情報科学研究科 研究科紹介2015

INFORMATION SCIENCE
GUIDE 2015
奈良先端科学技術大学院大学
Nara Institute of Science and Technology
無限の可能性、
ここが最先端 ― Outgrow your limits ―
情 報 科 学 研 究 科の特 色
SecCap:セキュリティ分野における情報技術人材育成のための実践教育ネットワーク形成事業
個性を重視した入試制度で門戸を広く開放
情報技術を活用して社会の具体的な課題を解決できる人材を育成するため、複数の大学と産業界による全国的なネットワー
入学試験では筆記試験は実施しません。卒業年次や出身専
情報科学に関する広範囲の分野を網羅した
多様な研究室構成
クを形成し、情報セキュリティにおける実際の課題に基づく課題解決型学習等の実践的な教育を実施・普及することを目的とし
攻分野にとらわれず、積極的に勉学と研究に取り組む意欲を、面
本研究科は、平成23年度より専攻再編され、コンピュータ科
た人材育成事業。暗号理論からネットワークセキュリティ、リスクマネジメントなどを学び、その実践としていくつかの演習プログ
接試験と出願時に提出された小論文・成績証明書で判断。入学
学、メディア情報学、システム情報学の3領域20基幹研究室、1
ラムを提供。
時期は、春学期(4月)と秋学期(10月)の年2回。文科系・理科
協力研究室で構成。広範囲な研究領域をカバー。
系は不問で、社会で活躍中の研究者や技術者も受験できるよう
IT-Triadic(IT3)
:サイバーメディア社会におけるマルチスペシャリスト育成プログラム
に、選抜は年3回実施。大学に3年以上在学する優秀な成績の
ソフトウェア、セキュリティ、ロボティクス、三分野のスペシャリストを育成すると同時に、これらの技術を複合的に修得した統
学生のための飛び入学制度もあり。
配属研究室は学生が選択
学生の希望調査をもとにして所属する研究室を決定。受入人
合型人材(マルチスペシャリスト)を育成。
数は研究室によって均等にするのではなく、学生の希望を最優
優秀な学生への豊富な支援プログラム
先して、殆どの学生を第一希望の研究室に配属。
短期修了制度:優れた研究業績を修めた者は、前期課程は1
□マルチスペシャリスト育成(Triadicコース)
:複数の先端IT技
:大阪大学で主
□高度ソフトウェア技術者育成(Spiralコース)
術を統合することによって成立する製品の企画・設計や開発プ
催されるクラウドコンピューティング分野における情報技術人材
年以上、後期課程は前期課程と併せて3年以上の在籍で修了可
柔軟で充実したカリキュラムの集中履修
ロジェクトを先導できる優れた人材を育成。先端複合演習と基
育成のための実践教育ネットワーク形成事業(Cloud Spiral)
(平成27年3月現在の実績:前期課程155名、後期課程174
講義は1年を4期に分割し集中的な履修が可能。多様な分野
礎および専門科目群によるカリキュラムを履修者に合わせて柔
と連携して、クラウドに強いマルチスペシャリストを育成。
名)。
からの入学者に対応できるように「基礎科目」
「基礎となる専門
TA(ティーチングアシスタント)制度:前期課程2年次以上の
科目」
「先端的な専門科目」
「学際科目」などの幅広い講義科目
□情報セキュリティ技術者・管理者育成(Keysコース)
:情報セ
学生を対象に、講義資料の収集・整理・作成補助、レポートの採
を準備し、広範な分野を体系化するため「コンピュータ科学」
「メ
□次世代ロボティクス技術者育成(RTコース)
:関西圏RT(ロ
キュリティ分野の人材育成ネットワーク事業(SecCap)と連携
点補助など大学院教育の一部作業に参加させて経済的自立を
ディア情報学」
「システム情報学」および「共通」に分類して選択
ボットテクノロジー)分野をリードする各機関・企業の英知を
して、セキュリティに強いマルチスペシャリストを育成。
支援。
の指針を提示。なお、これらのカリキュラムは、経済産業省の大
RA(リサーチアシスタント)制度:優秀な後期課程学生を研究
学活動評価手法で最高ランクのA+評価(全国288専攻中上
プロジェクトの研究補助者として雇用。
位5%以内)で、社会のニーズに合致した教育であることが証明
開発力はもちろん、プロジェクトの提案力や評価力も身につけた
国際交流活動支援制度:広く海外の研究機関との間で学術交
済。
次世代のロボティクス研究・開発者を育成。
流協定を結び(実績:77校)、教員や学生の交流活動を支援。学
軟に設計することで、上記三分野の技術を複合的に修得。
結集して開発された社会連携型のProject Based Learning
(PBL)を主体とした実践的教育カリキュラムを提供。実践的な
生の国際研究集会での発表も経費支援(平成26年度実績(延
Geiot: IoT(モノのインターネット)分野におけるグローバルアントレプレナー育成プログラム
べ)
:157名)。
文部科学省グローバルアントレプレナー育成促進事業(EDGEプログラム)の一つとして、モノのインターネット分野を対象と
したアントレプレナー(起業家)を育成。イノベーションにつながるアイデアの創出から、実際の起業に向けたビジネスプランの構
築までの一連のプロセスを実習形式で習得。海外でのビジネスチャレンジワークショップへの参加も発展課題として提供。
最先端の「曼陀羅」情報環境を完備
曼陀羅ネットワークと曼陀羅システム:本学における統合情報
処理環境「曼陀羅」は、基幹ネットワークに40Gビット/秒のネッ
オープンで活気に満ちた多彩な教授陣
トワークスイッチを採用した高速かつ障害に強いネットワーク。
大学や研究所において精力的に先端的研究の実績をあげた
国内外の学術研究ネットワークとの高速な接続の実現で、広域
若手研究者を教員として積極的に採用し、その若さを基盤に活
ネットワークにおけるさまざまなサービスが利用可能。1人1台
力ある研究科を形成。なお、専任教授は半数以上が大学以外の
の高性能ワークステーションと高機能サーバ群を配置。
研究所に在職経験をもち、ほとんどが海外の大学での研究教育
電子図書館とディジタルアーカイブ:最新の「曼陀羅」と融合す
に従事した経験を保有。
ることにより、自分の席で24時間閲覧可能なディジタルアーカイ
ブ環境を実現。講演ビデオの動画情報も閲覧可。
目
次
研究科の概要
研究室及び教育研究分野
教育及び研究指導方針
1
1
3
8
研究室での教育・研究の概要
<コンピュータ科学領域>
コンピューティング・アーキテクチャ
ディペンダブルシステム学
ユビキタスコンピューティングシステム
ソフトウェア基礎学
ソフトウェア工学
ソフトウェア設計学
インターネット工学
(協力)情報基盤システム学
Graduate School of Information Science Guide book 2015
ੲਾఐ৾B%RRN([SRUW3')Bంৄ৫岷ീ
13
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<メディア情報学領域>
自然言語処理学
知能コミュニケーション
ネットワークシステム学
視覚情報メディア
インタラクティブメディア設計学
光メディアインタフェース
環境知能学
21
22
23
24
25
26
27
<システム情報学領域>
ロボティクス
知能システム制御
大規模システム管理
数理情報学
生体医用画像
計算システムズ生物学
28
29
30
31
32
33
<教育連携研究室>
コミュニケーション学
計算神経科学
ヒューマンウェア工学
シンビオティックシステム
ヒューマン・インタフェース
マルチメディア移動通信
光センシング
生体分子情報学
34
35
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37
38
39
40
41
デジタルヒューマン学
放射線機器学
セキュアソフトウェアシステム
ネットワーク統合運用
超高信頼ソフトウエアシステム検証学
42
43
44
45
46
研究設備
教員索引
47
56
Graduate School of Information Science Guide book 2015
2
研究室 及 び 教 育 研 究 分 野
メディア情報学領域 Media Informatics
コンピュータ科学領域 Computer Science
コンピュータと人間のインタラクション及びメディアに関する技術領域についての研究・教育を行っています。
コンピュータ本体及び情報ネットワークに関する技術領域についての研究・教育を行っています。
研究室及び教員
教育研究分野
コンピューティング・アーキテクチャ
プログラムの新しい実行モデルを構築できる次世代アーキテクトを育成する。アプリケーション、
OS、
コンパイラ、
ライブラリ、
プロセッサ、論理設計、
回路技術の各階層の要素技術から構成される
コンピュータシステムに関し、様々な階層・視点から、低消費電力化・高性能化・高信頼化の可能
性を見出し、
アイデアを結集して、
コンピュータアーキテクチャを最適化する基盤技術を追求する。
教 授
助 教
助 教
中 島 康 彦
高 前 田 伸 也
Tran Thi Hong
ディペンダブルシステム学
教 授
助 教
助 教
井 上 美 智 子
米 田 友 和
大 和 勇 太
安
荒
諏
藤
本 慶
川 訪 博
本 ま な
一
豊
彦
と
伊 藤 実
楫 勇 一
柴 田 直 樹
Juntao Gao
川 上 朋 也
究
教 授
助 教
助 教
松 本 健 一
伊 原 彰 紀
畑 秀 明
室
ソフトウェア設計学
教 授
准 教 授
特任准教授
助 教
飯
市
高
渡
田
川
井
場
昊
利
康
元
平
憲
弘
インターネット工学
教 授
准 教 授
特任准教授
特任准教授
助 教
山
門
奥
櫨
樫
口
林
田
山
原
雄
寛
英
基
剛
章
茂
(協力)情報基盤システム学
教 授
准 教 授
助 教
助 教
特 任 助 教
3
藤
猪
垣
油
大
川
俣
内
谷
平
和
敦
正
健
利
夫
年
曉
司
教 授
准 教 授
特任准教授
助 教
助 教
特 任 助 教
P.14
[キーワード]
ユビキタスコンピューティング、パーベイシブシステム、コンテキスト連携システム(行動支援、健康支
援)、情報家電システム、高度交通システム
(ITS)、センサネットワーク、位置連携システム、コンテキス
ト推定技術、ユーザ参加型センシング、ソーシャルセンシング、スマートハウス、e-health、DTN(災害
時通信)、ソーシャルメディア、データマイニング、社会情報システム
P.15
教 授
准 教 授
助 教
岡 田 実
東 野 武 史
侯 亜 飛
視覚情報メディア
分散、
モバイル、通信などの分野において、
対象問題のモデル化、基礎理論の解明、
問題解決のための
アルゴリズムの設計、
およびアプリケーションソフトウェアの設計・開発を目標とした研究・教育を行う。
[キーワード]
分散コンピューティング、モバイルコンピューティング、高度交通システム(ITS)、クラウドコンピュー
ティング、センサーネットワーク、通信路符号とその応用、データ記録符号化方式、センサネット・
M2Mセキュリティ、暗号鍵管理
中 村 哲
戸 田 智 基
鈴 木 優
Sakriani Sakti
Graham Neubig
吉 野 幸 一 郎
ネットワークシステム学
あらゆる場所に情報技術が溶け込んだユビキタスコンピューティング社会の実現を目標に、
様々な要素技術に関する基礎研究から、それらを用いた実システムの構築に至るまで、理論と
実践の両面から教育・研究を行う。
P.16
教 授
准 教 授
助 教
助 教
横
佐
河
中
矢
藤
合
島
直
智
紀
悠
和
和
彦
太
インタラクティブメディア設計学
室
ソフトウェア工学
知能コミュニケーション
究
研
教 授
准 教 授
准 教 授
助 教
助 教
P.13
松 本 裕 治
新 保 仁
Ke v i n D u h
進 藤 裕 之
研
幹
ソフトウェア基礎学
教 授
准 教 授
助 教
助 教
幹
基
教 授
准 教 授
助 教
助 教
自然言語処理学
誰もが信頼して利用できるディペンダブルなシステムのために、
アルゴリズムに関する理論的研究から
VLSIのディペンダビリティに関する実用的研究まで多角的にディペンダビリティの研究・教育を行う。
[キーワード]
アルゴリズム:分散アルゴリズム、共有メモリ分散システム、自己安定アルゴリズム、マルチコア・
GPGPU向け並列アルゴリズム
システム・VLSI:高信頼デザイン、テスト容易化設計、テストスケジューリング、低電力テスト、高品質
テスト、組込自己テスト、劣化検知テストアーキテクチャ、データマイニングによるテスト最適化
教育研究分野
基
ユビキタスコンピューティングシステム
[キーワード]
高性能・低電力・高信頼システム/アクセラレータ、粗粒度耐故障再構成可能アーキテクチャ、多数演
算器系統制御、高速並列グラフ解析処理、機械学習アクセラレータ、脳型コンピュータ、メモリインテ
ンシブアーキテクチャ、GPU/メニコアアーキテクチャモデリング、ニアデータプロセッシング、ハード
ウェア・ソフトウェアコデザイン、大規模FPGA活用、大規模LSI開発、新素材向け耐故障極少ビット
長アーキテクチャ、連想メモリ組み込みアクセラレータ
研究室及び教員
頁
ソフトウェアの開発・利用・管理・教育を支援する技術について、理論面での議論と共に技術の
有用性を確かめる実証実験の両面から研究・教育を行う。
[キーワード]
ソフトウェア品質評価、ソフトウェアリポジトリマイニング、グローバルソフトウェア開発支援、協調ソフ
トウェア開発支援、オープンソースソフトウェア、ソフトウェアレビュー・テスト支援、ソフトウェア電子
透かし・難読化、生体情報を用いた開発者の行動解析、マルチエージェントシミュレーション、ソフト
ウェアアナリティクス、ソフトウェア可視化・実体化、ゲーム理論
P.17
教 授
准 教 授
助 教
向 川 康 博
舩 冨 卓 哉
久 保 尋 之
人間の知能の本質である自然言語の計算機による解析と理解を中心的なテーマとし、言語の
構造の解明と定式化、また、その応用及び関連の研究・教育を行う。
[キーワード]
言語解析、言語知識獲得、機械学習、テキストマイニング、言語の意味解析、言語資源データベース、
リンク解析、探索、文書からの情報抽出/知識獲得、機械翻訳、言語学習・言語教育支援、多言語情
報処理
P.21
多言語コミュニケーション、対話システム、コミュニケーションQoL技術などの人間のコミュニ
ケーション・知識を支援する知能コミュニケーション基盤技術に関する研究・教育を行う。ま
た、2014年度から全学多元ビッグデータ解析プロジェクトを統括。
[キーワード]
多言語音声翻訳、言語コミュニケーション支援、対話システム、音声言語認識・理解・合成、話し
言葉自然言語処理、音声変換・生成、人間の音声言語個人性モデリング、脳信号解析(Affective
Computing)、概念学習、発話補助、サイレント音声インタフェース、QoL(Quality of Life)、及び、
音メディア全般に関する情報処理システムに関する研究・教育を行う。2014年度から情報、バイオ、
物質情報に関するデータサイエンス、Web複合メディア自動分析、マルチメディアデータマイニング、
および、産業界のデータ分析を行う多元ビッグデータアナリティクスプロジェクトを統括。
P.22
センシング、ワイヤレス通信、ワイヤレス電力伝送、電波エージェントといったユビキタスネット
ワークの基盤技術の実現と、これらの基礎となる信号処理理論や通信理論に関する研究・教
育を行う。
[キーワード]
信号処理、変復調方式、無線通信、移動通信、デジタル放送、衛星通信、光電波融合通信システム、
無線電力伝送、高信頼制御通信、電力線通信、モバイルマルチメディア、多元接続技術、OFDM、セン
サネットワーク、無線LAN、MIMO、ディジタル回路設計、認識技術、ソフトウェア無線
P.23
コンピュータやロボットが外界を視る技術とコンピュータ内部の多様な情報を人間に効果的に
見せる技術を中心に、視覚情報処理全般についての研究・教育を行う。
[キーワード]
コンピュータビジョン、ロボットビジョン、画像処理、画像計測、仮想現実、複合/拡張現実、隠消現実、
全方位視覚、動画像処理、カメラ位置推定、三次元モデリング、自由視点画像生成、画像修復、形状
修復、動画像修復、映像中の重要領域推定、映像要約
普段の生活の中で誰もがその恩恵に預かることができる未来のインタラクティブメディアのあ
り方を考え、それを実現するために必要となる、メディア処理、ヒューマンインタフェースに関す
る研究・教育を行う。
[キーワード]
ヒューマンインタフェース、拡張現実感、三次元ユーザインタフェース、バーチャルリアリティ、画像計
測、コンピュータビジョン、コンピュータグラフィックス、パターン認識
P.24
P.25
物理モデルに基づいて光学現象を解析することでシーンを正しく理解し、光を媒体とする人と
計算機のインタフェースに関する研究・教育を行う。
[キーワード]
コンピュータビジョン、光学解析、センシングシステム設計、コンピュテーショナルフォトグラフィ、質感
表現、コンピュータグラフィックス
P.26
P.18
環境知能学
☆教 授
准 教 授
准 教 授
助 教
社会インフラの一翼を担うインターネットを高度化していくための基礎的な技術開発と、社会
に対する積極的な技術移転を目指す研究・教育を行う。
[キーワード]
次世代インターネット、
ネットワークセキュリティ、Webセキュリティ、認証技術、デジタル著作権管理、
オペレーティングシステム、仮想マシン、クラウドコンピューティング、ネットワークエミュレーション、
オーバレイネットワーク、モバイルアドホックネットワーク、ワイヤレスネットワーク、センサネットワー
ク、Delay Torelant Network、衛星ネットワーク、位置情報サービス、Nowcast、Activity Stream
加 藤 博 一
Christian Sandor
武 富 貴 史
山 本 豪 志 朗
光メディアインタフェース
大規模で複雑なソフトウェア・インフラストラクチャやソフトウェア・インテンシブ・システム、
クラウドシ
ステムの設計・開発に必要とされる基盤技術や、
設計法・開発管理手法について研究・教育を行う。
[キーワード]
ソフトウェア・プロセス、ソフトウェア解析、コードクローン、リファクタリング、クラウド基盤システム、
仮想計算機、仮想ネットワーク、開発支援環境、プロジェクト管理、ソフトウェア開発の見える化、ソフ
トウェア・ユーザビリティ、ソフトウェア教育、超上流分析、ソフトウェアの安全性・信頼性保証(アシュ
アランス)、ソフトウェアリスク分析手法、オープンソースプロジェクトのソーシャルネットワーク解析
教 授
准 教 授
助 教
助 教
頁
P.19
萩
浮
神
川
田
田
原
波
紀
宗
誠
弘
博
伯
之
道
ロボットや人工物の「個体知能」と人、モノ、コトの環境情報を計測・認識して、数値・言語情報
で構造化した「環境知能」を融合するネットワークヒューマンインタフェースに関する研究・教
育を行う。
[キーワード]
ネットワークロボット、環境情報構造化、ユビキタスコンピューティング、パターン認識、画像認識、拡
張/複合現実感、IoT、クラウドネットワークロボティクス、ヒューマンロボットインタラクション
(HRI)、
位置計測、行動・意図の認識・理解
P.27
注) ☆印:客員
インフラストラクチャとしてのインターネットを支える基盤技術や運用技術からインターネット
を利用したさまざまなサービス技術といった情報基盤に関連する研究・教育を行う。
[キーワード]
コンピュータネットワーク運用管理、モバイルコンピューティング、P2Pネットワーク、Delay Torelant
Network、センサネットワーク、クラウドコンピューティング、仮想化技術、暗号実装、ネットワークセ
キュリティ、マルウェア解析、電子図書館システム技術、4K/8K映像ストリーミング、IPv6サイトマルチ
ホーミング、ネットワーク設定自動化
Graduate School of Information Science Guide book 2015
ੲਾఐ৾B%RRN([SRUW3')Bంৄ৫岷ീ
P.20
Graduate School of Information Science Guide book 2015
4
システム情報学領域 Applied Informatics
教育連携研究室
生命現象や生命機能などを解き明かすバイオ情報処理や環境共生に関するシステム解析などの技術領域に関する研究・教育を行っています。
研究室及び教員
教育研究分野
ロボティクス
教 授
准 教 授
助 教
助 教
小
高
吉
丁
笠 原 松 川 雅
司
淳
博
明
知能システム制御
基
教 授
助 教
助 教
杉 本 謙 二
松 原 崇 充
南 裕 樹
笠 原 正 治
笹 部 昌 弘
川 原 純
研究室及び教員
コミュニケーション学
視覚情報・触覚情報などのリアルタイムセンシングに基づいて知的システムを構成するために
必要な技術に関して研究・教育を行う。
[キーワード]
ロボットシステム、生活ロボティクス、リアルタイムシステム、人間機械協調、ロボットビジョン、ヒュー
マンインタフェース、機械学習、マニピュレーション、ロボットハンド、電動義手、ヒューマンモデリング、
トレーニングシステム、触覚情報処理、技能・感性評価、バイオメカニクス、移動ロボット、認知・心理
☆教 授
☆准 教 授
P.28
[キーワード]
システム制御理論、機械学習、強化学習、ロボット制御、ヒューマンロボットインターフェース、運動ス
キル学習、ロバスト制御、メカトロ制御、超解像制御、分散協調制御、最適化、知能化システム、マル
チエージェントシステム、むだ時間システム、歩行、適応信号処理、電力ネットワーク、照明環境、制御
応用、数理科学
☆教 授
☆教 授
P.29
川 人 光 男
神 谷 之 康
ヒューマンウェア工学
情報システムに代表される大規模複雑システムの設計・制御・構成法に向けた数理的手法と情
報処理技術を開発し、現実システムに応用する研究・教育を行う。
研
[キーワード]
システム・アナリティクス、サービス・サイエンス、人間行動知覚型ネットワーク、ネットワーク・デザイ
ン、被災状況推定・避難誘導、分散型仮想通貨、マルコフ解析、待ち行列理論、オンライン・アルゴリ
ズム、ゲーム理論、クラウド・コンピューティング、大規模データ処理アルゴリズム、ビッグデータ解析
山 田 武 士
澤 田 宏
計算神経科学
コンピュータ制御やその知能化・システム最適化などの先端的な情報科学技術に対して、数理
的な手法を駆使し、
実験による検証やロボット・メカトロニクスへの応用などの研究・教育を行う。
P.30
育
教 授
准 教 授
助 教
頁
教
幹
大規模システム管理
☆教 授
☆准 教 授
小 澤 順
井 上 剛
シンビオティックシステム
究
教 授
助 教
助 教
池 田 和 司
久 保 孝 富
爲 井 智 也
数理モデルにもとづいた問題解決、特に機械学習アルゴリズムの開発と解析、生体信号の解析
とモデル化、ヒューマン・マシン・システムの開発に関する研究・教育を行う。
[キーワード]
数理情報学、機械学習、データマイニング、逆問題、脳情報科学、生体情報処理、システム生物学、
ヒューマンモデリング、適応ロボティクス、計算論的神経科学
連
数理情報学
☆教 授
田 谷 紀 彦
P.31
