う。 名称、包装の間違えやすい薬品一覧(類似名称、多規格薬品(資料6)
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