教育研究分野
頁
インターネット上の大量のテキスト情報やSNS情報などとセンサーデータなどの実世界の情報
とを結び付け、人間の社会的・経済的活動をモデル化、分析、予測し、コミュニケーションの本
質に迫る研究・教育を行う。
[キーワード]
機械学習、データマイニング、トピックモデル、センサ情報処理
(連携機関名:日本電信電話(株)NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
P.34
脳機能を情報処理の観点から明らかにするために、神経生理学、心理学、脳活動非侵襲計測、
デコーディング手法、ロボティクス、ブレイン・マシン・インタフェースなど実験的な手法を、計
算理論的な枠組で有機的に統合する研究・教育を行う。
[キーワード]
計算神経学、デコーディング手法、運動制御、視覚、内部モデル、強化学習、小脳、大脳基底核、脳活
動計測、ロボット、ブレイン・マシン・インタフェース
(連携機関名:
(株)国際電気通信基礎技術研究所)
P.35
ネットワーク社会における人間中心の情報処理をめざすヒューマンウェアを、脳機能統合セン
シング、人とロボットとのインタラクション・学習制御技術で実現する研究・教育を行う。
P.36
[キーワード]
ヒューマンウエア、ユーザインタフェース、脳機能、学習制御、ロボット、マニュピレータ
(連携機関名:パナソニック(株)先端技術研究所)
30年後の社会実現に向けての情報システムのあるべき姿の検討を通して、人間、社会、環境、
情報を統合した社会インフラとして実現するための研究・教育を行う。
[キーワード]
実世界インターフェース、コミュニケーション、ユニバーサルデザイン、IoT、プライバシーとセキュリ
ティ、社会システムデザイン
(連携機関名:日本電気(株)中央研究所)
P.37
携
生体医用画像
室
佐 藤 嘉 伸
大 竹 義 人
横 田 太
金 谷 重 彦
杉 浦 忠 男
Md.ALTAF-UL-AMIN
小 野 直 亮
佐 藤 哲 大
黄 銘
P.32
生命現象を情報科学により解明する。ナノからマクロに至る様々な生命機能に対する計測手法
と、それによる生命機能解明のための情報処理技術に関する研究・教育を行う。
[キーワード]
バイオデータベース、バイオネットワーク、バイオインフォマティクス、メタボロミクス、システムズバイ
オロジー、データサイエンス、医療情報学、生命機能計測、生体医工学、バイオイメージング、近接場
光学、ナノフォトニクス、インシリコバイオロジー、医用画像工学、医用グラフィックス、無拘束生体計
測、ヘルスケアインフォマティクス、深部体温計
早 川 昭 二
マルチメディア移動通信
☆教 授
☆准 教 授
P.33
人中心のICTや社会を実現するための基礎研究として、人対人のコミュニケーションの円滑さ
などの「質」の評価手法や評価システム、及び「質」を制御するための当事者への働き掛け方に
ついての研究・教育を行う。
[キーワード]
ヒューマン・インターフェース、言語/非言語コミュニケーション、音声情報処理、生体情報計測、対話
分析、脳科学、心理学
(連携機関名:富士通研究所)
奥 村 幸 彦
浅 井 孝 浩
室
教 授
准 教 授
准 教 授
助 教
助 教
特 任 助 教
[キーワード]
医用画像解析、コンピュータ外科、仮想人体、計算解剖学、計算医学、統計的人体モデル、医療意思
決定支援システム、診断・治療支援システム、手術ナビゲーション、手術シミュレーション、生体シミュ
レーション、ネットワーク医療、医療ビッグデータ、画像処理・拡張現実感・機械学習の医療応用
☆教 授
究
計算システムズ生物学
ヒューマン・インターフェース
医用画像の解析を中心として、統計的学習や生体シミュレーションを統合して、人体の構造・機
能の数理モデル化、および医療診断・治療の高度知能化を目指す 計算医学 に関する研究・教
育を行う。
研
教 授
准 教 授
助 教
光センシング
☆教 授
☆准 教 授
諏 訪 正 樹
井 尻 善 久
生体分子情報学
☆教 授
☆教 授
上 野 豊
福 井 一 彦
P.38
超広帯域なマルチメディア情報が伝達できる次世代移動通信方式の無線回線設計、アンテナ・
電波伝搬、無線回路、MIMO技術、移動無線アクセス、端末技術についての教育・研究を行う。
[キーワード]
移動通信、ブロードバンド、ダイバーシチ、適応アレー信号処理、アンテナ・電波伝搬、無線回路、回線
設計、移動無線アクセス、可変ビットレート伝送、無線中継、MIMO
(連携機関名:
(株)NTTドコモ)
P.39
新しいイメージング技術の創出や、画像処理によるパターンや立体物の認識、あるいは人間の行
動や動作の認識などを中心に、人間の視覚機能に迫るビジョンセンシングの研究・教育を行う。
[キーワード]
ビジョンセンシング、画像意味理解、3次元画像計測・認識、Time of Flight Sensor、画像処理、FA
画像処理、ひとの動作理解
(連携機関名:オムロン(株)技術本部・知財本部)
タンパク質など生体分子の機能とそのメカニズムを探るための、バイオインフォマティクスの手
法を研究する。大規模計算機を活用したデータベースからの網羅的な探索、さらに実験的デー
タにおける情報の欠損を補う分子シミュレーションなど、情報工学的な手法により生命科学に
おける知識発見を目指す研究・教育を行う。
[キーワード]
バイオインフォマティクス、タンパク質、分子間相互作用、分子シミュレーション、単粒子解析、スクリ
プト言語
(連携機関名:独立行政法人産業技術総合研究所)
P.40
P.41
注) ☆印:客員
5
Graduate School of Information Science Guide book 2015
ੲਾఐ৾B%RRN([SRUW3')Bంৄ৫岷ീ
Graduate School of Information Science Guide book 2015
6
情報科学研究科の教育及び研究指導方針
教育連携研究室
現在の社会において、有効な情報の創出とその安全な利用の重要性は増す一方です。このような社会の
デジタルヒューマン学
☆教 授
多 田 充 徳
人の形体・動作・行動・生活・人を取り巻く生活環境をコンピュータ上に再現するためのモデル
化技術、人や環境に設置したセンサから状況を理解するための信号処理技術、およびロボット
による支援を実現するための認識・制御技術について研究・教育を行う。
[キーワード]
デジタルヒューマンモデリング、モーションプラニング、物体認識、位置認識、地図作成、人間と人環境
の理解とその利用法、サービスロボット
(連携機関名:独立行政法人産業技術総合研究所)
放射線機器学
☆教 授
☆准 教 授
飯 田 秀 博
銭 谷 勉
教
セキュアソフトウェアシステム
育
☆教 授
☆准 教 授
大 岩 寛
Cyrille Artho
新しい画像診断技術や撮像法の開発、および最先端の画像診断機器(PET、SPECT、MRI装
置など)を利用した組織、細胞、生体分子の機能を正確に観察するための基礎から臨床応用分
野の研究・教育を行う。
[キーワード]
医用放射線機器、放射線画像処理、PET、SPECT、MRI、診断支援システム
(連携機関名:国立循環器病研究センター研究所)
進展に応えて、情報科学研究科では、情報科学に係る高度な基礎研究を推進するとともに、感覚と判断を
支援する情報処理技術、大規模な情報システムを構成する技術、安心できる情報ネットワークの構築と運
P.42
した体系的な教育プログラムを実施して、将来の研究開発を担う研究者や高度な専門性をもった技術者
を養成します。特に、ソフトウェア開発、情報セキュリティ管理、次世代ロボティクス開発の三分野を複合
的に修得した統合型人材を育成する
「サイバーメディア社会におけるマルチスペシャリスト育成プログラム」
や、情報セキュリティにおける課題解決型学習の実践的教育を目的とした「セキュリティ分野における情
P.43
連
携
研
究
☆教 授
☆准 教 授
小 林 和 真
河 合 栄 治
室
超高信頼ソフトウエア
システム検証学
☆教 授
☆准 教 授
片 平 真 史
宮 本 祐 子
報技術人材育成のための実践教育ネットワーク形成事業」、IoT分野でのグローバル起業家育成を目指す
「『モノのインターネット』分野でのグローバルアントレプレナー育成プログラム」等の人材育成プログラム
を実施するなど、演習や実習を重視したカリキュラムに基づいた教育を行っています。
組込みソフトウェアに要求される信頼性・安全性の高まりを踏まえ、ソフトウェアの安全性の担
保に必要な技術や、安全性を「目に見える」形で提示し説明する技術、またそれらをソフトウェ
ア開発の各段階や安全性の第3者認証の工程などにに具体的に適用するために必要な手法を
研究開発し、産業としての安全なソフトウェア構築手段の体系化を目指します。
P.44
[キーワード]
システム・ライフサイクル、仕様記述、モデル検査、形式検証、ディペンダビリティ
(連携機関名:独立行政法人産業技術総合研究所)
ネットワーク統合運用
用の技術、情報科学と生命科学が関わる広汎な融合研究など、情報科学に関する広範囲な領域をカバー
博士前期課程
教育目標
発経験者、学際領域の科目には、他大学や法律事務所の方
未来のインターネットを実現するための、ネットワーク基盤・アーキテクチャ・サービス技術な
らびにその検証・展開・普及に関する研究・教育を行う。
[キーワード]
通信インフラ技術(光、無線、アクセスなど)、大規模ネットワーク基盤技術、次世代インターネット技
術、新技術の実展開に関わる統合、移行技術
(連携機関名:独立行政法人情報通信研究機構)
P.45
に、授業担当をお願いしています。現実社会の問題や技術的
な影響を与えます。そのため、情報分野の学部を卒業した人だけ
な課題に対する認識を一層深めることをねらっています。
て受け入れます。周到に準備されたカリキュラムによる学習と、多
様な経歴を持った人々の中での研究活動により、広い視野と着実
極限環境で正しい動作が求められるソフトウェアの超高信頼性・安全性を実現するためのソ
フトウェア検証方法論を研究する。特に、複雑分散ソフトウエアシステムの検証 網羅性保証
(End-to-End評価)に必要な以下の方法論を研究・教育する。
[キーワード]
高信頼性・安全性検証手法(ロバスト性検証及、検証自動化のアルゴリズム・方法論)
、高信頼性・安全
性評価手法(ソフトウエアシステム全体の欠陥モードの体系化及びそのシステムへの影響度評価手法)
(連携機関名:独立行政法人宇宙航空研究開発機構 情報・計算工学センター)
情報科学は、人間の思考や学習を基盤にして、社会活動に大き
でなく、さまざまな分野の多様な経歴を持った人を大学院生とし
P.46
注) ☆印:客員
学してきます。そのため、入学式の前後に、教育連携研究室を
含めて各研究室の紹介をして、見学の期間を設け、学生の希
において産業活動や社会活動に携わること、あるいは、自ら起業
望調査をもとにして、入学後2週間余りで所属する研究室を
して新しい息吹を直接社会に活かすことなど、いろいろの可能性
決定します。受入人数は研究室によって均等にするのではな
を選択できるようにしています。いずれの方向であっても、情報科
く、学生の希望を最優先して、殆どの学生を第一希望の研究
学に関連する幅広い知識と関心がある専門分野の先端の知識を
室に配属しています。
修得すること、プレゼンテーションやコミュニケーションの能力を
いったん配属が決まってから、自分の希望が変わったり、研
修めること、国際的に活躍するために英語の能力を高めること、
究室の内容が希望に合わなかったことが判ったりしたときに
適正な倫理感をもつことなどが不可欠です。これらの能力を備え
は、状況が許す限り研究室の変更を認めています。関心をもっ
て、社会の変化に柔軟に対応して活躍できる人の育成を目指して
て自主的に修士の研究を進めていける状態を作ることが重要
います。
です。
情報科学は社会のあらゆる分野において基盤となり、その
技術はいたるところで利用されています。先端の技術は競争
が激しく、変化が早く、社会に及ぼす影響も甚大です。
そのため、カリキュラムとして、長期にわたって基盤となる科
目、専門的な科目、先端的・学際的な科目を体系的に揃えて
います。科目が対象とする分野を、
「コンピュータ科学」
「メディ
ア情報学」
「システム情報学」および「共通」に分けて、選択の
指針としています。なお、本章の冒頭で紹介した種々のプログ
ラムに関連する科目は一般の学生も受講可能な場合がありま
すが、詳細についてはそれぞれの注意点を別途、説明します。
情報科学以外の分野の経歴をもつ人が、この分野で学習と研
究を進め易いように、計算機科学と数学の基礎科目を履修し
て、論理的な思考能力を向上できるように準備しています。平
成25年度から、数学系、計算機科学系の基礎科目を大幅に
拡充しています。
ੲਾఐ৾B%RRN([SRUW3')Bంৄ৫岷ീ
多くの学生が高い問題意識と研究分野の志望を持って入
進路としては、博士後期課程に進んで研究を深めること、企業
1.多様な経歴と志望分野にあわせた授業の選択に
応えるカリキュラム
Graduate School of Information Science Guide book 2015
2.研究室配属
な技術を備えた修士(工学または理学)を育成します。
指導計画と方針
7
先端領域の科目には、教育連携研究室の教員や企業での開
3.ゼミナールにおける討論と発表
ゼミナール(Ⅰ・Ⅱ)では、情報科学の見識を広め、問題点を
探るとともに、
コミュニケーション能力とプレゼンテーション能
力を涵養します。ゼミナールⅠは国内外の一流の研究者や技
術者から先端研究の紹介や技術の動向を伺い、質問や意見
を積極的に述べる訓練をします。ゼミナールⅡでは、各自の修
士論文の研究計画や研究経過を報告して、指導教員や学生の
コメントを受けます。これは、学友の発表に対して質問や意見
を述べて、互いに切磋琢磨する機会になります。それが、修士
論文の完成度を上げる手がかりとなり、最終審査に臨む練習
となります。また、学会などでの研究発表に対する自信をもた
らします。
4.プロジェクト実習
プロジェクト実習では、授業では扱えなかった問題や課題
について、実習や実験を行います。それによって、実際の開発
における問題点を考察し、実用化における設計能力を養いま
す。また、インターンシップとして、他研究機関や企業で、与え
Graduate School of Information Science Guide book 2015
8
られたテーマの研究や開発に携わって、現場での問題解決を
6.英語教育の充実
体験します。これらの実験や実習を通じて、授業で修得した知
研究者を目指すか、企業での技術者を目指すかに関わらず、
識の活用を学ぶとともに、新たに何を修得する必要があるか
情報科学分野で国際的に活動するためには、英語能力が不可
を知ります。実習の結果を報告書にまとめることにより、成果
欠です。科学英語を学ぶための授業科目には、聞くことと話す
と課題を明らかにすることの重要性を認識します。
ことにコミュニケーション能力を養う「英語プレゼンテーショ
情 報 科 学 研 究 科の教 育プロセス
アドバンストプロジェクト
ン法入門」および「英語コミュニケーション法I, II」、英語によ
5.修士論文研究
・CICP制度は研究プロジェクトを公募し一定数を選抜。
る論文執筆や研究発表法を学ぶ「英語ライティング法」およ
大学院の教育は、授業を通じて多くを学ぶことと、自ら研究
び「英語プレゼンテーション法」があります。さらに、
「英語プ
することが2つの柱です。後者を修士論文研究と呼ぶことにし
ロジェクトマネジメント法」
、
「英語論文検索法」、
「英語デジタ
ます。修士論文研究では、
「研究論文」または「課題研究」のい
ルメディア活用法」のより進んだ内容の科目もあります。また、
ずれかを選択します。
「研究論文」では、未知の問題について
年2回、TOEIC英語試験を受験できる機会を設けています。
研究を進め、創意を発揮して問題解決することを目指し、その
いずれも各人の選択に任せていますが、英語能力の重要性を
成果を論文の形に総括します。解決方法における創造性、有
認識して積極的な履修と受験を勧めます。各自の英語能力を
用性、あるいは、実用性が評価されます。
「課題研究」では、特
把握して、英語科目を受講し、能力の向上に努めることが大切
定の課題あるいは研究分野の概観、技術動向の調査、製品の
です。さらに、ネットワークを介した「英語学習システム(ALC
開発などを行い、報告書の形にまとめます。課題や解決法の
NetAcademy 2)」を利用して、実践的な英語能力の向上を
図ることができます。ゼミナールⅠでは、外国人研究者の講演
修士論文研究では、主指導教員の指導に加えて、副指導教
をできるだけ多くして、生きた英語に接する機会を作るように
員など複数の教員が協力して指導に当たります。研究の任意
しています。平成23年度から専門科目の一部に英語コースを
の時点でアドバイスを求めることができますが、とくに、ゼミ
設け、英語のみの講義によって前期課程の必要単位を修得で
ナールⅡにおける中間発表では、研究の進行と問題点につい
きるようにカリキュラムを変更しました。これにより25の専門
て意見とアドバイスを受けます。
科目が英語で講義されます。
・修了時期は年4回(3月、6月、9月、12月)。図では、3月修了を想定した流れを示している。
・前期課程は1年以上の在籍で修了可能。
・後期課程は前期課程後期課程の合計が3年以上の在籍で修了可能。
人材養成目的
M1
博士後期課程
教育目標
博士後期課程では、長期的な広い視野と、専門とする分野の
3.TAあるいはRAの担当
TAは前期課程の授業の補助や研究指導の補助を担当しま
深い知識を持って、独立して研究を進めることができる研究者を
す。それによって、授業や研究の中から新しい課題を発見する
育成します。それには、学術面あるいは社会において解決または
ことができ、将来の教育者として必要な素養が身に付きます。
改良が求められている問題を見つけ出して、それを遂行するため
RAは指導教員の研究補助を担当します。
自分の研究と並行し
の研究計画を立案し、解決の方法や改良の方法を考え出す能力
て、関連した課題に取り組むことにより、視野と考察の範囲を
が必要です。さらには、提案した方法によって解を実現し、評価す
広げることができます。いずれも、研究者として独立する場合
ることが求められます。修了後は、大学や企業等の研究機関にお
の貴重な経験になります。
M2
先幅情
端広報
知い科
識基学
の礎に
修知関
得識す
とる
対能
応力
能・
力英
の語
養力
・
成変
化
へ
の
コアカリキュラム
アドバンストプロジェクト
︵
研
究
一般科目
(数学・情報倫理・IP・MOT)
CICP
体系化、将来に向けての見通しなどが評価されます。
短期修了制度
制
度
異法
文入
化門
コ・
ミ
基礎科目
(他分野学生のキャッチアップ教育)
国
際
化
活
動
︶
専門科目
オンデマンド授業
アーカイヴによる
学習
修士論文研究: 基幹研究室または
教育連携研究室への長期派遣にて
﹂
↓
海
外
派
遣
ゼミナール発表
(9∼10月:
修士論文
中間報告、
副指導教員
との討論)
修士論文提出・
修士論文
発表会(2月)
短期修了制度
(これまでに155名
平成27年3月現在)
いて、未知の問題に取り組む研究者や高度な技術者、あるいは、
後進を指導できる教育者としての活躍が期待されています。
情報科学に関連する分野は、進歩が激しく変化が絶えません
4.英語教育
前期課程の科目の中で、特に、
「英語ライティング法」およ
が、それに依らない普遍的な方法(普遍性)
、あるいは、それに対
び「英語プレゼンテーション法」の履修を推奨しています。研
応できる柔軟な方法(柔軟性)、信頼できる方法(信頼性)と、そ
究の成果を英語で発表して、国際的に活動するために必要な
れを保証する尺度が求められます。これらの能力を備えて、国際
能力を一層向上させます。また、ネットワークを介したオンラ
的に活躍する人材の育成を目指しています。
インの「英語学習システム(ALC NetAcademy 2)」や、オフ
D1
ラインの英語教材(CD−ROM)を利用して、常に英語能力
指導計画と方針
1.博士論文研究
博士後期課程では博士論文の研究を進めることが課題の
中心です。問題を見つけ出して、研究計画を立て、創意を持っ
た研究を遂行して解法を提案し、さらには、開発あるいは実
装します。関連研究を調査すること、自分の提案を客観的に
評価すること、残された課題を明らかにすることも欠かせませ
ん。これらの過程で、教員が適切な指導と助言をして、研究を
支援します。得られた成果を学術論文あるいは国際会議に公
表します。
2.中間発表
課程の中間で博士論文研究の経過と結果、および、その後
の計画を発表します。複数の指導教員が、それに対して質問
をし、意見やアドバイスを述べ、研究の有効な推進を支援しま
の向上に努めること、年2回のTOEIC英語試験を受験して、自
己の英語能力を把握することなどの環境を整えています。ゼミ
ナールIでの外国人研究者の講演、研究科を訪問された外国
D2
人研究者との討論の機会を活用することを勧めています。ゼミ
ナールIでの外国人研究者の講演、研究科を訪問された外国
人研究者との討論の機会を活用することを勧めています。
5.授業科目の履修
博士論文研究を進めるに際して、必要があれば、博士前期
課程の授業を自由に履修することができます。研究の背景を
学び直すことにより、問題の位置付けが明らかになることがあ
ります。一方、博士後期課程への入学の条件によって、授業
を履修して学力や知識の向上を求めることがあります。それに
よって、研究についての輪講や討論の意義を深めることができ
ます。
D3
視探
野求
の︵
養広
成い
︶
蓄︵
専研
積 究
門の
、
国的深
際知化
感識と
覚・成
の方果
養法発
成論表
︶の
能研独
力究立
養者し
成とた
し
て
の
ゼミナール発表
(10月∼12月
修士論文
テーマ提案)
アドバンストプロジェクト
国際化教育Ⅰ
(アドバンスト英語ライティング法・
プレゼンテーション法)
先進学際領域特論
先進情報科学特別講義
先進情報科学考究
アカデミックボランティア教育
国際化教育Ⅱ → 海外派遣等
英文デスクサービスの利用
先進ゼミナール
(博士論文中間報告:
副指導教員との討論)
博士論文
公聴会
(12月)
博士論文提出・
最終審査
(2月)
短期修了制度
(これまでに174名
平成27年3月現在)
研究科Webサイト(http://is-education.naist.jp/)でシラバスを公開しています。
す。質問に適切に応答することは、自分の研究を見直す良い
機会になります。
9
Graduate School of Information Science Guide book 2015
ੲਾఐ৾B%RRN([SRUW3')Bంৄ৫岷ീ
Graduate School of Information Science Guide book 2015
10
研究室での教育・研究の概要
ੲਾఐ৾B%RRN([SRUW3')Bంৄ৫岷ീ
コンピューティング・アーキテクチャ研究室 URL:http://arch.naist.jp/ https://www.facebook.com/NAIST.ARCH
ディペンダブルシステム学研究室 URL:http://dslab.naist.jp/
(写真左から)
教授:中島 康彦 [email protected]
助教:高前田 伸也 [email protected]
助教:Tran Thi Hong [email protected]
(写真左から)
教授:井上 美智子 [email protected]
助教:米田 友和 [email protected]
助教:大和 勇太 [email protected]
コンピュータ科学領域
コンピュータ科学領域
研究室での教育・研究の概要
4)並列アルゴリズム
研究室概要
研究室概要
コンピューティング・アーキテクチャ研究室では、コンピュータの構成方
今日の情報社会は、アプリケーション、システム、コンピュータ、VLSIな
法・計算機アーキテクチャに関する研究を行っています。
ど様々なレベルの高度な技術に支えられています。ディペンダブルシステ
主に、
(1)高性能・低消費電力・高信頼なコンピュータを実現するため
ム学研究室では、多数のコンピュータで構成される分散システム、多数の
のハードウェアと、それらを活用するソフトウェアの構成に関する基礎研
プロセッサコアで構成されるマルチコアコンピュータ、多数のトランジスタ
究、および(2)科学技術計算・ビッグデータ処理など、コンピュータによ
で構成されるVLSIなど、あらゆるレベルでユーザが安心して使えるシステ
り現実の問題を解決する応用研究を行っています。
ムのための研究を行います。ディペンダブル とは、日本語では 頼りがい
並列システムのためのアルゴリズム
・GPGPU、マルチコアプロセッサのための並列アルゴリズム
・LSI CADのための並列アルゴリズム
のある ことを意味し、ユーザがシステムを信頼し安心して使えるという、
ユーザ視点の概念です。ディペンダブルシステムを実現するには、きちんと
主な研究分野
検査して不良品を出荷しない、多少の故障があっても動作する、経年劣化
1)高性能・低消費電力・ニアデータ指向メモリアレー型ア
クセラレータ・スーパーコンピュータ
によるシステム障害を避ける、悪意のある利用者に対処するなど、設計者
ステンシル計算などの高性能計算(HPC: High peformance
computing)やグラフ処理などのビッグデータ処理など、様々な
アプリケーションに適用可能な高効率な計算機システム・アクセラ
レータ・LSIについて研究・開発しています。
・汎用マルチコア(120コア)やメニーコアアクセラレータ(GPU/
Xeon Phi)を用いたグラフ処理・ステンシル計算の超高速化
・画像処理・グラフ処理
の高速処理を可能にす
る大 規 模FPGAアクセ
ラレータ
・LAPP:通常のスカラ
命 令 列を利用可 能な
演算器アレー型アクセ
ラレータLSI
・EReLA:動 的 故 障 検
出・回避を行う高性能・
高 信 頼 演 算 器アレー
型アクセラレータLSI
・EMAX2:グラフ処理・
ステンシル計算のため
のオンチップメモリ混載アクセラレータLSI
・EMAX4:複数の市販LSIを組み合わせた高性能アクセラレータプ
ラットフォーム(新規テーマ)
・PyCoRAM:高位合成技術とハードウェアリソースの抽象化によ
る高効率なFPGAアクセラレータ向けプログラミングモデル
・Pyverilog:ハードウェア記述の静的解析ツールキットと応用
3)α線に負けない超高信頼指向コンピュータ・LSI
ダビリティ向上に繋がる様々な手法の研究・開発に取り組みます。また、
宇宙線などの外乱に強い超高信頼な計算機システムの構成方式
について研究・開発しています。α線源を使って、実際に放射線を当
てて高信頼化LSIの評価をしています。
・DARA:複数パイプラ
インの交互による故障
を検出・回避する高信
頼CPU
・BDMR:高 信 頼 プ ロ
セッサアーキ
テクチャ
研究を通じて、論理的に物事を考える力、アルゴリズムの設計・解析、Cや
視点で考えることは多岐に渡ります。本研究室では、システムのディペン
4)不規則なプログラムのための非定型プロセッサアーキテクチャ
ポインタチェーンアクセス、再帰呼び出しなどの不規則な処理を
高速化するためのプロセッサアーキテクチャの研究を行っています。
・CAMP:過去の実行結果の区間再利用や並列事前実行による高
速化を目指す一風変わったCPU。CAM(Content Addressable
Memory)を用いて普通の方法では高速化できないプログラムを
高速化
JAVAなどの通常プログラミング、GPGPUやマルチコアプロセッサを用い
た並列プログラミングやハードウェア記述言語(VHDL, Verilog)を用い
たVLSI設計フローなどを学びます。
分散アルゴリズム
並列アルゴリズム
研究設備
並列コンピューティングやVLSIの設計・シミュレーション評価の
ために、高速サーバ、ワークステーション、大容量SSD、高解像度
ディスプレイ、
最新のEDA
(Electronic Design Automation)
ツー
ル、テストツールを用意し、快適な環境で研究をサポートします。
主な研究分野
1)VLSIの設計とテスト
VLSIの大規模化、微細化、高性能化、省電力化に起因する設計
自動化やテスト設計への新たな課題を克服
・VLSIテスト容易化設計
・3次元LSIのテスト設計
・高品質テスト技術(タイミング故障、低電力、低発熱etc.)
・VLSIの故障検出・故障診断
・データマイニングを用いたテスト最適化
2)コンピュータの高信頼化/耐故障設計
信頼できる、ディペンダブルなシステムの提案
・劣化検知のためのテストアーキテクチャ
・フィールド高信頼化のためのテスト機構
ハードウェア
・SunBlade X6270
・Sun SPARC Enerprise 5000
・SunFire X4270 M2 with 640GB SSD
・SunStorage F5100
・Apple iMac 27 インチ
・Altera Stratix IV E FPGA Development Kit
ソフトウェア
・Synopsys University Program(CADツール一式)
DesignCompiler, PrimeTime, VCS, HSPICE など
・テスト設計ツール
SIGNOFF, HiDFT-STAR(DeFacTo)
・テスト生成ツール
Encounter Test(Cadence)
, TetraMAX ATPG
(Synopsys)
・熱解析ツール
FloTHERM(MentorGraphics)
2)プリンタブルセンサー向け超小型・高信頼プロセッサ
新素材を用いた次世代LSIのための小型で高信頼なプロセッサ
アーキテクチャの研究を行っています。
・OROCHI:動的命令変換による複数・異種命令セット対応CPU
・DEP:故障回路の自律的な修正を行う高信頼演算器
・RM:エミュレーション技術を用いた旧型機用ソフトウェアの効率
的な実行環境
・EMIN:8ビットコンピュータ上で32ビットコンピュータ用ソフト
ウェアを効率的に実行するエミュレーション技術・CPU
・REMIN:命令列の動的変換により故障箇所を回避する高信頼・
超小型CPU
・FCOMP:エミュレーション技術による32ビットOS対応8ビット・
インクジェット・フィルムコンピュータ
13
Graduate School of Information Science Guide book 2015
ੲਾఐ৾B%RRN([SRUW3')Bంৄ৫岷ീ
VLSIの設計とテスト
VLSI高信頼化設計
3)分散アルゴリズム
共同研究・社会活動など
立命館大学、京都工芸繊維大学、東京工業大学、富士通研究所、
富士通セミコンダクター、富士通コンピュータテクノロジーズ、中国
清華大学
複数のプロセスが自律分散して動作する分散システムのためのア
ルゴリズム
・フォールトトレラント分散システム
・無待機(wait-free)分散アルゴリズム
・自己安定分散アルゴリズム
共同研究・社会活動など
JST CREST(科学技術振興機構戦略的創造推進事業)
:
・SoC/NoCのフィールド高信頼化テスト手法
科学研究費補助金
・ライフサイクル全般の信頼性向上のための組込み自己テストに関
する研究
企業との共同研究:日立製作所、ルネサスエレクトロニクス
Graduate School of Information Science Guide book 2015
14
ユビキタスコンピューティングシステム研究室 URL:http://ubi-lab.naist.jp/
ソフトウェア基礎学研究室 URL:http://ito-lab.naist.jp/mediawiki/index.php/Main_Page/ja
(写真左から)
教授:伊藤 実 [email protected]
准教授:楫 勇一 [email protected]
准教授:柴田 直樹 [email protected]
助教:Juntao Gao [email protected]
助教:川上 朋也
(写真なし)
(写真左から)
教授:安本 慶一 [email protected]
准教授:荒川 豊 [email protected]
助教:諏訪 博彦 [email protected]
助教:藤本まなと
(写真なし)
研究室概要
本研究室では、様々なセンサから取り込まれる実世界データを処理・集
約・解析することで、高度なサービスを効率良くユーザに提供するシステ
ム∼ユビキタスコンピューティングシステム∼の実現に向け、図1に示すよ
うな様々な研究に取り組んでいます。
3)スマートハウス
最新鋭のセンシング機器を備えたスマートハウスを活用し、下記
に示すような研究を行っています。
・快適度を考慮した省エネ設定の設計・可視化システム
・重量センサを用いた安価なスマート冷蔵庫
・家電操作ログを用いた見守りシステム
・Twitterと連携した家電操作ミドルウェア
・かざした方向の家電が操作可能なユニバーサルリモコン
研究室概要
本研究室では、モバイルコンピューティング、クラウドコンピューティン
グ等の研究分野において、対象問題の定式化・アルゴリズムの考案・実機
及びシミュレータでの評価を通して研究教育を行っています。また、それら
の研究を支える基礎となる情報理論や、セキュリティ要素技術に関する研
究にも取り組んでいます。
コンピュータ科学領域
コンピュータ科学領域
研究室での教育・研究の概要
題に取り組む一方、情報理論の新しい可能性を開く研究にも取り組
んでいます。
過去の研究トピック:
(i)誤り訂正符号の符号化・復号アルゴリズム
開発、
( ii)
フラッシュメモリ等における記録用符号方式の設計・評価、
(iii)次世代符号を応用した超高密度・超高容量2次元コードの開
発、
(iv)サイドチャネル攻撃等、セキュリティ攻撃に対する漏洩情報
の量的評価
主な研究分野
1)高度交通システム(ITS)
図1 ユビキタスコンピューティングシステムの研究領域
主な研究分野
1)行動・生活支援・e-Health
スマートフォンを用いてコンテキストアウェネスの高い行動支援
や生活支援に関する研究を行っています。また、健康増進のための
e-Healthシステムに関する研究にも取り組んでいます。
・スマートフォンだけで運動時の心拍数を推定するシステム
・スマートフォンだけで空腹度を推定するシステム
・SNSのログに基づく運動量推定システム
・スマートフォンのタッチ操作分析によるユーザプロファイリング
図4 学内に建設したスマートハウスの内部
4)モバイルセンシング・センサーネットワーク
スマートフォンを用いたセンシングから通信方式の適応的な切り
替え、災害時通信システムの研究を行っています。
・DTNを利用した災害時通信方式
・ウェアラブル屋内フロアマップ生成システム
・WiFiと3G/4Gを効率よく使い分けるモバイル通信方式
・農業用地の環境情報収集のためのセンサネットワーク
図2 スマートフォンを用いたe-Health
2)参加型センシング・ソーシャル実世界センシング
ソーシャルネットワーク上での人間活動をセンシングと捉え、実世
界の情報を認識する研究を行っています。
・ジオタグ付きデータを用いた実世界イベント検出
・写真サイトやチェックインの分析による観光スポット発掘
・ユーザ地図の共有、評価、ナビゲーションシステム
・ゲーミフィケーションを利用した参加型センシング
・交通情報の収集と配信のための参加型センシング基盤
図5 DTNネットワーク
研究設備
•スマートハウス(高精度位置測位システム、様々な環境センシング
システム)
、スマートフォン、情報家電、各種センサ
・システムのモデリング・シミュレーションツールScenargie
共同研究・社会活動など
図3 ソーシャル実世界センシング
15
Graduate School of Information Science Guide book 2015
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高度交通システムの普及により、車載情報機器の普及率も高く
なっています。本研究室では、情報伝搬、都市センシング、安全支援
など、多種な研究を行っています。
過 去 の 研 究トピック:
(i)
駐車場における混雑緩和
のための多数車両同時ナビ
ゲーションシステム、
(ii)指
向性アンテナ・ビデオカメ
ラによる車両間の協調によ
る死角歩行者検知・通知シ
ステム、
(iii)観光用パーソ
ナルナビゲーションシステ
ムP-Tour
・大阪大学、九州大学、AUS、
(株)デンソーとの共同研究開発
・科学研究費補助金基盤研究(B)、挑戦的萌芽研究、若手(B)、総
務省SCOPE等の競争的資金によるプロジェクト
観光用パーソナルナビゲーションシステム
P-Tour
2)クラウドコンピューティング、並列アルゴリズム
5)セキュリティ要素技術
様々な技術やサービスが登場するのに伴い、情報を護るための仕
組みについても、新しい課題や要求が発生しつつあります。本研究
室では、既存の暗号技術を部品として取り込み、従来の技術では実
現できなかった計算パラダイムを創り出すことで、これら新しい問題
にアプローチしています。理論のための理論とならないよう、民間企
業の研究者とも連携し、ニーズにあった研究を心がけています。
過去の研究トピック:
(i)センサネットワーク、M2M機器向けセキュ
リティ方式の開発、
(ii)情報弱者の利用を想定したセキュア認証技
術の提案、
(iii)複数の組織をまたがったロールベースアクセス制御
方式の設計・開発
各種サービスに必要をインターネット上のサーバで実現するクラ
ウドコンピューティングが注目されています。処理を行うデータセン
タは、多数の計算ノードから構築され、各ノードは多数のプロセッサ
を搭載しており、これら多数の計算ノードを効率よく利用する方法
が重要となってきました。
過去の研究トピック:
(i)マルチコアプロセッサの停止故障を考慮し
たスケジューリング、
(ii)ターボブースト・ハイパースレッディングに
よる実行速度の変化を考慮したスケジューリング、
(iii)GPGPUや
SIMD命令セットを効率よく利用する連結成分抽出アルゴリズム
3)モバイルコンピューティング
多数のモバイル端末間で無線通信を利用したサービスについて
研究します。
過去の研究トピック:
(i)災害復旧のための建物包囲型無線ネット
ワークノード配置、
(ii)被災地におけるDTN(遅延耐性ネットワー
ク)に基づいた情報収集・共有方式、
(iii)水中センサネットワークに
おけるセンサ位置推定
4)情報理論
情報理論は、効率的で信頼性の高い通信を実現するため多大な
貢献をしてきました。その一方、近年は、情報理論のアプローチや成
果を、通信以外の諸問題へ応用する研究も広く行われています。本
研究室では、誤り訂正符号等、情報理論のオーソドックスな研究課
研究設備
・各種携帯無線端末、LEGO MINDSTORMSによるMANETテス
トベッド、PlanetLab等
・QualNetなどの各種シミュレータの開発ライセンス、UbiREAL、
P-Tour、MobiREAL、電子トリアージ等の本研究室と共同研究機
関で開発したシステム
共同研究・社会活動など
大阪大学、滋賀大学、大阪府立大学、静岡大学、岐阜大学、北陸先
端大学、日本電気(株)、
(株)沖電気との共同研究
Graduate School of Information Science Guide book 2015
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ソフトウェア工学研究室 URL:http://se-naist.jp/
ソフトウェア設計学研究室 URL:http://sdlab.naist.jp/
(写真左から)
教授:飯田 元 [email protected]
准教授:市川 昊平 [email protected]
特任准教授:高井 利憲 [email protected]
助教:渡場 康弘
(写真なし)
(写真左から)
教授:松本 健一 [email protected]
助教:伊原 彰紀 [email protected]
助教:畑 秀明 [email protected]
研究室概要
研究室概要
ソフトウェア工学研究室では、ソフトウェアが持つ脆弱性の克服とソフ
ソフトウェア設計学研究室では、ソフトウェアやクラウドコンピューティ
トウェア開発・利用における新たな基盤技術の確立をめざし、ソフトウェ
ングシステムの開発・設計を支援する技術について研究を行っています。
ア製品・サービスに関わる理論、方法論、モデル、環境・ツール、ベンチマー
特に、ソフトウェアの開発工程、すなわちソフトウェアプロセスの分析や改
キング、技術移転などの研究開発を行うとともに、それらの有効性を確か
善を主題に据えています。ソフトウェア技術は、家電製品や携帯電話など
める実証実験にも力を入れて取り組んでいます。ソフトウェアの開発・利用
の各種組み込み機器の開発や、クラウドコンピューティングに代表される
形態が多様化する現状では、ソフトウェアに関する基本的な理論や技術
近年の社会基盤システム構築など、我々の生活に広く浸透しています。ソ
を踏まえつつ、学生の好奇心や柔軟な思考をうまく組み合わせていくこと
フトウェアプロセス技術は良質なソフトウェアを安定して生産し続けるた
が、既存技術にとらわれない先端的で実用的な研究につながると考えて
めの鍵であり、幅広い分野において欠かせないものとなってきています。
います。研究成果の発表形態についても、学術論文としての発表だけでな
く、ソフトウェアの公開(オープンソース化)
、特許出願、連携企業での技
ソフトウェア開発タスク計測システムTaskPit
コンピュータ科学領域
コンピュータ科学領域
研究室での教育・研究の概要
関連プロジェクト、共同研究企業等
・IT-Triadic(サイバーメディア社会におけるマルチスペシャリスト育
成プログラム)
・情報処理推進機構
・
(株)日立製作所
・産業技術総合研究所
・宇宙航空研究開発機構(JAXA)
・情報科学国際交流財団(産学戦略的研究フォーラム)
・大 阪 大 学、University of California San Diego、Kasetsart
University、香港理工大學 他
主な研究分野
術適用などへ広げています。
1)ソフトウェア開発プロセスのモデル化と管理/改善
・プロセスモデリング・分析・改善
・プロジェクト情報の可視化と管理支援
・オープンソースプロジェクトのソーシャルネットワーク解析
・プロジェクトの仮想的再現
主な研究分野
1)ソフトウェアデータマイニング
・ソフトウェア品質評価、コスト見積もり
・ソフトウェアデータを対象とした自然言語処理技術
・ソフトウェア開発データの計測・可視化・操作・実体化
・データに基づくプロジェクトマネージメント支援
・開発者の脳活動データの計測・分析
・TaskPit: ソフトウェア開発タスク計測システム
・ソフトウェアエコシステムへのメカニズムデザイン
2)開発リポジトリのマイニング
・コード履歴分析(コードクローン・デザインパターン)
・ソフトウェア保守の細粒度プロセス分析
・開発者間メーリングリストでの話題抽出
3)ソフトウェアの設計と検証
2)オープンソースソフトウェア(OSS)工学
・
「OSS利用診断カルテ」の開発
・
「欠陥部品の自動特定システム」の開発
・
「OSS進化理解に向けたマルチエージェントシステム」の開発
・コミッター選出のための開発者活動分析
・OSS開発におけるコミュニケーション分析
・グローバルソフトウェア開発支援
OSS開発における欠陥混入ファイルの自動特定システム
・超上流分析
・デザインパターン検索・リファクタリング支援
・ソフトウェアの安全性・信頼性保証(アシュアランス)
・ソフトウェアリスク分析手法
OSSのソーシャルネットワーク解析ツール
4)クラウド基盤システムの設計法
・仮想計算機基盤の構築
・Software-Defined Network(SDN)環境の構築
・広域分散システムの実証実験
・ハイパフォーマンス・コンピューティング支援
3)ソフトウェアセキュリティ
・ソフトウェアの難読化
・ソフトウェア電子透かし、バースマーク
・耐タンパーソフトウェア、アンチクラック、秘密分散
連携先企業・組織(略称・順不同)
日立製作所、東芝、NTT西日本、NTTデータ、有人宇宙システム、
JAXA、シャープ、アクセス、経済調査会、IPAソフトウェア・エンジニ
アリング・センター、香港城市大学、香港科技大学、ハワイ大学、フ
ラウンホーファ実験的ソフトウェア工学研究所(アメリカ)、クイーン
ズ大学(カナダ)、オウル大学(フィンランド)、カセサート大学、和歌
山大学、静岡大学など。
3Dモーションによる開発データの操作・インタラクション
開発履歴可視化ツール
研究設備
卒業生の主な進路及び就職状況(過去3年)
民間企業:デンソー、富士通、日立製作所、NECシステムテクノロ
ジー、野村総合研究所、NTTデータ、NTT西日本、沖電
気工業、パナソニック、リクルート、など。
教育機関:神 戸 大 学、奈良先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学、Queens
University、九州大学、福岡工業大学など。
OpenFlowによる国際間仮想ネットワークの実証実験環境
脳血流センサによりソ
フトウェア開発者・ユー
ザの脳活動を分析して
います。
6面ハイビジョンモニタ
により大規模データを
可視化・分析していま
す。
3Dプリンタによりデー
タの可視化・実体化に
取り組んでいます。
コードクローン分析ツール
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インターネット工学研究室 URL:http://iplab.naist.jp/
情報基盤システム学研究室 URL:http://inet-lab.naist.jp/
(写真左から)
教授:山口 英 [email protected]
准教授:門林 雄基 [email protected]
特任准教授:奥田 剛 [email protected]
特任准教授:櫨山 寛章 [email protected]
助教:樫原 茂 [email protected]
研究室概要
(写真左から)
教授:藤川 和利 [email protected]
准教授:猪俣 敦夫 [email protected]
助教:垣内 正年 [email protected]
助教:油谷 曉 [email protected]
特任助教:大平 健司 [email protected]
研究室概要
インターネットは我々の日常生活の基盤となり、様々な要求を持つサー
情報基盤システム学研究室のスタッフは、全学に対する情報処理サー
ビスやアプリケーションが提供可能なインフラストラクチャとして、イン
ビス提供機関である総合情報基盤センター(ITC)のスタッフとしての役
ターネットの高性能化・高機能化・高信頼化が求められている。本研究室
割も兼ねており、その経験や知見を活かし最先端のネットワーク技術やコ
はインターネットの持続的発展を可能とし、我々の日常生活をより豊かに
ンピュータネットワークに関する研究を基盤技術・応用技術の両方の側
するための新しいインターネットアーキテクチャの創出と体系化に関する
面から行っています。また、本学附属図書館の電子図書館サービスの構築
教育・研究を行なっています。また、技術的探求だけでなく、構築したシス
に携わり、新たなメディア管理技術に関する研究も行っています。
テムの人間社会への影響についても考慮しつつ、理論、シミュレーション、
実装を含む様々な側面からのアプローチを行っています。
主な研究分野
1)モバイルコンピューティング・ITS
主な研究分野
1)信頼できるインフラストラクチャとしてのインターネット
に関する研究
現在のインターネットは様々な問題を抱えています。インターネッ
トが信頼される社会基盤としての役割を果たすために、サイバー攻
撃やウィルスへの対策、モバイルネットワーク上での安定した通信、
アプリケーションやサービスに対する管理、自然災害に対する堅牢
なネットワークの構築・サービス提供、通信特性の分析等の研究に
取り組んでいます。
2)新たなインターネットアーキテクチャへ向けての研究
インターネットは未だ見ぬ様々なアプリケーションやサービスを
提供できる可能性を秘めています。新しいアプリケーションやサービ
スを構築できる環境を提供するためには、現在のインターネットにと
らわれない新しいアーキテクチャが必要となります。現在、有線ネッ
トワークと無線ネットワークの融合化、スマートデバイスのモビリ
ティのサポート、信頼性を高めるためのネットワーク構築と管理、実
験場としてのテストベッドの設計と実装等の研究に取り組んでいま
す。
3)人間社会とインターネットの関わりを考慮した研究
インターネットの発展により、日常生活におけるユーザの利便性
が高まってきています。インターネットが真に人間社会と融合したシ
ステムとして、ユーザの日常生活を豊かにするために、インターネッ
ト技術の側面だけの提供ではなく、人間が求めるサービスや品質を
提供可能なネットワークやアプリケーションに関する研究に取り組
んでいます。
ネットワークエミュレーションを用いた演習の様子
研究設備
・インターネットエミュレーション設備
・対外ネットワーク(AIII, JGN, NSPIXP-3, WIDE)
・10Gbps実験ネットワーク設備
・モバイルインターネット実験設備
・ネットワークセキュリティ実験設備
・次世代ネットワーク実験実習装置
移動型端末装置や公
衆端末装置をインター
ネットに融合し、状況に
応じた情報提供や利用
者 間でのコミュニケー
ションを支援する環境
の実現に取り組んでい
ま す。 特 に、VANETや
IPv6ネットワークに関す
る以下の研究を行っています。
‐位置情報に基づいたモバイルノード間での情報共有技術
‐セキュアなITSインフラ技術
2)センサネットワーク・DTN
日本および世界に配
置された各種センサの
情報を収集・配信する
基盤システムの構築に
取り組んでいます。セン
サ情報は誰もが利用可
能であり、様々な分野で
環境情報の利用促進が
期待できます。具体的に
は、以下の項目について
研究を進めています。
‐大規模分散処理を実
現 するPub/Subシス
テム
‐空中浮遊型メッセージフェリーを用いた情報収集システム
3)データセンター /ネットワーク運用技術
共同研究・社会活動など
本研究室は情報通信研究機構、三菱総合研究所、NEC、ブロード
バンドセキュリティ、アラクサラネットワークス、シスコシステムズ、
慶應義塾大学、東京大学、東京工業大学、九州工業大学、カリフォ
ルニア大学ロサンゼルス校、南カリフォルニア大学等と共に研究開
発に取り組んでいます。また、WIDEプロジェクト、AIII、CKP、IETF
等のネットワーク研究コンソーシアムに積極的に参加し、組織運営
やネットワーク運用の主導的立場にもあります。数多くの産学官連
携フォーラムを通じ、社会との豊富な接点を有しています。
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クラウドコンピュー
ティングの普及に伴い
高性能化・高密度化が
進むデータセンターの
運用技術に取り組んで
います。特に、負荷に応
じた仮想マシンのマイグ
レーション、通信トラフィックの経路制御に関する以下の研究を行っ
ています。
‐省電力・負荷分散のための仮想マシン配置、ライブマイグレーショ
コンピュータ科学領域
コンピュータ科学領域
研究室での教育・研究の概要
ン、トラフィック制御技術
‐地理位置を考慮した広域分散クラウド
‐安全で効率のよいトラフィック転送を行う次世代トラフィックエン
ジニアリング(IPv6サイトマルチホーミング、ネットワーク設定自
動化)
‐IPv4-IPv6移行技術、IPv6デプロイメント
4)セキュリティ
情報漏洩は物理盗難とは異
なり一度流出すると元に戻す
ことは不可能です。ハッカーが
日々新しい攻撃を見つけ出すだ
けでなく計算機進化によって暗
号が解読されるなどの問題が
起き、情報保護はこれからの社
会に対して重要な課題です。
‐ペアリング暗号、超楕円曲線暗号に関する理論研究(GPGPU実
装等)
‐マルウェア解析(x86アセンブラ)
‐CTFチャレンジ等
5)次世代マルチメディアストリーミング
高速IPネットワーク上で超高精細4K映像および8K映像を伝送
するための技術的課題の洗い出しを進めています。特に、インタラク
ティブかつ視聴者の没入感の得られるリアルタイムな非圧縮・低遅
延な映像伝送システム
と経路制御に関する研
究開発を行っています。
‐通信のインタラクティ
ブ 性 を 考 慮 したL2/
L3技術
研究設備
・次世代型クラウドコンピューティングサービス研究基盤システム
・インタラクティブ超高精細映像研究システム
・小規模計算サーバ
共同研究・社会活動など
・フランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)
・WIDEプロジェクト
・Live E!プロジェクト
・PlanetLabプロジェクト
・朝日放送(ABC)
・NTT未来ねっと研究所、KDDI研究所
・
(独)情報通信研究機構、
(独)情報処理推進機構
・慶應義塾大学、大阪大学、東京大学、神奈川工科大学
Graduate School of Information Science Guide book 2015
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自然言語処理学研究室 URL:http://cl.naist.jp/
(写真左から)
教授:中村 哲 [email protected]
准教授:戸田 智基 [email protected]
特任准教授: 鈴木 優 [email protected]
助教:Sakriani Sakti [email protected]
助教:Graham Neubig [email protected]
特任助教:吉野 幸一郎
(写真なし)
(写真左から)
教授:松本 裕治 [email protected]
准教授:新保 仁 [email protected]
助教:Kevin Duh [email protected]
助教:進藤 裕之 [email protected]
研究室概要
人間の知能の本質である言語の計算機による解析と理解を中心的な
テーマとし、言語解析の基礎研究およびその応用研究を行っています。
共同研究・社会活動など(平成25年度)
文部科学省科研費:基盤研究(A)、基盤研究(B)
、スタート支援研
究、特別研究員奨励費 3
研究室概要
本研究室では、人と人、人とコンピュータのコミュニケーションを支援する
多様な技術の教育・研究を進めます
(右図参照)
。研究においては、理論的
メンバー(平成26年3月現在)
:上記スタッフ以外に、研究員4名、博士後
な側面だけではなく、技術の実現性を重視しており、
プロトタイプシステム、
期課程学生15名、博士前期課程学生25名(内、留学生8名、社会人2名)
ネットワーク型のサービスシステムなどへの実装を行い、評価まで行います。
主な研究分野
主な研究分野
1)自然言語の解析技術と解析環境の共有化
1)音声翻訳(音声通訳)
自然言語の解析に必要な辞書や文法などの基礎的なデータの蓄
積、言語解析ツールと使用環境の構築と共有のための研究活動を
行っています。公開中のシステム例:
1.日本語形態素解析システム「茶筌」
(図1)
2.日本語係り受け解析システム「南瓜」
3.日本語述語項構造解析システム「新茶」
(図2)
異なる言語を話す人々のコミュニケー
ションにおける言語の壁は我々の永遠の
テーマでした。
短い簡単な文章のテキスト翻
訳、
音声通訳は最近技術的進化を遂げ、
利
用可能なものがでてきています。
本研究室
では、
さらに高度な、
ニュースや講演などの
複雑な発話の同時通訳や多言語多人数の
参加する会議の通訳支援技術、
マルチモー
ダルな通訳技術などの研究を行います。
2)Webデータのマイニングとリンク構造に関する研究
Webページ、文献参照情報、単語の類似性など様々なデータ間
のリンク構造の性質の解析、リンクトデータにおける重要度や関連
度の抽出に関する研究を行っています。
図1 日本語形態素解析システム「茶筌」: 日本語文を形態素(単語)
に分割し、品詞を推定します。
2)マルチメディアWEB情報分析
現在、WEBには多様なメディアの情報
が膨大な量で蓄積されています。このよ
うな、マルチメディア、多言語の情報を分
析し、利用可能な情報を抽出する技術の
研究を行います。
3)言語表現の意味関係に関する研究
単語や句の意味表現に関する研究、文章中で事象を表わす動詞
と名詞の間の意味関係など、様々な意味に関する研究を行なってい
ます。これらの意味関係解析は、質問応答や情報抽出、複数文書要
約など、幅広い応用に共通する基本問題です。意味関係の自動獲得
手法の研究、および、それに必要な言語資源の構築を進めています。
3)多言語コミュニケーション学習支援
異なる言語でコミュニケーションする場合には、状況、文脈で表
現が異なります。このような状況に応じた発話・表現を提示すること
により多言語コミュニケーションにおける発話の学習、コミュニケー
ション支援を行う研究を行います。
4)機械翻訳・多言語処理に関する研究
統計的な手法を用いた機械翻訳の研究、および、語彙・文法知識
等を用いた手法との融合に関する研究を行なっています。また、多
言語データの自動対応や、翻訳知識の自動獲得に関する研究を行
なっています。
5)自然言語処理を用いた言語学習支援に関する研究
自然言語処理の応用研究の一つとして、言語学習者支援がありま
す。大規模なウェブデータを用いた日本語の誤り検出や、統計的機
械翻訳を応用した言語学習者の作文添削手法の研究を行っています
(図3)。
4)言語・非言語、ロボット対話技術
図2 日本語述語項構造解析システム「新茶」
: 省略を補完し、文章中
の各述語の主語や目的語を同定します。
研究設備
大規模文書処理システム(CPU(クアッドコア 24)4台、主記憶
512Gバイト/台、ファイルサーバ112テラバイト、他にUnixマシンや
PCを多数保有しており、大規模テキストデータの解析に利用してい
ます。
図3 Chantokun:日本語学習者の作文の誤り検出・訂正インタフェー
ス。格助詞の使用誤りを検出し、訂正候補を示します。
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知能コミュニケーション研究室 URL:http://ahclab.naist.jp/
Graduate School of Information Science Guide book 2015
ੲਾఐ৾B%RRN([SRUW3')Bంৄ৫岷ീ
人とコンピュータのコミュニ
ケーションにおいては、利用者の
レベルにより使いやすさ、コミュ
ニケーション効率が大きく異な
ります。利用者や利用者の興味
をモデリングし、最適なコミュニケーションができるように支援する
方法の研究を行います。また、言語的特徴とイントネーション・感情
などの情報、あるいは顔画像などの情報を利用しながら支援するマ
ルチモーダルなコミュニケーション支援技術を研究します。更に、上
記技術の実証実験を可能とするため、駅や公共施設等の実環境に
おける音声対話システム構築の研究も行います。
ロボットとの自然なコミュニケーションを実現するためには、実環
境にて遠隔発話された音声を高精度かつ高速に認識・理解する必
要があります。これを達成するため、音声認識デコーダと統合され
た発話区間検出、ブラインド音源分離処理などを開発し、雑音に対
してロバストなハンズフリーロボット対話システムの構築を行ってい
ます。また、ロボットの目(画像情報)を生かした高速追従処理など
も研究しています。更に、統計的な方法や機械学習に基づく音韻モ
デル・言語モデル・音声対話データベースの学習アルゴリズム等の
研究にも取り組んでいます。
メディア情報学領域
メディア情報学領域
研究室での教育・研究の概要
5)言語・非言語コミュニケーション脳活動計測
コミュニケーションの正確
さ、快適さをリアルタイムで計
測することは、コミュケーショ
ン支援の研究にとって不可欠
です。この測定をリアルタイム
で客観的に行うため、言語・
非言語コミュニケーション時
の時系列刺激と脳活動を脳波計等など
により測定し、
分析、
モデル化を行います。
6)QoL向上技術
生活の質(Quality of Life)を高める
ことは、我々人類にとって重要なテーマ
です。老若男女、健常者・障害者を問わ
ず、誰もが心の豊かな生活を送れる社会
を目指し、情報技術を駆使し、様々な側
面からコミュニケーションを支援します。
よりユニバーサルなコミュニケーションの
実現に向け研究を行います。
7)サイレント通話技術
公共の場において携帯機器で通話する際に、他人に迷惑をかけた
り、秘匿性の高い内容を話しづらいなど、声を発すること自体を躊躇
うような状況にしばしば直面します。この問題を解決するために、周
囲に声を漏らさずに発声を行うサイレント通話技術を研究します。
特殊な体表密着型マイクロフォンを用いて、周りに聞こえないぐらい
小さな声を体内伝導音声として採取し、より自然な音声へとリアル
タイムで変換する技術の研究を行い、DSPへのリアルタイム実装も
行っています。
8)個人性モデリング
コミュニケーションにおいては利用者の多様な個人性モデリング
が必要になりますが、さらにそれらを進め、人の声、顔、表現、対話
様式などをモデリングする研究を行います。また、多くの人の個人性
を分析することでお互いの個性を尊重し、大いに活かすことのでき
るコミュニケーション支援技術を研究します。
9)概念学習
コミュニケーションを支援するには、言葉などに加えて、コン
ピュータがその場所にあるモノ、さらには、動作の意味、言葉との関
連性を理解する必要があります。音声、言語、画像、動作などを連携
させ、コンピュータに概念を学習させる研究を行います。
研究設備
PCクラスター(24 CPU、144コア)、ファイルサーバー(15TB、
48TB)、生体計測装置(EEG, NIRS)情報案内システム「たけま
る」、など。
産官学連携・社会活動など
NICT委託研究、文科省科研費基盤(A)
、文科省科研費基盤(C)
、文
科省若手研究(B)
、JST CREST、民間企業との共同研究など多数。
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ネットワークシステム学研究室 URL:http://agano.naist.jp/hp/index.html
視覚情報メディア研究室 URL:http://yokoya.naist.jp/
(写真左から)
教授:横矢 直和 [email protected]
准教授:佐藤 智和 [email protected]
助教:河合 紀彦 [email protected]
助教:中島 悠太 [email protected]
(写真左から)
教授:岡田 実 [email protected]
准教授:東野 武史 [email protected]
助教:侯 亜飛 [email protected]
研究室概要
本研究室では、電波を使ったセンシング、ブロードバンドワイヤレス伝
送、エネルギー伝送に関する研究を行っています。これらの技術は、将来
のユビキタスネットワークを支える基盤技術であり、電磁理論と信号処理
産学官連携・社会貢献など
本研究室は様々な組織と共同研究等を行っています。特に、実装面
に関しては大学発ベンチャ企業の草分け的存在である(株)シンセ
シスと協力して研究を進めています。
の手法を用いて実装と評価を行っています。研究においては、理論的な側
メディア情報学領域
メディア情報学領域
研究室での教育・研究の概要
研究室概要
本研究室では、コンピュータやロボットが外界を「視る」ための技術とコ
ンピュータ内部の多様な情報を人間に「魅せる」ための技術を中心に、コ
ンピュータビジョン(CV)、複合現実感(MR)、仮想現実感(VR)の分野
とそれらの複合領域において視覚メディアの研究を行っています(図1)。
面やシミュレーションによる評価だけではなく、技術の実現性を重視して
おり、実際に実験装置を試作して動作実験を行い、性能評価を行っていま
主な研究分野
す。
1)コンピュータビジョン(Computer Vision)
画像を手掛かりに現実環境の三次元情報などの様々な情報を自
動的に獲得する手法について研究しています。
‐空撮画像を外部指標として用いるカメラ位置・姿勢推定
‐動画像からの三次元復元、センサフュージョン(図2)
‐RGBDカメラを用いた非剛体物体の三次元復元
‐類似度に基づく画像/三次元形状モデルの欠損修復(図3)
‐撮影者の意図に基づく映像の重要領域の推定
‐テキストを用いてユーザ意図を反映する映像要約(図4)
‐超解像ステレオ映像生成
‐レーザレンジファインダによる屋外環境の三次元モデリング(図10)
主な研究分野
1)無線電力伝送技術
ノートPCやタブレット、スマートホンなどの携帯機器、移動ロボッ
トでは、電源の制約が大きな問題です。移動しつつこれらの携帯端
末や移動ロボットへ電力を供給することができれば、その利便性は
大幅に向上します。しかし、従来の無線電力伝送システムでは、端末
を送信アンテナの近くに置く必要があり、移動する端末に電力を供
給することは困難でした。本研究室では、送信アンテナ形状を最適
化することで、移動体に対する無線電力伝送を可能にする研究を進
めています。
仮想世界と実世界の情報を映像上で融合することで実現できる
様々な可能性について研究しています。
‐画像修復技術を用いた隠消現実感/物体の消去(図5)
‐事前撮影画像を用いたモバイル拡張現実感(図6)
‐空撮全方位動画像を用いた拡張テレプレゼンス
‐拡張現実による人物動作再現システム(図7)
‐拡張自由視点画像による遠隔ロボット操縦インタフェース(図8)
携帯電話や無線LANに代表されるデジタル無線通信システムは、
近年、その伝送速度が大幅に向上していますが、セキュリティやロ
ボットの制御といった非常に高い信頼性が要求される用途では、そ
の性能は十分ではありません。本研究室では、OFDM、CDMA、ア
ンテナダイバーシチ技術、マルチホップネットワーク、誤り制御技術
といった各要素技術の研究を通じて、超高信頼性システムの実現を
目指しています。 また、8K超高精細地上デジタル放送や、携帯向け
マルチメディア放送に向けた、移動受信アンテナや復調アルゴリズム
といったデジタル放送受信機の性能改善に向けた研究、開発を行っ
ています。
図3 画像/形状の欠損修復
図4 映像要約システム
図5 隠消現実感
図6 事前生成型拡張現実感
図7 人物動作のAR再現
図8 自由視点ロボット操縦
図9 運転支援システムの評価
3)仮想現実感(Virtual Reality)
研究室保有の無線信号測定機器
(ネットワークアナライザ、スペクトルアナライザ)
光ファイバ無線(RoF:Radio-on-Fiber)を用いた分散アンテナ
システムの研究を行なっています。無線基地局の集中管理を可能と
する光ファイバ無線リンクとMIMOに代表される空間分割多重の技
術を融合して周波数利用効率の高い無線通信システムの構築を目
指しています。
主に実写画像を用いることで現実に限りなく近い映像を仮想空
間内に再現する画像提示手法について研究しています。
‐広域屋外環境の全方位立体映像の生成
‐視点に依存した幾何形状の利用による自由視点画像生成
‐自由視点映像生成による運転支援アルゴリズムの評価(図9)
研究設備
‐全方位三次元情報計測車両(図10)
‐画像処理サーバ(SGI UV2000,CPU128Core,Memory1TB)
(図10)
‐没入型ディスプレイ(傾斜型,球面型)
(図10)
‐全方位マルチカメラシステム、三次元測量機器(図10)
4)センシングに関する研究
漏洩同軸ケーブルを用いた侵入者検知やRFIDを用いた低侵襲外
科手術支援システムの研究を行なっています。これらは電磁波を使
用して、対象物からの受信信号からその位置を推定しています。
5)無線信号処理回路の実装に関する研究
無線通信や電力線搬送システムで用いられるデジタル信号処理
は、非常に演算量が多く、かつ、並列化が単純にはできないため、そ
の実装には、様々な工夫が必要となります。本研究室では、演算規
模の小さい信号処理アルゴリズムや並列化に関する研究を行なって
います。
図2 動画像からの三次元復元
2)複合現実感(Mixed Reality)
2)高信頼低消費電力無線通信システム
3)分散アンテナシステムに関する研究
図1 視覚情報メディア研究室の研究分野
外部資金・共同研究など(平成26年度)
プラレールを使った無線電力伝送実験
‐文部科学省・科研費(基盤A、基盤C、萌芽、若手B 2)
‐共同研究(豊田中央研究所、トヨタ自動車)
‐文部科学省・頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プ
ログラム(CMU、INRIA、オウル大学)
‐日本学生支援機構・留学生交流支援制度(オウル大学、湖南大学)
画像処理サーバ
没入型ディスプレイ
レーザレンジファインダ
全方位マルチカメラ
三次元測量機器
全方位三次元計測車両
図10 研究設備の一部
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インタラクティブメディア設計学研究室 URL:http://imd.naist.jp/
光メディアインタフェース研究室 URL:http://omilab.naist.jp/index-jp.html
(写真左から)
教授:加藤 博一 [email protected]
准教授:Christian Sandor [email protected]
助教:武富 貴史 [email protected]
助教:山本 豪志朗 [email protected]
(写真左から)
教授:向川 康博 [email protected]
准教授:舩冨 卓哉(写真なし)
助教:久保 尋之 [email protected]
研究室概要
研究室概要
人と人、人とシステムを結ぶ情報メディアは、計算機システムやメディア
本研究室では、カメラで撮影された情報をもとにシーンを理解するコン
技術の発展とともに、インタラクティブなものに変化してきました。本研究
ピュータビジョンの中でも、特に光学解析を中心に取り扱っています。光
室では、未来のインタラクティブメディアのあり方を考え、それを実現する
伝播を計測・解析する基礎研究を土台に、人間と機械が光を媒体として
ために必要となる、メディア工学、ヒューマンインタフェース工学、データ
シーンに関する情報を共有できる新しいインタフェースを実現することを
工学に関する研究を行っています(図1)
。特に、コンピュータビジョンや
目指して2014年2月に新設された研究室です。
メディア情報学領域
メディア情報学領域
研究室での教育・研究の概要
2)センシングシステム設計
光線にはシーンに関する様々な情報が含まれていますが、カメラ
で撮影して2次元画像にしてしまうと、解析が難しくなります。そこ
で、反射鏡や特殊なレンズを組み合わせて、様々な方法で光線を計
測する装置を設計します。
コンピュータグラフィックスの研究、それらを融合して構築する拡張現実
感システムに関する研究(図3)、膨大な情報を効率良く取り扱うための
主な研究分野
XMLデータベースに関する研究(図6)、大量のデータから意味のある情
光源から出た光は、シーン中で反射・屈折・散乱等の光学現象を
繰り返し、カメラや我々の眼に届きます。我々人間は眼で見ただけ
で、物体表面の状態がツルツルしているのかザラザラしているのか
といった表面の荒さだけではなく、重いのか軽いのかといった質量
や、金属なのかプラスチックなのかといった材質に関する物理情報、
さらには安っぽいのか高級感があるのかといった感性に関わる情報
も感じ取っています。つまり、光線はシーンに関する貴重な情報を運
ぶ媒体と考えることができます。この光の伝播からシーンを理解する
能力をコンピュータ上で実現することで、光を媒体として人間とコン
ピュータがシーンの情報を共有できる「光メディアインタフェース」
を実現することを目指しています。
報を自動的に見つけたり、状況やユーザの好みにあった情報を提供する
次世代情報検索技術の研究に力を注いでいます。
Christian Sandor先生を准教授に迎え、また、オウル大学(フィンラン
ド)
、南オーストラリア大学(オーストラリア)、HitLab NZ(ニュージーラ
ンド)などとの共同研究を通じ、多くの留学生と一緒にグローバルな研究
活動を展開しています。
図1 研究領域
現在の具体的研究テーマ
・ユビキタスディスプレイ環境におけるインタフェース設計
・拡張現実感技術の開発と評価(図3)
・拡張現実感の教育への応用
・CTとX線画像による腰椎疾患の診断支援システム
・高齢者のための生活支援システム
・プロジェクタカメラシステムの開発と応用(図4)
・CGにおける物理シミュレーション(図5)
・柔軟物体への歪みのないテクスチャ投影(図6)
・消費電力を考慮した高性能データベースシステム
・ユーザの能力を引き出す情報支援システム
研究設備
カメラで計測した光線情報をもとに、コンピュータの演算によって
画像を作り出す手法を開発します。カメラの物理的な性能限界を超
える画像を 撮影 できることから、近年注目を集めている技術です。
これにより、通常のカメラでは撮影できない視覚情報を人間に提示
することができます。
図2 ユビキタスディスプレイ実験室
・ユビキタスディスプレイ実験室(図2)
・3次元画像計測装置
・高フレームレートデジタルカメラ
・ムービングプロジェクタシステム
・ユーザ位置計測センサ
・その他、拡張現実感実験システムなど
共同研究・社会活動など
・拡張現実感、バーチャルリアリティ等に関する国際会議の運営委
員会や実行委員会の委員
・富士通研究所などと共同研究の実施
・拡張現実感構築用ソフトウェアARToolKitの開発と配布
3)コンピュテーショナルフォトグラフィ
1)光学解析
光は物体表面上でどのように反射するのか、また、内部に到達し
てどのように散乱するのかを、物理モデルに従って解析します。この
ような解析技術は、シーン中の物体の材質や3次元形状を推定する
ための基礎技術となります。
図3 ARとトラッキング技術を利用し
た仮想立体絵本
図4 プロジェクタカメラフィードバッ
ク系による視覚強調
4)質感表現
人間が光線から感じ取っている質感
などの高度な視覚情報をコンピュータ
上で表現する方法を明らかにすること
で、質感を正しく人間に伝えるインタ
フェース技術を開発します。
研究設備
図5 リアルタイム乱流シミュレーション
図6 柔軟物体への歪みのないテクス
チャ投影
暗室、冷却CCDカメラや光線空間カメラなどの特殊センサ
共同研究・社会活動など
大阪大学産業科学研究所、マイクロソフト・リサーチアジア
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環境知能学研究室 URL:http://ambient.naist.jp/
ロボティクス研究室 URL:http://robotics.naist.jp/
(写真左から)
教授:萩田 紀博 [email protected]
准教授:浮田 宗伯 [email protected]
准教授:神原 誠之 [email protected]
助教:川波 弘道 [email protected]
研究室概要
(写真左から)
教授:小笠原 司 [email protected]
准教授:高松 淳 [email protected]
助教:吉川 雅博 [email protected]
助教:丁 明
(写真なし)
システム情報学領域
メディア情報学領域
研究室での教育・研究の概要
研究室概要
物理的な身体を持つ対話ロボットやバーチャル/AR(拡張現実感)エー
ロボットは、実世界の環境や人間との相互作用(インタラクション、コ
ジェントなどのロボットメディアは、自分自身で「見る、聞く、話す、考える」
ミュニケーション)に基づき機能する知的システムです。このような知的シ
などの「個体知能」を持っています。これらが家庭や街に役立つコミュニ
ステムでは、実時間での認識機能(リアルタイムセンシング)が重要となり
ケーションメディアになるには、個体知能だけでなく、人(々)や周りの環
ます。本研究室では、視覚情報・触覚情報をはじめとしたリアルタイムセン
境を的確に捉える新たな知能である「環境知能」が必要になります。
「環
シング技術や、それに基づいて知的システムを構成する技術に関して研究
境知能」は、周囲の人、モノ、コトをセンシング・構造化し、個体知能と環
をしています。
境知能が連携することによって、超高齢社会でも、安全・安心・楽しく・快
適に生活できる社会システムの実現を目指します。
主な研究分野
1)ビジュアルインタフェース
主な研究分野
安全・安心・楽しく・快適な社会環境の実現のために「実世界セン
シング」
・
「環境情報構造化」
・
「マルチモーダル対話」の要素技術と
それらを統合した環境知能基盤を構築します。
1)実世界センシング
環境知能構築な必要な情報を、実環境に存在する様々なセンサ
を利用して計測します。中でも、人を中心とした環境知能システムを
構築する上で、人の情報は最も重要な役割を担います。人の情報は、
機械化されたシステム情報(ロボットや家電の状態など)と異なり、
外部センサによる状態推定が必須となるため、本研究室では、多種
多様なセンサの計測結果の統合的な解析によって、環境知能に必
要な実時間センシング機能を実現します。
2)環境情報構造化
環境知能をどのようにして創るかを研究します。ボットが初めての
場所に行っても、その場所に合ったロボットサービスを提供できれ
ば、ロボットメディアの利用が今まで以上に促進されます。そのため
には環境の情報(人の位置や行動、モノの位置、環境の騒音など)
を予め環境側に持つ必要があります。そこで、人のニックネーム、氏
名、その空間や人の行動・状況の統計的特性などを、それぞれ空間
プリミティブ、行動プリミティブという形で言語化する研究、数値・
言語情報を階層的に構造化する研究、ユビキタスコンピューティン
グの研究、パターン認識、意図理解などの研究を含みます。
3)マルチモーダル対話
安全・安心・楽しい・快適な支援を行うために、環境知能を利用し
て、視覚・触覚・ジェスチャなどによるマルチモーダルな対話を行い
ます。物理的な身体をもったロボットに限らずAR(拡張現実感)ロ
ボット・バーチャルロボットを含むロボットメディアを利用した様々な
ヒューマンロボットインタラクション技術を研究します。また、グルー
プに対する集団提示法、場の空気を読んだ発話提示法、高齢者・障
がい者に安心感を与える情報提示法なども研究します。さらに、そ
のインタラクションによる人間の反応をセンシングすることで新たな
環境知能の構築に役立てます。
共同研究・社会活動など
ATR知能ロボティクス研究所と連携することで、より実践的な研究
を進めます。
人間とロボットや人間とコンピュータで、高度なインタラクション
を実現するためには、環境認識や動作生成が必要になります。そこ
で、日常生活をありのままに計測できるセンシング技術を研究し、人
やロボットの行動をサポートするシステムを開発しています。
・時空間、人・環境モデリング
…(A-1)
・環境モデリングと移動ロボットナビゲーション
…(A-2)
・ヒューマンロボットインタラクション
…(A-3)
・動作合成・強化学習による行動の自動獲得
…(A-4)
図1 ロボティクス研究室の研究概要
2)ヒューマンモデリング
人間の行動および動作戦略やその仕組みを理解するために、人
間の運動を計測、解析、モデル化し、応用する研究(人間型多指ロ
ボットハンド、人の把持戦略解析、パワーアシスト、ハプティックデバ
イス開発、筋骨格モデルを用いた動作評価など)を行っています。
・筋骨格モデリングとスポーツ・医療応用
…(B-1)
・触覚情報処理モデルとハプティックデバイス
…(B-2)
・多指ロボットハンドを用いた応用システム
…(B-3)
・機能性とデザイン性を両立する電動義手
…(B-4)
図2 研究分野A. ビジュアルインタフェース
3)応用ロボットシステム
実世界において役に立つロボットの実現を目指して、ビジュアルイ
ンタフェースやヒューマンモデリングの研究成果から得られた要素
技術をさまざまなロボットに搭載することで、知的な応用ロボットシ
ステムを開発しています。
・ヒューマノイドロボット HRP-4
…(C-1)
・双腕知能作業ロボット HIRO
…(C-2)
・人体型ロボット アクトロイド
…(C-3)
・車椅子ロボット
…(C-4)
共同研究・社会活動など
産業技術総合研究所、
ジョージア工科大学、
カーネギーメロン大学、
カールスルーエ工科大学、奈良県立医大、東京理科大学、鹿屋体育
大学、ATR、ロボットラボラトリー、日本ロボット学会など。
図3 研究分野B. ヒューマンモデリング
図4 研究分野C. 応用ロボットシステム
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知能システム制御研究室 URL:http://genesis.naist.jp/
大規模システム管理研究室 URL:http://www-lsm.naist.jp/index.php/Home
(写真左から)
教授:杉本 謙二 [email protected]
助教:松原 崇充 [email protected]
助教:南 裕樹 [email protected]
(写真左から)
教授:笠原 正治 [email protected]
准教授:笹部 昌弘 [email protected]
助教:川原 純 [email protected]
研究室概要
研究室概要
ユビキタス社会の実現によりコンピュータ制御とその知能化が至る所
情報システムに代表される大規模複雑システムの設計・制御・構成法に
で可能になりました。当研究室ではシステム制御と機械学習、信号処理、
向けた数理的手法と情報処理技術を開発し、現実システムへ応用する研
センシングやそれらの融合研究に取り組んでいます。
究教育に取り組みます。情報科学からサービス・サイエンスに至る知見を
駆使して、大規模データセンターやネットワークシステムの高速性、高信
図1 フィードバック誤差学習制御
頼性、高い省エネルギー特性を実現する要素技術・システム構成法・シス
主な研究分野
テム制御法、さらにはシステム上で提供されるサービスの高度化や、シス
1)Advanced Control Systems
テムを用いたビッグデータ処理技術に関する研究を幅広く行い、産業に密
・ロバスト制御・適応学習制御(図1、図2)
ロバスト制御など先端的な制御理論とその応用に取り組んでいま
す。現在は特に生体の運動学習モデルとして著名なフィードバック
誤差学習(FEL)を制御工学的に研究しています。
・超解像制御(図3)
ON/OFFといった少ない情報で高精度な制御を実現するための
制御理論の構築(量子化器の最適設計)に取り組んでいます。
・分散協調制御(図4)
電力システムや照明システムをはじめとした大規模なシステムに
対する分散協調制御を研究しています。
・確率推論による最適制御・強化学習
確率最適制御・強化学習問題に対して機械学習分野における確
率推論の近似計算を用いたスケーラブルな解法を研究しています。
接した研究成果の発信を行っていきます。
図2 柔軟アームの振動制御
サービス・サイエンスは、従来経験則に依っていたサービス構成
法やサービス提供法に対し、科学的アプローチによりサービスの生
産性と質の向上をはかり、さらにはサービス自体のイノベーションを
起こすことを目指す新しい学問体系です。ここではサービスの経済
的側面やサービス品質の社会科学的分析、サービスプロバイダ・マ
ネージメントなど、より現場に踏み込んだ実践的な研究を行います。
図5 多様体学習によるシステム同定
ヘテロジニアス・ネットワーク
人間行動知覚型ネットワークの例としては、災害時の避難誘導シ
ステムが挙げられます。避難者の所有するモバイル端末は、通常の
ナビシステムと同様に避難経路を提示します。一方、避難者は経路
上に通行不能箇所を発見した場合、自律的に迂回を試みます。この
ような経路の提示と避難行動との相互作用を利用することで、通行
不能箇所の自動的な発見やそれに基づく適切な避難誘導の実現を
目指した研究を行います。
大規模グラフ処理アルゴリズム
100ノードクラスタサーバと避難誘
導システム実験
4)ネットワーク・デザイン
無線アクセス技術の発展により、ヘテロジニアスなネットワーク環
境下で莫大な数の通信ノードを収容するネットワーク技術、さらに
はクラウド・コンピューティングを連携させたモバイル・アプリケー
ション開発が注目されています。ここではネットワーク科学やゲーム
理論のアプローチを駆使して次世代ネットワーク技術、環境学習型
コグニティブ無線技術、さらには莫大な数のセンサノードから得られ
る環境データを基にした人間指向型モバイル・クラウドサービスに
関する研究を行います。
実験設備
クラウド・コンピューティング実験設備(HP Moonshot System)
外部資金
科研研究費・挑戦的萌芽、SCOPE若手ICT研究者育成型研究開発
共同研究など
京都大学、大阪大学、北海道大学他と共同研究
5)大規模データ処理アルゴリズム
図6 強化学習による運動スキル学習
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モバイルデバイスを使用した避難誘
導システム
3)人間行動知覚型ネットワーク
図4 大規模システムの分散協調制御
企業との共同研究や、学生による提案型研究など多様な活動に取り
組んでいます。
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図3 量子化器の最適設計
応用確率論や理論アルゴリズム、ゲーム理論やメカニズム・デザイ
ンといった情報科学の知見を駆使して、ビッグデータを高度に活用
する超大規模なデータセンターやネットワークシステムのデザイン、
さらにはシステム上で提供されるサービスの設計や、ビットコインに
代表される分散型仮想通貨エコシステムに関する研究を行います。
2)サービス・サイエンス
共同研究・社会活動など
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コールセンター・マネジメント
主な研究分野
3)Learning & Control for Robotics
・ヒューマノイドロボットの運動スキル学習(図6)
ヒトのような高度な運動学習機能を実現するための強化学習、最
適制御について研究しています。過去2足歩行、けん玉、投球、着衣
支援、アクティブタッチなどの学習に成功しました。
・外骨格ロボットによる歩行アシスト(図6)
結合位相振動子に基づく同期メカニズムと潜在変数モデルや確
率推論に基づく歩行アシスト技術の研究を行っています(ATR脳情
報研究所にて実施)
・情報理論的基準によるロボットの能動的行動計画
相互情報量などの情報理論的基準に基づくロボットの能動的な
行動設計原理および計算アルゴリズムの研究を行っています。
分散型仮想通貨エコシステム
1)システム・アナリティクス
2)Sensing & Signal Processing
・独立成分分析に基づくシステムのブラインド同定
統計的な独立性を基にした信号分離技術(ICA)を制御工学に
導入することで、入力が未知(ブラインド)でもシステム同定が可能
となり、外乱分離や変化検出に応用します。
・多様体学習を用いた高次元入出力システム同定(図5)
非線形次元削減法である多様体学習を用いて、動画や音声など
の高次元時系列データに有効なシステム同定を研究しています。
システム情報学領域
システム情報学領域
研究室での教育・研究の概要
全国規模の道路網や物流ネットワーク、
Twitter等の巨大ソーシャ
ルネットワークの解析には膨大な計算が必要です。本研究室では、
組合せ最適化の技術を用いたデータ処理アルゴリズム設計、巨大な
データを圧縮状態のまま処理するデータ構造の開発、Hadoop等
による数百台規模の並列分散環境でのデータ処理技法等の研究開
発を行います。理論だけではなく、当研究室専用の100台規模のク
ラスタサーバを用いた実験による性能評価も行います。
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数理情報学研究室 URL:http://hawaii.naist.jp/modules/menu/
システム情報学領域
システム情報学領域
研究室での教育・研究の概要
生体医用画像研究室 URL:http://icb-lab.naist.jp/index.html
(写真左から)
教授:池田 和司 [email protected]
助教:久保 孝富 [email protected]
助教:爲井 智也 [email protected]
(写真左から)
教授:佐藤 嘉伸 [email protected]
准教授:大竹 義人 [email protected]
助教:横田 太
(写真なし)
いて、数理モデルを構築してその解析を行うことで、その基本原理を解明
画像計測・処理システムを研究しています。そのため、生体医用画像デー
効果とリスクを最適にバランスさせる治療計画を計算機により立案
するシステムを開発し、従来の「経験に基づく医学」を「科学的機序
とデータ科学に基づく計算医学」
に転換することを目指します。
(図3)
し、諸分野へ応用する研究をしています。基本原理を探るための機械学
タベースからの統計学習や生体シミュレーションに基づく
「計算医学」の
3)治療支援システム(手術ナビゲーション)
習、生体での実現を解明する生命数理、数理モデルを工学応用する信号
研究を行っています(図1)。
拡張現実感の技術を用いて実世界の人体と計算機内の仮想人体
とを正確に位置合わせして融合します。肉眼では見えない人体内部
の三次元構造を仮想人体で把握・予測しながら手術を行えるように
する技術を研究しています(図4)。
研究室概要
研究室概要
本研究室では、種々の現象、特に生体など学習・適応するシステムにつ
当研究室では、情報科学と医学の融合により高度に知能化された医用
処理が本研究室の研究の3本柱です。
主な研究分野
1)機械学習: 大量のデータから情報を取り出す
・機械学習アルゴリズムの理論解析
・ベイズ理論による統計的信号処理
・セミパラメトリック推定およびノンパラメトリックベイズ法
・知識発見およびデータマイニング
・情報幾何学・情報理論の応用
・因子解析とスパースモデルによるデータ解析
図1 当研究室で行っている「計算医学」研究の全体像
主な研究分野
1)計算解剖学に基づく仮想人体の構築
医用画像工学が発展し、生きたままの人体内部の臓器・組織の構
造やそれらの機能を高精細3次元医用画像として計測することが可
能になっています。私たちはこの画像をもとに、多次元画像解析、形
状解析、変形解析、統計的モデリング、機械学習、ベイズ推定などの
手法・理論を駆使して、計算機内に「仮想人体」を構築する研究をし
ています(図2)。
研究設備
2)生命数理: 生命現象を数理で解き明かす
・病態脳の特性解析および治療支援
・インタラクションおよび社会的意思決定のモデル化
・運動学習機構の理解と支援
・細胞の力学モデル構築
・サル皮質脳波のデータマイニング
図4 手術ナビゲーションを中心とする治療支援システム
4)治療効果の評価システム
手術が計画通りに行われたかどうか、
また術後の合併症がおこる可
能性がないかといった治療効果の評価は、
リハビリテーションの計画
や次回の手術計画にフィードバックするために重要となります。私たち
はこのような医療における品質管理を実現するため、治療効果を定量
的に評価するための人体動作解析システムを研究しています
(図5)
。
脳波・筋電計測装置/モーションキャプチャ装置/眼球運動計測
装置など。
共同研究・社会活動など
NAISTバイオサイエンス研究科/ATR/九州工業大学/熊本大学/山
口大学医学部/麻布大学獣医学部/東京大学社会心理学教室/奈良
県立医科大学/ユニテック工科大学(ニュージーランド)/マイアミ
大学(アメリカ)/デンソーなど。
図2 計算解剖学に基づく仮想人体の構築
2)診断・治療計画における意思決定支援システム
計算機内の仮想人体を使って、過去の患者の手術前の画像やシ
ミュレーションによる予測結果、実際に行った手術記録などをデータ
ベース化し、統計的なモデリングを行っています。これに基づき、治療
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研究設備
PCクラスタ(24CPU、108コア)、ファイルサーバ(90TB)、3次
元医用画像システム(Synapse Vincent, Fujifilm Corp.)、光学
式/磁気式モーションキャプチャ装置(Polaris Spectra, Polaris
Vicra, Aurora, Northern Digital Inc.)
、超音波画像診断装置
(Aloka)など
外部資金・共同研究など
3)信号処理: 数理モデルを工学に応用する
・自動車運転行動の数理モデル化
・構音障害者支援のための音声認識
・適応支援ロボティクス
・適応信号処理アルゴリズムの開発・解析
・強化学習の理論と応用
図5 治療効果の評価を目的とした人体動作解析システム
図3 診断・治療計画支援システム
文部科学省・科研費(新学術領域、基盤A、挑戦的萌芽)
大阪大学・医学系研究科、米国・ジョンズホプキンス大学、スイス・
ベルン大学、イラン・テヘラン大学、米国・南カリフォルニア大学、イ
ンド統計大学などと共同研究
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計算システムズ生物学研究室 URL:http://csblab.naist.jp/kanayalab_ j/
(写真左から)
教授:金谷 重彦 [email protected]
准教授:杉浦 忠男 [email protected]
准教授:Md. Altaf-Ul-Amin [email protected]
助教:小野 直亮 [email protected]
助教:佐藤 哲大 [email protected]
特任助教:黄 銘 [email protected]
教育連携研究室
システム情報学領域
研究室での教育・研究の概要
コミュニケーション学研究室
(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
URL:http://www.kecl.ntt.co.jp/rps/index.html
(写真左から)
教授:山田 武士 [email protected]
准教授:澤田 宏 [email protected]
研究室概要
研究室概要
ゲノム解析に続く技術の進歩に伴い、種々のポストゲノム実験により得ら
本研究室では、インターネット上にある、あるいは実世界からセンサを
れるようになった多様かつ膨大なデータ(インタラクトーム、トランスクリ
通じて得られる多種多様のデータから、有益な情報を知識として抽出する
プトーム、メタボローム等)を統合し、生命システムとしての普遍性および
技術に関する基礎研究を行っています。
4.ソーシャルネットワーク上の情報伝播解析
ニュースや噂、評判情報はソーシャルネットワークを介して伝播し
ます。この現象を確率モデルで表現し、将来のトレンド予測や潜在的
な影響関係の推定の研究を行っています。
多様性の理解を目指すバイオインフォマティクス研究を行っています。ま
た、ナノからマクロにいたる様々な生命機能の計測とその情報処理技術、
例えば、顕微バイオイメージング、光ピンセット、医用画像処理など、次世
代の科学を拓く生命科学と医療分野の計測システムに関する研究教育に
取り組みます。
図1 バイオインフォマティクス技術の開発。
(左)
DPClusによるタンパク質相互作用に基づいた機能単位予測。
(右)自己組織
化法(SOM)による遺伝子発現情報の時系列パターン解析。
主な研究分野
1)バイオインフォマティクス
・生物の構成要素(代謝物質、タンパク質、遺伝子等)の相互作用の
体系的な把握を目指し、DPClus(図1左)、BL-SOM(図1右)な
どの情報処理アルゴリズムを開発しています。
・バイオ情 報デ ータベースの構 築を行っています。KNApSAcK
Familyデータベースはメタボロミクス研究の分野で世界から高い
評価を受けている二次代謝物データベースです。また、漢方薬やイ
ンドネシア生薬(Jamu)、などにおけるさまざまな植物の利用のさ
れ方なども蓄積しています。
・次世代シーケンサー(NGS)による遺伝子の発現解析を用い、植
物が様々な代謝産物を生産する仕組みについて研究しています。
・細胞内の代謝系や遺伝子発現系の振る舞いを計算機シミュレー
ションによって再現し、モデル化するための研究を行っています。
主な研究分野
1)機械学習とデータマイニング
今日我々が入手できるデータの量は非常に膨大で、人間が一通り
目を通して内容を理解し解釈する、という限界をはるかに超えてい
ます。従って、そのような膨大なデータを自動的に解析・解釈する方
法が必要とされています。
1.潜在トピック抽出技術
多様な大規模データに内在する隠れた構造(トピック)を抽出す
るための手法であるトピックモデルとその拡張の研究を行っていま
す。トピックモデルは文書が生成される過程を表現した確率モデル
です。トピックモデルを拡張し、可視化や推薦システム、購買ログ解
析などへの適用を進めています。
図2 KNApSAcK DB ホームページ。
http://kanaya.naist.jp/KNApSAcK_Family/
2)バイオイメージング
2.時間変化する関係データの解析・クラスタリング技術
ソーシャルネットワーク上の友人関係や企業間の取引関係など、
時間とともに変化する「関係」の情報を対象として、関係ネットワー
クに潜むコミュニティクラスタの発見や関係の時間変化を追跡する
技術を研究しています。
・生物学分野のみならず医学分野においても重要さを増している細
胞レベル∼生体分子レベルでのイメージング法(顕微鏡技術)の
開発や画像処理技術の開発を行っています。
・ミクロン∼ナノメートルの大きさの対象物を自由に操作できる光ピ
ンセット技術や細胞や染色体を顕微鏡下で手術する技術を研究開
発しています。
・ピコニュートン∼ナノニュートンというレベルの極微小な力を計測
することで細胞内の生体分子が発生する力の強さや細胞の力学特
性を計測する技術を開発しています。
2)センサを用いた実世界マイニング
加速度センサ、照度センサ、GPS、カメラ、マイクロホンなど様々な
センシングデバイスを用いて実世界の状況を観測し解釈して、人間
にとって分かりやすい形式で提示するなどのセンサ情報処理に関す
る研究を行っています。
1.相関性を利用した効率的なデータ収集
複数のセンサをネットワークとして配置し、実世界の状況を計測して
収集するデータには、同じようなパターンが繰り返し現れる、そばに
あるセンサではよく似た値が観測される、などといった特徴がありま
す。このようなセンサデータの特徴を活かし、各センサノードで観測
されるデータ系列間に内在する相関性を利用することで、データを
圧縮して収集する手法を提案しています。フィールド実験により、実
際に、無線センサノードのバッテリーの消費を抑えることを確認しま
した。
3)医用画像処理・生理信号計測
・磁気共鳴画像法(MRI)や陽電子断層撮影法(PET)などの医用
画像計測機器で得られる画像データから、心臓の冠動脈撮像を自
動的に支援する、脳の変成を統計的に解析するといった、診断の
支援となる医用画像の処理手法を開発しています。
・非侵襲、連続的に体温、心拍、呼吸など生命徴候を計測するセン
サー及びそれらを利用したウェアラブル機器を開発しています。更
に、連続的な生理信号を利用した概日リズム、縮日リズム等の時間
生物学的分析も行っています。
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3.高速類似探索
文書・画像・音声音響信号・記号列等の多様なデータを対象とし、
種々の類似尺度を利用できる、近傍グラフを索引構造とする高速類
似探索法の研究をしています。近傍グラフの利用は、探索高速化と
多様なデータ・類似尺度を利用可能とすることだけでなく、探索結
果を容易に可視化することを可能にしています。
図3 バイオセンシング、バイオイメージング、医用画像処理などの応用例。
Graduate School of Information Science Guide book 2015
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計算神経科学研究室
教育連携研究室
教育連携研究室
教育連携研究室
ヒューマンウェア工学研究室
(国際電気通信基礎技術研究所)
(パナソニック株式会社)
URL:http://www.cns.atr.jp/cns-naist/
URL:http://isw3.naist.jp/Contents/Research-ja/32_lab-ja.html
(写真左から)
教授:川人 光男 [email protected]
教授:神谷 之康 [email protected]
(写真なし)
教授:小澤 順 [email protected]
准教授:井上 剛
研究室概要
研究室概要
本研究室では、脳の働きを数理的にモデル化し、ヒトの脳や身体と同じ
本研究室は、パナソニック株式会社・先端技術研究所との産学連携で
機能を持つロボットを作って検証するアプローチで大きな成果を上げてき
運営される教育連携研究室です。本研究室での研究を希望するかたは、
た。最近では、ヒトの脳活動信号から脳に表現されている情報を解読し、
親元研究室との連携の下、京阪奈学研都市の光台地区にあるパナソニッ
その情報を使ってロボットを操作する研究にも取り組んでいる。
「脳・ヒト
ク株式会社・先端技術研究所において研究活動を行うことになります。
を作る」、
「脳を読む」、そして、
「脳を繋ぐ」をキーワードに、計算論的神経
ヒューマンウエア(Humanware)
とは、人間的な知能情報処理、メディ
科学の一大中心であるATRの恵まれた環境で、最先端の大胆な研究を目
ア情報処理、柔軟なロボティクス/メカトロニクスを目指すという思いを
指している。
こめた造語で、
「情報の受容・発信の本質は人にある」という考えを基本に
しています。従来の情報通信技術は、数学を基礎に、コンピュータ機器・
通信機器を研究開発の対象としてきました。しかし、本来、これらの機器
主な研究分野
感覚、運動、コミュニケーション、情動、言語など多岐にわたる脳
機能を理解するために、神経生理学、心理学、脳活動非侵襲計測、
ロボティックスなど実験的な手法を、計算理論的な枠組みで有機的
に統合する。
現在、特に下記の研究プロジェクトに参加する学生を募集してい
る。
1)ロボットの運動学習制御
人間の運動学習機構の理解と計算理論の構築を目標に、ロボット
を用いた運動学習制御法の研究を行う。具体例としては、ヒューマノ
イドロボットを用いた人間動作の見まね学習および全身運動制御、
多種センサ情報の統合、二足歩行ロボットを用いた動的な歩行運動
の実現等を行う。世界中から集まった学際的で国際色豊かなメン
バーとともに、最新のロボットと計算機環境を用いて、ロボット学習
制御技術の構築とそれを通じた人間の運動学習機構の解明を目指
す。
を使用する人間や社会を含めた全体的なシステムや仕組みの研究開発が
必要で、本研究室では、人間科学、社会科学、物理学などと融合した新し
い情報処理技術の研究に取り組んでいます。
3)ブレイン-マシン・インターフェース
ATRの脳計測、復号化技術とロボット技術を組み合わせ、脳活
動から復号化された情報(運動意図など)を用いてロボットやコン
ピュータを制御する技術(ブレイン-マシン・インターフェース)の研
究を進めている。身体を介さない新たな情報伝達手段の開発を行う
とともに、復号化情報を用いてリアルタイムに実験を操作する新た
な神経科学のパラダイムの創出を目指している。
研究設備
・人間型ロボット
・fMRI(磁気共鳴画像装置)
・MEG(脳磁場計測装置)
・EEG(脳波計測装置)
・NIRS(近赤外線分光装置)
1)脳機能統合センシング技術
人間の脳の活動を、脳電位・脳血流・視線センサを用いて分析し
ます。特に、これらの出力値を統合的に分析することで、ユーザのコ
ンテンツに対する興味の検出[1,2]、ユーザインタフェースの評価
等、認知状態を定量化することを目指します。
手づたえ制御マニピュレータ
脳機能統合センシング
2)人とロボットとのインタラクション制御技術
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人間の動作を簡単な教示でロボットに学習させる技術を開発して
おります。特に、人が微小な手ごたえ感を感じながら手づたえで教
示する学習制御技術の実現を目指します[4]。
主な研究分野としては以下のようなものがありますが、これ以外
にも人間中心の情報処理、コミュニケーション、ロボティクス/メカ
トロニクスについての研究を行っております。
・川人:科学技術振興機構「脳情報の解読と制御」領域総括、日本
神経科学会理事、NEURO2010大会長
・神谷:日本神経科学会、
日本視覚学会、
Society for Neuroscience
会員
外界や心の状態を脳活動が「符号化(コード)
」していると考える
と、脳活動から外界や心の状態を推定することは「復号化(デコー
ド)」に相当する。脳情報の復号化は、刺激や課題によって生じる脳
活動をマッピングする従来の脳計測研究の知見を補完するばかり
でなく、脳内の詳細な情報表現を理解する上で強力なツールとな
る。本プロジェクトでは、機械学習にもとづく復号化技術を開発し、
非侵襲的脳計測信号(fMRI, MEG, EEG, NIRSなど)から、ヒトの
脳内情報表現を高精度で同定・解読することを目指している。
3)人によるマニピュレータの学習制御技術
主な研究分野
共同研究・学会活動
2)非侵襲的脳計測による脳情報復号化
ユーザの困り検出と移動ロボット制御
自律的に制御できる移動ロボットが、周囲の人の行動の状況を認
識し、ロボットが自律的に回避・誘導する技術を開発します。病院や
公共の場所において、可視画像、距離センサを利用することで、人の
行動を妨げないように回避したり[3]、困っている人に対しては、情
報提供や誘導を行うシステムを目指します。
[1]Yoshioka, M., Inoue, T., and Ozawa, J., : Brain Signal
Pattern of Engrossed Subjects using Near Infrared
Spectroscopy ( NIRS ) and its Application to TV
Commercial Evaluation, IEEE World Congress on
Computational Intelligence,(IJCNN2012), pp.27772782,(2012).
[2]井上, 吉岡, 小澤:脳血流の変化と視線の停留領域によるCM
コンテンツ評価手法, ヒューマンインタフェースシンポジウム
2011.
[3]Fernando, J. B., Tanigawa, T., Naito, E., Yamagami, K.,
and Ozawa, J., : Collision Avoidance Path Planning
for Hospital Robot with Consideration of Disabled
Person s Movement Characteristic, Proc. of The 1st
IEEE Global Conf. on Consumer Electronics, pp.397401,(2012).
[4]Fudaba, Y., Tsusaka, Y., Ozawa, J., Yamamoto, M., and
Sato, T. : Teaching Data Characteristics for Direct
Teaching using a Robot with a Dual-Shell Structure,
21st IEEE Int. Symp. on Robot and Human Interactive
Communication, pp.81-87,(2012).
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シンビオティックシステム研究室
ヒューマン・インタフェース研究室
(日本電気株式会社)
(株式会社 富士通研究所)
URL:http://Aaaaaaa
URL:http://jp.fujitsu.com/group/labs/
(写真なし)
教授:田谷 紀彦
研究室概要
研究テーマの例
本研究室は企業との教育連携研究室として、NEC関西研究所が開設す
1)マルチセンサ人間行動計測
るものです。人と共生する情報システムの特性を検討し、人の意図など知
オープンラボ(NEC関西研究所内)での全ての知的活動や屋外で
の活動を記録。創造活動を促進した人、モノ、情報との接触を抽出
することで、創造に関わる因果関係を分析する。また、ひらめきを含
む知的活動を支援システムや新たなコミュニケーション・システムを
探索する。
的活動を理解する技術、さらにその知的活動を支援する技術に関し、教育
と研究を行います。Web2.0、クラウドソーシングやSNSなどを超える新
たなコミュニケーション・メディアや創造活動の支援という将来有望な実
用システム開発し、人と人との共生、人と社会との共生(シンビオシス)の
実現を目指します。
教授:早川 昭二 [email protected]
研究室概要
本教育連携研究室は、川崎市中原区の富士通研究所内のメディア処
理システム研究所にあります。メディア処理システム研究所では人間中心
の知的社会を実現するため、人間とICTの接点である「画像・音声・自然
言語技術」を活用した、新しいサービス・世界の実現を目指して研究開発
を行っています。その中で当研究室では、特に音響・音声情報処理技術に
より、人対人の円滑なコミュニケーションを可能とするヒューマン・インタ
フェース技術の研究開発を行っています。また、企業の研究室であること
から、適用製品を意識した出口指向の研究開発である点に特色がありま
す。
主な研究分野
1)ひらめきコンピューティング
主な研究分野
人のひらめきとひらめき伝播のモデル化、システム化を研究してい
ます。生体センサを含めた知的活動分析やクラウドソーシングのた
めの基盤システムの開発、世界や社会全体での共創実証実験を行
います。
2)こころコミュニケーション
人と人、人と社会の間で、心が通じるためのコミュニケーションの
モデル化や高度化の研究を行います。意図理解支援や伝達支援の
原理、モデル研究とともに、コミュニケーションロボット、遠隔共創
環境などの新たなコミュニケーションサービスと、その評価方法を
研究します。
教育連携研究室
教育連携研究室
教育連携研究室
2)知的行動分析技術
大量に蓄積された知的行動情報から、行動の癖やノウハウなどの
暗黙知を自動抽出する。また、健康状態などの本人も気がつかない
異常を検出する。
研究環境
NEC関西研究所は先端大に隣接する敷地にあります。NEC関西
研究所内では、複数の研究開発組織が活動しています。最新、最先
端のネットワーク/コンピュータ環境を備えている他、無線タグやマ
ルチセンサ、大画面・高精細コミュニケーション端末など特有のイン
フラや端末を揃え、多くの海外からの研究者と共に、未来の情報通
信技術の研究を実施しています。
私たちは日常的に会話をしていますが、会話のあと「楽しかった」
とか「嫌な感じがした」など様々な気持ちを抱くことが多いと思いま
す。このように会話に対して抱く主観的な印象である「会話の質」を
定量化して評価する方法の研究を行っています。例えば、会話の目
的達成率や達成時間といった値を「会話の質」の評価に用います。
さらに、評価した「会話の質」を制御するための、話者への働きかけ
の研究を行っています。これにより人と人/ ICTを高度に結びつける
新たなヒューマン・インタフェースに展開していきます。具体的な研
究の進め方の一例として、本研究で扱うコミュニケーションを電話
や対面での会話と想定し、次のように考えています。まず初めに、脳
科学や心理学も考慮しながら言語/非言語コミュニケーション技術
などを用いて「会話の質」を分析します。次に、
「会話の質」の向上を
目指した話者への働きかけ方や、その自動化の研究を進めます。
図1に本研究室が目指している会話支援システムとその利用シー
ンを示します。旅行代理店での接客時や市役所電話窓口などで行
われる会話音声を取り込み、
「会話の質」を定量評価します。ここで
は一例として「話し方」
「ストレス」
「言葉遣い」を用いて「会話の質」
の評価値を算出します。その評価値に基づき相手の意図や気持ちを
分析し、
「会話の質」を高めるための支援方法を、過去の事例データ
ベースから検索し、話者に働きかけます。そして、このループを何度
も回します。これにより、相手の意図や気持ちを汲み取った、質の高
い会話の実現を支援します。本システム実現のため、当研究室で研
究している要素技術の例を以下に紹介します。
1)ストレス状態らしさの推測技術
会話中に相手から好ましくないことを言われたり、不安を抱かせ
る事実を知らせられたりすると、ストレスが掛かります。これを「会話
の質」の定量評価に使う研究を行っています。人間はストレスを受け
た場合、声の高さや強さといった声の調子が変わることが知られて
います。ここで、トラブルを模擬した通話時のストレス状態における
音声の高さと強さの関係を図2に示します。ストレス状態では、声帯
の振動によって生じる強さの山谷が音声の高い成分まで伸びておら
ず、声帯の挙動が小さくなることがわかります。このような特徴を捉
えることでストレス状態らしさを算出します。また、本技術はスマート
フォン上に実装し評価を進めています。
2)言葉遣い・話し方の評価技術
会話における言葉遣いや話し方も、
「会話の質」を定量評価する
ための重要な特徴となります。当研究室では、ワードスポッティング
技術により、自然な会話からリアルタイムで特定の単語を検出するこ
とで、言葉遣いを評価する研究を進めています。また、ワードスポッ
ティング技術を利用して単位時間当たりの音素数を算出し、これを
用いて話し方の特徴の一つである
「話す速さ」
を評価する研究も行っ
ています。
左:音声の高さと強さの関係(「あ」と発声している区間)右:ストレス状態ら
しさを評価するアプリ画面
実現を目指す会話支援システムと利用シーン
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マルチメディア移動通信研究室
光センシング研究室
(株式会社NTTドコモ)
(オムロン株式会社)
URL:http://isw3.naist.jp/Contents/Reseach/cl-05-ja.html
URL:http://www.omron.co.jp/r_d/vision/index.html
(写真左から)
教授:奥村 幸彦
准教授:浅井 孝浩
研究室概要
現在、第3世代移動通信(3G)が広く普及しておりますが、本格的なマ
ルチメディアアプリケーションの登場に向けて、移動通信も、移動環境で
100Mbps、準静止環境(歩行速度以下)で1Gbpsの無線伝送能力が要
求されています。このような大容量マルチメディア移動通信を実現するた
めには、より広帯域な無線周波数が必要となりますが、無線周波数は有
限な資源であるため、さらなる効率的な使用が必要となります。本研究室
ではこれらのサービスを実現するための基礎となるマルチバンド・マルチ
アンテナシステム、電波伝搬、エリア設計とその評価技術などの研究をし
ています。
主な研究分野
1)MIMOアンテナ構成法と評価法(屋外アンテナシステム)
上記を実現する技術のひとつとしてMIMO技術が有力視されてい
ます。ここでは、アンテナ・電波伝搬・エリア設計の観点よりMIMO
アンテナ構成法と評価法の検討を行います。屋外での電波環境測
定、電波暗室でのMIMO電波環境模擬装置による評価、アンテナ試
作、システムシミュレーションなどを総合的に取扱い最適なアンテナ
システム設計の研究を行います。
2)レピータ干渉低減技術(屋内アンテナシステム)
次世代移動通信システムにおいては、これまで以上に屋内での
サービスの重要性が増してきます。これを実現するためには経済的
で効率的な屋内アンテナシステムの構築が必要です。
現在はレピータ
(中継装置)などが多く用いられていますが、親局アンテナと子局ア
ンテナの干渉を広帯域にわたって低減する技術の確立が求められて
います。これらの課題を信号処理、電波伝搬、アンテナ技術の観点よ
り研究します。
教育連携研究室
教育連携研究室
教育連携研究室
研究設備
アンテナ・電波伝搬・エリア設計の基本研究に必要なシミュレーショ
ン計算機、RF送受信機、電波環境測定装置、電波環境模擬装置、
各種アンテナ、アンテナ工作機器および電波暗室(電波無響室)な
どが利用できます。
移動通信システムにおいてアンテナは必要不可欠なキーデバイスの
ひとつです。都市部、郊外、山間部などに応じて如何に「圏外」を減
らすかは、電波伝搬の把握と最適なアンテナの設計にかかっている
といえます。これまでのアンテナはサービスエリアに対して電波を忠
実に照らすことが重要でしたが、これからのマルチメディア移動通信
においては、マルチアンテナによる信号処理を用いて電波を適応的
に制御することが求められています。
アンテナ・電波伝搬・エリア設計の研究では、計算機シミュレーショ
ンによる解析・設計が広く用いられます。シミュレーションには電磁
界理論に基づき様々な手法があり、研究の対象に応じて適宜利用
されています。一方で、これらの設計結果の実証には電波実験が欠
かせません。特にアンテナ実験の際は周囲環境に左右されずアンテ
ナ固有の性質を的確に評価する必要があります。そのためには理想
的な空間が必要となり、これを実現する設備が電波暗室(電波無響
室)です。外からの電波を遮断したり中の電波を外に漏らさないため
に「暗室」、あるいは電波を中で反射させないために「無響室」と呼
ばれています。本研究室では、計算機シミュレーションから電波実験
までを一貫して実施し、MIMOアンテナ構成法や屋内アンテナシス
テムの研究を進めていきます。
(写真左から)
教授:諏訪 正樹 [email protected]
准教授:井尻 善久 [email protected]
研究室概要
本研究室ではユビキタスネットワークの入力装置として重要度が高まっ
ているセンシングの研究をおこなう。特に画像データから得られるパター
ンや立体の認識および光の波動性や偏光を応用した物の質的な認識を
中心に、生物の視覚機能にせまるセンシングの研究を幅広くおこなう。こ
れはビジョンセンシングと呼ばれる研究分野であり、なかでもファクトリー
オートメーション(FA)やセキュリティ分野へ活用できるビジョンセンシン
グの研究に注力していく。
顔画像センシングにおける顔検出例
主な研究分野
1)3Dビジョンセンシング
画像から対象の3D情報をセンシングする3DビジョンセンサをFA
やセキュリティなど様々な分野で実用化するためのカメラキャリブ
レーション、計測アルゴリズム等の基盤技術について研究・開発す
る。
2)文字・一般物体認識(Pattern Vision)
「人間に学ぶ」全く新しい概念で文字・物体(多くが生産現場にお
ける部品等)を捉え劇的なコンパクト化を実現する文字・一般物体
認識のための基盤技術を研究・開発する。
3)顔画像センシング(OKAO VISION)
人間の多様な状況を視覚によって捉えることにより、人間重視の
ソーシャルニーズを満たす画像意味理解技術を提供することを目的
とし、そのための技術として人物個人同定、人物動作推定等の基盤
技術について研究・開発する。
文字・一般物体認識のFAでの適用例
研究設備
・独自のネットワーク環境および計算機群
・画像データ収集設備(暗室、各種照明装置など)
・大量画像データベース
・距離計測評価装置
・3D画像処理装置
・カメラ評価装置
共同研究・社会活動など
中国の清華大学、上海交通大学などと共同研究を実施
次世代移動通信のためのマルチバンド・マルチアンテナ
3Dビジョンセンシングによるひとの動線検出例
マルチバンド・マルチアンテナ技術
4)その他のビジョンセンシング
1)-3)以外にも画像意味理解技術や対象の「いろ・つや」を計測
する技術などに関する新たな研究テーマ設定も予定している。
MIMOアンテナ構成法
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電波暗室(電波無響室)
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生体分子情報学研究室
教育連携研究室
教育連携研究室
教育連携研究室
デジタルヒューマン学研究室
(独立行政法人産業技術総合研究所)
(独立行政法人産業技術総合研究所)
URL:http://www.dh.aist.go.jp/jp/research/assist/naist/
(写真左から)
教授:上野 豊 [email protected]
教授:福井 一彦 [email protected]
研究室概要
タンパク質など生体分子の機能とそのメカニズムを探るための、バイオ
インフォマティクスの手法開発を進めています。大規模計算機を活用した
網羅的な探索、さらに実験的データにある情報の欠損を補う解析法の開
発など、情報工学的な手法で生命科学における知識発見を目指します。
実験的に機能が解析された分子の立体構造から仕組みを理解するた
めに、分子力場によるシミュレーションが必要です。標的分子の機能を探
るため、各種分子生物学的データベースにある関連情報を活用します。情
報科学によって実験データにある情報をより深く捕らえる手法を研究しま
す。
主な研究分野
1)タンパク質の相互作用シミュレーション
研究環境
本研究室は、平成12年より継続する独立行政法人産業技術総合
研究所・生命情報科学研究センター(CBRC)との連携活動を中心
に展開してきました。東京大学、早稲田大学の連携研究室も併設さ
れ、
国内外の研究者によるセミナーや生命情報工学の人材養成コー
スの講義など、センター内外の研究者との交流の場面があります。
また、関西地区にある産業技術総合研究所の研究施設に週1日訪
問して研究を進めるテーマも可能です。
(研究設備の例)
・PCクラスタ(1024CPU)
・BlueGene(22TFlops)
・AISTスーパークラスタ
・触覚付6自由度入力装置
タンパク質同士または核酸や低分子との複合体における分子認
識メカニズムを探るため、複合体の分子動力学および量子化学計算
から相互作用を解析します。PDB立体構造データベースに見られる
相互作用を網羅的に探索した相互作用の統計をもとに、標的分子と
のドッキング予測を試みます。
(写真なし)
教授:多田 充徳
研究室概要
当教育連携講座は、東京お台場にある産業技術総合研究所(産総研)
に設置された、デジタルヒューマン工学研究センター内にあります。当セン
ターでは、2001年の設立以来、人間の機能の計算モデルを構築すること
を目指して、国内外の多分野の研究者と学生、総勢50名程度のグループ
で研究を進めています。当講座では、a)個人差を表現可能な体形、変形、
感覚、運動のモデル、b)生活環境における人間の行動から導き出される
人間の生活機能の統計的なモデルの両面から、それぞれを計測技術、モ
デル化技術、提示技術の三つの観点において研究しています。未来の情報
化社会において、システムが人間と人間環境を理解することは、最も実現
されていない、そして最も重要な機能だと考えられます。デジタルヒューマ
ン技術を用いることで、人間の関わるシステムが個人に適合して安全で使
いやすくなり、状況に応じて適切なサポートができるようになることを目指
しています。
主な研究分野
図 筋収縮を制御するトロポニン・トロポミオシンの相互作用
教育連携講座を担当する加賀美は移動ロボットの専門家として、
前述のテーマのうちの b)人間の行動観測と、a)
、b)両面のアプ
ローチで得られるモデルを用いた知的なサポートを行うシステムの
研究を行っています。山崎の専門分野は画像処理とセンシング技術
であり、a)全身運動計測による人間の機能解析と、b)ビジョンシス
テムを用いた生活環境のモデル化の研究を行っています。
今年度、本講座で募集する主な研究テーマは以下の2項目です。
これらは現在進行形の研究プロジェクトの一部であり、他にも関連
する多くの研究テーマが考えられます。テーマ選択の際には、本人
の希望を優先します。
1)身4次元計測による人体の運動機能解析(図1)
図 タンパク質−タンパク質のドッキング予測計算の例
2)情報統合基盤の開発
実測されたデータをより効率的に解析するため、解析要素技術
を柔軟に組み合わせ可能とするプラットフォームを用いたワークフ
ロー解析基盤を構築します。また既存のデータベースと連携し動作
可能とするためセマンティツク技術を用いたデータ連携に取り組ん
でいます。
3)電子顕微鏡単粒子画像からの構造解析
タンパク質複合体の電子顕微鏡画像を解析するため、加算平均
でノイズ除去する粒子像をクラスタリングするアルゴリズムを改良し
て解析の信頼性を上げたり、不完全な実験データからの解析を試み
ます。
4)分子構造モデリングスクリプトの開発
動作しているタンパク質の構造情報を捉えた各種実験データに
合う立体構造のモデルを構築し、動作メカニズムを検証します。捉
えた構造変化は、タンパク質分子アニメーションで可視化します。こ
れらを効率的に表現できるスクリプト言語の開発と実用化を進めま
す。
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図1 4次元計測ルーム(上)、人体モデル(左下)、計測結果(右下)
計測ルーム内の全周に設置したアクティブビジョンセンサを用い
て、運動中の全身形状を連続的に取得し、人体の運動機能解析と個
人差の抽出を行う技術を研究します。本年は、これまでに取得した
体型データの統計解析に加えて、モーションキャプチャによる関節
運動や、MRI画像撮影で得られた人体の内部構造を用いた解析手
法を研究します。
2)移動ロボットを用いた人間の生活行動の理解(図2)
車輪移動ロボットを用いて、環境中を自律移動しながら、人間の
行動を観察し、環境の使い方の理解や、行動の理解を行う技術につ
いて研究します。特に本年はこれまでに研究してきた三次元環境地
図作成、人間の移動軌跡計測、人の姿勢や体形計測、物体の位置
姿勢発見などの手法を統合し、人間環境におけるサービスロボット
の技術について研究します。
図1 自律移動ロボット(左)、画像から復元した3次元環境地図(右)
研究設備
・全身4次元計測ルーム
・モーションキャプチャシステム
・3次元形状スキャナ(全身、頭部、携帯型など多数)
・3Dプリンタ
・車輪移動ロボットSegway改、Prius改、ほか多数
・全身型ヒューマノイドロボットHRP2、HRP3
・ビジョンカメラ、レーザ距離センサ、ほか各種センサ
・テレビ会議システム
学生生活
当研究室には2004年から毎年1 ∼ 2名の学生が在籍し、他大学か
ら受け入れている15 ∼ 20名の学生と共に研究をしています。外国
人研究者や在外研究経験者が多く、国際会議での発表や留学など、
国際交流が盛んです。
その他のイベント
・デジタルヒューマンシンポジウム(年1回)
・夏季研修会(年1回)
・スキー合宿、カート大会、バーベキュー
・新年会、忘年会、反省会、ほか多数
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放射線機器学研究室
教育連携研究室
教育連携研究室
教育連携研究室
セキュアソフトウェアシステム研究室
(国立循環器病センター研究所)
(独立行政法人産業技術総合研究所)
URL:http://www.ncvc.go.jp/res/divisions/radiology/
(写真左から)
教授:飯田 秀博 [email protected]
准教授:銭谷 勉 [email protected]
研究室概要
本研究室は、国立循環器病研究センター研究所・画像診断医学部との
本研究室では、将来の医療に貢献できる、情報工学出身の若い研究者と
技術者の育成を目指しています。
(写真左から)
教授:大岩 寛 [email protected]
准教授:Cyrille Artho [email protected]
研究室概要
計算機ソフトウェアがいわゆる汎用コンピュータだけでなく、自動車、航
教育連携研究室で、画像診断法の開発と応用研究を行っています。
空機、家電製品、医療機器、工場設備、基盤インフラ設備など我々の生活
PET、SPECT、MRIなどの最先端の画像診断技術は、日常の診療で重
や生命の安全性に直結する機器に組み込まれて使われるようになってき
要な役割を担っていますが、疾患の本質を理解することや、新しい病態の
た現代において、ソフトウェアの信頼性を確保することは、きわめて重要な
発見にも貢献しています。また、新しい治療法の客観的な評価を行うため
産業上の要請になってきています。また、ソフトウェアの規模が拡大し、利
の指標としても利用されています。私たちの研究室は、情報工学の様々な
用者がソフトウェアを「見て」 安全性を直接確認することが出来ない以上、
技術に基づく新しい画像処理法と撮像技術の開発を行いながら、診断指
工学的な手法でシステマチックに安全なソフトウェアを構築し、さらにそ
標を医療の中で提案し、実証することを目指しています。
の安全性を他人にきちんと説明する根拠立てを作ることが、重要になって
きています。本研究室では、ソフトウェアの安全性の担保に必要な技術や、
それらをソフトウェア開発の各段階に具体的に適用するために必要な手
法を研究開発し、産業としての安全なソフトウェア構築手段の体系化を目
指します。
研究の進め方
まず、それぞれの志向する研究テーマに応じて、必要な情報科学の
基礎知識を身につけていただきます。たとえば安全性担保技術につ
いては、プログラミング言語理論や形式手法に必要な数学的素養な
どがそれに当たります。また、計算機アーキテクチャや数理論理学等
も、分野によっては知識が必要になります。また、可能な限り企業等
との共同研究などに参画していただき、具体的な実例を元にした研
究が出来るようアレンジする予定です。左に挙げたようなテーマの他
にも、ソフトウェアの信頼性・安全性の向上につながるような内容で
あれば、可能な限り学生の自主的な取り組みを重視します。修士論
文や博士論文のテーマ決定に際しては、相談にはのりますが、最終
的には自ら決めていただきます。
産官学連携、国際連携など
主な研究分野
1)プログラムの安全性を担保するための要素技術
主な研究分野
高解像度ピンホールSPECT装置を独自に開発し、マウスの機能イメージ
ングに成功しました
新しい画像処理法と撮像技術の開発を行う一方、これらの方法の動物
実験評価と臨床応用を行っています。循環器疾患の分野では、多くの治療
薬の開発や、再生医療の研究開発がおこなわれていますが、この中で画
像診断の技術は、限りなく無侵襲に、繰り返し観察することができるので、
重要な役割を担います。中でも微量の放射性同位元素を利用するPETや
SPECTなどの核医学手法や、高感度MRI撮像法は、臨床研究や動物実
験においても、病態の変化や治療に基づく改善を高感度で観察することが
脳や心筋領域の画像診断技術の開発研究を行っています。情報
工学的手法に基づき、新しい画像診断技術の開発や、既存の技術
の改良、臨床研究を支える標準化に向けたプログラムの開発が主な
分野です。今までに開発された成果の一部は、国内外の臨床診断や
多施設臨床研究に貢献しています。
研究設備
研究用のPET装置、SPECT装置、3テスラMRI装置、血管造影装
置、さらにポジトロン放出核種を生成する小型サイクロトロン、有機
薬剤合成設備を有しており、最先端の画像診断機器および画像処
理プログラムの開発環境が整っています。
できます。私たちは、このための新しい画像撮像法や画像解析手法の開発
を行っています。
また、私たちの研究領域は多くの分野にまたがっており、これにかかる
医用工学研究者を中心に、医学、生物学、薬学、化学分野の一線の研究
者や技術者、医療関係者、各界の企業人が協力して研究開発を実施して
います。ユニークな連携であると同時に、情報交換の拠点となっています。
共同研究
フィンランド国立PETセンター、東芝㈱、シーメンス・ジャパン㈱、
GEヘルスケア・ジャパン㈱、日本メジフィジックス㈱、㈱モレキュラー
イメージングラボ、㈱ABX-CRO(独国)など
卒業生、研究員の進路及び就職状況
・プログラム意味論、安全性の担保
・プログラミング言語の理論と実装
(特に型安全性など、安全性やセキュリティに直結する分野を中心
に扱います)
・プログラムの安全性を検証する手法
䀝モデル検査
䀝形式検証技術
・プログラムの安全性を検査する技術
䀝形式的手法に基づくプログラムテスト
䀝プログラムの解析技術
・プログラムの仕様記述法、数理的技法、形式技法、仕様記述論
本研究室は教育連携研究室ですので、産業技術総合研究所(セキュ
アシステム研究部門)で研究指導を行います。関西センター尼崎支
所(兵庫県尼崎市)での活動を基本としますが、研究テーマによって
はつくばセンター(茨城県つくば市)に在籍する研究者も含めて、そ
の分野のエキスパートの支援を受け、より高度な研究を実現するこ
とを目指します。研究所で進めている産官学連携活動に参加し、企
業との共同研究を体験する機会もあります。また、ソフトウェアの安
全性の説明力向上に関する研究については、ISOやOMGの国際標
準活動やIPAの技術普及活動を通じて産業の第一線で活躍する技
術者と交流することができます。
2)プログラムの安全性を開発プロセスで保証するための
技術・安全性を説明するための技術
・プログラムの仕様記述手法
・テストの自動化や網羅性向上に関する技術
・プログラム開発工程の追跡技術
・安全性認証に関する技法(認証工学)
3)情報システムのセキュリティ確保に関する技術
・セキュリティ侵入に対するソフトウェア防護技術
・不正ソフトウェアのシステム侵入を防ぐ技術
・ソフトウェアプロトコルに関する技術
国立循環器病研究センター研究所、秋田県立脳血管研究センター、
カロリンスカ研究所、大阪大学(准教授)、香川大学医学部(准教
授)、フィンランドPETセンター、大阪府立成人病センター、GEヘル
スケア・ジャパン㈱、㈱島津製作所、㈱モレキュラーイメージングラ
ボ、㈱テルモなど
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ネットワーク統合運用研究室
超高信頼ソフトウエアシステム検証学研究室
(独立行政法人情報通信研究機構)
(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)
URL:http://stage.tksc.jaxa.jp/jedi/index.html
(写真左から)
教授:小林 和真 [email protected]
准教授:河合 栄治 [email protected]
研究室概要
ネットワーク統合運用研究室は、情報通信研究機構・テストベッド研究
開発推進センターとの教育連携研究室です。本研究室では、これからの
インターネットの進化を実現するために必要となる新しいネットワーク・
サービス技術について研究活動を行います。特に、日本が誇る世界最大
級の広域テストベッドネットワークJGN-Xを活用し、基盤技術の研究開発
3)オーケストレーション技術
ネットワーク仮想化技術や次世代・新世代ネットワーク技術を基
礎とする新しいネットワークインフラでは、様々なリソースをサービ
ス要求に応じて動的に結合する仕組みが必要となります。オーケス
トレーション技術とは、そうした目的のためにインフラリソースを協
調動作させ、最適化するための技術です(図2)。
から、ベンダーやキャリアなどの産業界も交えて共同で行う大規模実証実
教育連携研究室
教育連携研究室
教育連携研究室
教授:片平 真史 [email protected]
准教授:宮本 祐子 [email protected](写真なし)
研究室概要
今日、組み込みシステムや社会インフラシステムは、国家や人命の安全
を支える根幹として位置づけられており、それらの超高信頼性を確保する
ことは社会全体の安全性を高める上での最重要課題の一つです。超高信
頼ソフトウエアシステム検証学研究室では、宇宙航空研究開発機構 情
2)高信頼性・安全性評価手法
・検証網羅性評価技術
複数のソフトウエアシステムから構成される多種の検証情報に
基づきソフトウエアシステム全体のEnd-to-Endの検証網羅性を
評価する技術を研究します。
報・計算工学センターの持つ、宇宙システムにおける超高信頼性や安全性
に関する研究および実践における高い実績にもとづいて、極限環境で正し
験、さらにはそうした新技術の世界展開を実現するための活動を進めてい
い動作が求められるソフトウェアの超高信頼性・安全性を実現するための
きます。
ソフトウェア検証方法論を研究します。特に、現在の重要課題である、複
‐情報通信研究機構 http://www.nict.go.jp/
雑分散ソフトウエアシステムの検証 網羅性保証(End-to-End評価)に必
‐JGN-X http://www.jgn.nict.go.jp/
要な以下の方法論を研究・教育します。これらの研究成果は、宇宙システ
ムに限らない、社会基盤システム全般の超高信頼化への応用が期待され
ています。
主な研究分野
1)ネットワーク仮想化技術
インターネットは、通信回線を仮想化することでその利用効率を
劇的に向上し、世界中に普及しました。この仮想化の概念をさらに
推し進め、ネットワークインフラの高度化を実現することが求められ
ています。例えば、ネットワークインフラを仮想化することで、その一
部分(スライスと呼ばれる)を他から隔離した形でユーザに提供する
ことが可能になります。私たちはこれらのネットワーク仮想化技術お
よびその運用技術の研究開発を進めています(図1)。
主な研究分野
1)高信頼性・安全性検証手法
図2 オーケストレーション技術
・ロバスト性検証技術
仕様外要求を含めたロバスト性検証の要素技術、検証環境の
自動生成アルゴリズムや方法論を研究・開発します。
・検証自動化技術
システム構成、運用条件、不具合パターンモデルなどを用いた
検証ケース自動生成及び自動合否判定のためのアルゴリズムや
方法論を研究・開発します。
研究設備
前半は大学の基幹研究室を中心に研究指導し、後半は、JAXAにお
ける特定の題材をもとに、修士論文のテーマを決定します。まず、基
幹研究室においてソフトウェアやソフトウェアを中心とした複合的
システムの開発や品質保証技術等の基礎的な知識と技術を身につ
けていただきます。次に専門演習やJAXAにおけるインターンシップ
等を通じて、システムの超高信頼性や安全性を実現するための技術
(独立検証妥当性確認(IV&V)、モデルベース検証、システムアシュ
アランス等)を学びます。
共同研究・社会活動など
2)次世代・新世代ネットワーク技術
現在のインターネットは、改良を重ねて通信基盤としての現在の
地位を確立しました。一方で、今のインターネットの仕組みでは解
決が困難な課題がいくつか残されたままであり、これからの進化の
大きな障害となることが予想されています。そこで近年、従来のイン
ターネット技術を大きく変えることでこうした課題の根底からの解
決を目指す研究開発が世界中で盛んになってきています。そうした
全く新しい技術を広域インフラで実導入し、様々な実証実験を実現
するための技術(新世代ネットワークテストベッド技術)について研
究開発を行っています。
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Graduate School of Information Science Guide book 2015
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・欠陥伝搬評価技術
ソフトウエアシステム全体の欠陥モードの体系化及びそのシス
テムへの影響度評価手法を研究・実証します。
研究の進め方
・超高速広域ネットワークインフラ(JGN-X)
・国内回線、国際回線、基幹ルータ・スイッチ、クラウドインフラ(仮
想ホスト、仮想ストレージ)
図1 ネットワークインフラ仮想化のモデル
アシュアランスケースを用いた検証網羅性評価
連携先である情報通信研究機構はもちろんのこと、様々な大学、企
業、組織がJGN-Xを活用して研究活動を進めています。本研究室で
はこうした研究活動との連携も行う予定です。
・SDN/OpenFlow技術(日本電気)
・オーバレイ通信技術(大阪大学)
・クラウド連携技術(WIDEプロジェクト)
産官学連携、国際連携など
ロバスト性検証技術・自動検証技術の概念図
本研究室で身につける知識・技能は宇宙システムだけではなく幅広
い分野の組織に求められるものです。人材育成プログラムや産官学
連携活動への参加を積極的に支援します。JAXA筑波宇宙センター
でのインターンシップ等も企画します。また、テーマによっては、海外
宇宙機関との国際共同研究も行います。
Graduate School of Information Science Guide book 2015
46
情報科学研究科研究設備
空気圧人工筋駆動7自由度マニピュレータ
16本の空気圧人工筋により、7自由度を制御可能なマニピュレータ
です。その柔らかさを生かして、人間に直接接触しながら力学的にアシ
ストを行う研究などに利用できます。
異種ロボット群
人間機械複雑共存系における、実世界指向の人工知能の研究を進
めるためのプラットフォームです。画像や音声をカメラやマイクで取得
し、スピーカからの音声や身振り手振りで人間と関わることができま
す。また、無線LANによって作業環境との間や、ロボット同士で情報を
交換し合うことができます。これらの機能によって、複数の異種ロボッ
トと我々人間が協調・連携し、ロボット単体では不可能だったタスク
を可能とすることを目指しています。
マルチ首振りカメラシステム
人間などの撮影対象を取り囲むように、首振りカメラが多数設置さ
れたシステムです。それぞれのカメラを制御する計算機は高速ネット
ワークで接続されており、カメラの向きを制御させながらの同期撮影
が可能となっています。人間の動きを正確に測定する非光学式モー
ションキャプチャシステムも別途備えており、これらを組み合わせるこ
とで人間や衣服の形状・動きを計測する技術の研究開発に利用してい
ます。
遠隔地間相互臨場感伝送装置
高機能双腕冗長ロボットアーム・ハンドシステム
人と同じ自由度を持つワイヤー駆動式双腕冗長ロボットアームと3
指ロボットハンドによって構成されたシステムです。ロボットアームはギ
ヤを用いないワイヤー駆動方式により、人のように滑らかで高速な運
動を実現します。また、トルク制御モードでは人との安全なインタラク
ションを行うことが可能です。一方、ロボットハンドは2本指がリンクし
て移動する機構により、多種形状ワークのハンドリングを容易に実現
します。このシステムにより、人の巧みな運動スキルや物体把持動作に
関する技術の研究開発に取り組んでいます。
広域屋外三次元情報計測車両
広域屋外環境で三次元情報を計測するための実験車両です。本車
両には、全方位型マルチカメラシステム、ラインレンジスキャナ、RTKGPS、慣性航法センサ等が搭載されており、走行経路周辺の三次元情
報と全周囲映像を収集することができます。得られた三次元点群は、
GPS、慣性航法センサ、車速センサ等の情報から統合的に推定される
車両位置情報に基づいて自動で位置合わせされるため、比較的容易
に広域環境の三次元情報を収集することができます。
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衛星通信装置や無線通信装置を用いて、遠隔地にされたグラフィッ
クワークステーションを相互接続し、VRおよびビデオコンファレンス
による遠隔医療診断などを可能とする通信システムおよび画像処理シ
ステムの研究開発に用いられています。MPEG-2によるビデオ画像の
エンコーダ/デコーダ装置、VR画像の生成に必要な画像処理ワーク
ステーション、高速通信システム、移動体通信システムによって構成さ
れています。
全方位観測インターネットカー
屋外環境の三次元形状や画像情報を取得するための全方位センサ
搭載車両です。本車両には、無線によるインターネット接続用設備、全
周囲レーザレンジファインダ、全方位カメラ、RTK-GPSおよびPC一式
が搭載されており、取得したデータをインターネットを通じてリアルタ
イム配信することができます。本車両によって、屋外三次元地図の自動
生成や、仮想化現実環境の自動構築のためのデータを収集することが
できます。
Graduate School of Information Science Guide book 2015
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歩行装置つき没入型3面ディスプレイ
現実環境の画像に基づいて仮想環境内に生成された仮想化現実環
境を体験するための設備です。大型の三面傾斜スクリーン、ステレオ
提示高解像度プロジェクタ、全方向に歩行可能な歩行装置、歩行計
測装置から構成されており、ユーザの歩行動作によって仮想化現実環
境内を歩行することができます。ロボットの遠隔操縦や、高解像テレプ
レゼンスシステムに関する研究に利用しています。
没入型大型球面ディスプレイ
広視野角・高解像度の画像をユーザに提示するための設備です。本
設備は、直径約4mの大型球面ディスプレイ、高解像広角プロジェクタ
から構成されています。高解像全方位カメラによって撮影された全方
位動画像の再生や屋外三次元モデルを用いたウォークスルーによっ
て、遠隔地の情景の体験や仮想化現実環境をユーザに提示する研究
に用いています。
双腕作業ロボットシステム
日常生活での作業・物体操作を研究するための双腕ロボットシス
テムです。頭部に装着された2眼カメラシステムをパン・チルトさせ
て環境の情報を取得することができ、腕部に6自由度、手先に4自由
度を有する手腕により器用な動作を実現することができます。また
OpenRTMと呼ばれるロボット向けミドルウエアを使用することで、シ
ステム構成も柔軟に変更することができます。今後、このロボットシス
テムを用いて、人の作業知能の解明に取り組んでいきます。
生命機能計測装置
ナノバイオロジーのための研究装置で、倒立型光学顕微鏡をベース
にして構成され、顕微鏡下の試料に対してレーザー光を入射し、生体
分子から発生する蛍光やラマン散乱光などの分光スペクトルを計測し
て、イメージングできる装置です。
エバネッセント顕微鏡装置
生体分子の一分子計測のための研究装置で、レーザービームの全
反射時に生じるエバネッセント場を用いて基板から200nm程度の距
離内にある蛍光分子を励起し、高感度冷却CCDカメラで検出すること
で一分子イメージングすることができます。また光ピンセットと組み合
わせることでフェムトニュートンオーダーの微弱な一分子間の相互作
用力を計測することもできます。
極短パルスレーザ顕微鏡分光装置
細胞内の生体分子について調べるための研究装置で、レーザー光
のエネルギーを10兆分の1秒の時間に凝集して発光させて、さらに顕
微鏡に入射して集光することで、1TW/cm2以上の高エネルギー密度
を持つ光の場を作り出し、生体分子や 蛍光分子に同時に多数のフォ
トンを吸収させて発光現象を起して分光計測したり、細胞膜を切断し
たりできる装置です。
行動メディアシステム
ロボットのような自律機械と人間が同じ空間内に共存する環境で
は、人間と機械間の相互作用の新たな手法の実現が課題となってい
ます。人間・ロボットの行動を多種類のセンサを用いて実時間で認識
するとともに認識した行動情報に基づき行動を生成・提示しインタラ
クションをおこなうため身長158cm、31自由度をもつアクトロイド、
そして複数台カメラ、モーションキャプチャシステムからなるシステム
です。
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インタラクティブ超高精細映像研究システム
ハイビジョン映像の4倍の解像度をもつ4K映像の送受信が可能な
システムであり、臨場感のある映像を表示することができます。このシ
ステムを学内外の超高速ネットワークを利用して、遠隔地とのやりとり
をその距離を意識することなく行うことができるよう、画像処理技術と
ネットワーク技術を融合した新世代のマルチメディアシステムの研究
開発を行っています。
Graduate School of Information Science Guide book 2015
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小規模計算機サーバ
大規模な画像処理やデータマイニング、シミュレーションなどの高
度な計算能力を必要とする科学・技術研究を遂行するために利用する
システムで、学内どこからでも利用できます。構成は以下の通りです。
‐大容量共有メモリノード(6ノード)
CPU: Intel Xeon 2.4GHz 80コア、メモリ: 2TiB
‐クラスタノード(120ノード)
CPU: Intel Xeon 3.0GHz 20コア、メモリ: 64GiB
‐超並列演算ノード(2ノード)
GPGPU: NVIDIA Tesla K20X 4モジュール、CPU: Intel Xeon
2.6GHz 16コア、メモリ 128GiB
‐大容量データ処理(Hadoop)ノード(18ノード)
CPU: Intel Xeon 2.2GHz 16コア、
メモリ: 64GiB、
二次記憶装置: 36TB
‐広帯域分散ファイル(GlusterFS)サーバ
二次記憶装置: 450 TiB、スループット: 17GB/s以上
実世界行動生成装置
人と同じ空間を共有するロボットには、人と同じ環境を行動する能
力が求められます。人と似た構造を持つヒューマノイドロボットは、そ
のような研究をおこなうプラットフォームとして最適です。このヒュー
マノイドロボットは、実現できる作業の自由度を考慮して、腕部に7
自由度、脚部6自由度、全体として計34自由度を持ちながら、身長
151cm、体重38kgと小型・スリムなため運用性・適用性に優れてい
ます。今後、このヒューマノイドを用いて、知的な全身動作の実現に取
り組んでいきます。
眼球運動計測装置
両眼の運動を500Hzで精度良く記録できる装置です。眼球運動を
題材とした計算神経科学や、生体医工学、ユーザーインタフェースな
どの研究に用いることができます。
また、ジョブ管理システムや並列計算ライブラリ、各種コンパイラ、各
種ソフトウェア開発環境等のさまざまなソフトウェアを備えています。
大規模実験クラウド基盤システム
大規模なクラウド環境をエミュレートすることができるシステムで、
135の物理ノード、4式の仮想ノード、1つのネットワーク負荷トラ
フィック生成ノード、1つのネットワークトラフィック解析ノードから構
成されています。
大規模論理回路の実証設備
240ピン/208ピン対応LSIソケットを搭載した大規模FPGAボー
ドがあります。XILINX製XC5V330Tを合計16基(相互接続可能)、
XC6V550Tを2基、XC2V6000/8000を6基保有しており、市販の
FPGAボードやパソコンではできない大規模な実験を行うことができ
ます。ワークステーションに搭載し、開発したASICやFPGA上で実用
的プログラムを動作させることのできる環境は、独自に開発したもので
す。最大規模のシステム構成では、XILINX製XC5V330Tを16個同
時に使用することができます。
大規模シミュレーション設備
光学式モーションキャプチャシステム・筋骨格シミュレータ
反射マーカの3次元位置情報を最大サンプリング周波数1kHzで
精度良く計測することができる、リアルタイム光学式モーションキャプ
チャシステムです。バイオメカニクスやヒューマン・ロボットインタラク
ションなどの研究に幅広く活用しています。また、筋骨格シミュレータ
を用いることで、モーションキャプチャシステムで計測したデータから、
全身の筋肉の張力や関節モーメントなどの内部状態を推定することが
できます。
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Core(TM)i7 3970XおよびGPGPUを搭載したシミュレーション
サーバ群や、40/32コア搭載のサーバ群があります。ハードウェアモ
デルのRTLシミュレーション、アーキテクチャシミュレーション、アナロ
グ回路シミュレーション、回路の配置配線などに使用しています。
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大規模データリアルタイム処理システム
512GBのメモリを備えた24CPUコアXeon [email protected]
の大 規 模 計 算サーバ1台と、256GBのメモリを備えた8CPUコア
Xeon [email protected]の計算サーバ4台と、実効容量合計44TB
のRAID10大規模ファイルサーバからなるシステムで、言語情報を中
心とした大規模データから知識を獲得し、リアルタイムで処理する研
究設備です。言語情報に基づいて、高速かつ柔軟にテキストを検索し
たり、多言語を解析・翻訳したりする研究開発に役立っています。
インテンシブ解析サーバシステム
ハードウェアとして合計32コア/64スレッドの超高速CPUと主記憶
256GB、スクラッチデータ保存用超高速SSD480GBを備え、7種の
代表的なソフトウェア解析アプリケーションを搭載した解析専用計算
機。
ウェアラブル脳活動状態計測装置
ユビキタスディスプレイ実験室
ユビキタスディスプレイシステムは、SXGA+プロジェクタ5台、50
インチハイビジョンプラズマ3台、42インチ縦型タッチパネルプラズマ
2台、ムービングプロジェクタ1台、世界最大級270インチタッチイン
タフェース&UMU SCREENからなら様々な種類のパネルを組み合
わせたシステムです。異なる種類のパネルを組み合わせることで、ミー
ティングやコミュニケーションを高度化する研究を行っています。
頭部に装着した光トポグラフィ方式の脳血流センサによる測定結果
を腰に装着した送信装置からWiFi方式の無線LANを通じて記録でき
る、ウェアラブル(装着可能な)測定装置。
ソフトウェアデータ蓄積システム
実効容量25TBのRAID6HDD+キャッシュ用に1TB超のSSDを備
えた超高速高信頼ネットワークストレージと、合計72CPUコアを有す
るブレードサーバ群を仮想化プラットフォームvSphereにより統合し
たデータ収集用プライベートクラウドシステムにより構成される。
解析結果表示装置
膨大なハイビジョンモニタ6面で構成され、一つの大きな画面、ある
いは2x2サイズ1面+独立2面といった具合に表示方式を柔軟に変更
できる超大画面モニタ装置。
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教員索引
教 員 名
知能コミュニケーション処理システム
概念辞書獲得、情報信頼性分析、機械翻訳、音声・言語処理、言語
外情報分析等の知能コミュニケーション処理の研究に必要不可欠な
大規模Webコーパスを構築し、効率的に共有利用するためのPCクラ
スタシステムです。高速な演算能力を持つPCクラスタおよび大規模容
量を持つファイルサーバから構成されます。
研究用高速ストレージサーバ
音声翻訳などの知能コミュニケーションの研究におけるモデル構築
に用いる高速ストレージ装置です。複数台の計算アクセスに高速に対
応するため、ファイルシステムのスループットが最大で24Gb/secであ
り、バッチ処理とインタラクティブ処理に対応が可能で、クライアント
数に応じてスケールアウト可能する48TBの高速ストレージサーバで、
大量のデータを用いるモデル構築に役立っています。
知能コミュニケーション研究用生体計測装置
脳を始めとする生体の計測を行う装置です。32chの記録、バッテ
リー駆動ができる脳波計測解析装置で、人間のコミュニケーションに
おける脳活動、生体反応を計測する知能コミュニケーションの研究に
役立っています。
衛星インターネットカー
衛星回線を利用してアドホックにインターネット通信環境を提供す
ることができる車両です。このシステムは、災害時などに臨時的に通信
インフラを提供することが可能です。
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ページ番号
教 員 名
ページ番号
教 員 名
ページ番号
Christian Sandor
25
久保 孝富
31
山口 英
19
Cyrille Artho
44
久保 尋之
26
山田 武士
34
Graham Neubig
22
侯 亜飛
23
大和 勇太
14
Juntao Gao
16
黄 銘
33
山本 豪志朗
25
Kevin Duh
21
小林 和真
45
油谷 曉
20
Md. Altaf-Ul-Amin
33
笹部 昌弘
30
横田 太
32
Sakriani Sakti
22
佐藤 哲大
33
横矢 直和
24
Tran Thi Hong
13
佐藤 智和
24
吉川 雅博
28
浅井 孝浩
39
佐藤 嘉伸
32
吉野 幸一郎
22
荒川 豊
15
澤田 宏
34
米田 友和
14
飯田 元
18
柴田 直樹
16
渡場 康弘
18
飯田 秀博
43
進藤 裕之
21
池田 和司
31
新保 仁
21
井尻 善久
40
杉浦 忠男
33
市川 昊平
18
杉本 謙二
29
伊藤 実
16
鈴木 優
22
井上 美智子
14
諏訪 博彦
15
井上 剛
36
諏訪 正樹
40
猪俣 敦夫
20
銭谷 勉
43
伊原 彰紀
17
高井 利憲
18
上野 豊
41
高前田 伸也
13
浮田 宗伯
27
高松 淳
28
大岩 寛
44
武富 貴史
25
大竹 義人
32
多田 充徳
42
大平 健司
20
爲井 智也
31
小笠原 司
28
田谷 紀彦
37
岡田 実
23
丁 明
28
奥田 剛
19
戸田 智基
22
奥村 幸彦
39
中島 康彦
13
小澤 順
36
中島 悠太
24
小野 直亮
33
中村 哲
22
垣内 正年
20
萩田 紀博
27
笠原 正治
30
櫨山 寛章
19
楫 勇一
16
畑 秀明
17
38
樫原 茂
19
早川 昭二
片平 真史
46
東野 武史
23
加藤 博一
25
福井 一彦
41
門林 雄基
19
藤川 和利
20
金谷 重彦
33
藤本 まなと
15
神谷 之康
35
舩冨 卓哉
26
河合 栄治
45
松原 崇充
29
河合 紀彦
24
松本 健一
17
川上 朋也
16
松本 裕治
21
川人 光男
35
南 裕樹
29
川波 弘道
27
宮本 祐子
46
川原 純
30
向川 康博
26
神原 誠之
27
安本 慶一
15
Graduate School of Information Science Guide book 2015
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